平成29年 6月1日   旅人のこゝろにも似よ椎の花(松尾芭蕉)
  6月2日   香時計合歓の木陰の石の椅子(今村潤子)
  6月3日   また一枚ぬぎすてる旅から旅(種田山頭火)
  6月4日   卯の花腐し寝嵩うすれてゆくばかり(石橋秀野)
  6月5日   流れ藻も風濁りして行々子(河東碧梧桐)
  6月6日   かたつむり日月遠くねむりたる(木下夕爾)
  6月7日   月いでて見えわたりたる梅雨入かな(飯田蛇笏)
  6月8日   紫陽花と静かに糸を待つ針と(正木ゆう子)
  6月9日   雨蛙芭蕉に乗りて戦ぎけり(榎本其角)
  6月10日   よるべなう螻蛄も水掻く梅雨寒き(金尾梅の門)
  6月11日   井戸の暗さにわが顔を見出す(尾崎放哉)
  6月12日   十薬の匂ひにおのれひき据ゑる(橋本多佳子)
  6月13日   鮎くれてよらで過行夜半の門(与謝蕪村)
  6月14日   我を見て嘶く馬や木下闇(高濱虚子)
  6月15日   月見草勤労の歩のかく重く(竹下しづの女)
  6月16日   夜光虫闇をおそれて光りけり(久保田万太郎)
  6月17日   夕すゞみあぶなき石にのぼりけり(志太野坡)
  6月18日   父の日の子無き気安さ一人酒(永田満徳)
  6月19日   短夜や既に根づきし物の苗(石井露月)
  6月20日   梅雨の灯をひとり点じぬひとの家に(石橋辰之助)
  6月21日   くさむらや青きが上の夏至の雨(島道素石)
       
       


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