平成27年	1月1日			初鶏やひそかにたかき波の音（久保田万太郎）
	1月2日			書初やをさなおぼえの万葉歌（竹下しづの女）
	1月3日			お降や袴ぬぎたる静心（村上鬼城）
	1月4日			いかのぼりきのふの空のありどころ（与謝蕪村）
	1月5日			大空に羽子の白妙とどまれり（高濱虚子）
	1月6日			水仙の花の高さの日影かな（川井智月）
	1月7日			銭湯に善き衣著たり松の内（正岡子規）
	1月8日			坂下の屋根明けてゆくどんどかな（室生犀星）
	1月9日			観音の千手の中の淑気かな（永田満徳）
	1月10日			寒月や我ひとり行く橋の音（炭太祗）
	1月11日			熊を見し一度を何度でも話す（正木ゆう子）
	1月12日			ほこほこと朝日さしこむ火燵かな（内藤丈草）
	1月13日			女人廟冬の菫の濃きあたり（鈴木泰子）
	1月14日			我雪とおもへばかろし笠の上（榎本其角）
	1月15日			わらの火のへらへら雪はふりにけり（小林一茶）
	1月16日			寒菊や日の照る村の片ほとり（与謝蕪村）
	1月17日			たまさかに浪の音して夜の雪なり（北原白秋）
	1月18日			美しき日和になりぬ雪の上（炭太祗）
	1月19日			寒北斗無神に生きて神ほしき（今村潤子）
	1月20日			寒夜明るし別れて少女駆け出だす（西東三鬼）
	1月21日			埋火や鼾の中のほのあかり（加舎白雄）
	1月22日			凍滝に日輪遠く遠くあり（井芹眞一郎）
	1月23日			冬木だち月骨髄に入夜哉（高井几董）
	1月24日			行燈の煤けぞ寒き雪の暮（越智越人）
	1月25日			風の中寒肥を撒く小走りに（松本たかし）
	1月26日			降るをさへわするる雪のしづかさよ（藤森素檗）
	1月27日			待春のこころが探しをりしもの（萱嶋晶子）
	1月28日			瓦斯燈に吹雪かがやく街を見たり（北原白秋）
	1月29日			寒の梅歓喜の蕊を放ちけり（東千秋）
	1月30日			雪積もる夜のランプ（尾崎放哉）
	1月31日		1月31日	氷りけり一枚の田は一枚に(あまの樹懶)