平成18年	1月1日		山畑や青みのこして冬構へ（向井去来）
	1月2日		初夢に古郷を見て涙哉（小林一茶） 　 哉：かな
	1月3日		やり羽子は風やはらかに下りけり（各務支考）
	1月4日		帆かけ舟あれや堅田の冬げしき（榎本其角）
	1月5日		鳥飛んで夕日に動く冬木かな（夏目漱石）
	1月6日		忘れざる更科人や年始状（松瀬青々）
	1月7日		馬をさへ詠むる雪の朝かな（松尾芭蕉）　　詠むる：ながむる
	1月8日		福寿草莟は莟にまぎれをり（萱嶋晶子）
	1月9日		古歌に曰くちとせぞ見ゆるかがみ餅（西山宗因）
	1月10日		誰にやる破魔弓ねぎる道心者（小西来山）
	1月11日		洟垂れの子が売れ残る寒さ哉（正岡子規） 　　洟垂れ：はなたれ
	1月12日		餅焼いて寝しな喰ひけり寒の内（小沢碧童）
	1月13日		思ふこといはぬさまなる生海鼠かな（与謝蕪村）
	1月14日		ルンペンのうたげの空の星一つ（篠原鳳作）
	1月15日		埋火に思ひ出ること皆詩なり（村上鬼城）
	1月16日		けふの糧に幸足る汝や寒雀（杉田久女）
	1月17日		絶壁につららは淵の色をなす（川端茅舎）
	1月18日		或夜半の炭火かすかにくづれけり（芥川龍之介）
	1月19日		燦爛と波荒るゝなり浮寝鳥（芝不器男）
	1月20日		風の中おのれを責めつつ歩く（種田山頭火）
	1月21日		雪月夜斜の木影々々かな（松根東洋城）
	1月22日		柴漬や水に押されて在処（河東碧梧桐）
	1月23日		寒菊の雪をはらふも別かな（室生犀星）
	1月24日		大試験終へたる吾子の眠りかな（安田かしこ）
	1月25日		竹薮に散りて仕舞ひぬ冬椿（前田普羅）
	1月26日		霜をける畠の冴えや鍬の音（炭太祗）
	1月27日		岩山や切れとを過ぐる鷹の声（桜井梅室）
	1月28日		静かさや日のさしとほす枯葎（松根東洋城）
	1月29日		寒の月川風岩をけずるかな（三浦樗良）
	1月30日		うすめても花の匂の葛湯かな（渡辺水巴）
	1月31日		赤い靴あげて鯨が笑ったよ（あまの樹懶）