平成30年	10月1日		欄干に来て色鳥となりにけり（井芹眞一郎）
	10月2日		星空へ店より林檎あふれをり（橋本多佳子）
	10月3日		亀の居て破れ蓮の水うごきけり（日野草城）
	10月4日		招かざる薄に帰り来る人ぞ（夏目漱石）
	10月5日		稲雀茶の木畠や逃げどころ（松尾芭蕉）
	10月6日		はやばやと新米あがるぽつくり寺（東千秋）
	10月7日		山梨熟れ穂高雪渓眉の上（飯田蛇笏）
	10月8日		蓑虫の千思万考外は雨（あまの樹懶）
	10月9日		先づ土に固定をいそぐどんぐりぞ（正木ゆう子）
	10月10日		鈴虫や上がり框の李朝壺（永田満徳）
	10月11日		水瓶へ鼠の落ちし夜寒かな（炭太祗）
	10月12日		松笠の青さよ蝶の光り去る（北原白秋）
	10月13日		後先に人声遠し柿紅葉（加藤暁台）
	10月14日		朝寒やひとり墓前にうづくまる（正岡子規）
	10月15日		紅葉見や用意かしこき傘二本（与謝蕪村）
	10月16日		脇息に木兎一羽秋寒し（各務支考）
	10月17日		菌汁大きな菌浮きにけり（村上鬼城）
	10月18日		髪よせて柿むき競ふ燈下かな（杉田久女）
	10月19日		稲刈の其田の端や扱き所（森川許六）
	10月20日		紅茸を怖れてわれを怖れずや（西東三鬼）
	10月21日		後の月たとへば宇治の巻ならん（越智越人）
	10月22日		鶏頭や雁の来る時尚あかし（松尾芭蕉）
	10月23日		猛り鵙ひうひう空へ飛べりけり（川端茅舎）
	10月24日		下総に来ても雲無し秋日和（高濱虚子）
	10月25日		鶏の卵産み捨てし落穂かな（榎本其角）
	10月26日		落栗や墓に経よむ僧の前（黒柳召波）
	10月27日		草の穂は雨待宵のきげんかな（小林一茶）
	10月28日		水底の草にも秋の日ざしかな（高橋淡路女）
	10月29日		ますぐなる音の木の実の前に落つ（長谷川素逝）
	10月30日		秋しぐれ塀をぬらしてやみにけり（久保田万太郎）
	10月31日		藤の実やたそがれさそふ薄みどり（富田木歩）