平成25年	4月1日		怒涛岩を噛む我を神かと朧の夜（高濱虚子）
	4月2日		眼にあてて海が透くなり桜貝（松本たかし）
	4月3日		里の子の肌まだ白しもゝの花（加賀千代女）
	4月4日		菜の花の靄と遊んでゐるところ（木庭布左江）
	4月5日		老僕と芹生ふ谷へ行く日待つ（芝不器男）
	4月6日		たんぽぽを吹いて身軽をもてあそぶ（永田満徳）
	4月7日		すれざまに汽車はやす子や金鳳花（芝不器男）
	4月8日		さて穴にもどるか干潟見つくして（正木ゆう子）
	4月9日		居合抜けば燕ひらりと身をかはす（夏目漱石）
	4月10日		それは死の前のてふてふの舞（種田山頭火）
	4月11日		旅人に昼を点して橋おぼろ（東千秋）
	4月12日		陽炎ひて女波男波の戯るる（今村潤子）
	4月13日		つみし跡忍ぶやはたに三葉芹（横井也有）
	4月14日		ひと言に一喜一憂山笑ふ（あまの樹懶）
	4月15日		蛤の上に一把や馬刀の貝（松瀬青々）
	4月16日		茶畠に入り日しづもる在所かな（芥川龍之介）
	4月17日		残花散る一片づつを惜しむごと（井芹眞一郎）
	4月18日		雨の香に立ちまさりけり松の蕊（渡辺水巴）
	4月19日		牡丹百咲いて言葉のむなしかり（萱嶋晶子）
	4月20日		我と来て遊ぶや親のない雀（小林一茶）
	4月21日		曙や郁李の匂ふ家の前（青木月斗）
	4月22日		うららかに妻のあくびや壬生念仏（日野草城）
	4月23日		山梨の中に杏の花ざかり（正岡子規）
	4月24日		錆小刀いぢる窓梨花の昼悲し（中塚一碧楼）
	4月25日		木瓜の花食卓午后になりゆく（瀧井孝作）
	4月26日		一畦はしばし啼きやむ蛙かな（向井去来）
	4月27日		水門に少年の日の柳鮠（川端茅舎）
	4月28日		山寺や撞そこなひの鐘霞む（与謝蕪村）
	4月29日		春風の鉢の子一つ（(種田山頭火)
	4月30日		楼に春を惜むや影ぼうし（井上井月）