平成30年	3月1日			卒業や尻こそばゆきバスに乗り（西東三鬼）
	3月2日			漬物を囲む女子会山笑ふ（あまの樹懶）
	3月3日			いきいきとほそ目かがやく雛かな（飯田蛇笏）
	3月4日			骨拾ふ人にしたしき菫かな（与謝蕪村）
	3月5日			星のある夜も闇の夜も猫の恋（東千秋）
	3月6日			尼寺に蕨煮る香や黄昏るゝ（中塚一碧楼）
	3月7日			鶯や百人ながら気がつかず（良寛）
	3月8日			菜の花や淀も桂も忘れ水（池西言水）
	3月9日			海豚とぽりとぽりと春の海暮るゝ（幸田露伴）
	3月10日			春風や鼠のなめる隅田川（小林一茶）
	3月11日			平和がほしい誰にもにおう夜の木の芽（栗林一石路）
	3月12日			連翹のまぶしき春のうれひかな（久保田万太郎）
	3月13日			大原や蝶の出て舞ふ朧月（内藤丈草）
	3月14日			もくれんの百の白さを競ひけり（永田満徳）
	3月15日			サイネリア花たけなはに事務倦みぬ（日野草城）
	3月16日			ことごとく雨すべらせて菖蒲の芽（井芹眞一郎）
	3月17日			をだまきやどの子も誰も子を負ひて（橋本多佳子）
	3月18日			春愁を足裏にはがす砂むし湯（今村潤子）
	3月19日			陽炎や塚より外に住むばかり（内藤丈草）
	3月20日			萍や生ひそめてより軒の雨（加舎白雄）
	3月21日			けふ彼岸菩提の種を蒔く日かな（松尾芭蕉）
	3月22日			散行やあともむすばぬいとざくら（田捨女）
	3月23日			すり鉢に薄紫の蜆かな（正岡子規）
	3月24日			枝垂れつつ色ふりそそぐ花暮れず（渡辺水巴）
	3月25日			咲きあふれひとつの花をこぼすなし（長谷川素逝）
	3月26日			太陽のうんこのやうに春の島（正木ゆう子）
	3月27日			草摘みし今日の野いたみ夜雨来る（高濱虚子）
	3月28日			二三枚重ねてうすし桜貝（松本たかし）
	3月29日			飯蛸の一かたまりや皿の藍（夏目漱石）
	3月30日			過去は切れ切れ桜は房のまゝ落ちて（橋本多佳子）
	3月31日	3月31日		西行忌なりけり昼の酒すこし（京極杞陽）