令和3年	6月1日			あたまをそつて帰る青梅たくさん落ちてる（尾崎放哉）
	6月2日			岩伝ふ水上走りがざめの子（松瀬青々）
	6月3日			五月雨に鳰の浮き巣を見に行かむ（松尾芭蕉）
	6月4日			睡蓮の水を押へてしづかなり（東千秋）
	6月5日			孑孑の天上したり三日の月（小林一茶）
	6月6日			鮒鮓や彦根の城に雲かかる（与謝蕪村）
	6月7日			雨の日は雨に爆発して四葩（あまの樹懶）
	6月8日			夏羽織われを離れて飛ばんとす（正岡子規）
	6月9日			驟雨来るくちなしの香をふみにじり（木下夕爾）
	6月10日			後山に葛引きあそぶ五月晴（飯田蛇笏）
	6月11日			源五郎斜めななめに潜りゆく（永田満徳）
	6月12日			無為無能この身哭きたし時鳥（吉川英治）
	6月13日			梅雨寒しわざと消したる聲の艶（久保田万太郎）
	6月14日			葭切のくらがりやがてくらやみに（正木ゆう子）
	6月15日			居直りの強さ弱さや梅雨激し（今村潤子）
	6月16日			蜘蛛消えて只大空の相模灘（原石鼎）
	6月17日			相趁ふも逢ふもせはしやみづすまし（小沢碧童）
	6月18日			夏風や粉糠だらけな馬のかほ（小西来山）
	6月19日			思ひ出も皆片付けて夏座敷（鈴木泰子）
	6月20日			ワルツ止み瓢箪光る黴の家（西東三鬼）
	6月21日			明いそぐ夜のうつくしき竹の月（高井几董）
	6月22日			そこから青田のよい湯かげん（種田山頭火）
	6月23日			夏帽の人見送るや蜑が子等（正岡子規）
	6月24日			ほたる見や船頭酔ておぼつかな（向井去来）
	6月25日			じやがいもの花のさかりのゆふまぐれ（日野草城）
	6月26日			花散りて甕太り行く石榴かな（杉田久女）
	6月27日			飛石も三つ四つ蓮のうき葉かな（与謝蕪村）
	6月28日			あさら井や小魚と遊ぶ心太（小林一茶）
	6月29日			はつたいの日向臭きをくらひけり（日野草城）
	6月30日		6月30日	三尺の窓に釘さすひるねかな（石橋秀野）