平成20年	9月1日		身のまはりは日に日に好きな草が咲く（種田山頭火）
	9月2日		金鈴になれざる虫は銀鈴に（東千秋）
	9月3日		はからずも花野に俳話聞きしこと（鈴木泰子）
	9月4日		残暑なほ買へば荷となる土産もの（成定ちえ）
	9月5日		ふみこんで帰る道なし萩の原（正岡子規）
	9月6日		新蕎麦やむぐらの宿の根来椀（与謝蕪村）
	9月7日		捨団扇万朶の露の下にかな（原石鼎）
	9月8日		温泉湧く谷の底より初嵐（夏目漱石）
	9月9日		そのかみの恋女房や新豆腐（日野草城）
	9月10日		鰡の飛ぶ夕潮の真ツ平かな（河東碧梧桐）
	9月11日		大いなる月こそ落つれ草ひばり（竹下しづの女）
	9月12日		鶉鳴くばかり淋しき山の畑（佐藤紅緑）
	9月13日		さよならなんべんも云つてわかれる（尾崎放哉）
	9月14日		泣くことを忘れて夜の長さかな（竹久夢二）
	9月15日		犬蓼の花や咎めし留守の門（横井也有）
	9月16日		秋風やしらきの弓に弦はらん（向井去来）
	9月17日		しまふ扇風機の淋しくある一日（瀧井孝作）
	9月18日		秋扇や生まれながらに能役者（松本たかし）
	9月19日		糸瓜忌や俳諧帰するところあり（村上鬼城）
	9月20日		信濃路やどこ迄つゞく秋の山（正岡子規）
	9月21日		うき我に砧うて今は止ね（与謝蕪村）
	9月22日		昼からの客を送りて宵の月（河合曽良）
	9月23日		うつかりと紙で指切る鵙高音（あまの樹懶）
	9月24日		城内に踏まぬ庭あり轡虫（炭太祗）
	9月25日		歩きつづける彼岸花咲きつづける（種田山頭火）
	9月26日		我も頓てまゐるぞかゝるぞ袖の露（西山宗因）
	9月27日		別るゝや柿喰ひながら坂の上（広瀬惟然）
	9月28日		川巾のかぎりを使ひ下り簗（井芹眞一郎）
	9月29日		稲雀ぐわらんぐわらんと銅鑼が鳴る（村上鬼城）
	9月30日		たけがりや見付けぬ先のおもしろさ（山口素堂）