平成26年	2月1日		流れ行く大根の葉の早さかな（高濱虚子）
	2月2日		哭く女窓の寒潮縞をなし（西東三鬼）
	2月3日		節分や灰をならしてしづごころ（久保田万太郎）
	2月4日		何事もなくて春たつあしたかな（井上士朗）
	2月5日		川底に蝌蚪の大国ありにけり（村上鬼城）
	2月6日		ひたひたと春の潮うつ鳥居かな（河東碧梧桐）
	2月7日		春浅くまためぐり来し星座かな（芝不器男)
	2月8日		何住ます蒼穹硬し梅真白（今村潤子）
	2月9日		如月の藪にひびける早瀬かな（日野草城）
	2月10日		初音聞くいつか潮騒には遠く（井芹眞一郎）
	2月11日		用のなき雪のたゞ降る余寒かな（井上井月）
	2月12日		東風吹かば明日は東へ旅立たむ（あまの樹懶）
	2月13日		山やくや眉にはらはら夜の雨（小林一茶）
	2月14日		荒磯道はたと色あり落椿（鈴木泰子）
	2月15日		西行忌旅に憧れ厨妻（萱嶋晶子）
	2月16日		畦焼の故郷離れゆく夜行（東千秋）
	2月17日		阿蘇谷の芽木紫に胎動す（今村潤子）
	2月18日		春寒や船からあがる女づれ（永井荷風）
	2月19日		薄氷のところどころの微笑かな（正木ゆう子）
	2月20日		障子戸に山の雨降る蕗の薹（長谷川素逝）
	2月21日		白日の閑けさ覗く余寒かな（渡辺水巴）
	2月22日		がうがうと七星倒る野火の上（橋本多佳子）
	2月23日		わかさぎにほのめく梅の匂かな（久保田万太郎）
	2月24日		月走る雲はしる春の寒さかな（前田普羅）
	2月25日		水底に映れる影もぬるむなり（杉田久女）
	2月26日		低空飛行その下の畑打つ（種田山頭火）
	2月27日		暁の雨や末黒の薄原（与謝蕪村）
	2月28日		大阿蘇の山遠くなる雪解かな（永田満徳）