平成23年	2月1日		思ふこと多ければ咳しげく出づ（日野草城）
	2月2日		源蔵の徳利をかくす吹雪哉（夏目漱石）
	2月3日		山国の闇恐ろしき追儺かな（原石鼎）
	2月4日		立春の茶房に長居してしまひ（木庭布左江）
	2月5日		あしがまづそれと気のつく春の山（竹久夢二）
	2月6日		下萌といふやさしさを踏みにけり（あまの樹懶）
	2月7日		極楽に行かな梅園匂ひ立つ（今村潤子）
	2月8日		何処からも見ゆる東寺や草を摘む（尾崎放哉）
	2月9日		ふまれてたんぽぽひらいてたんぽぽ（種田山頭火）
	2月10日		山静か川静かただ百千鳥（萱嶋晶子）
	2月11日		一匹の鰆を以てもてなさん（高濱虚子）
	2月12日		海苔掻は他を見ず岩を見て去りぬ（渡辺水巴）
	2月13日		立たんとす腰のつがひの冴え返る（正岡子規）
	2月14日		荒あらし霞の中の山の襞（芥川龍之介）
	2月15日		あの草のこの草の名を問ひ青き踏む（安田かしこ）
	2月16日		片方の耳のとらへし初音かな（井芹眞一郎）
	2月17日		ありたけの屏風かこうて春の風邪（中村吉右衛門）
	2月18日		朝夕に雫のふとるこのめ哉（加賀千代女）
	2月19日		さんしゆゆの花のこまかさ相ふれず（長谷川素逝）
	2月20日		越えわびて淋しうなりし焼野かな（加舎白雄）
	2月21日		春昼やものの細かき犬ふぐり（松本たかし）
	2月22日		うき友にかまれて猫の空ながめ（向井去来）
	2月23日		蕗の薹摘み来し汝と争はず（杉田久女）
	2月24日		二もとの梅に遅速を愛すかな（与謝蕪村）
	2月25日		みづうみの浅瀬覚えつ蜆取（黒柳召波）
	2月26日		明ぼのやしら魚白きこと一寸（松尾芭蕉）
	2月27日		春の水ところどころに見ゆるかな（上島鬼貫）
	2月28日		光輪を負ひて貧しき田螺かな（川端茅舎）