平成25年	11月1日		新米の膳に居るや先祖並み（小林一茶）
	11月2日		まうけものしたる天気の松手入（久保田万太郎）
	11月3日		酒のあらたならんよりは蕎麦のあらたなれ（正岡子規）
	11月4日		残菊の畑ほとりをあるきけり（村上鬼城）
	11月5日		日のにほひいただく秋の寒さかな（広瀬惟然）
	11月6日		我盛らじ新酒は人の醒易き（服部嵐雪）
	11月7日		旅人と我が名呼ばれん初時雨（松尾芭蕉）
	11月8日		落すもの落してよりの冬木立（萱嶋晶子）
	11月9日		障子貼るひとり刃のあるものつかひ（橋本多佳子）
	11月10日		しぐるるや堀江の茶屋に客ひとり（芥川龍之介）
	11月11日		枯葦の辺に夜の路をうしなひぬ（竹下しづの女）
	11月12日		突堤ははぐれ千鳥の来るところ（井芹眞一郎）
	11月13日		吾が影の吹かれて長き枯野かな（夏目漱石）
	11月14日		枯蓮のうごく時きてみなうごく（西東三鬼）
	11月15日		鶏犬の声す山中の返り花（臼田亞浪）
	11月16日		窓硝子の歩毎に光り枯れ柳（芝不器男）
	11月17日		手のひらで遊ばせてより蜜柑剥く（永田満徳）
	11月18日		霜柱倒れつつあり幽かなり（松本たかし）
	11月19日		幾人かしぐれかけぬく勢田の橋（内藤丈草）
	11月20日		昼の星さざめいてゐる牡蠣筏（正木ゆう子）
	11月21日		しらしらとゐてわた虫のとぶ寒さ（長谷川素逝）
	11月22日		散紅葉こゝも掃きゐる二尊院（高濱虚子）
	11月23日		二三枚絵馬見て晴るる時雨かな（横井也有）
	11月24日		君まさで松に声なし冬の色（各務支考）
	11月25日		有明にふりむきがたき寒さかな（向井去来）
	11月26日		爛々と虎の眼に降る落葉（富沢赤黄男）
	11月27日		桐の葉は枝の向き向き枯れにけり（芥川龍之介）
	11月28日		枯草のやさしさ深く踏みにけり(あまの樹懶）
	11月29日		寂幕と湯婆に足をそろへけり（渡辺水巴）
	11月30日	11月30日	榧の木に榧の実のつくさびしさよ（北原白秋）