平成26年	5月1日		春草やたづなゆるめば駒は食む（長谷川素逝）
	5月2日		春蝉のひやひやと鳴くや山の松（河東碧梧桐）
	5月3日		雪つけし飛騨の国見ゆ春の夕（前田普羅）
	5月4日		船頭もすこし装ほひ舟芝居（鈴木泰子）
	5月5日		ひたすらに這ふ子おもふや笹ちまき（芥川龍之介）
	5月6日		郎去つて柳空しく緑なり（夏目漱石）
	5月7日		白牡丹といふといへども紅ほのか（高濱虚子）
	5月8日		たけのこや稚き時の絵のすさび（松尾芭蕉）
	5月9日		万緑に押されてをりし村四五戸（井芹眞一郎）
	5月10日		闘争本部からはつらつと夏の少女たち（栗林一石路）
	5月11日		愁ひつゝ岡にのぼれば花いばら（与謝蕪村）
	5月12日		すぐ前に塀がふさがる釣忍（松本たかし）
	5月13日		麦秋や乳児に噛まれし乳の創（橋本多佳子）
	5月14日		あやめ活けてあやめもわかぬ心かな（瀧井孝作）
	5月15日		心太煙のごとく沈みをり（日野草城）
	5月16日		楠若葉日の斑地図石謎めかす（今村潤子）
	5月17日		土手越えて早乙女足を洗ひけり（川端茅舎）
	5月18日		麻衣がわりがわりと琉球女（篠原鳳作）
	5月19日		早苗田の明るき雨となりにけり（東千秋）
	5月20日		ひとりひつそり竹の子竹になる（種田山頭火）
	5月21日		初蛍己がひかりに驚きぬ（正木ゆう子）
	5月22日		顔拭いてそのままなりし雨蛙（永田満徳）
	5月23日		淋しさや一尺消えて行く蛍（立花北枝）
	5月24日		朝日濃し苺は籠に摘みみちて（杉田久女）
	5月25日		泰山木白波のごと崩れ去りぬ（木下 杢太郎）
	5月26日		たらたらと老のふり出す新茶かな（村上鬼城）
	5月27日		猫ありく八ツ手の下も青あらし（前田普羅）
	5月28日		朝風に毛を吹れ居る毛むしかな（与謝蕪村）
	5月29日		柿若葉雨後の濡富士雲間より（渡辺水巴）
	5月30日		萍の水の地球に根を張りぬ(あまの樹懶)
	5月31日		百合蕾み咲く見極めのつきにけり（小沢碧童）