私が時々読んでいるメルマガ(潜在音楽力開発トレーナー・熊川ヒロタカ氏)に、なるほど〜、と思う一節があったのでご紹介します。
『憧れの◯◯さんみたいになりたい!
これは、多くの音楽家が一度は抱く思いでしょう。しかし、それは思わぬ不幸のはじまりかもしれません!
というのも、憧れというのは多くの場合、自分が持ってない素質を持っている人に対して抱く思い。そして、人は本来備わっている素質を無視して無理矢理違う自分になろうとしても、絶対に上手くいきません。健全な成長とは、違う自分になることではなく、元々持っている素質を見出して伸ばしていくこと』
なるほど。
例えばピアノ初心者で、とりあえずは少しでもピアノが弾けるようになりたいという人は、まずは楽譜の読み方や鍵盤の押さえ方、コード奏法で言えばコードの意味とかコード進行とか、基本的な知識や音楽理論を学ぶ必要があるかも知れません。そして少し弾けるようになって自分が憧れているピアニストやミュージシャンがいたら、「あんな風に弾けるようになりたい!」「あんな人になりたい!」と憧れを持つのも普通かも知れませんね。
そこまでは誰もが通る道でしょう。でも上にご紹介したメルマガに書かれているのは、その先のことかも。
ただ、その先とは言っても遥か先の話ではなく、まだ初心者の頃からそういう発想を持っておくのも必要なのかな、と思ったのでした。
熊川ヒロタカ氏のメルマガはさらにこう続きます。
自分自身、バンド活動をしていた頃は、
「どうやったらあの憧れの○○さんのようになれるだろうか?」
ということばかり考えていました。
するとどうなったか?
現実とのギャップにどんどん病んでしまいました。
また、音楽専業になってからも「師匠のようになりたい」と、努力していた時期がありました。するとどうなったか?
やはり、病んでしまいました!
しかし、自分の素質に少しづつ気づいていきそれを活かした仕事の仕方をするようになってからというもの、今ではとても健やかな毎日を過ごしています。
自分の素質に合った音楽人生を送りましょう。
さあ、あなたの素質はどんなものでしょうか?
それを見つけるためには、過去の成功体験を振り返るのがオススメですよ。
どんな小さなことでも結構です。
これを読んで、思わず自分の事を考えてしまいました。私は最初コード奏法に出会った頃、夢中になってコード奏法=ジャズ、と思い込んで、一時期、ジャズに憧れたことがありました。でも、そのうちにジャズのあのノリノリの雰囲気にちょっと違和感を覚えるようになっていったんです。「自分にはあのジャズのノリの素質はないなぁ」と。それに対して、自分の気持ちに沁みてくるのは、静かに語り掛けてくるような音楽。自分のピアノも次第にそんな雰囲気の演奏になっていったような気がします。
ただ、そんな自分を「俺ってジャズ的な素質がないのかなぁ」と引け目に思う気持ちもあったのですが、上のメルマガを読んでちょっと気が楽になりました。
自分は自分でいいんだ、と。
そう思ってみると、色々と自分のプラス面も見えてくるようです。
これまでの私の演奏を聴いてくれた人の中には
「語り掛けてくるような雰囲気が良かった」「心に沁みてくるものがありました」「an弾手さんのライブで録音したピアノを夜中に聴いていたら、ジーンと涙が出てきました」
などと言ってくれた人もいて、もちろん社交辞令半分では聞いていますが、『そんな風に思われる要素もあるのかな?』という気もします。
そんな事を思っていたら、ふと中学生の時の音楽の授業を思い出しました。ハーモニカの授業で一人ずつ吹いたのですが、私が吹き終わった時、音楽の先生が「聴いている人に語り掛けてくるような雰囲気が伝わってきたよ。良かった!」と言われたのを、今だに(笑)覚えてました。
今、自分が弾いているピアノって、あの頃(もう半世紀以上前!)の自分が吹いていたハーモニカの雰囲気と似ているのかも?
って、話が長くなってしまいましたが。
そんな風に思ってみると、まあ、専門家を目指す人は別としても、大人の趣味のピアノって音楽理論や指の練習以外に、いかに自分流の感性を生かし、いかに自分流の世界を広げていけるか? というのも大切なのではないか、という気がします。
あなたも、自分流の感性を生かし、自分流の大人ピアノの世界を楽しんでみませんか。
(続く→原則毎週火曜日更新)
an弾手(andante)
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