第441回「たくさんの元気をありがとうございます!」

[2013.4.2]

 またまた、自分の本の話でスミマセン!
 拙著「コードの魔法でラクラク弾ける!パパも弾きたいピアノ入門」ですが、実質的な配本開始は約2週間前、公式な発売日は本の奥付によると今日から3日前の3月30日でした。

 ということで、私の「スタートダッシュキャンペーン」(笑)のお願いに応えて頂いている全国の皆様、本当にありがとうございます!
 それなのに、そんな皆様のご好意に肝心の販売の体制の方がなかなかお応え出来ていないみたいですみません!
 「書店に行ったけど見当たらない」
 「書店に入荷予定を聞いたけど、予定なしと言われた」
 「予約したら10日も掛かると言われた」
 等々のご意見を全国の皆様からたくさん頂いています。申し訳ありません。私は本の流通システムについて詳しくないのですが、聞きかじったところによりますと、一般書籍ではトーハン、日販という2大流通経路があるみたいなのですが、音楽書、楽譜等はまた違う流通システムになっていて、大阪村上楽器、プリマ楽器、松沢書店などという楽譜専門の流通問屋が全国楽器店を中心に配本をしているらしいです。一般書店はこれら楽譜問屋との直接の取引ではなく、楽譜問屋からトーハン、日販等を経由して仕入れるらしい?
 って、私の曖昧な知識なのでどこまで本当かは分かりませんが。間違っていたらすみません。

 えっと…
 「ピアノネタのコラムで、そんな本の流通の話なんか興味ないし〜」
 って思われるかもですね。
 ごめんなさい、今日の本題はこれからです〜

 このコラム「an弾手のピアノ奮戦記」が掲載されている「くまもと文化の風」のトップページに掲示板へのボタンがあるんですが、そちらの掲示板に北海道の読者の方から、まさに上記のような「書店に行ったけど、手に入らない〜」という書き込みを頂きました。これまでの私の本もお持ちでその中の曲を練習されているという方なのですが、今回もあちこちの書店に電話を掛けたり、実際に書店に足を運んだりして頂いたようです。さらに、そんな掲示板を見た他の人から、an弾手あての直メールで「自分もあちこち探して、やっと手に入れました〜」というお知らせも頂きました。他にも、私のFacebookのお友達とか複数の方からも「早速手に入れました〜」とか「楽器店に行ったけど見当たらない」とか「あちこち探してやっと手に入りました」とかメッセージを頂きました。

 本当に嬉しいです。ありがとうございます!私の呼びかけに応えて頂いて、更に、親しくメッセージまで送ってくださって、何てありがたいことでしょう。
 そして、掲示板に書き込みはしないけど、an弾手にメールは送らないけど、日本のどこかで書店や楽器店に足を運んだり問い合わせをしたりしてくださっている方が、他にもきっとたくさんいらっしゃるんだろうなぁと思うと、本当にありがたい限りです。
 ありがとうございます!

 単に、本が売れてうれしい、ということではなく、このコラムを書き始めた当初から思っていたピアノつながりの輪を、こんな形でも広げて頂けることがありがたいです。
 皆様から元気を頂いて、私もまだまだこのコラムに、人前ピアノに、精進せねば、と改めて勇気付けられています!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 あーっ、残念!
 このコラム、毎週火曜日更新なので今回の更新は今日、4月2日。あ〜昨日だったらしっかりウソ書けたのに〜!
 って、バカなこと言ってますが。あ、そう言えば4月1日って「4月バカ」とも言いましたっけ?ウソは昨日だけですけど、バカ話はいつものことですみませんっ。
 そう言えば、ずっと以前にこちらの掲示板で4月1日のホラ吹き大会をやったことがあったような。その時、私は自分のCD出して本も出して、みたいなホラを書いたような気がします。それが、CDはまだ遥かな大ボラの世界ですが、本はいつの間にか微妙にリアルになっちゃいました。でも人生、リアルだけじゃ面白くない気がするしですね。
 これからも永遠の大ボラネタ、探し続けていきましょ(笑)。さてさて…

 
−an 弾手−


第442回「居眠り運転しないように〜」

[2013.4.9]

 「何か弾かないと帰しませんよ」
 2週間程前、久し振りに行ったライブの店。ライブが終わってアフターセッションもすっかり盛り上がってきたところで、同席したヴォーカリストにそう促されて前に出ます。

 …さて、ピアノの所まで歩いていく10秒程の間に「何をしようか?」と考えます。この1〜2ヵ月、本の校正が終わったと思ったらオハイエ音楽祭の準備や会議や前々夜祭、前夜祭、本番、打ち上げ、後夜祭と気ぜわしく過ぎてしまって、まともにピアノに触ってなかったんだよなぁ。弾くとしたらイザという時のお決まりネタ「ダニー・ボーイ」くらいだけど。これだって1ヵ月以上も弾いてなくていきなりぶっつけ本番はちょっと不安もあるんだけどね。それに、出て行ってこの1曲だけ弾いてすぐ引っ込むのも何だかなぁ。

 という訳で、前に出ると、まずはピアノの横のマイクを手に取ります。
 「えー、折角ライブも盛り上がったところで、ちょっと盛り下げてしまうかもしれませんが、すみません!まずは言い訳と宣伝トークから始めていいですか?」
 MCで時間稼ぎをしようという作戦です。
 「実は私、この前の日曜日のオハイエ音楽祭のお手伝いをしていました。私は現代美術館会場の責任者を命じられていたので、当日は朝からずっと会場に張り付いていましてですね。…(と、オハイエ音楽祭の宣伝と報告?)…。という訳で、このところバタバタでずっとピアノに触ってなかったんですよね。…(と、最近ピアノに触っていなかった言い訳)…。ところで、実はこの3月に私の新しい本が出たんです!…(と、自分の本の宣伝)…。(そして)すみません、すっかり話しが長くなってしまいましたが、それでは1曲だけ、ダニー・ボーイを弾かせてください」
 〜やっとピアノの前に掛けます。この間約5分?

 いつもの事ながら、この店のピアノ弾きやすいなぁ。タッチも自然だし、ライブ用に音の返しが入っているせいか、弾いた音がクリアに耳に入ってきて、自分の演奏を客観的に聴きながら弾けるところが気に入っています。
 なーんていい気分で弾いていたら、途中にチラッとオカズを入れるところで、いつも1オクターブ上で入れていたっけ?どうだったっけ?と一瞬迷いましたが、とりあえず何とかやり過ごして大きな事故にもならずによかった〜。

 この日のライブ、実は久し振りに聴く男性ピアニストと女性ヴォーカルのデュオだったんですが、ライブの後のアフターセッションでは、長年自衛隊音楽隊にいて最近退職後にジャズを始めたというフルートの男性や、たまたま帰省中という東京で活動中のプロのサックス奏者や、その日のヴォーカリストのお友達のヴォーカリストや、宮崎からご夫婦で来店されていた男性のドラムなど、たくさんの飛び入りがあり、すごくアットホームな雰囲気の中で盛り上がりました。
 そんな盛り上がった空気の後で私のタラタラピアノがすっかり場を盛り下げてしまったのでしたが、演奏前に店の女店長さんが叫んで(笑)くれた「an弾手さ〜ん、癒しのピアノ聴かせてくださ〜い!」という掛け声に免じて、お許しくださいませ〜。

 弾き終わって席に戻ると、今日の主役の女性ヴォーカリストさんから
 「癒されました〜!このまま眠れたらどんなに幸せだろうって思いました〜」
 とヨイショしていただきました。
 その日は深夜に車を運転して八代まで帰るという彼女に
 「居眠り運転しないように」
 と釘を刺したのですが、その後ニュースに出ないところをみると無事に帰り着いたんでしょう。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

  先週末から日本列島は春の嵐が吹き荒れて各地で被害が出ているようですが、皆様の所は大丈夫でしたか?ここ熊本市(と言っても私の行動範囲だけですが)は大した風も吹かず、昨日、今日と穏やかな日差しが差しています。
 この時期、入社式や入学式が各地で行われているようで、いよいよ新しいスタートの季節ですね。小学生から中、高、大学、そしてフレッシュな社会人などの姿を見るにつけ、こちらまで何となくウキウキした気分になってくるから不思議です。身の周りでも世界を股に掛けて新天地での仕事を目指す人、会社を辞めて自分の理想の店造りを進めている人、そして婚活、妊活(?)に励む人など、色んな人がチャレンジを続けていて元気をもらいます。
 さ、春風の勢いをもらって、自分もひと頑張りしなくっちゃ(…と、言い聞かせてみる)。

 
−an 弾手−


第443回 「an弾手の探検ウォーキング」

[2013.4.16]

 2階の部屋の窓から外を見渡すと、目の前に広がる芝生の広場はまだ茶色。でも真ん中に立っているシンボルツリーのような大きな木の枝には薄緑色の若葉がいっぱい芽を吹いています。その枝の向こうには緩やかな丘陵が広がり、畑や民家が続いています。さらにその先にはこんもりとした里山。その里山の木々の間から時々白い蒸気が上がり、風に乗ってかすかにゴーッという音が聞こえてきます。

 週に一回私が訪ねて来るこの部屋は、バックナンバー第384回「母のベッドの横でキーボード」にも書きましたが、高齢の母がお世話になっている老人ホームです。いつもその部屋の窓から外を眺めながら「あの山から上がっている蒸気は何なんだろう?」と思っていました。
 先日、母の見舞いが終わった後、思い立ってその山の方角へ歩いてみました。車は施設の駐車場に置いたままウォーキングを兼ねて。

 (あ、ごめんなさい、このコラムはもちろんピアノネタがテーマです。この後、話はピアノネタに繋がっていく予定?ですので、どうか今しばらくお付き合いくださいませ!)

 方角だけを頼りに山の方へ歩いていくと、すぐに大きな畜舎が現れました。中にはたくさんの馬。立ち止まって中を覗いていたら道路側の私の方へ数頭の馬が寄ってきて仕切りの横木に鼻を擦り付けています。餌でも持って来たと思ったかな。ごめん、餌は持ってないんだ。
 その道を過ぎると広―い畑。道はだんだん細くなり、やがて小さな川に出ました。へぇー、こんな所に川があったんだ。
 ここまで来ると、あの窓から見えていた里山がだいぶ近くなりました。白い蒸気やゴーッという音もだいぶ大きくなりました。でも向こう岸に渡る橋が近くに見当たらず先に進めません。
 という訳で、その日はその先に行くのを断念し、駐車場に引き返すことに。

 夜、ネットでその界隈の地図を検索してみました。ははぁ、こっち側の道から行くとここに橋があって川を渡れそうだ。なるほど、あの森を抜ける道があるのか。お、その先まで行くと広い県道?ははぁ、時々車で通るあの道か!あのこんもりとした里山の向こうがこんな所につながっていたのか!何だかすごい大発見をしたような気分だ!!

 で、次の週です。私はまたその施設に車を置いて、いざ、探検ウォーキングに出かけたのでした(笑)

 今度はネットの地図の情報を頼りに別の道からアプローチします。こちらも畑の中の道を抜け、続く雑木林の中の細い道をたどると、川に出ました。川のほとりは目の覚めるような一面の菜の花。菜の花越しに小さな橋が見えます。(うん、イメージ通りだ)
 橋を渡ると、川沿いの道と目の前のこんもりした森の中へ続く小さな道に分かれています。私は迷わず森の道へ。急な坂が現れます。薄暗い坂の道を登っていきます。もう、あの遠くに見えた里山の麓を巻きながら登っているはずだ。ゴーッという音がかなり大きく聞こえてきます。
 そして…
 あーっ、うっそうとした木々の間から見えてきたのは!?

 (an弾手の探検ウォーキング&ピアノネタ、次回に続きます!)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 昨日の我が家の夕食に見慣れない副菜が。何かの茎?口に入れたらちょっと不思議な味。聞くと「ウド」だそうな。なるほど、春の味ですね。
 桜も過ぎ、春の嵐も過ぎ(?)、ゴールデンウィークの予定が話題になる季節になりました。私はとりあえず5月4日の清和での「an弾手ヒーリングピアノ」に向けてやっと演奏時間と曲目が決まったところですが、他の予定も含めてこれから3週間、バタバタと過ぎて行きそうです。

 
−an 弾手−


第444回 「an弾手の探検ウォーキング」そのA

[2013.4.23]

(今回のコラムは、前回、第443回「an弾手の探検ウォーキング」の続きです。前回をお読みでない方は出来ればそちらのバックナンバーから読んでいただくと話しがつながります)

 遠くに見える里山の方角を目指して2度目の挑戦で探検ウォーキングを始めた私。畑の道を抜け、雑木林の中の細い道をたどり、菜の花畑の小川に架かる橋を渡り、さらに森の中の薄暗い道を登って行きました。遠くからかすかに聞こえていたゴーッという音が、随分大きくなってきました。

 そしてやがて…
 あーっ、うっそうとした木々の間から見えてきたのは!?

 巨大なビルほどもある、グレーの構造物。見上げるような壁の上部の隙間から覗いているのは?ベルトコンベアー?ガラガラゴーっという音を立てながら動いています。そしてその奥から、時々立ち上る白い蒸気。
 しかし…、あたりには全く人の気配がない!。そう言えばさっきの畑の道から雑木林を抜けて川を渡ってここに来るまで、全く人影を見なかったなぁ。
 無人の森の中で、白い蒸気を立てながらゴーゴーと動き続ける巨大な箱?何だかジブリアニメの世界にでも迷い込んだような気配です。(ハウルの動く城?もののけ姫?)。

 その謎は、そこから更にもう少し森の道を進んだ所で解けました。見えてきたのは工場の門。どうやら産業廃棄物処理工場のようです。更に進むと道は次第に広くなり、両側に幾つもの工場や事務所の建物が現れてきました。どうやら私は、めったに人が通らない裏山から工業団地に侵入したらしい。もっと進んでいったら、やがて見覚えのある車道に出ました。頻繁に車が往来しています。私も時々車で通る県道だ。こんな所につながっていたのか!

 あの、老人ホームの2階の窓から見えていた、丘陵と畑の向こうのこんもりとした里山。そこから時折上がる白い蒸気とゴーッというかすかな音に引かれてここまで歩いてきました。まあ、だから何だっていうことでもないんですが。でも、ここまでのルートは自分が全く知らない場所と風景と謎めいた空間を辿ってきたメルヘンチックな旅でもありました(って、大げさですかね〜:笑)。
 そう言えば、私は知らない街角とか、住宅地の路地とか、山の中とか、その時の気分で初めての所をブラーッと歩いてみるのが好きです(あ、不審人物で警察に通報されないように気を付けねば)。でも、そんな所って、この角を曲がったらその向こうには何があるんだろう?ってワクワクしません?

 という訳で。ここからやっとピアノネタです!大変お待たせしましたぁ〜!(誰も待ってないか)

 ピアノ弾く時、いつも同じ曲を同じ様に弾くのって、つまらないと思いません?
 同じ曲でも、弾く時の気分でちょっとアレンジや雰囲気を変えてみたり、間奏部分で同じコード進行でもリズムやフレーズを変えてみると、全く違った雰囲気になったりしますよね。いつも通い慣れた道(フレーズ)を辿るのではなく、その時の気分で違う道を歩いてみる。違う角を曲がってみる、初めての森の道へ入ってみる、そんな楽しみって、まさにピアノによる「探検ウォーキング」だなぁ、と思うのです。
 そう言うと、「それって、まさにジャズのことじゃないの?」って言われそうですが。確かにそうですね。ただ、私はいわゆる「ジャズ」が苦手なので自分で言っている事が矛盾しているようにもなるのですが。
 でも、「それってジャズでしょ!」とか、「ああ、それはジャズじゃないね」とか、「ジャズ」というジャンルの様式を当てはめて語ろうとするのも、逆にまた何か違うような気がするのです。
 もっと自由に、「ジャンル」という型枠を越えて、自分なりの「探検ウォーキング的演奏」が楽しめたらいいなあ、と思います。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 5月4日が近づいてきました。バックナンバー第440回でもお知らせしましたが清和高原での私のピアノ演奏です。とりあえず決まっている予定を整理して書いておきます。

【清和文楽邑Golden Week フェスタ「an弾手ヒーリングピアノTime」】
新緑につつまれた山里で、ランチやカフェのひととき、季節感に溢れる叙情歌や懐かしい洋楽、アニメ曲などをan弾手のヒーリング系(?)ソロピアノでお楽しみください。
日時=平成25年5月4日
  1st Set=11:30〜12:00
  2nd Set=12:30〜13:00
  3rd Set=13:30〜14:00
場所=道の駅清和文楽邑 清和物産館・四季のふるさと郷土料理館
  熊本県上益城郡山都町大平152
  清和物産館 TEL0967-82-2727
  清和文楽館 TEL0967-82-3001
入場無料
郷土料理館ではこのフェスタ限定の特製ランチが注文できます。フェスタ期間中(4月28日〜5月6日)は同じ敷地内の清和文楽館で文楽人形の解説や特別公演があります。
 

−an 弾手−


第445回 「天空の少女」

[2013.4.30]

 名も知らない小鳥のさえずりが聞こえてきます。
 柔らかな木漏れ日が差し込む森の中の小道を、私はそのまま進んで行きました。するとやがて、かすかに聞こえてきたのは…。
 「え?これってサックスの音?」
 森の奥から、確かにサックスの音が聞こえてくるではありませんか。

 3日前の土曜日の事です。私は母の老人ホームを訪ねた後で、前回、前々回のコラムで書いた森の方へまたまたウォーキングをしてみたのでした。
 小川の橋を渡った先から、今度はこれまでと違う川沿いの道を歩いてみました。少し行くと、川と反対の山の方に登る分かれ道。道の先を覗いてみると、森の中へと小奇麗な道が続いていて、その先には美しい木立の森。近くに大きな企業の工場があったので、その敷地の一部なのかなとも思いましたが、とりあえずその森の方の道に入ってみました。少し行くと道の横に標柱が。見ると「経済産業省所管」と書いてあります。
 「あ、だったら自分は日本国民だし。入っても問題ないだろう?」
 そう勝手に解釈してそのまま進んでみました。実に美しい森です。ごく自然で人工的な気配は全くないのですが、荒れた山林という雰囲気ではなく美しい木々の森が続いています。やがて道の傍らに石柱が。「野鳥の森」という文字が刻んであります。なるほど、そう言えばさっきから小鳥のさえずりが聞こえている。木漏れ日の差す道の傍には綺麗な野草の花が咲いているし。
 「へぇー、こんな所にこんな場所があったなんて!」
 私は嬉しくなって、そのまま森林浴気分で歩いていきました。

 これが映画やテレビドラマなら、ここで鳥のさえずりに合わせて美しいピアノの音でも流れてきそうなシチュエーションです。またまたan弾手の「脳内妄想ピアノ」が始まりそう(笑)。
 と、森の奥から…サックスの音!?
 え?、ピアノじゃなかったけど、何ていいタイミングなんだ。
 音のする方へそのまま歩いて行ったら。突然木立が切れて広場に出ました。傍らの石柱を見たら「天空広場」。
 なるほど、森の中に突然広がる空。広場の周囲をぐるっと丸く取り囲むように数段のステップがあり、古代ローマ・コロシアムのミニ版?のような雰囲気です。その中に1人の若い女性が立ってサックスを吹いていました。天空広場の青空に、サックスの音が吸い込まれていきます。
 ここまで森の中を歩きながら目に入った綺麗な風景を撮影していた私は、このメルヘンチックな光景に出会って、一瞬、これも撮らなければ、と思ったのですが、その勇気がありませんでした。と言うのも、他に誰もいない森の中で1人サックスを吹いている少女を木陰から撮ろうとしてるおっさんなんて、どう見ても怪しいと思いません?(笑)
 だったら、ここは得意の妄想で(爆)
 その瞬間、私は映画監督になっていたのでした〜!

 『男が野鳥の森を歩いて行くと、目の前の木立が消え小さな広場が出現する。そこだけポッカリと青空が広がる「天空広場」。そこでサックスを吹いている1人の少女。サックスの音は、森の中に開いた天空に向かって吸い込まれていく。と、次の瞬間、少女の姿がスーッと消える。慌てて目をこすりながら何度も広場の方を見つめる男のアップ。画面が再び広場のカットに変わると、誰もいない広場の上を一羽の鳥が美しい声でさえずりながら天空高く上っていく…』
 これが実写版だとちょっとクサイかもですがぁ。アニメにして登場人物の『男』も『少年』にすればメルヘンチックになるかも。なーんて。

 実際は少女は消えませんでしたが(笑)
 でも、あの場面は私が撮った森の中のたくさんのデジタル画像のどこにも残っていないし、すでに記憶の中だけのワンシーン。もしかしたら、本当にあれは私の妄想の中の出来事で、実際には存在しなかったのではないか。
 それを確かめるすべは、ありません。

 (野鳥の森の写真はこちら→クリック)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 ゴールデンウィークの前半が終わりましが、いかがお過ごしですか?今年は好天に恵まれて、行楽地は賑わった事でしょう。今朝からは雨模様ですが、連休後半はまたいい天気になるような予報ですね。
 私は5月4日に清和高原でのピアノ演奏があるので、好天になりそうでホッとしています。なにしろ、あの会場は雨が降ったら雨音がすごくて演奏どころではない、と聞いてますので。でも、これまでもう5〜6回はあの場所で弾かせてもらいましたが全部爽やかな好天でした。私が晴れ男?という訳ではなく、そんないい季節に弾かせていただいていることに感謝です。
 

−an 弾手−


第446回 「新緑の清和高原で。an弾手ヒーリングピアノTime」

[2013.5.7]

 したたるような新緑が目の前に広がっています。五月晴れに恵まれたここ清和高原の清和文楽邑四季のふるさと郷土料理館。5月4日午前10時過ぎ現地到着。車を降りると、中庭の広場には青空高く鯉のぼりが泳いでいました。

 今年も声を掛けて頂き、Golden Week フェスタのイベントの中でピアノを弾かせて頂くことになりました。現地に着いて、まだ少し時間があったので中庭を散策していたら、知り合いの人とバッタリ。
 「あ、こんにちは。お早いですね!」
 以前東京のPARCOの広告などで一世を風靡し(当時私も憧れていた!)、その後も長く東京で活躍されて今は熊本にいらっしゃるデザイナーです。今日の私のピアノを聴きに、わざわざ来て頂いたらしい。ありがとうございます!
 そして開演30分位前、会場内のピアノ近くの席で、館長さんに出して頂いたアイスティーを飲みながら今日の演奏の構想を確認していたら。
 「こんにちは〜!」
 おっと、久し振りにお会いするミュージシャンの男性だ。私が夜の街でコード奏法を習い始めた頃、いつもそのライブバーで会っていた人。最近は少しご無沙汰でしたが今日は奥様と2人で私のピアノを聴きに寄って頂いたらしい。
 「私、相変わらずのタラタラピアノですがぁ」と、とりあえず予防線(笑)

 11:00オープンの郷土料理館にはポツポツとお客様が入り始め、席も半分以上が埋まった11:30、いよいよ1st Setの開始です。

 清和文楽邑Golden Week フェスタ「an弾手ヒーリングピアノTime」
 1st Set=11:30〜12:00
 2nd Set=12:30〜13:00
 3rd Set=13:30〜14:00

 ちなみに、演奏曲目はこの清和高原と清和文楽邑のレトロな感じと新緑の季節の雰囲気を中心にイメージして選曲をしてみました。
 【1st Set】
 早春賦・春のうた・峠の我が家・春の日の花と輝く・千の風になって・もののけ姫・イエスタディ・花かげ・鯉のぼり・蛍・故郷
 【2nd Set】
 ダニーボーイ・さくら貝の歌・竹田の子守唄・鉄道員・五番街のマリーへ・れんげ草・春なのに・ひまわり・茶摘・故郷
 【3rd Set】
 どこかで春が・朧月夜・浜辺の歌・ムーンリバー・花のメルヘン・鈴懸の径・いつも何度でも・めぐり逢い・背くらべ・故郷

 2〜3曲毎の合間にはピアノの前に掛けたままマイクを取って簡単な曲の紹介やその日の郷土料理館の特別メニュー(東京から某レストランのオーナーシェフが来て作ってくれているランチメニュー)の紹介などの軽いMCを挟みながら進めてみました。あくまでも私のリサイタルではなく、ランチタイムの耳ざわりのいいヒーリングBGM、というコンセプトで。
 しかし、しか〜し!これは自分でも事前に多少は予測していたことではありますが。演奏の途中でポロッポロッとミスタッチ(汗)。あーっ、練習不足は否めませんなぁ。
 計29曲あるので、練習では通して1回弾くだけでも1時間半近く掛かるのだぁ。事前の練習で平日は1つの曲を1回弾けるか弾けないか位。ちょっと不安な曲を何回か繰り返し練習していると、毎日やっても1週間近く1回も弾いていない曲が出てくるんです。
 って、たった30曲程度で言い訳は無しですよね。お客さんの前で弾くのに。

 でも、各Setとも最後の曲が終わってボ〜ンと余韻を引っ張り、ダンパーペダルを上げてスッと音が消えた瞬間、ほとんど見ず知らずの行楽のお客様がそれぞれグループでおしゃべりしながら食事されている会場から一斉にワーッと拍手が起きたのは予想外でした。「あ、聴いていてくれたんだ〜」と嬉しゅうございました〜。
 また、演奏の途中で思い掛けない知り合いの人が何人も来て下さり、Setの合間には近くのテーブルで色々と話が出来たのも良かったです。

 反省点が一杯の清和での演奏でしたが、五月晴れと新緑と温かなお客様のお陰で楽しく終える事が出来ました。本当にありがとうございました!

 (新緑に包まれた、全面ガラス張り会場の写真はこちら→クリック)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 先週の木曜日(5月2日)は八十八夜でしたね。そう言えばあちこちで「新茶」のノボリや看板を見かける気がします。4日にピアノ演奏で伺った清和も、お隣の矢部地区を中心にお茶の産地。車で国道を走っているとお茶畑はあまり目に入らないのですが、車を降りて国道から一段上へ細い道を上がってみると、広〜い茶畑が広がっていたりします。以前、役場の方に案内して頂いて、お茶畑を撮影して回った事がありました。
 今回の清和での演奏曲目に入れた「茶摘」も、そんな広大な茶畑をイメージしながら気持ちよく弾く事が出来ました。
 

−an 弾手−


第447回 Q&Aコーナー「コード奏法って、右手も左手も
           コード弾くの?」  

[2013.5.14

 「コード奏法って、右手でメロディーを弾いて左手でコードの伴奏を弾くんですか?」
 「いえ、右手はメロディーと一緒にコードも弾きますよ」
 「えっ………。右手でメロディーもコードも??そんなこと出来るんですか?」

 拙著「パパも弾きたいピアノ入門(コードの魔法でラクラク弾ける!)」が発売になって約2ヵ月、いろんな方から上の様なご質問を改めて頂く様になりました。今回取材して頂いた新聞記者さんとか、その記事を読まれた知り合いの方とか、以前からの約束で本を謹呈させて頂いた某社長さんとか。
 そもそも「コード」という言葉そのものを聞いたことも無い方は別としても、多少音楽の知識があったり、多少はピアノに触れるという方で、「コード」って言えば「ああ、ド、ミ、ソ等の和音のことでしょ」とすぐ分かるような方から、そう聞かれることが多いです。

 確かに、コード=和音、という理屈は分かっていても、それを使ってピアノを演奏するとなると具体的にどうするのか?分かりにくいというのが普通だと思います。
 すぐに思い浮かびそうなのは、左手で『ドソミソ』とか弾きながら右手でメロディーを弾く?あるいはギターのコード伴奏の様にコードをジャン・ジャン・ジャンって鳴らす?みたいなイメージでしょうか。
 いずれもコードを使ったピアノの演奏法として間違いではないし、その様な弾き方も勿論あります。でもそれイコール(=)コード奏法の全てと思われると、全く違う話なんですよね。

 これまでの私の本やこのコラムのバックナンバーをじっくりお読みになった方、また実際にコード奏法でバリバリ演奏されている方にとっては今さらのお話しですが、ここで改めて「コード奏法」について簡単に書いてみます。

 コードって何?と言うと、巷のコード解説書にはコードの仕組みとしてドミソ、ドファラ、シレソ、その他の構成音によるコードネームや、その音符、鍵盤図がたくさん載っています。そして、どちらかと言うとクラシックピアノ系のコード奏法教則本には、それらのコードを左手で押さえながら右手でメロディーを弾いてみましょう〜みたいな奏法の解説が多いように思います。まさに冒頭のご質問の通りです。
 これらの解説を見ていると、『コード奏法というのはドミソ、ドファラの様なコード構成音を解説の鍵盤図の様にまとめて弾くこと』と思ってしまうのも無理もないかなぁ、という気がします。
 でも、その弾き方では、いつまでたってもいわゆる『ドソミソ〜♪』みたいな、いかにも練習曲でござい!という雰囲気から抜け出すのが難しいのです。そして、『それがコード奏法なんですよね?』と思われるのが、私としてはとても心外なのであります(笑)

 私は自分の本で書いていますが、コードというのはいわゆる『ドミソ』というカタマリの中だけの和音のことではなく、広〜いピアノの鍵盤の左端から右端まで、1オクターブ毎にたくさん出てくるドとミとソのどこを弾いても、それはドミソ(コードCの場合)の構成音に違いないのです。よくあるコード解説書で鍵盤図に押さえる指の形が書いてあるあの図ほど、コードに対する誤解を与える図はないなぁ、とよく思います。コードを弾くのに、あの鍵盤図の指の形にこだわる必要は全くないのです。あの図を見ているとコードって片方の手の中の五本の指に納まっていなければいけないかのように見えますが、そんなことは全くありません。

 実際の曲の演奏では、例えば左手の小指で鍵盤のずーっと左の方の低音のドの音をゴ〜ンと弾き、その少し上のソの音を同じく左手の人差し指で弾き、右手の小指でずーっと高い音のメロディーのドの音を弾き、同時に同じ右手の親指でメロディの下のミの音を弾く、というパターンなども当然あり得ます。
 この場合、コード解説書の鍵盤図の指の押さえ方とは全く違いますが、コードC(ド、ミ、ソの和音)を弾いている事には何ら変わりありません。そしてこの様に、コード構成音を左手、右手にまたがる広い音域に広げて弾く事でとても広がりのある美しいハーモニーになるのです。たったこの違いだけで、いかにも初心者の練習曲っぽい雰囲気とは全く違ってきます。

 少し専門的な言い方をすれば、いわゆる片手の中(1オクターブ内)にコード構成音をまとめてしまう弾き方を『クローズド・ボイシング』、1オクターブ以上に音域を広げてコード構成音を弾く弾き方を『オープン・ボイシング』と言います。
 大人っぽい、お洒落なサウンドでピアノを弾くには、この『オープン・ボイシング』は欠かせません。
 実例を示してお話しするともっと分かりやすいのですが、具体的には私の本をご覧下さい(笑)。もっとも本では専門的な用語を使った解説は無しで、具体的な事例を体験していくことで自然にこの奏法に慣れて頂けるようにしてみました。

 という訳で、また何かあったらご質問ください。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 久し振りにゆっくりした休日の午後。庭に出てみたら、ほのかにミカンの花の香りが。まだ小振りの木ですが、小さな白い花が一杯咲いていました。お、み〜かん〜のは〜なが〜、さ〜いて〜いる〜♪(失礼)。よく見ると一匹のハチが羽を震わせながら花の中に頭を突っ込んではせっせと隣の花に移動しています。木の下の地面には落ちた花びらが白い絨毯のよう。
 梢の先を見上げると、明るい午後の空高く一本の飛行機雲が伸びていました。
 

−an 弾手−


第448回 「an弾手、突然のホテルラウンジデビュー?」

[2013.5.21]

 かすかにピアノの音が聴こえてきます。柔らかな間接照明の灯りに照らされたホテルのロビー。傍らのラウンジとの間を仕切る大きなガラス張りの衝立の中に、暖炉風の小さな炎が揺れています。

 先日の土曜日、夜も9時半を回った頃だったでしょうか。私は街なかでの用事を終えて、市内のメインストリートにそびえるホテル日航のロビーを抜け、その日クルマを置いていた裏の駐車場に向かっていました。
 その時、かすかに聴こえてきたピアノの音。そう、思い出しました。知り合いの女性ピアニストの方が時々ここのラウンジでピアノを弾かれていたことを。
 『ホテル日航ラウンジのピアノがアップライトからグランドに変わりましたよ。土曜の夜は弾いていますのでお立ち寄りください』
 最近、その方が自分のネットでそう書かれていたんだった。
 ロビーからラウンジを覗いてみると、部屋の奥にグランドピアノ。その前で彼女がピアノを弾いています。ちょっと寄っていくか…。

 「お1人ですか?」案内のスタッフにそう声を掛けられます。
 「はい。ピアノの近くがいいんですけど」と私。
 「少々お待ちください」
 そう言いながら、今空いたばかりらしいピアノ近くのテーブルのグラスをスタッフが片付けている間、私はピアノの方を見ながら入り口近くに立っていました。すると、ピアノの彼女の視線がこちらへ。目が合います。
 『あらぁ、いらっしゃい!』私を見つけて彼女が表情でそう言っています。
店内はピアノ近くのもう一つの席に2人連れ。奥のソファーに5〜6人ほどのお客さま。ゆったりとお洒落な空間に心地よいピアノの音が流れていきます。

 私は案内されたテーブルのソファーに座って、この心地よい空間に身を沈めます。プロのピアニストにも勿論それぞれ個性があるのですが、私はこの彼女のピアノはとても好きです。ここでは静かなラウンジピアノという設定上その様な弾き方なのでしょう、多少緩急を付けながら、リズミカルな部分とルバート(リズム感のない)部分との組み合わせが自然で耳に心地よく響いてきます。私はウットリと聴きながら、同時にこんな素敵なピアノ、折角だから何か盗まなくっちゃ、という意識も目覚めてきます(まあ、何と無心に楽しめないサガだこと:笑)。細かいテクニックを盗むのは無理なのでこの雰囲気感だけでも何とか覚えられたらいいなぁ…。

 やがて演奏が一区切り終わったところで、彼女がピアノから立って私のテーブルに来てくれました。彼女とは随分以前からお互いに顔は知っていたのですが、改まって話をするのは初めて?

 しばらく取り留めのない話を交わした後、彼女が時計を見ながら言いました。
 「あ、そろそろ次の演奏開始の時間です。最初にan弾手さん少し弾いてもらえませんか?」
 (…えっ?ちょっと油断してた!)
 「いやいや、こんなホテルのラウンジで、いきなり私が弾いちゃ迷惑でしょ!」
 「客席にピアノがどんな風に聴こえているのか、私もこちらから聴いてみたいんですよ。それにここロビーとの間の空間が繋がってるでしょ。ロビーにも、どのくらい音が響いているのか確認したいし」
 「いやいや、でも、営業中にいきなりどこかのおっさんが弾いたんじゃホテルの人に叱られるでしょ」
 「あ、ホテルの人には私がこれから話ししてきますから」

 何と、突然an弾手がこの高級ホテルのラウンジでピアノを弾くことになってしまいました!(帰宅の駐車場に向かう途中でたまたま寄り道しただけだったのに)
 このシチュエーションでは、多少の上手下手は別としても、とにかく最後まで弾き間違いは絶対ご法度でしょう!ホテルの品格を傷つけます。何しろロビーにまで音が響いているし。イカン、清和高原での演奏が終わってから2週間、ちょっと油断してた?
 安全策でいけば、またまた例の曲ですかね。

 照明を抑えたほの暗い鍵盤を前にして、いつものダニー・ボーイ。あれ、彼女の姿が見えない。ラウンジを出てロビーまで歩いてみているらしい。イントロのタラタラコード進行が終わる頃、視界の中に帰ってきた彼女、「いい感じですよ」と声を掛けてくれました。
 何とか最後までトチらずに弾き終わり。さ、お役目終了、ピアノから立とうとしたら。
 「あと、一曲弾いて!」と彼女。
 いやいや、今日はここまでにしておきましょ!
 しかし、こんなお洒落なホテルのラウンジでピアノを弾く機会を頂いて感謝です。

 それにしても、いつも口では言ってもなかなか実行できていない事。『どんな時でも、急に振られても、さりげなく完璧に弾ける曲を常に複数持っておく事。そのために日頃からそれらの曲を毎日一回は弾いておく事』
 翌日の日曜日からさっそくそれを始めたan弾手です。いつやるの?今でしょ!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 今日も暑いです!30度越しそう?
 ついこの前までの暖房は何だったんだ。まだ会社のデスクの近くにも自宅のリビングにも、補助暖房用の温風ヒーターが出しっぱなしなんですけど。そろそろ扇風機出さなきゃですね。
 窓から外を見ると、どこも緑が一杯です。もうすぐやって来る梅雨までの短い期間、この季節を思い切り楽しみましょう!
 

−an 弾手−


第449回 「an弾手が新聞記事に。そして立体似顔絵が出現!?」

[2013.5.28]

 もう3週間近く前のことですが、an弾手の記事が地元の熊本日日新聞に掲載されました。拙著「パパも弾きたいピアノ入門」の出版にからむ記事です。
 「一度、本社まで来て頂けますか?」
 記者の方に電話でそう言われて、指定の日時に熊日本社まで自分の本を持って出掛けて行きました。
 私の最初の本が出てから足掛け9年。この間、熊日新聞にはもう6〜7回も私のピアノネタを記事に取り上げて頂きました。ありがとうございます。その間にご担当の記者の方は何人も異動で代わられ、今回もまた初めてお会いする方でした。
 「コード奏法って、どういうことですか?これまでの6冊の本と何が違うのですか?」
 等々、色々なご質問を頂いてお話をした後、
 「それでは写真を撮りますので。この本を胸の前に持ってください」
 そう言われて、チョット苦手な(笑)自分の顔写真撮影タイム突入。
 「本をもうちょっと上に。はい、いきます」「はい、もう一枚」
 数枚撮って頂いた後
 「では、顔写真入りの記事にするか本だけの写真にするか、こちらで判断させて頂きますので」
 (あれ〜、よっぽど私の表情がまずかったかなぁ?)
 とは言わずに
 「はい、お任せしますのでよろしくお願いします」
 そう言って熊日本社を後にしました。
 さて、どんな記事になるのか、どんな写真が載るのか、ちょっとスリルです。

 その後もメールや電話で丁寧に追加取材を頂きました。何しろコードの話しや今回の本の特徴など、私の一回の説明では分かりにくい所も多かったようで、すみません。
 そして、掲載の前日には「明日の朝刊に掲載されます」と、わざわざメールでお知らせまで頂きました。ありがとうございました!
 (その掲載記事がこちら→クリック)
 かすかにニヤけたan弾手が写っております(汗)

 それにしても、新聞記事の威力は甚大ですね。記事が出てから、何人もの人に「新聞見ましたよ」と声を掛けられたり電話やメールを頂いたりしました。一番びっくりしたのは、たまに仕事で寄る県庁の食堂で先日久し振りに食事をした時。これまでお金の受け渡し以外に言葉を交わしたこともなかったレジの女性からいきなり「この前、新聞に出ていらっしゃったでしょ!?」と言われた時です。
 へぇ〜、この食堂にはたま〜に寄るだけで名前もご存じないはずなのに、よく新聞記事で私の顔に気付かれたものです。「頑張ってください!」と励まされてしまいました(笑)ありがとうございます!

 そして更に、この新聞記事をもとに、熊本の老舗楽器店「大谷楽器」さんが上通り本店地下の楽譜売場にan弾手のコーナーを作って頂いたと聞いて、早速、視察(笑)に行ってきました。
 今回の「パパも弾きたいピアノ入門」はもちろんですが、ドレミ楽譜や講談社のこれまでの私の本も集めてコーナー展示をして頂いていました。見たら、隅っこに私の立体似顔絵?も。
 「これ、どなたが作られたんですか?」
 とお店の方にお聞きしたら
 「ああ、うちのスタッフに絵の上手な者がいまして。彼女の手作りです」と。
 なかなか可愛い(!?)an弾手が頬をうっすらピンクに染めてちょこんと佇んでおりました〜(汗)
 お店の方に撮影とネット掲載のご了解を頂いて写真を撮らせて頂きました。
 (写真はこちら→クリック)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 昨日、九州地方は梅雨入りしたらしいですね。しばらくうっとうしい毎日が続くのでしょうか。
 くしくも、そんな梅雨に入る前日の日曜日、蛍狩りに行ってきました〜。
 自宅から車で30分程の小野泉水(おののせんすい)公園という所。平安時代の歌人で世界三大美人(?)の一人とも言われる小野小町が、この泉で産湯を使ったんだとか。池のほとりには小町像が安置される小町堂、その横には「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」という小町の歌碑が建っていました。
 午後7時半過ぎ、あたりがようやく暗くなってきた頃、水辺の茂みや木々の枝の間からポワ〜ッ、ポワ〜ッと小さな灯りが。やがてその数が次第に多くなり幻想的な光の乱舞が始まる頃には、足元も見えない位、闇がすっかりあたりを包んでいました。
 

−an 弾手−


第450回 「弾手の会とカーサ・クラシカセッションナイトご案内」

[2013.6.4]

 久し振りに東京の「弾手の会」の話題です。

 弾手の会って何?とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、東京を中心に大人の音楽(演奏)愛好家の方が中心になって交流されているユル〜いピアノサークルの様な会です。スタートはこのコラムや私の本の読者で中島さんという男性の方が呼び掛けられて、不定期に東京・赤坂の「カーサ・クラシカ」というライブハウスに集まられるようになったのがきっかけです。
 その最初の呼びかけをこのan弾手コラムでご紹介させて頂いたのはもう5年以上前の第208回「千葉、東京近辺で大人のピアノ仲間募集!のご紹介」でした。それ以後、第217回第222回とその後の展開をご紹介し、第238回では遂に私も上京して東京原宿の表参道カワイピアノサロンで皆さんとご一緒にピアノ交流会に参加させて頂いたエピソードをご紹介しました。その後も弾手の会の皆様とは東京で何度かご一緒させて頂き、すごく和気あいあいとアットホームな中、音楽を媒介とした楽しい時間を過ごさせて頂きました。
 参加されるメンバーはピアノばかりでなく、ギターを持って来られる方や、ライアーという小さな竪琴の素晴らしい弾き手の方、それに地域も東京在住だけでなく、その時によって滋賀とか秋田から参加された方も(最初の時は北京在住でたまたま東京出張中の方も!)いらっしゃるなど、バラエティーに富んでいます。

 ここしばらくちょっと間が空いていたようですが、また近々カーサ・クラシカに集まりましょうということになったそうで、新規の方のご参加も大歓迎とのことですので、ここでご案内しておきますね。
 以下、世話役の中島さんから弾手の会メンバーに送られた一斉送信メールから一部抜粋です。
**************************************************************************
 ♪♪6月14日(金) CASA CLASSICAセッションナイト ♪♪

 さて、本当に久しぶりに皆さまとお目にかかれればと、ご連絡になりますが、6月14日、金曜日の夜のCASA CLASSICAセッションナイトでよろしかったら、ご一緒に演奏はいかがですか?
 私も久しぶりに出かけて人前演奏を楽しみたいと思います。
 1ヶ月先ですが(an弾手注:このメールは5月18日に頂いたものです)今回は皆さまのご都合も伺わずに日時・場所を決め、金曜日ともあって来られるのが難しい方が多いかとは思いますが、「なんでもセッション」で6時からたっぷり4時間程、他のお客さんもいる中ですが、皆さまの演奏にお話しにと、久しぶりの再会を楽しみにしております。

 そして秋頃にはどうでしょうか。どこか部屋を借り切って、以前のようにまた盛大に演奏会♪を持ちたいですね。
 これまた楽しみにしたいと思います。

 中島弾ディ
**************************************************************************

 この会は、特に会費も会則もなく、会場のお店での飲食代のみ各自負担で、集まりたい人が集まって気楽に演奏や会話を楽しんだり(もちろん強制的に弾かされることもなく)、本当に皆さん気楽に交流を楽しんでおられます。
 現在の会員の構成比は男女同じくらいで、下は30代から上は60代まで、平均年齢は40代後半位?らしいです。
 また中島さんによると、最近an弾手の以前のコラムを見て弾手の会への参加問い合わせを頂いた女性の方がいらっしゃるそうで、6月14日のセッションナイトにもご参加の予定らしいです。
 私an弾手自身はその日は上京が難しく参加出来そうにありませんが、近隣の方でご興味がおありの方は気軽に覗いてみられてはいかがでしょうか。
 お問合せは中島さんまでどうぞ。中島さんの連絡先は下記の通りです。
 なお、以前の本コラムバックナンバーには中島さんの連絡先として勤務先が書いてありますが、今回は下記のご自宅のメールまでお願いしますとのことです。

 ●弾手の会・連絡先
 中島富士夫(千葉市在住 年齢50代)
 某外資系証券会社勤務
 自宅連絡先メールアドレス
 fnakajim@cnc.jp

 なお、中島さんからカーサ・クラシカについてのご案内もありましたので下記をご覧ください。
**************************************************************************
 ●「カーサ・クラシカ」 Casa Classica
 東京都港区赤坂3-19-9オレンジボックスビルB1
 (赤坂見附駅徒歩5分位)
 TEL:03-3505-8577
 http://casa-classica.jp/top/home.html/

 東京広しと言えど、私のような素人・初心者でも気軽に人前演奏できるライブハウスはこのお店の他なかなか見当たらないのでは、と思います。
 月に数回程度設けられるセッションナイトには、上級者初心者は全く関係なく素人が気軽に来店して、和気あいあいと飲食しながら、ピアノや各自持参の楽器をかしこまることなく演奏したり、またその演奏を聴いたりと、音楽の素敵な社交場です。(ちなみに料金は飲み物1杯と何か1品頼んでも4000円はかかりませんし、その他のチャージも全くありませんのでご安心下さい。)

 中島弾ディ
**************************************************************************



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 いつもお昼を食べに行く会社近くの和食料理のお店。熟年ご夫婦の板場さんと女将さんが二人でされている小さなお店ですが、お昼のメニューも上品でおいしく、最近はすっかりはまってます。お昼の常連客になってしまいました。
 で、昨日行ったら女将さんが「あのピアノの本、買いましたよ!」と言って下さいました!そう言えば少し前に「新聞に出ていらっしゃったでしょ!?」と聞かれて、買えるお店をご紹介していたのでした。息子さんのお嫁さんがご興味があられるとかで。
 思いがけない所でつながりが広がっていくのが嬉しいです。ありがとうございます!
 
−an 弾手−
バックナンバーリストに戻る   ピアノ奮戦記に戻る