第61回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その8)左手で伴奏のパターンをつくろう
[2003.10.28]
 コード奏法(超)入門講座、2回お休みしてしまいました。今週は又、続きを書いてみます。第58回(その7)では左手でルートをオクターブで押さえて、右手でコードを弾きましたね。コード進行をもう一度書いてみます。

説明の必要上、音符も書いてみますが、実際は音符なしのコードネームだけで弾くようにして下さいね。

 今週は、これを元に、左手のパターンを工夫してみましょう。
 左手をオクターブに開いてルートに置きます。その時の人差し指を見て下さい。どの鍵盤に来てますか?コードCだったらG、コードAmだったらE、コードDmだったらA、コードGだったらDに来てませんか? もし、ちょっと指がズレる人がいたら、少し修正して、上に書いた位置に人差し指を乗せて下さい。そして、この指の形を感覚的に覚えて下さい。

 この人差し指が乗っている鍵盤が各コードの5度の音になっています。ですから、各コードのルートをオクターブでつかめば、同時に自動的に5度の音もつかんだことになります。
 5度の音はメジャーコードもマイナーコードも同じですから、この手の形はメジャー、マイナー気にせず使えます。
 では、この方法で、先ほどのコード進行を左手でリズムを刻んでみましょう。説明の必要上音符に書いてみます。
例えば

左手のパターンはこの他にも

あるいは

この他にも、色々なパターンを自分で工夫してみてください。いずれもコードチェンジの時に左手を所定の位置にもって来さえすればあとはそのまま小指、人差し指、親指で好きなパターンを弾いていればOkです。慣れれば、リードシート(第10回参照)の初見でも、左手はほとんど気にせず無意識に弾けるようになります。
 説明上、音符を書いていますが、実際はコードネームだけで弾けるようにしてくださいね。次回は、左手のサウンドをもっとふくらませる弾き方を紹介します。(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 この前、サントリー九州熊本のビール工場見学に行って来ました。熊本市内から無料送迎バスで小1時間。阿蘇は南外輪山の裾野に位置する工場に到着です。
 広くおしゃれなウェイティングホールから美人のコンパニオンに案内されて工場内に入ると、まるでどこかの博覧会のパビリオンにでも来たようで、大型映像と実際の工場プラントを組み合わせた見学コースにびっくり。最後の試飲コーナーも広いレストランの雰囲気です。
 そこで飲んだサントリーモルツのうまかったこと! あんなにクリーミーでおいしい泡は、この歳になって初めての体験だったな〜。おいしいビールのつぎ方のミニ講座もあったりして、いつの間にかサントリービールにわかファンになってしまったan弾手でした。(・・・単純だなあ。)
−an 弾手−


第62回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その9)左手のサウンドを広げよう
[2003.11.4]
 さて、前回はやっと左手で伴奏形らしきものを弾いてみましたね。文章や音符で説明するのは私自身の表現力不足もあってまどろっこしくて仕方ありません。読んでいる人はもっと大変ですよね。スミマセン! この「アナ鼻ピアノ」今回でもう9回目ですが、実際にピアノの前で一緒にやれば、せいぜい1〜2時間もあれば済む程度の内容しか話せていません。それでも、コードの予備知識ゼロのところから始めて、コードネームだけで両手弾きするところまで来てしまうのですから、コード奏法ってスゴイなあと思います。
 まだ右手はコードを押さえているだけで曲にはなっていませんが、あと数回、左手の使い方とコード進行の話をしたら、右手でメロディーを入れて、いよいよピアノソロに入る予定です。そうすると、一気に目の前の世界が広がりますから。もうちょっとです。

では、前回のコード進行と左手のパターンをもう一度書いてみます。

あるいは

他にも

 この左手のパターンは、コードのルート(1度)と5度と8度(ルートのオクターブ)の音でできています。これに、今週は3度の音を入れてみましょう。第54回(その3)に書いたように、3度の音はそのコードがメジャーかマイナーかを決める重要な音です。この3度の音を入れることで、左手の伴奏にも俄然コード感が出て豊かな響きになります。
 実際に左手で弾く時はこの3度の音を1オクターブ上げて、ルート(ベース)の音から数えて10度の位置で弾きます。その方がサウンドの広がりが出るからです。
 そして、この10度の音の入れ方にはパターンを1つ覚えれば目をつぶっていてもさまざまなコードに自動的に応用できてしまうという、非常に便利な指使いがあります。次の鍵盤図を見て下さい。

 一番右の「親指」と書いてある鍵盤が10度です。ここを弾く時は、多分普通の人は小指を鍵盤から離さないと届かないはずです。この時、人差し指を鍵盤に軽く残しておくのがコツです。そうすると、左手を目で見なくても(目でつぶっていても)小指を再び元の位置にもどすことができます。
 ついでに、この左手の指使いにおける、メジャーコードとマイナーコードの弾き分けの話をしておきます。メジャーとマイナーの違いは、この10度(3度)の音の半音の違いです。ですから、親指を半音ズラして弾けばOKです。

では、左手のパターンの例を音符で書いてみます。(実際は音符は見ないで弾いてくださいね。)

あるいは

 これはほんの一例です。左手の指のポジションを覚えたら、実際は曲のリズムやメロディーの流れに合わせて、自分で自由にパターンを作っていくことになります。
 ところで、この譜例は結構音が低いのでこの通りに弾くと重い感じがするかも知れませんが、とりあえず今のところはこのスタイルで左手のパターンを覚えて下さい。
 次回はコード進行を変えたり、右手を分散和音にしたりして色々遊んでみましょう。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 先日、BOZOというバンドのライブに行ってきました。Saxの津上研太さんをリーダーに、ピアノ南博さん、ベース水谷浩章さん、ドラムス外山明さんの4名。私は全然知らなかったんですが、プロフィールを見たら、皆んな若いのに日本はもとより、海外公演でも活躍中の壮々たるメンバーで、演奏もそれぞれがすごく個性的でした。普段、聞いているJazzとは一味違った不思議な魅力があって、サウンドが耳に残っています。
 特に、津上さんのまるで肉声で歌い語るようなアルトサックスのアドリブは鳥肌ものでした。ライブの後はBOZOのメンバーもしたたかアルコールが入り、プロ、アマ入り乱れてのジャムセッション大会が深夜(早朝?)まで続きました! 私としてはソロをちょっと弾いただけでセッションに参加できなかった(技術的に!)のが残念でした。でも、また一つ目標が増えたと思えば、これもいい経験だったかなぁ。
−an 弾手−


第63回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その10)両手で思い切り遊んでみよう
[2003.11.11]
 ここまで9回に渡ってコード奏法超入門の話をしてきました。くどいようですが、ここでざっと振り返ってみましょう。
 まず、目的の確認です。
 第57回(その6)にも書いたように、「バーやクラブでポロポロンとさりげなく(カッコ良く)ピアノを2〜3曲弾いて羨望のまなざしを集めてみたい」という世のおじさん(おばさん)の永遠のあこがれ(私もそうでした!)を実現させよう!ということでしたね。それも、いつかそのうち、じゃなくて早い人なら3〜6ヵ月、遅くても1年以内位が目標です。自宅でピアノ(電子ピアノでも)の練習ができる人なら、決して無理な目標ではないと思います。コード奏法は、そんなびっくりするような威力がありますから。
 では次に、これまでに手にした武器の確認です。

 ここまでの話は、大きく3つのテーマでくくることができます。

1、単品としてのコードの話
  (1)鍵盤を英語名のアルファベットで呼ぶ(第53回・その2)
  (2)コードのしくみ(第54回・その3)(第55回・その4)

2、コードをつないで曲の流れをつくる話
  (1)コード進行(第57回・その6)

3、左手で伴奏形をつくる話
  (1)ルートを弾く(第58回・その7)
  (2)ルート+5度で伴奏のパターンをつくる(第61回・その8)
  (3)ルート+5度+10度(3度)で伴奏のパターンをつくる(第62回・その9)

 今週は以上の復習と練習を兼ねてここまでに出てきたコード奏法のテクニックを使って遊んでみようと思います。遊びながら、自分で色々な弾き方を発見してみて下さい。

 まず右手です。
 ここまではコードをずっと全音符で押さえていました。読者の中には、私のそんな音符なんか無視して、もう自由に弾かれている人もおられるかも知れませんが、ここでは一応、私の説明の通りに事が進んでいる、という前提で話をしますね。
 この全音符のコードを、左手のパターンとうまくつながるように分散和音(アルペジオ)にしてみましょう。但し、第35回〜40回に書いた「華麗なるアルペジオ」とは違いますよ。ここではせいぜい4分音符か8分音符位でいいでしょう。
 例えば、

 なんか、どうですか?
 4小節目のGまで行ったら、又、頭のCにもどると、ぐるぐるいつまでも続けて弾けます。(こういうコード進行を循環コードと言います)
 ペダルも使ってみましょう。各小節の頭(コードの変り目)で素早く踏み変えて音がにごらないようにしましょう。

 この練習のポイントは

1、左手は、コードネームを見て、そのルートをオクターブでつかみ、そのままの手の形で指だけ順番に動かす。

2、右手は、コードネームを見て、そのコードの構成音(コードトーンと言います)を同時につかみ、そのまま指だけ順番に動かす。

3、決して音符を読んで弾こうとしない。


です。

 音符は説明の必要上、仕方なく書いているだけです。特にクラシックで符読みの得意な人も、音符を弾くのではなく、コードをつかみながら弾いていく、という感覚で弾いて下さい。
 上の譜例が弾けたら、左手、右手とも色々パターンを変化させて遊んでみて下さい。

 できれば、



 というコード進行だけ見て弾くようにしましょう。
 左手は10度のパターンも使ってみて下さいね。右手はコードの基本形、転回形を色々変えてみたり、1オクターブ、2オクターブ上に音をつないでみたり、あなたの自由な発想で思い切り遊んでみてくださいね。それだけでも簡単なアドリブができちゃいますよ!
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 普段、自分で楽譜を書く機会もあまりないので、このところ、コラムの楽譜ではちょっと苦労しています。実は楽譜作成ソフトを使い始めてみたんですが、まだ慣れなくて・・・。でもその威力はスゴイです! 音符の羽根の上向き、下向きはもちろん、休符の長さなども自動判断してバランスをとってくれるので、楽譜の知識の乏しい私は大助かりです。
 まず、書きたい楽譜をこんなかな〜と手書きでザーッとメモしてから入力してみると、自分の表記の間違いをソフトが添削してくれるような感じで表示してくるので、「ああ、そういえば楽譜ってこんな風になってるなぁ」なんて、普段、いかに自分が楽譜を漠然と見ていたかが良く分かります。
 でも、まだほとんど使いこなせていないので、もうちょっと勉強しなくっちゃ。またやることが増えたなぁ。
−an 弾手−


第64回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その11)コード進行に秘められたヒミツ
[2003.11.18]
 先週の両手弾きはどうでしたか? え? いつになったら曲(ピアノソロ)の話になるんだッて? こんなバイエルのマネ事みたいな課題をいつまでやってるんだッて? ・・・スミマセン。もうちょっとです。実は、もう、ほとんどピアノソロの入口に差し掛ってるんです。(一見、それらしく見えませんけど・・・)もうすぐ、一気にピアノソロに突入しますから。しばらくご辛抱くださ〜い。あ、それから、先週の譜例、

これですね。見た目には確かにバイエルのちゃちなマネ事みたい(実は私、バイエルのこと、良く知らないのでこんな比喩はよろしくないかも知れませんが・・・)に見えるかも知れませんが、根本的に違うところが実はあるんですよ。バイエルでは、多分、楽譜の通りに弾きなさい、と教えられると思いますが、この譜例はできるだけ楽譜と違うように弾いてほしいんです。
 楽譜と違うように弾きながら、しかもこの



というコード進行に秘められたヒミツ(大ゲサな!)を理解してほしいんです。すると、そのヒミツ(法則性)を応用して、一気に10倍以上のバリエーションが弾けるようになってしまうんです! そこのところが、実は、コード奏法で短期間にピアノが弾けるようになる重要なポイントのひとつなんです!(な〜んて、一人で興奮しててもしょうがないなぁ・・・)
 それじゃ、このC/Am/Dm/Gに、どんな法則性があって、どんなバリエーションが可能なんでしょうか?
 話が前後しますが、第54回(その3)に出てきたKey=Cのスケールの上にできるコードの図をもう一度見てみましょう。

コードネームの下に変なローマ数字がありますね。これは度数表示で、主音(Key=Cの場合はCの音)を1度と数えて、上へ順番に7度まで数えたものです。Cが1度という意味じゃなくて、あくまでも、そのKeyの主音を1度とします。(例えばKey=Fだったら、Fが1度になり、Cは5度、という具合です)

更に、その下に書いてあるT(トニック)、S (サブドミナント)、D(ドミナント)というのは、このKeyにおけるそれぞれのコードの機能を表わします。

T(トニック)    
Keyの主音をルートにしたコードで、そのKeyの調性を表す最も重要なコード。曲の最後は、このコードで終わる。

D(ドミナント)
あるKeyの中で、T(トニック)に次いで重要なコード。なぜ重要かと言うと、D→Tというコード進行で、その曲が「終わった!」という感じを出すのに無くてはならないから。(Key=Cでは、G→Cというコード進行)。このコード進行のことをドミナントモーションと言う。

S (サブドミナント)
D(ドミナント)に次いで、T(トニック)に行きたがるコード。つまりS→T(Key=Cの場合、F→C)というコード進行になる。 

 えー、こんな風に書くと、えらく難しそうに見えるので、あんまり書きたくなかったんですが、いつか一回は書いておかないとこの後の話がやりにくいので仕方なく書いてみました。(私も受け売りなのでひょっとしてどこかウソ書いてるかも知れません。ぜひ専門の解説書を見て、正しいことを理解しておいて下さいね。)

 ところで、今週本当に言いたかったのは、実はこれからです。



を上の度数表示で見てみましょう。すると



になっていることが分かります。最後はV、つまりD(ドミナント)、そこで頭のI度=T(トニック)にもう一度戻ると、ほらここにD→Tというドミナントモーションが出来るでしょ。すると曲が一旦終わり、そして又始まるというメリハリ感が出来て、ぐるぐる連続して弾けるという訳です。これを俗に1-6-2-5の循環コードと呼んでいます。6と2がどうして入っているかって? それを話しだすと、またえらく大変になってしまうので、ここではやめときます。
 それより、この1-6-2-5、つまり



をC以外のKeyに応用してみると、全てのKeyで同じことが出来ちゃうのです。それぞれのKeyのトニックからスタートして1-6-2-5になるように進行のパターンを平行移動すればいいんです。(まずルートだけ弾いてみると分かりやすいかな)。そのコード進行の例を次に書いてみますから、Key=Cと同じように弾いてみて下さい。
 ホラ、これだけでも7つのバリエーションが出来ちゃった!

えッ、習ってないコードがあるって?コードの作り方は第54回、55回で説明しましたよね。あとは応用です。コード奏法は、単純なルールを基にあとはいかに応用していくか、なんですから。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 そろそろ、忘年会の予定が入り始める季節になりましたね。皆さん、どうですか? 私はまだ3つ位ですけど。ところで、以前、岩代浩一先生に急にピアノ伴奏を指名されて大汗をかいた某喫茶店の忘年会が今年も入ってきました! あれ以来、毎年、私はアトラクションでピアノ弾くのが恒例になってしました。
 今年はママがバンドを呼んでくると言っていたので、私の出番は無くてゆっくり飲み食いできるかも、と思いますが、どんなハプニングが起こるかも知れないので、一応、心づもりだけはしとこうかなぁ。
−an 弾手−


第65回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その12)コード奏法上達のヒケツ
[2003.11.25]
 先週は、ちょっと意地の悪い終わり方をしてしまいましたね〜。あとは応用ですよ! なんて偉そうに・・・。本当は各Keyにおけるスケールとコードを図にしてみると、先週の7つのKey による1-6-2-5の循環コードも、視覚的に分かりやすくなるはずです。
Key=Cの場合は先週も図を出して説明しました。

はい、これですね。
ちょっと復習の意味で



のコードに○印を付けてみました。

 これと同じものを他のKeyについても書いてみましょう。今回からはVのところをV7と書いています。V(5度=ドミナント)のコードはそのコードのルートから数えて7度の音(正確に言うと短7度)を加えてV7(ドミナントセブンス)にするのが一般的です。このセブンスの音を見つけるには便宜的にはルートの1音下の音だと考えると分かりやすいです。
 このほかのKeyについては省略しますが、できれば自分で考えてみて下さい。もし、どうしても他のKeyの図も見たいとおっしゃる方はメールくださいね。

こうして書いてみて、実は先週の間違いに気が付きました! 先週、Key=Bのコード進行を



と書いてしまいましたが、



が本当ですね。結果的には全く同じ鍵盤を弾くことになりますが、五線譜上のスケールで見てみると
G♯m、C♯mでないとおかしいですよね。スミマセン。訂正しておわび申し上げます。m(_ _)m

 まあ、こんな調子ですから、ほかにも間違いを発見された方はどしどしご指摘の程、お願いしますね。

 さて、こうして書いてみると、何だかむずかしそうに見えて、初めてこのコラムを見られたコード初心者の人は何のことだかサッパリお分かりにならないと思います。でも、このコラムをたかだか10回ちょっと前に遡ってアナ鼻ピアノ(その2)あたりから順番に読んでいただけば、実に単純な話だってことが、すぐお分かりになると思います。

 コード奏法上達のヒケツは

1、まずコードの成り立ちやコード進行のルールを理屈で理解する。

2、次にそれを鍵盤上に置き換えてみて、鍵盤の形、手の形で確認する。

3、バカの一つ覚えのように同じパターンを繰り返し弾いて指の形、手の動きを手グセにしてしまう。

4、音符を見ないで、コードネーム、コード進行だけ見て、手が勝手にコードのパターンで鍵盤を押さえるようになるまで繰り返す。

5、コード進行の響きのイメージを耳で聴いて体に馴染ませる。


 な〜んて書くと大変な努力が必要なみたいですが、そんなことありません。遊び半分で楽しみながらやっているうちに、自分でも「アレッ、弾けてる!」と思える時がすぐ来ますから心配はいりません。ぜひ、前回、前々回のアルペジオパターンなんかも参考にしながら自由に遊んでみてください。あ、そうそう、Vのところにセブンスを入れてV7の響きの違いを感じてみてくださいね。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 暑かった秋(?)もやっと観念したのか、朝晩冷え込むようになってきました。(もう次回の更新日は師走ですもんね)。先週土曜(11月22日)、仕事で県北まで行った帰り、カーラジオで阿蘇初冠雪のニュースを聞きました。よく晴れた気持ちのいい午後の陽を浴びて国道3号線を走っていると、急に視界が開けて左手眼下に熊本の市街地が広がり、その向こうにゆったりと裾野を伸ばした阿蘇外輪山。そして中岳の噴煙が初冬の青空にくっきりと浮かんでいました。次の瞬間、車は再びビルの谷間へ。熊本に住んでいてもなかなか見ることのない、真っ白な阿蘇の噴煙。青空のスクリーンに映えて映画のワンシーンでも見たような一瞬でした。
−an 弾手−


第66回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その13)緊急!質問メールにお答えの巻
[2003.12.2]
 先日、読者の方からメールをいただきました。64歳の女性の方で、今一人でコード奏法に取組んでおられるとか。その内容を読んでハッと気付いたことがありました。この「アナ鼻ピアノ」、コード理論の細かい理屈に入り込みすぎて、この先、どうやって曲が弾けるようになっていくのかの道筋がちょっと見えにくくなっているのかなぁ、と。もちろん、最低限の理論は話しておかないと先に進めないんですが、「木を見て、山が見えない」状態だと、「気軽にピアノが弾けるようになりたい」という方には、ちょっとキツイのかなぁ。
 ・・・という訳で、今週はあらかじめこれを書こう、という構想が別にあったんですが、急きょ変更しました。私にとってはありがたいことです。読者の皆さんの声を聞きながらコラムのテーマが変化するなんて、ライブでお客さんや他のメンバーの反応を感じながらアドリブしているようなスリルがあって楽しいじゃないですか! 皆さんの反応、待ってまーす!
 
 さて、そのメールでのご質問です。要約すると、
「第58回のコードの弾き方の説明で、どうして右手で伴奏するんですか? ・・・簡単なメロディーの曲を弾こうとしてもこれではどうしていいか分からない・・・」。
 なるほど! と、この方の疑問が良〜く分かりました! だって、コード奏法って、左手でコードを使って伴奏を入れながら、右手でメロディーを弾いていくんじゃないの? なのに、このan弾手のコラムでは右手でコードを押さえる説明ばかり・・・。この先どうなるんだろう・・・?

 はい、分かりました! では、その疑問にお答えしましょう!
 まず「コード=伴奏」という考えを捨てて下さい。メロディーの中にもコードの要素が沢山入っています。と言うより、メロディーって、ほとんどコードをもとにして出来上っていることに気付いた時、私は目からウロコの気分でした。今、右手でコードを押さえる練習をしているのは、もうすぐ右手でメロディーを弾くための準備なんです。コード(転回形を含めて)を自由につかめるようになると、メロディーがいかにコードの構成音(コードトーン)を使って作られているかが良く分かり、メロディーの演奏がとても楽になります。(メロディーが分からなくなったらコードトーンを弾いてみると当たる確立が高い!) そして、そのまま、作曲やアドリブ(即興的な作曲)にも、大きなヒントになるんです。
 ただ、ひと口にコード奏法と言っても色々な方法があります。非常に乱暴に大きく分けてみると、次の様になるのかなぁ。

1. 左手でコードを弾き(伴奏して)右手でメロディーを弾く。(よくあるコード奏法、及びジャズの基本的な奏法)

2. 両手でコードを弾く。
  (1)左手はベースラインを中心としたコードを弾いて、右手もコードを弾く。(歌の伴奏など)

  (2)左手は上記(1)と同じで、右手はコードとメロディーを合わせて弾く。(ピアノソロ)

 私がこのコラム「アナ鼻ピアノ」でご紹介しようとしているのは、上の2.の(2)の方法です。よくありそうな1.の、左手でコードの伴奏を弾いて右手でメロディーを弾くのに比べて、非常にサウンド豊かでカッコ良く聞こえます。但し、いわゆるジャズの奏法は、上の1.を基本にして、これにジャズ独特のコードの押さえ方と、リズムと、フレーズ(メロディー)を組み合わせていく方法です(もちろん、それだけではありませんが)。ですから、私がこのコラムでご紹介しようとしている弾き方とは少し違います。この点は何卒ご了承下さい。
 ・・・と、クドクドと書いてしまいましたが、このコラムで目指している演奏スタイルのイメージが少しはお分かりいただけたでしょうか? 
 こんな全体的な話を時々しながら、また具体的な理論も織り交ぜながら、また、私のドギマギ演奏体験談も時々はさみながら、読者の方とのライブ感覚で、この先進めていくつもりです。よろしく!
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 ついに師走に突入しましたねー。だからナンダと言われると困りますが、やっとかなくちゃいけない事が色々あって、明日はやろう、と思っているうちにすぐクリスマスになってしまうんですよね。毎年会社で作っている年賀状やカレンダーもまだ手つかずで。この前やっと配布先リストを打ち出してみました。今年はこのデータベースを大幅に見直そうと思ってるんですが、つい目の前の仕事に追われて後回しになってしまいます。言い訳しててもしょうがないですね。あっ、間に合わないから、今年までこれでいっとこう、なんて、去年も聞いたようなセリフを吐かなくていいようにしなくっちゃ。
−an 弾手−


第67回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その14)いつの間にかピアノソロ
[2003.12.9]
 さてさて、長らくお待たせいたしました。やっと右手でメロディーを弾く話に入りま〜す! でも、メロディーの話に入ろうとして、ハタと困ったことに気付きました。メロディーの話をするにはメロディーの例題がいると思うんですが、世の中の曲って著作権ってものがあるんですよね。こんなホームページで勝手に曲の紹介して何か問題にならないのかなぁ。私、良く分からないのでどなたか詳しい方おられたら教えて下さい! お願いします。(本気です)
 で、とりあえず、今回は絶対に著作権が問題にならない曲を使おうと思います。そんな曲あるの? はい、実は私が自分で作った曲です! これなら誰も文句ないだろう!ただ、世の中の曲と比べて、音楽的なレベルが低い! という問題があるかも知れませんが、まあ、コード奏法の説明用と割り切って、どうかゴカンベン下さい。まずメロディーだけ書いてみます。

8小節のフレーズです。実際はこの前後がもっとあって、全体でひとまとまりの曲の体裁になっていますが、当面はこの8小節を使って話を進めます。

1、まずメロディーだけ単音で弾いてみて雰囲気をつかんで下さい。key=Gです。
2、次に、とりあえずメロディーは無視して、コード進行だけを右手で弾いてみます。1小節を4拍できざんでみましょう。

3、これができたら次に左手も入れてみましょう。小指と親指をオクターブに開いてルートをつかみながら人差し指は5度をつかむ、例の奏法です。(第61回、62回参照)
 最初は左手は全音符で、慣れてきたら4分音符のアルペジオでパターンをいろいろ工夫してみましょう。

4、ここまで出来たら、左手も右手も8分音符でアルペジオのパターンにしてみましょう。

5、さあ、それではいよいよメロディーを入れます。左手のアルペジオパターンと合わせながら、とりあえずメロディーを単音で弾いてみて下さい。

6、ここまで来て、何か気付きませんでしたか? そうですね。譜例(4)と譜例(5)はよく似てますよね。弾いた印象もよく似ています。実は、このメロディーがほとんどコードトーンを使って出来ているので、コードのアルペジオ弾きも、メロディー弾きも同じようなフレーズになる部分が多いのです。これは、この曲だけの特殊事情かと言うと、そうでもなく、世の中には、こんな風になっている曲はいっぱいあります。
 この辺の事情は、また次回にもっと詳しく考えてみることにして、とりあえず今回はここまでのところを何回も弾いて慣れて下さい。ホラ、いつの間にか両手弾きのピアノソロになってるでしょ!
 譜例の音符はあくまでも説明用の例ですから、いつまでもこの通りに弾く必要はありません。慣れたら譜例(1)のリードシートのみを見て、自分で色々工夫(実験!)しながら弾いてみて下さいね。それが「コード奏法」の「コード奏法」たるゆえんですから。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 急に真冬になりました! 寒いです。まあ、12月ですからこれが普通なんでしょうけど、ついこの前まで車にクーラー入れて走ってましたから、この寒さはこたえます。
 夜はシンシンと冷えるので、我が家の寝室のエアコンを暖房にしようとつけたところ、な、なんと、動かない! まいりました。ほかに暖房器具がないので、仕方なくふとんと毛布にくるまってちぢこまって寝るはめに。そう言えば、この前は洗濯機が動かなくなって買い替えたばかりだし・・・。そうそう、会社で使っていた私のノートパソコンも最近動かなくなっちゃったし。(アドレス帳にいっぱい登録していたメールアドレス、どうしてくれるんだ!)次は何が止まっちゃうのかな、と戦々恐々の今日この頃です。
−an 弾手−


第68回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その15)コードの中にメロディーを感じて
[2003.12.16]
 では、今週も前回の続きを始めましょう。この辺まで来ると、毎回の話を順番に読んで(弾いて試して)いる方以外は何のことか、ちっとも面白くないコラムになっているんじゃないかと心配です。でも、順番に読んで下さっている方には、その次を書かないと失礼ですし、少々ジレンマです。
 まあ、ここまで来たら、とにかく前に進むしかないですね。前回(第67回)の譜例(5)はどうでしたか?もう一度、ここに書いてみますね。

「何だ、右手はコードとメロディーを合わせて弾くなんて言っときながら、結局、右手は単音のメロディーだけじゃん?」なんて思った方、いらっしゃいませんでしたか?でも、前回の譜例(3)(4)を何回も弾いてから譜例(5)を弾くとメロディーのところで思わずコードも一緒に弾いてみたくなりませんでしたか?
 「右手でコードとメロディーを合わせて弾く」方法の基本的な考え方を少しまとめてみます。

1. コードの変わり目の頭でメロディーとコードの構成音を一緒に押さえる

2. 次のコードに変わるまでは今弾いたコードの音を余韻で響かせながらメロディーを弾いていく。(ペダルを使うなどの工夫をする)

3. 次のコードに変わるところでペダルを踏み変えて前のコードの音を消し、新しいコードとメロディーの音を一緒に弾く。

4. 以下、その繰り返し。

5. コードの音はメロディーの音より低い位置で弾く。逆に言えば、トップノート(一番高い音)にメロディーが来るようにする。

6. コードの音は必ずしも構成音を全部弾く必要はない。メロディーの音と指の形の関係で弾きやすい音だけでよい。但し、出来れば3度やセブンスの音(そのコードの特徴音)はなるべく弾くようにする。

7. 譜例(5)のように、メロディーがほとんどコードトーンで出来ている場合は杓子定規に「コードの頭で必ずコードトーンを弾こう」としなくても、メロディーを弾くうちにコードのアルペジオを弾いているのと同じ効果がある。つまり、メロディーとコードが一体化している。


では、例えば、譜例(5)を、上記の要領で弾いた場合の例を譜例(6)に書いてみます。左手も少し変えてみました。(これは一例ですから、これが正解という意味では全然ありません。皆さんの自由な感性で好きなように弾いて下さい。)


メロディーとコードを合わせて弾いているところに、一応解説をつけてみましょう。単純にコードを弾いているだけだってことがお分かりになると思います。
このように、コードの入れ方も

ルート+3度+5度

の場合や

ルート+3度
5度+3度
セブンス+3度


など、メロディーの音や前後の流れ、それに弾きやすい手の形に合わせて色々な組合せを工夫してください。2小節目のAmのところの様に、全部単音の部分があっても構いません。(ここは単音が全てコードのアルペジオになっていますし・・・)

むしろ、全部の小節にびっしりコードを入れていくよりも、所々単音で軽くメロディーを弾いたほうが、曲がスッキリまとまる場合もあります。ごちそうの合間にちょっと箸休めでお新香でもつまむと、メリハリがついて、又、次の料理がおいしく感じるでしょう? そんなもんですよね。
 理屈が分かったら、譜例(6)は見ないで、必ず譜例(1)のリードシートを見て弾くようにしてください。

五線譜から押さえる音を読み取るんじゃなくて、コードを意識し、コードをつかむ感覚です。コードの中にメロディーを感じて弾きます。
 よく、クラシックの楽譜に指使いのための指番号がふってありますが、コード奏法の場合はコードをつかみやすい手の形を意識して指使いを考えるといいんじゃないかなぁ、なんて思っています。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 代行運転というのをご存知ですか? 熊本の人にはもちろん当り前の言葉ですが、以前他県に行った時に「代行」と言ったら「それ何?」って聞かれて、「あ、これって全国区じゃなかったのか」と思ったことがあります。お酒を飲んだ時に自分の代わりに運転してくれるサービスです。全国運転代行協会というのがあるらしいので、全国的にあるのはあると思うんですが、熊本では随分前から盛んです。
 で、先週の土曜日、忘年会の夜も更けてそろそろ帰ろかと街角から馴染みの代行会社に電話したところ、「今、全部出払っているので40分〜1時間待ち」という返事。「ウーン、こんな寒風の中に1時間も待たされるのはタマラン!」とばかりに、もう一軒、スナックに避難するはめになってしまいました。夜の街には人があふれ、代行運転もフル回転だったみたいで。この日ばかりは「どこが不況?」っていう感じでしたが、まだまだ世の中の風は冷たいようで。私なんか、もう、1週間連続の忘年会で少しは地域経済活性化に貢献してると思うんですがね。
−an 弾手−


第69回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」
(その16)3つのタイプ別練習のヒント
[2003.12.23]
 前回までで、リードシートを見ながら両手でコードとメロディを入れてピアノソロにしていく基本的な方法をご紹介しました。単純な方法ですが、その威力は強力です。まず第一に、この奏法で世の中のたいがいの曲が弾けます!そして、これを自分のものにして感情を込めて弾けば、聴いている人はとてもこんな単純な弾き方をしているとは思わない程の、豊かな響きと情感を表現することが可能です。これ以外にも、左手、右手ともアレンジの幅を広げるための簡単で便利なテクニックがありますが、それはおいおいご紹介することにしましょう。とりあえず今のところは、ここまでの方法を繰り返しやってみて慣れて下さいね。
ここで読者の方のタイプ別に、少し練習のヒントを考えてみました。参考にして下さい。

1.「クラシック経験者で楽譜は読めるがコードは不慣れという方」

 とにかく、音符を読まない。コードをつかむ、という意識に徹して下さい。私には、二段譜がスラスラ読める人の感覚が分からないので想像でしか書けませんが、音符の呪縛から離れて好き勝手に弾いてみる、という実験をたくさんやってみてはどうでしょうか。(実験結果を教えて下さい!)好き勝手、と言ってもいきなりアドリブを、と言うんじゃないですよ。リードシートでコード進行だけ弾いて遊んだり、メロディを少し変えてみる位でも充分です。とにかく、譜面に書かれていない音を自分の指で鳴らしていくスリルと楽しさを体験したら、きっとハマリますから。その方法の基本は、これまでの「アナ鼻ピアノ」に充分書いているつもりです。

2.「楽譜も苦手、コードも初心者、という方」

 大丈夫です!私もそうでした。コード奏法はそんな人のための救世主ですよ!この「アナ鼻ピアノ」の(2)〜(15)までをよ〜く読み返して繰り返し練習してみて下さい。ここには、私がだんだん弾けるようになっていった過程を、出来るだけ忠実に再現したつもりですから。きっと色々なヒントがあるんじゃないかな、と思っています。ただ、コード奏法はとにかく応用、発見の世界ですからここに書いたことをヒントにして、その何倍もの方法を自分で工夫していく、という気持ちを、いつも忘れないで下さいね。そして、ご自分で実験して発見されたことがありましたら、ぜひ私にも教えて下さい!

3.「アナ鼻ピアノのここまでは簡単すぎて物足りない方」

 スミマセン。私にはこの程度しか書けませんので。どうか、この後の「アナ鼻ピアノ」の展開について、ヒントを下さい!でも、もうちょっとこのコラムに付き合ってもいいかな、と思われた方、ここで私とゲームをしませんか?
 前回、前々回と譜例に使っているan弾手作の8小節のメロディの件です。実はそこでも書いたように、この8小節には前後があって全体で一つのまとまった曲の体裁になっています。そこで、この8小節のフレーズを展開して、あなたなりの曲に仕上げてみませんか?(もともとの8小節がつまらないフレーズなので、あんまり興味が湧かないかも知れませんが・・・)
 私の曲も、そのうちに全体をご紹介できる時があると思います。その時に比較してみられたら面白いかも知れません。(・・なんて勝手に思ってま〜す)

 ・・という訳で、次回は12月30日、いよいよ今年も終わりですね。このコラム、正月休みの間は、軽いエピソードネタでも書いてみようかと思っています。そして1月から、まだまだコード奏法超入門講座「アナ鼻ピアノ」、続きます。どうぞよろしくお願いします。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 先週、ニューヨーク在住の39歳(?)の日本人の方から初メールを頂きました。私が前回「〜ちっとも面白くないコラムになっているんじゃないかと心配です。〜」なんて弱気なことを書いたものだから「そんなこと気にせず、最後まで続けろ」という、叱咤激励のメールでした。ありがとうございます。そんな風に言って頂く方がいらっしゃって本当にうれしいです。いつも「私なんかがこんな偉そうなことを書いていいんだろうか?」という気持ちと「私がそうだったように初心者の方にぜひコード奏法の楽しさを知ってほしい」という思いが交錯しながらコラムを書いていますので、時々、弱気になってしまうんですよね。でも、まだお会いしたこともない世界中の読者の方々のお顔を想像しながら、これからももう少し、このコラム続けてみようと思っています。
−an 弾手−


第70回 「社員の結婚式でピアノ伴奏を!」 [2003.12.30]
 それは、もう何年か前のある日。会社のデスクで仕事をしていると、近々結婚するという1人の女子社員がそっと近づいてきて、小さな声で言いました。
「あの、ちょっとお願いがあるんですけど・・・」
「何?」
「実は今度の結婚式なんですけどね。私、歌を唄うことにしたんです。」
「ほほう、いいじゃない!」
「そこでお願いなんですけど、ピアノ伴奏していただけませんか?」
「え? 私が? あっ、まあ、私にできるようだったら。」
突然のことでドギマギしてしまいましたが、こんなチャンスはそうそうあることでもないですよね。私の中で「弾きたがり虫」がムズムズ動き出します。でも、何を唄うんだろう? それが問題だ!
「で、何を唄うの?」
「愛の讃歌です」
ヤッターッ! 俺のレパートリーだ!・・・でも表面は平静を装います。
「楽譜を用意してこないといけませんよね?」
と彼女。
「あ、まあ、楽譜は自分で探してみるから心配しなくて大丈夫だと思うよ。」
実は楽譜は手持ちの曲集「永遠のポップス」の中にリードシートがあるのを知っています。ただ、ピアノソロでしか弾いたことがないので、歌伴用のアレンジを考えなくちゃ。えっと、式まで確かあと1ヵ月か。まあ1ヵ月もあれば何とかなるだろう・・・。
 
 で、早速、歌伴用アレンジの準備です。1ヵ月という、ありそうで無さそうな時間。ここは自分であれこれ悩むより、さっさとプロに教えてもらっちゃえ。
 くだんのライブバーのマスターに電話して、次の日曜日、自宅マンションまで押しかけて行くことにしました。リードシートのコピー1枚とMDを持って・・・。
「イントロはちょっとハデ目に入ってみる?」
マスターのマンションの一室。グランドピアノの上で録音用のMDを廻しながら、模範演奏をちゃっかり録ってしまおう、という魂胆です。
「最初は8ビートで淡々と、ね。」
「このサビの後からはリズムを3連にして変化をつけてみようか。」
「えーっと、この最後の盛り上がるところはglissを一発かませて、と。ハデなのが好きなんでしょう?」
とか、何とか、かんとか言いながら、あっと言う間にマスターの模範演奏の出来上がりです。あとはこのMDを聴きながら、何とか雰囲気をマネすればいいのだ!さあ、早速練習しなくちゃ。 
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

ちょっと、ひと言。
 今日は、12月30日です。
あっという間に、今年も終わりですね。

 今年は私のピアノ生活にとって、とても大きな一年でした。去年、ちょっとした思い付きで書き始めたコラムが夏には50回を迎え、沢山の方に励ましのメッセージをいただきました。その後コラムの内容も少し技術的なテーマを書くようになり、読者の方からのご質問やご感想メールもだいぶ傾向が変わってきたような気がします。一番うれしいのは、私のコラムを読んで、「勇気が出た」「またピアノを続ける気持ちが湧いてきた」「ピアノが楽しくなった」等々、ピアノを本当に楽しんで前向きに取り組まれている方々の声が聞けることです。
 そんな声に励まされながら、私の乏しい知識と経験を振り絞って原稿を書いていると、自分であいまいだった所を改めて考え直したり調べ直したりすることも多く、毎回が勉強です。
 楽譜作成ソフトも必要に迫られて悪戦苦闘しながら使っているうちに、少しずつ要領が分かってきました。(まだまだですが・・・)すると、今まで自分が無意識に見過ごしていた楽譜の表記のルールが「そうか、こんな風になっていたのか」と気付くことも多くあって、毎回が発見の連続です。

 肝心の演奏の方はなかなか進歩がありませんが、こんなコラムを書いている以上、自分でももっと新しい技術を身に付けなければ、という気持ちで新しいステップに少しずつチャレンジを始めたところです。(こちらはなかなか苦しいですが・・・)
 そんなこんなで、あっという間に年末になってしまいました。この一年、皆様のお陰でとても貴重な体験、勉強をさせていただきました。本当にありがとうございました。
 それでは皆様、どうか良いお年をお迎え下さい。そして又、新しい年もピアノの話題で楽しく盛り上がりましょう!!
 
平成15年12月30日

an弾手
−an 弾手−
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