第641回 「星のように輝く社会人ピアニストのコンサート」 [2017.5.2]
 「有明海で漁師をしている私がカンパネラを自分で弾きたくなり、五年前からピアノを始めました。ラ・カンパネラ親父の挑戦です」

 ステージで中年の男性が挨拶しています。そしてクルッと後ろを向くなり、上着のジャケットを肩からズラして下に着ているTシャツの背中を見せました。
 そこには、『親父の挑戦』という大きな文字が。
 会場からドッと笑い声が上がりました。

 それは知り合いの人からご案内を頂いて、どんな内容なのかも全く知らないまま行った、あるピアノコンサートの会場。ステージ中央にコンサートピアノ、500席程の会場は8〜9割の人で埋まっています。

 演奏が始まりました。あの超絶技巧のラ・カンパネラのメロディーが会場に流れていきます。
 お〜、スゴッ! これ、ピアノ始めて五年の漁師さん?
 息を飲むような演奏が終わると、会場には大きな拍手が響きました。

 そのコンサートは、「Pro re nata Pianist九州」という名前の社会人ピアニストサークル主催のStella Concert。私は最初、「Pro」と付いているのでプロのピアニストの方のグループなのかなと思いましたが、当日のプログラムによると Pro re nata(プロ・レイ・ナタ)とは、『臨時に、必要なときに、という意味のラテン語。ステージに立つその間は、私たちも輝くピアニストなのです。そういう気持ちで名付けました。「自分の理想の演奏を夢見て、その夢を現実に変えていきたい」という共通の目標をもって集いました』とあり、決してプロのコンサートという意味ではないと分かりました。
 またStella Concert のStellaとは、ラテン語に由来し「星」「惑星」または「星型」を意味するらしい。星のように輝くピアニストのコンサート、という様な意味なのかな。
 なるほど、『親父の挑戦』の漁師さんも星のように輝いていましたね。

 他にもピアノを始めて3年10カ月という男性が弾く幻想曲・さくらさくら、40代からピアノを始めたという男性のショパン・ノクターンなど、信じられないようなハイレベルの演奏が続きました。
 その3人以外の総勢20人程の出演者は、小さい頃からピアノをやっている人や、ピアノを教えている人?のような感じもあり、クラシックの名曲が次々と華麗に演奏されました。

 私は日頃からクラシックの曲にはあまり縁がありませんが、聴いたことがある旋律だったり、中には初めて聴くような曲もあったり、久し振りにクラシックピアノ漬けのひと時。出演者の皆さんのレベルの高さには感動でした。

 ただ、聴いているうちに何となく自分の感性が追い付かない?みたいなものを感じたのも事実でした。何だろうと思ったのですが、私はもっぱらコード奏法なので、同じ曲でもその時々で微妙に違う雰囲気で弾いてみたり、日頃足を運ぶライブの店で耳に馴染んでいるのはジャズやポップス系の曲。どちらかというと「ピアニストが輝く」というより、その場の空気や聴いている人と一体になって音楽のある時間・空間を楽しむ、みたいな感じでしょうか。
 もちろん、その日のコンサートは、客席の私も大いに楽しませてもらったのですが、それでも「ハイレベルな楽譜を忠実に再現する技術の追求」のような雰囲気に何となく違和感を感じたのは、私の「感覚」が少し偏っているせいでしょうか?

 すみません、なんか変なコメントになってしまいましたが。
 でも、大人になってからピアノを始められた方、大人になってからもこんなに素晴らしいピアノを続けて輝いておられるたくさんの方々を拝見することが出来て、私も大変勇気を頂きました。ありがとうございました!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 いいお天気が続いています。昨日今日(5月1日、2日)は、私は通常通り仕事で本格的なゴールデンウィークは明日からになりますが、毎日の明るい陽射しが気持ちよくて、すっかりゴールデン?な気分になってます。
 先週金曜日は夕方早めに仕事を切り上げ(プレミアム・フライデー?:笑)、毎年この時期に行っている玉名の日吉神社・山田の藤を見に行きました。ここには熊本県の天然記念物に指定されている推定樹齢200年の藤があます。参道一杯に続く藤棚には1メートルを越える満開の花房が下がっていて、あたり一面に漂うほのかな香りに癒されました。今年も見れて良かったです。

 
−an 弾手−

642 「過去、現在、未来へつながる時の記憶と愛と音楽のドラマ」 2017.5.9
 それは、満開の桜が咲く井の頭公園の中を主人公の女子大学生(純)が髪をなびかせながら自転車で駆け巡っていくシーンから始まりました。
 先日観に行った映画「PARKSパークス」。そんなトップシーンの後も、見たような風景が次々に登場します。池を渡る木製の橋、池の畔にあるベンチ、池に浮かぶボート、池の中に上がる噴水。
 これは東京の井の頭公園と吉祥寺を舞台にした映画。井の頭恩賜公園100年実行委員会の100年事業として製作されたそうです。

 で、なんでan弾手コラムでこんなテーマを?
 はい、実は私は20代の後半、井の頭公園のすぐ横のアパートに住んでいて、この公園は文字通り庭のような存在でした。桜の季節は、夜になると部屋の中まで夜桜見物の花見客の声が聞こえていました。
 という訳で、井の頭公園は青春の思い出として、また現在の自分の家族や仕事の原点としてとても懐かしかったのと、この映画のテーマになっている(って私の勝手な解釈ですが)『過去、現在、未来へつながる時の記憶と愛と音楽のドラマ』に、勝手に自分の過去と現在を重ね合わせてしまったからでしょうか。
 すみません、今回は何だか自己陶酔的なコラムになっちゃいそうですが。お許しくださいませ。

 (映画のシーンより)……かつて井の頭公園の畔に住んでいた祖母の遺品の中からたまたま見つかったオープンリールの録音テープ。そこには祖母が若かった頃、元カレとギターを弾きながら歌っているオリジナル曲の冒頭だけが残されていた……
 ♪〜君と歌いたい曲がある/それはこんな曲で/僕らの物語は/この公園から始まる〜
 『50年前に作られたひとつの曲が引き金となり、1960年代の恋人たちの記憶が、2017年の吉祥寺に生きる若者たちの夢と冒険につながっていく。
 ……自分はいったい何者なのか? 本当にやりたいことは何なのか? 誰もが一度は経験する青春の焦燥が、世代を超えて観るものの心を共振させる』(映画「PARKSパークス」のパンフレットより一部引用)

 そんな映画を観ながら、まさに自分が青春時代を過ごした井の頭公園や吉祥寺の風景、そしてそこに登場する若者たちの、何かを生み出そうとしながらも迷い葛藤する姿が、あまりにも自分の中で重なってしまったのでした。

 その当時、私はまだ特別に音楽をやっていた訳ではありませんが、具体的な「音楽」云々より、時代を超えて受け継がれる若者の愛や想いやチャレンジが、ここでは「音楽」という切り口で表現されていることで、音楽の持つ奥の深さ、可能性の大きさを感じたのでした。

 今、自分がやっている音楽(ピアノ)はどうなんだろう?
 単に音楽という理論や技術や感性の世界だけでなく、ひょっとしたら自分の過去、現在、未来の人生を想い語る、生き様にも関わってくるのかも、な〜んて、音楽の持つ力の広がりを思ってしまいました。
 あ、大げさ過ぎますか? 
 すみません、今回は映画を観たばっかりでつい自己陶酔してしまいました(笑)。どうぞ笑い飛ばしてくださいませ。

 (注)ここに書いた内容は、あくまでも私の個人的な感想であり、映画「PARKSパークス」の公式解説ではありません。

  映画「PARKSパークス」
井の頭恩賜公園100年実行委員会100年事業企画
   
本・監督・編
本田プロモーションBAUS
   
脚本・監督・編集
瀬田なつき
   
音  楽  監  修
トクマルシューゴ
   
本・監督・編
橋本愛、永野芽郁、染谷将太、佐野史郎、他
   
本・監督・編
テアトル新宿(4月22日〜)、吉祥寺オデヲン(4月29日〜)他全国。
熊本はDENKIKANにて(5月6日〜19日)



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ちょっと、ひと言。

 あっという間にゴールデンウィークも過ぎてしまいましたが、皆さまいかがお過ごしだったでしょうか。私は、5月1日の夜に突然飛び込んで来た親族の訃報で、2日、3日は急きょ佐賀まで。その後、4日、5日は溢れる新緑に浸りながらも人の命の儚さを想ったり、自分のこの先の事を考えたり。
 そんな時(6日)に観に行ったのが、今回のコラムに書いた映画「PARKSパークス」だったので、殊更、自分の若い時からの人生を改めて走馬灯のように思い浮かべてしまったのでした。
 さて、連休明けで仕事も立て込んでますし、早く気持ちを切り替えて今日明日を精一杯生きていかねば、と思っています。

 
−an 弾手−

第643回 「全く違う雰囲気のライブとコンサート。2日間のハシゴ」 [2017.5.16]
 このところ本格的な人前演奏から遠ざかっているなぁ。
 まあ、ライブハウスやホテルラウンジ等でのちょっとした飛び入り演奏は時々ありますが、自分なりの本格的なライブは2015年11月27日のan弾手ピアノライブ Sweet Piano Night「秋から冬へ。遠い記憶の旅」以来、空白のまま。
 2016年春に次のライブを予定していたのですが、4月の熊本地震でそれどころではなくなり、もう1年以上経つのに何となく気持ちがまとまらない状態が続いています。
 そんな中、先週末は知り合いのライブを2日連チャンで観ることが出来て、少し元気をもらいました。

 1日目は、ライブハウスで時々歌っているのを見掛ける女性ヴォーカリストさん。趣味で音楽をされている方です。
 その日の会場は30席程の小さなカフェ。ピアノ、ギター、ウッドベースの演奏にのせて彼女の歌が始まりました。
 1曲目は酒とバラの日々、2曲目がスターダスト。
 「あれ、これって私が日頃指慣らしに弾いている曲じゃん」
 私はスターダストを先に弾いて、それから酒とバラの日々を弾くけど。
 ま、それはどっちでもいいとして、急に親しみが湧いてきます。
 その後も耳馴染みのあるジャズのスタンダードナンバーや、イパネマの娘、コルコバードなどのボサノバが続きます。曲間のMCもフレンドリーで、自虐ネタも交えたりして客席を笑わせてくれます。
 あっという間に2set終わり、アンコールはフライミー・トゥー・ザ・ムーン。これも自分も弾き慣れた曲だ。何だか身内のライブみたいな気分になりました。
 次は6月2日にも別のお店で歌うんだとか。エネルギッシュだ。自分も負けちゃおれないなぁ。

 2日目はガラッと雰囲気が変わって、熊本日仏協会主催のシャンソンコンサート。出演者の1人は私の高校時代の同級生の女性ですが、長年趣味でシャンソンをやっていて、いまではセミプロみたいな活動をされています。
 こちらは100人以上が入るライブレストランにて。会場に入ったらほぼ満席。しかもお客さんのほとんどがそれなりにいいお歳を召された(?)女性。見渡してみるも男性客は自分を入れて3〜4人位かなぁ。ちょっとアウェー感満載ですが、何とか空いている席を見つけて掛けます。
 出演は女性3名に男性1名。いずれも人生の甘いも辛いも知り尽くしたような雰囲気で、語るようにシャンソンの恋の歌を聴かせてくれました。
 後半では、男性と女性、2人の歌手が猫に扮し、どちらも「ニャァ〜」「ニャァ〜」という猫の声だけの歌詞で、男猫が女猫を口説き、振られ、キャットフードのプレゼントも無視され、最後は札束をチラつかせて落とすというネタで会場を沸かせました。

 全く違う雰囲気のライブとコンサートを楽しませてもらった2日間。どちらも知り合いの人がこうして積極的に音楽活動されているのを見て、大変元気を頂きました。
 自分も見習わねば。



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ちょっと、ひと言。

 このところ、朝起きて庭に目をやると緑が一杯に溢れていて癒されます。そこに綺麗な朝日が差していると、こちらの気分も明るくなりますね。
 もう5月も半分が過ぎてしまいました。今週は西日本はそれなりにいいお天気が続きそうですね。梅雨を迎える前のこの貴重な時間、新緑と爽やかな空気を思い切り楽しみたいと思います。

 
−an 弾手−

第644回 「理論と感情のバランスで、伝わるストーリーが生まれる」 [2017.5.23]
 彼は私の姿を見つけると、「おおっ!」と軽く右手を上げて親しげに微笑みながら話し掛けてきました。

 それは、先日の高校卒業50周年記念同窓会の会場でのこと(って書くと歳がバレバレですが:笑)。
 彼は趣味でギターをやっていて、数年前の同窓会では私のピアノとコラボしたこともありました。
 「最近、ギターの方はどう?」と聞いたら。
 「いやぁ、色んな楽譜を初見で弾く練習ばっかりやってて、それには慣れたけど、それって結局自己満足で人に聴かせる演奏じゃないんだよね〜。もっと一曲一曲に味を出したいと思ってるんだけどね」と彼。
 「そうそう、自分なりの味を出すって大切だよね。私は最近、楽譜通りに上手に弾くより、その曲に自分の想いや物語性を意識して弾くことにすごく興味があってね」と私も答えました。
 すると彼、
 「あ、そう言えば君がよくアップしているfacebookの写真、いつもストーリー性があるなぁ、と思って見てるよ」と、写真の話しになりました。

 実は私、facebookをやっていて、『本日の「緑のある風景」』というタイトルで身の回りのちょっとした緑や自然の寸景をアップしているんです。彼はそれをよく見てくれているようでした。あ、そう言えば彼は写真も趣味で、毎年の同窓会芸術祭には素敵な写真を出品されています。

 「そうそう、音楽もそうだけど、写真もそう。モノや風景を綺麗に撮る、っていうんじゃなくて、ちょっとした光と影や、何でもない道端の草でも、ちょっと見方を変えると全く別の世界が見えてくるよね。そんな写真を撮りたいと思っているんだ」と私。

 そんな話をしながら、写真もピアノも、自分の中では全く同じ感覚の世界なんだなぁ、ということに気が付きました。

 そう言えば、最近読んだあるメルマガにこんな記述がありました。
『……音楽は言ってしまえば数字のマジックです。 例外は色々ありますが、基本的には「12音の音列」と「一拍をいくつかの数字で均等に割ったリズム」の組み合わせでできています。こうかくと血も涙もない感じがしますが、(笑) 実際に音楽そのものと言うのはそういうものなのです。……
 ……論理的で矛盾なく作られた曲や組み合わせに人が感情をこめることで歪みが産まれる。その論理と感情が最高のバランスで両立した時、まさに人はアートを感じるのだと思います! そしてその瞬間、伝わらないはずだった感情が伝わります!』と。
 (斉藤彰広メルマガ・これジャムより)

 なるほど。音楽の理論は曲の根底を形作っている大切なものだけど、それだけだと伝わるものが無い。そこに演奏者の感情を込め、理論と感情がバランスよく両立した瞬間に、ストーリーが生まれ、人に伝わる音楽になる、ということでしょうか。

 私はまだまだ理論もテクニックも道半ばですが、そんな中でも理論と感情のバランスを見極めながら音楽に自分の想いや物語を込めていく楽しみを広げていけたらと思います。

 (注:私のfacebookは本名の「鮎川久雄」で登録しています)



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 毎日、暑い日が続いています。先日は35度以上という真夏日のところもあったみたいですね。いやぁ、すっかり夏の日差しです。
 昼休みや、仕事でちょっと出掛けた帰り道などに、短い時間ですが緑のある川の畔や公園などをよく歩いているんですが、これからは暑くてそれもなかなか難しくなりそうですね。
 それでも、新緑が次第に深緑に変わっていくこの季節。身の回りの自然の変化を少しでも感じられたらと思います。

 
−an 弾手−

第645回 「素敵な音楽のある時間・空間でした」 [2017.5.30]
 見下ろすと、紫、白、黄色、たくさんの花しょうぶが小さなせせらぎの両側を帯状にびっしりと埋めています。菊池川の横を堤防ひとつ挟んで流れる高瀬裏川。その両岸は一面の花しょうぶの波です。

 今年も行ってきました。高瀬裏川・花しょうぶまつり。
 熊本以外の方には不案内かも知れませんが、熊本県玉名市の菊池川沿いに流れる小さな川、高瀬裏川。そこには江戸時代にできた石橋・高瀬眼鏡橋があり、その周辺が高瀬裏川水際緑地公園になっています。一帯には川沿いに約65,000本の肥後しょうぶが群生していて、5月下旬から6月上旬にかけて見頃になります。
 私は毎年この時期に行っているのですが、今年も一昨日の日曜日、お天気が良かったので行ってみたのでした。

 古い石橋が川をまたぎ、その下を流れる高瀬裏川とその両岸をビッシリ埋めた緑の葉、そしてそこに咲くしょうぶの花。いかにも日本的な美の風情が漂います。
 そんな風景を見ていると、まあ、気持ちの中にはいつの間にかピアノの世界が広がっていくan弾手なのでありました。

 サワサワサワと流れる川の音は心地よいリズム、緑の葉っぱの上一面に点々と咲く花は、まるでメロディーを奏でる音符のように見えます。そして、紫、白、黄色の色模様はまさしくハーモニー。目の前の風景が美しい音楽を奏でています。
 私はいつもピアノを弾く時、その曲からイメージされる物語や風景を思い描くようにしていますが、この日はその逆、まず風景があって、そこから曲を思い描く、というシチュエーションになりました。いえ、具体的にそこで曲が浮かんだ訳ではありませんが、このような素敵なシーンに身を置いた時、漠然とでも曲をイメージする習慣を持つのはいいことだと思うのです。そうすると、逆に曲を弾く時も、自然と物語や風景がイメージ出来るような気がします。

 さてさて、そんな気分に浸りながらも、「ちょっとお腹減ったなぁ」とランチでも食べれそうな店を探して川の裏に続く小さな商店街の道を歩いていたら、「裏乃カフェ」というお洒落な店を見つけました。で、入口の横に「小さなお子様連れお断り。当店は静かな音楽のある空間で大人の時間をお過ごし頂いております」というような表示があるではありませんか。
 へぇ、「音楽のある空間」「大人の時間」、いいじゃん!
 さっそく入ってみました。緑の木々や川の方が見える全面カラス張り。打ちっぱなしのコンクリートと木質の床や柱やテーブルを組み合わせた空間。奥には高級そうなオーディオ装置があって、静かにボサノバの曲が流れていました。
 「あ、オーディオ装置か。ちょっと残念……」
 え? 何が残念かって?
 いえね、ひょっとしたら生ピアノがあって、ずうずうしくもan弾手の飛び入り演奏なんかが出来はしないかという、儚い妄想が消えた瞬間だったのでした(笑)
 とはいえ、静かな大人の空間で、美味しいランチを頂くことが出来ました。

 美しい風景がまるで音楽を奏でているかのような高瀬裏川の花しょうぶ、そして大人の空間に静かな音楽が流れていたお洒落なカフェ。
 どちらも素敵な音楽のある時間・空間を楽しませてくれたひと時でした。



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ちょっと、ひと言。

 家の近くの麦畑。先日まで「麦秋」の風景が広がっていました。すっかり茶色に色付き、穂を垂れ、風に揺れる様子はまるで秋のイメージですが、夏の季語なんですね。そんな麦畑も、もうすっかり刈り取られてしまいました。
 明後日から6月。いよいよ梅雨ですね。やがてジメジメとした毎日がやって来るのでしょうか。そんな雨の日には雨の日なりの楽しみが見つけられたらいいのかな、と思います。

 
−an 弾手−

第646回 「海の向こうの宝島を目指そう」 [2017.6.20]
 ピアノの練習をしていて、辛くなったことはありませんか?
 子供の頃ピアノ教室に通っていたけど、練習が辛くてやめてしまった、という大人の人はよくいますよね。私はそういう経験(子供の頃のピアノレッスン体験)がないので想像でしか分かりませんが、確かに毎回課題があって必死にやってもうまくいかなくて時には厳しい先生に叱られて、などが続くとイヤになるかも。
 その点、大人になってからの趣味のピアノはマイペースでやることが出来るので楽しいですよね? とは言っても、やっぱり練習が辛くて〜、と思うことはあるかも知れません。
 
 楽しもうと思って始めたはずのピアノが辛くて重荷になる、って理不尽だと思いませんか?
そんなことを思っていた先日、とあるメルマガで面白い記事を目にしました。それは楽器の練習における「目標設定」について。
 普通「目標設定」というと【山登り】のように、高みを目指して日々の目標をクリアしていく。ちょっと気が利いたものになると、頂上を決めて、そこから逆算して今目の前の目標を設定する。もちろん【山登り型】が間違っている訳ではありません。でもこのやり方だととても大変! 登るのはもちろんですが、何が一番大変って、頂上まで登り切った後、降りなきゃいけないのが大変! そこでモチベーションが一気にダウンします。ライブ本番まで必死に楽器練習したのに、終ったあとは、2,3カ月平気で部屋の隅に放置したことある人が、いないとは言わせません(笑)
 そこで【川下り型】に発想を変えます! ボートにのって川を下るイメージです。川は必ず大海に繋がっています。世界が広がっています! そして、その大海にたどり着く条件はたった一つ。【ボートを降りないと決める事!】ボートを降りさえしなければ、自然と大海までたどり着くのです! もちろん途中、風雨に襲われたり、激流があるかもしれません。そうしたら、そこは上手くよけたり、かわせばいいのです。音楽ならば、誰になんと言われようと、うまくかわしながら【楽しみ続ければ】いいのです! 超簡単(笑) 目標設定をいくらやっても結果が出ない。または続かない。こんな悩みはもしかしたら【川下りではなく山登りだったから】なのかも知れません……(斉藤彰広・これジャム)より引用
 なるほど。これを私流に解釈すると、プロを目指す人は別として、私たち大人の趣味のピアノでは、高みを目指して必死に山に登っていくより『音楽のボートに乗って川を下る』。
 気負わずにボートを漕ぎながら、目に映る河岸の風景や季節の移ろいに心洗われ、水の音、水鳥の声にインスピレーションをかき立てられ、次々と目の前に広がっていくこれまで知らなかった未知の世界にときめいていく。そんなピアノライフが楽しめたらどんなに素晴らしいでしょう。
そして、やがて目の前に見えてくる大海。そこにはこれまで知らなかった新しい音楽の世界が限りなく広がっているかも知れません。
 そして、ここでちょっと強引ですが。
 そんな大海原の向こうにある新しい音楽の世界を、「音楽の宝島」と呼ばせてもらっていいですか(笑)。
 その宝島には、一体どんな素敵な世界が待っているのでしょうか。

 ……というところで今週のan弾手コラムは終わるのですが、このあとちょっと付け足しをお許しください。
 「宝島」というと実際にはおとぎ話の世界のようですが、現実に「宝島」が存在するのをご存知ですか? 鹿児島県十島村のトカラ列島のひとつ、「宝島」です。実は私が大学生の時、サークル活動の探検部でこの「宝島」に渡りました。先発隊3週間、本隊2週間の活動でしたが、目の覚めるような碧い海と手の届きそうな所を泳いでいる熱帯魚、砂丘のような砂浜、うっそうと茂る緑、草原には小さなトカラ馬、総勢250人程(当時)の島民の人たちの穏やかな暮らしと笑顔、そして先史時代から歴史時代に至るまで日本列島と中国、台湾、東南アジアを結ぶ歴史の痕跡が残る鍾乳洞や遺跡。それはまさに「宝島」と呼ぶにふさわしい別世界でした。
 今回書いた「音楽川下り」の先にも、そんな素敵な未知の世界が見えてくるかも、と妄想してみるのもアリかもです。

 そして、ここで【お知らせ】です!
 このトカラ列島の「宝島」が今週6月24日(土)夜9:00〜、TBS系のテレビ番組「世界ふしぎ発見」で取り上げられるそうです。番組内では他の離島の紹介もあるみたいなので「宝島」そのものはあまり長い時間ではないかもですが、よかったら観てみてください。私もウン十年振りに「宝島」の素敵な風景を、皆さまと一緒に楽しめたら嬉しいです。



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 コラム更新、2週間のお休み失礼しました。また戻ってまいりました。引き続きよろしくお願いいたします。
 ところで、そんな2週間前に梅雨入りした熊本の空、ずっといいお天気が続いていましたが今日あたりからいよいよ梅雨らしい空模様になりそうですね。
 雨は降り過ぎても困りますが、梅雨に雨が降らないのも色々と影響がありそうですからね。待ちに待った(?)というか、適度の雨を期待しましょう。しっとりと雨に濡れた紫陽花の花が、しばらく楽しめそうです。

 
−an 弾手−

第647回 「自然のドラマにふさわしい音楽が降りてくる?」 [2017.6.27]
 うっそうと茂る森。その中に続く小さな道。木漏れ日が緑の隙間から差し、苔の生えた大きな木の幹にはツタの葉がグルッと絡まり登っています。
 久し振りにここに来てみました。いえ、そう大袈裟な場所ではないんですが、自宅から歩いて30分程の某大学キャンパス内にある「みんなの森」。周りは開けた場所ですが、この一角だけひと気の無いうっそうとした自然が残っているんです。

 胸の高さ程に生い茂った草、その中に続く黒い木々の幹、日差しを遮るように頭の上いっぱいに茂った木の葉。そんな空間に佇んでいると、目の前に姿の見えない妖精(?)がたくさん潜んでいるような気がして、頭の中には何となくそれらしい音楽が聞こえてくるような気がするんです。
 まあ、そこで素敵なオリジナル曲の一つでも出来たらいいんでしょうけど、なかなかそこまではいきませんが(笑)。

 情景を見て音楽が浮かぶ。逆に、音楽を聴いて情景をイメージする。どちらも音楽と情景とが繋がる瞬間。映画やテレビドラマの背景に流れてくる音楽もまさに同じですね。
 そんなことを考えていたら、このコラムのだいぶ以前のバックナンバー第372回「テレビやラジオ番組のBGMからフレーズネタを書き写してみる」を思い出しました。
 その時は、一ヶ月後に迫った語りライブ『夢十夜の一夜』で、プロの朗読にあわせて私がバックでピアノを弾く、というステージ出演準備の楽屋裏ネタで書いたもので、テレビを観ながらそのバックに流れてくるBGMを意識し、使えそうなフレーズを耳コピーして楽譜に起こしフレーズネタの参考にする、という話でした。

 今回思ったのは、これをもう少し発展(?)させてみたら、ということ。
 どんなことかというと、テレビを観ながら音声を消してしまうんです。すると、ドラマの映像だけが流れていきますね。そんな映像を観ながら、そこにピッタリ合う音楽(メロディー)を自分流にイメージしてみる。それは森の中で妖精の気配を感じながら音楽を思い浮かべるシチュエーションと似てるかも?

 そして、音の無い映像を観ながらそこに音楽を描いていくというのは、まさに映画音楽作曲の手法と同じ。そういえば、コラム第623回「映画音楽作曲実践?」に書いていますが、去年受講した『シガケイコのトキめく映画音楽講座』最終回の、プロの映画音楽作曲の現場で、音の無い映像を観ながらそこにリアルタイムで音楽を付けていくという作業と同じなんですね。

 最近はテレビのドラマなどを観ながら、バックに流れてくる音楽に「なるほど」と納得するだけでなく、時々音声を消して映像に合う音楽(フレーズ)を頭の中でイメージしてみたりもしています。

 それは、自然の中を歩きながら、目の前に広がる自然のドラマにふさわしい音楽が浮かんで(降りて?)くるのを楽しむ状況と、似ているところがあるかもですね。



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 今日は6月27日。昨日が6月26日でした。…って、読者のほとんどの方には何のことか分からない話でしょうが、毎年この日が来ると思い出します。
 熊本で6月26日と言えば、「6・26(ロク・ニイロク)の大水害」。昭和28年6月26日深夜、熊本市中心部を大水害が襲い、たくさんの犠牲者が出ました。当時物心付いたばかりだった私の家も浸水、深夜に水が流れ込んできた家の中で寝ていた私等子供を起こした父と母が、木造平屋の大きな梁の上に私等を避難させ、朝になるのを待って、子供を背負って膝まで水に浸かりながら近くの小学校まで連れて行ってくれたこと、そしてそこの体育館での避難生活。やがて帰宅してからも、水が引いた家の中や、庭、家の前の道路一杯にうず高く積もった阿蘇火山灰の土砂を、毎日毎日リアカーに積んで運んでいたモンペ姿の母。親にとっては不安で辛い毎日だったでしょうが、小さな子供の私には何の恐怖も不安もなく、そんな両親の姿を見ながら穏やかに過ごした毎日でした。
 あの、危険で辛い状況の中、小さな子供に少しも不安な思いをさせないように接してくれた両親には今でも感謝です。もう二人とも遺影の中の人ですが。

 
−an 弾手−

第648回 「楽譜整理、第4のパターン?」 [2017.7.4]
 久しぶりに楽譜の整理をしました。自分がピアノを弾く時のための楽譜です。
 私の楽譜の整理にはこれまで3つのパターンがありました。

 1つ目は買い置きしている何冊もの曲集。自宅で弾く時など、弾きたい曲が載っていそうな曲集(本)を取り出し、載っているページを開き、ピアノの前に立てて弾く。そんな本がピアノの横の本棚にドサーッとあります。

 2つ目は、そんな曲集からよく弾く曲のページをコピーし、所々に自分流のアレンジとか、イントロ、間奏のコード進行メモなどを書き込んだもの。

 3つ目は、これまで色んな所できちんとプログラムを組んで演奏させてもらった時に、その時の演奏内容にそって必要な楽譜のコピーを順番に並べてファイルノートに入れたもの。演奏の合間のMCネタや、進行時間(この曲は何時何分何秒に弾き始め、弾き終わったら次の曲との間で時間調整の意味も含め、何分何秒ほどMCやコード進行のアドリブ演奏を入れるか……つまり、次の曲を何時何分何秒に弾き始めるか)などのメモも書き込んでいます(ライブ前の準備では結構この時間確認シミュレーションが大変ですが)。
 演奏中は小さなデジタルウォッチをピアノの上に置いていて、この進行時間メモを見ながら予定時間ピッタリにステージが終われるようにします(誤差60秒以内)。

 これまで何回もそんな演奏をさせてもらっているので、そんなライブ毎のファイルノートがあり、同じ曲が複数のファイルにダブっていたりもします。ステージが終わる度に楽譜をバラしてもいいんですが、各ファイルの最初にその時のステージの日時、場所、プログラムなども入れているので、後で見て記念や参考になります。

 で、今回整理した、というのはもうひとつ、第4のパターンです。
 上の第3のパターンでは、違うファイルにも同じ曲があったり、あの曲の楽譜を見たいと思ってファイルを開いても、そこにその曲が入っていなかったりするので探すのが面倒。
なので、自分が人前で弾いたことがある曲全てをジャンル分けして統一したファイルにしておけば便利かと思って。というか、これまでそんなファイルを作っていなかったことの方がおかしいですけどね。

 改めてこれまで人前演奏で使った全ての楽譜をコピーし、ジャンルごとに整理分類して新しいファイルノートに入れてみました。なお、ファイルのサイズはA5。上記第3のパターンもそうですが、事務系でよく使うA4ではなく、ひと回り小さいA5です。見開きに開いてA4の横長サイズになります。これは、人前演奏の時に大きな楽譜を大げさにピアノの前に立てたくないのと、リードシートやコード進行だけの楽譜(メモ)だとA5サイズで十分使えるからです。

 やってみたら、ジャンルと曲数は洋楽系で約30曲、日本の抒情歌系で約40曲、J-POP系(フォーク系も含む)で約20曲、アニメやテレビテーマソング系で約10曲、総数100曲程度でした。
 これまで、これらの曲をイベントやステージなどで演奏していたことが自分でも改めて確認できました。

 これから、自宅での指慣らしピアノでもこのファイルを使うと便利そう。
 ところで、出来たファイルノートをパラパラッと見ていたら、ある面白いことに気が付きました。……っと、長くなるのでその話はまた来週にでも。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 先週のこの「ちょっと、ひと言」では、うっとうしい梅雨空にちなんで「6・26(ロク・ニイロク)熊本大水害」の話を書いたんですが、それから一週間も経たないここ数日、熊本の空はもう梅雨明けしたかと思うような夏空が広がっていました。
 と思いきや、今度は台風(3号)がやって来るみたいですね。九州(熊本)直撃?
 適度な雨は歓迎ですが、どうか被害が出ませんように。

 
−an 弾手−

第649回 「コード進行に、イメージの中でメロディーを重ねてみる?」 [2017.7.11]
 前回(先週)のコラムで、久し振りに手持ちの楽譜の整理をしたという話を書きました。これまでは、自分が過去に出演したステージで弾いた曲を各ステージ毎のプログラム順にまとめ、それぞれファイルノートに入れて保管していたのですが、今回、それをあらためて曲のジャンル毎に整理し、別ファイルにしてみたという話でした。

 で、そのコラムの最後に
 『ところで、出来たファイルノートをパラパラッと見ていたら、ある面白いことに気が付きました。……っと、長くなるのでその話はまた来週にでも』
 な〜んて、もったいぶった終わり方をしていましたが。

 今回、ジャンル毎(洋楽系、日本の抒情歌系、J-POP系、アニメやテレビテーマソング系など)に整理した楽譜をパラパラ見ていたら……。
ここ数年間弾いていない曲とか、ほんとにコード進行だけしか書いていないメモみたいな楽譜(?)もあって、見た瞬間は音符が無いので「えっと、これってどんな曲だったっけ?」と思うのですが、コード進行の響きをイメージしてみるとすぐにその曲のメロディーが浮かんできて、ピアノで音を出さなくても曲が聴こえてくるような気がしたんです。

 そういえば、普段は「ピアノを弾く目的」で楽譜(リード・シートやコード進行メモ)などを広げ、それを見ながら鍵盤で音を出すのですが、今回、楽譜(コード進行)を見るだけで鍵盤に触れなくても、結構それだけでも楽しめるものなんだな、っていうことに気が付いたのでした。

  例えば、これ。



 一見「(メロディーを弾かない伴奏などの)コードバッキング用?」と思われるかもですが、実際はメロディーも入れたピアノソロを弾くために書いたものです。もちろん、これまで全く弾いたことがない曲だとこれだけ見てもメロディーは浮かんでこないでしょうが、以前に自分が弾いた曲であれば「ああ、あれか」と思い出し、頭の中でメロディーを想像しながら目でコード進行を追っていくと、その時々のメロディーとコードの響きの変化が一体になって浮かんできます。但し、このメモでは曲の出だしが分かりやすいように、フレーズの最初の特徴ある8分音符の動きのイメージだけは書いています。そのあたりは臨機応変です。
 (手書きのザッとしたメモですみませんが、このように繰り返し記号やコード・ネームを大きく目立つように書いておくと、薄暗いライブ会場などでのチラ見でも分かりやすいんです)

 このコード進行メモの元ネタは、拙著「お父さんのためのピアノ曲集・コードで弾く憧れの洋楽スタンダード」(ドレミ楽譜出版社)に掲載している楽譜です。
 (そのリード・シート楽譜がこちら)



 この、メロディー音符が書いてある楽譜(リード・シート)を見ると、どうしても目は音符に行きがちなのですが、先のコード進行だけのメモだと、イヤでもコードを意識します。すると、コードが変化する所で和音の響きが変わり、そこにメロディーラインが乗ってくるイメージがよく分かるんですね。

 単にコード進行の理論として 
 C/Am/Em/F
 を見る場合と、これに自分が知っているメロディーを頭の中で重ね合わせながら見る場合では、コードの響きのリアル感がこんなに違うものかと、改めて認識したのでした。

 他の曲でも、同じようにコード進行のメモにイメージの中でメロディーを重ねてみることで、メロディーの動きとコード進行の関係を《感覚的に》はっきり意識できることが分かりました(何を今さら、感もありますが…)。
コード進行の学習(理屈だけじゃなくて感覚的に認識)をするのに、ひとつの方法になるんじゃないかという気もします。

 皆さんも機会があったら、色んな曲で試してみてください。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 このところ、このコーナーでも梅雨の話題が続いていますが。
 先週、台風3号のことを書いたら、それからほぼ一週間、九州北部や西日本にかけて、大雨による土砂崩れ、河川の氾濫などのニュースが続いています。皆さまの所は大丈夫だったでしょうか?
 私が住んでいる熊本市でもここ数日、雷や豪雨などがありましたが、今のところ身近にはそれほど大きな被害はありません。でも近くの福岡、大分などでは甚大な被害が出ている所があるみたいで心配です。もうしばらくはこんな天気が続きそうですので、どうぞお気を付けください。

 
−an 弾手−

第650回 「実は、体調不良で〜」 [2017.7.18]
 実は……

 このところ2ヵ月以上ピアノにほとんど触っていません。それまではほぼ毎日、夜の30分〜1時間は弾いていたのに。
 どうしてかと言うと……体調不良で。

 すみません、自分の体調の事とかここに書いてもしょうがないんですけどね。
 その発端はもう1年前。ある朝起きたら、両足の太ももを剣山で叩かれている様な激しい痛みで歩けない状態。何が起こったのか分からず、そのまま横になって少し落ち着いてからある総合病院へ。とりあえず整形外科。レントゲンとか撮られましたが、結局「異常なし」で痛み止めの薬をもらっただけ。
 その後も体のあちこちに痛みが出てきて、素人なりに「もしかしてリウマチ?」と思い、別の総合病院のリウマチ科へ。血液検査のあとリウマチの薬を処方され、それを飲み出したらしばらくして痛みは段々消えていきました。
 その後、病院の都合でその担当医の先生が転院されることになり、もう痛みも感じなくなっていたので私もそのままにしていました。
 ところが数ヵ月後、また体のあちこちが痛み出し、数日周期で痛みが出たり消えたり全身に移動したりするので、ネットで症状を検索したら似た症状に「線維筋痛症」というのがあり、今度はあるペインクリニックへ。

 それまで肩や足は痛くても手指は痛くなかったのでピアノは普通に弾けたのですが、この頃から手首や指も痛くなりだし、とうとうピアノが弾けなくなったのでした。
 「せっかく毎日ピアノに触って指慣らししていたのに、こんなに1ヵ月以上も弾かなかったら指が動かなくなっちゃうんじゃないかなぁ」と心配になり、3週間ほど前、あまり指が痛くないタイミングでちょっと弾いてみました。

 そうしたら。
 自分が心配していたより普通に弾けてホッとひと安心! よかった。
 とは言っても、その後も痛みが指や手首に移動したりすることもあって、またしばらくはピアノお休みしていました。
 前回のコラムで書いた「コード進行に、イメージの中でメロディーを重ねてみる?」の方法、実はピアノの鍵盤に直接触れないでピアノの演奏感覚を体感できる方法として、このところ自分で効果を確認したところでした。

 まあ、ピアノよりまずは体調を回復するのが先決ですが。今のところやや症状はおさまりつつあるので、早く完治できれば、と思っています。

 すみません、今回は変な話で大変失礼しました。
 症状がひどい時はとてもその話をこのコラムに書く気にはなれませんでしたが、少し治まってきたのでご報告までに書いてみました。

 またぼちぼち、バーチャルだけじゃなくてリアルピアノにも触れていきたいと思います。



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ちょっと、ひと言。

 真夏のような猛暑と、突然襲ってくる激しい雷雨。このところ日本全国、厳しい(激しい)天気が続いていますが。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 暑い休日の午後、庭に茂った木の枝を見ていたら、葉っぱの陰にセミの抜け殻が。よく見ると、あ、あっちの枝にも、こっちの葉っぱにも。
 そう言えば、朝からうるさいほどセミが鳴いています。セミの抜け殻のことを「空蝉(うつせみ)」というそうですが、暑くて騒々しいセミの声を聞きながら「空蝉」を目にすると、どことなく命の儚さを感じてしまいます。
 時はすぐに過ぎていく。

 
−an 弾手−
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