穏やかな昼下がり。小さな漁村の入り江に係留された漁船の上で、長い竹竿に日の丸と大漁旗を取り付け、船の舳先に立てている人影が見えます。
ここは天草・樋島。いつしか我が家の年末の恒例行事のようになった(?)暮れの「天草の旅」で、2017年12月30日もまた、どんな所かも知らないまま天草の小さな島に足を踏み入れてみたのでした。
……と、ご挨拶が遅くなってしまいましたが。
新年明けましておめでとうございます。もう1月9日になりましたが、このan弾手コラム2018年最初の記事です。今年もよろしくお願いいたします。
皆さまの今年の抱負・目標はどんなでしょうか。私は、前回のコラム(2017年12月26日)からお正月を挟んで2週間、その間での思わぬ出会いや体験が、今年の自分の目標に繋がっているような気がしています。
冒頭に書きました天草・樋島への旅。私にとっては初めて足を踏み入れる場所でした。事前にグーグルマップで「天草」と検索し、天草の大矢野島、上島、下島の周りに点々と浮かぶ小さな島の中から、これまで行ったことのない島を探し、何となく「ここに行ってみようか」と思ったのが樋島でした。実はこの「樋島」の読み方も知りませんでした(島に渡って『ひのしま荘』という旅館の看板を見掛けて初めて読み方が分かりました)。
ひっそりとした入り江にズラッと係留された小さな漁船。海を見下ろす斜面に並ぶ民家。そして小さな島の反対側には集落もなく崖と砂浜が続いていました。
そんな初めての島。観光施設など何もないローカルな場所と言ってしまえばそれまでですが、自分にとってはワクワクするような初めて訪れる未知の世界でした。
後で、ある知人(ミュージシャンでピアノ調律師の方)にその話をしたら、何と「樋島には毎年数件のお宅に調律に伺ってますよ」と言われました。更に「龍ヶ岳にも樋島にもピアノの先生がいらっしゃって、天草は音楽がとても盛んな島です。あの青木カレンさんのサポートを務める弱冠23歳のピアニストも天草出身ですよ」と。
何も知らずに渡った天草の小さな島でしたが、そこからちゃんとピアノの話に繋がった(笑)。
そして、1月2日には3年振りに行った熊大探検部のOB会。まだ30代の若い(?)OBの人達と探検への夢を語り合い、1月3日にはこれも急に思い立って行ってみた初めての山「独鈷山」。晴天に恵まれて、広々とした丘から遥か阿蘇や天草の島の一部が展望できました。
1月4日は熊本市現代美術館へ。去年12月2日に私がここで演奏デビューした時にたまたま聴きに来られていた2人の女性のうちの1人がその日ピアノを弾かれると聞いていたので。素敵な演奏の後、またお話しする事が出来ました。以前ピアノ教師をされていたというもう1人の方はコード奏法に関心があるとのことで、コード話で盛り上がりました。次の私の演奏の予定も聞かれ、私も次の出番に向けてちょっと気合いが入りそうです(笑)
そして、1月6日は株式会社童謡主催のコンサート「童謡・歌い初め大会」へ。以前、たまたま私もある所でピアノ伴奏をさせて頂いた歌手の「そがみまこ」さんはじめ、尺八奏者の田島永山さん、箏奏者の吉田佳世さん、そして童謡の演奏グループ・アルエットやDOYO組の皆さんの出演。
会場に入ったら、私がかねてより尊敬している世界的にご活躍の映画音楽作曲家でピアニストの志娥慶香さんとバッタリ。直接お会いするのは久し振りでしたが色々とお話が出来て良かったです。
そして、コンサートでは日本の童謡の数々をそがみまこさんの解説付きで楽しく聴かせて頂き、童謡の奥の深さに改めて気付かされました。
100年前(1918年)につくられたという日本初の童謡「かなりや」。昔から何気なく聴いていた歌ですが、その歌詞の奥の深さに改めて感銘。人生や社会の在り方を歌っているようにも感じました。
このコンサートを聴いて思ったこと。『よっし、次の現代美術館でのピアノ演奏は童謡唱歌シリーズでいこう』(笑)。前回の出番の後で、次は日本の抒情歌でいこうかなぁ、という気持ちはありましたが、これではっきりしました。
すみません、新年早々、何だかとりとめのない話になってしまいましたが。
でも、自分の中では今回ここに書いた様々なエピソードがピッタリ一つのテーマに繋がっているような気がするんです。
それは、常に自分の知らないことへの興味・関心を持ち続けることや自ら動いてみることの大切さ。
年末年始にかけて、まあ、超個人的な話ではありますが、色々動いてみたことで思いがけず天草のピアノ事情を知ったし、探検部の若い刺激をもらったし、初体験の独鈷山で広々とした眺望に出会えたし、世界的に活躍している音楽家と新年のご挨拶が出来たし、童謡の深い意味に改めて触れることが出来たし、熊本市現代美術館での次の演奏の具体的なイメージが湧いてきたし。
ちょっと大げさですが、私の今年のテーマは『果てしなき未知への飛翔』にしようかと。
これは私が学生時代、熊本大学に探検部を創設した時、部誌第1号に書いた言葉の一部です。
改めてこの言葉を思い出しながら、今年も『未知への飛翔』を続けていけたらと思います。
(続く→原則毎週火曜日更新)
an弾手(andante)
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