第411回「小さな郊外のレストラン」

[2012.8.28]

 「今日は何か楽譜持ってきてる?」
 バンドマンが、その日初めて一緒に合わせるという女性ヴォーカリストに声を掛けます。
 「はい、楽譜は沢山持ってきましたけど」
 ヴォーカリストが抱えてきた重そうなバッグを開けると、中から分厚い楽譜のファイルが何冊も。
 「近くにコピーできる所あるかなぁ?メンバーの分の楽譜がいるんだけど」
 とバンドマン。
 「あ、同じ楽譜が4〜5枚ずつはありますよ。バンドのメンバーさんの分、足りますか?」
 とヴォーカリスト。
 「おっ、さすが!分かってるね。ヴォーカリストはそうでなくっちゃ」

 その日私は、以前ある所で顔見知りになったおじさんバンドの人たちが演奏しているという、郊外の小さなレストランを覗きに行ったのでした。実際に演奏を聴くのはその日が初めて。
 後で聞いたのですが、そのバンドのメンバー、2人は私と同じ歳。別の2人はもっと(かなり?)上で1人は少し若い?平均年齢で言えば確実に私より上だ。見た目もバラバラだし結構老けて見えるし(あ、失礼っ!)、どんな演奏になるのかなぁ、と思っていたら。

 演奏が始まってびっくり!カッコいいじゃないですか!
 ピアノ、ベース、ドラムに、テナーサックス、フルート、という編成で、本格的なジャズ。初めて合わせるという女性ヴォーカリストがその場で選んで今渡したばかりの楽譜を見ながら、いきなり見事に息の合った演奏。途中、ピアノ、サックス、フルート、とアドリブでソロを回す所もお互いのちょっとしたしぐさや目線だけで、まるで事前に打合せしていたかのようにつないでいきます。まあ、所々で『次は誰〜?』『エンディングはどこ〜?』みたいなお見合いも少しはありましたが、そこはご愛嬌。いきなり渡された小さな文字のリード・シート(この人たちはCメロ:ツェーメロ、って言ってましたが)を演奏前に全く見る時間もなく、初見であれだけ合わせるって、これはプロだなぁ、と思ったのですが、演奏後に話を聞いたら、ホントにプロでした。

 テナーサックスの人は古くから熊本の某有名キャバレーで演奏していたとか。ドラムの人は若い頃、東京で高橋真梨子のバックもやったことがあるとか。一番高齢のピアノの人も、今も週何回かクラブで演奏しているらしい。
 「いやぁ、俺達歳はとってるけど、今さらゲートボールはやりたくないし、こうやってみんなで集まって音楽やっているのが楽しいからね」
 と話してくれた、平均年齢が私より上のおやじバンドの皆様。元気をもらいました!私も負けちゃおれん!って、演奏は次元が違う位、完全に負けてますが(汗)。
 いやいや、演奏のレベルは置いておいて。その心意気!見習わなければ。

 私の場合はほとんどソロなのでセッションの醍醐味とは少し違うのですが、それでもやっぱり「人前ピアノ」ですよね。
 その場の人たちと音楽で時間、空間を共有する楽しみ。これからも目指していきたいなぁと改めて思わせていただいた、小さな郊外のレストランでした。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 あんまりカレンダーのことは書きたくないのですが。そうは言いつつカレンダーを見たら、もう8月も終わりじゃないですか!はやっ。ここに七夕のこと書いたのいつだったっけ?もう8月!なんて書いたのいつだったっけ?ふぅ。
 まぁ、時の流れは速くても、自分をしっかり持って毎日を楽しんでいくことですかね。
 ところで台風15号、私のところはあまり強い風も吹かずにかすめていったようですが、14号も近づいていますね。皆様のところはいかがでしょうか。そういえば今週金曜日は二百十日なんですね…。あっ、またカレンダー見てる(爆)

 
−an 弾手−


第412回「好奇心とフットワーク」

[2012.9.4]

 ホテルのロビーに入って本日の催し物ボードへ目をやります。月一回開かれる異業種交流会の部屋を確認していると。
 「あら、こんにちは!」
 奥の受付の方からこちらに歩いてくる1人の女性。久し振りに会うヴォーカリストさんだ。
 実はもう1年以上前のこのコラム第351回「続ける、ということ」に書かせていただいた人。そしてその後は去年12月に私も出演した「語りライブ。夢十夜の一夜」を聴きに来てくれて以来だと思うので、会うのは半年以上振りです。
 「今日は何事?こんな所で」
 「ええ、私結婚する事になったんです。今日は衣装の打ち合わせに来てました」
 「わぁ、そうなんだ!?それはおめでとう!」
 そのまま立ち話でしばらく言葉を交わして別れます。
 「また、そのうち、素敵な歌を聴かせてね!」

 …で、今回のコラムはそれとは全く関係のない話なんですが。でも何となく音楽系の気分になって参加したその日の異業種交流会例会。会員は日頃なかなかお会い出来ないような立派な会社の経営者の皆さんですが、この会ではみんな実に気さくに友人のような雰囲気で話が出来るので、私のような者でも参加させてもらって嬉しいです。

 ここに来ていつも感心するのは、皆さん幾つになっても好奇心が旺盛なこと。
 その日隣の席になったのは世界で活躍されている、ある生産設備開発メーカーの社長さん。話をしているうちに、ウェークボードの話題から音楽の話へ。それも見たり聴いたりの話じゃなくて自分でやるって話し。ウェークボードとはスノーボードの水上スキー版みたいなやつ。もう還暦過ぎの社長さんたちが定期的に船で海に出てウェークボードで海上を滑走するっていうんですからそのバイタリティーにはビックリです。実を言うと私もだいぶ前から何度も誘われていてですね。でも海が苦手な私はずっと理由を見つけては逃げてるんですが(汗)

 話を戻しましょう。音楽の話でした。
 「私は趣味でフルートをやってるんですがね。フルートって吹きながら自分で歌えないでしょ。それがちょっと不満で」とその社長さん。
 「え?吹くだけじゃなくて同時に歌も歌いたいんですか?(欲張り:笑)確かにフルート吹いている時は口が塞がってますよね〜。だったらピアノ弾けばいいじゃないですか。弾き語りとか」
 「おお、いいねぇ。とりあえず電子ピアノでいいかなあ。社長室に置いてみるか。でも、弾けるようになるだろうか?」
 大丈夫!お任せくださいませっ!(笑) an弾手のコード奏法でバッチリですよ!

 という訳で、コード奏法の話をひとしきり。
「ちょうど今、次の新しいコード奏法の本を進めているところですから。出版までにはもうちょっと掛かりそうですが、刊行になりましたら社長に1冊謹呈しましょう!」

 いつも、いい意味で子供のような好奇心と軽快なフットワーク感にあふれた、この会の空気。そしてその日はロビーで会ったヴォーカリストさんの幸せ一杯の笑顔と隣席の社長さんとのピアノ談義と、ちゃっかり自分の本の宣伝まで。
 すっかりテンションが上がったその日の例会でした。



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ちょっと、ひと言。

 先週末8月31日の夜。たまたま空を見上げたらキレイな満月が懸かっていました。聞くところによると、その満月はブルームーン。ひと月に2回満月がある時、その2回目の満月をブルームーンと言うそうで、めったに起こらないまれな現象ということから、見ると幸せになれるんだとか。
 さて、どんな幸せがやって来るのかなぁ。楽しみ。

 
−an 弾手−


第413回「プロの爪の垢」

[2012.9.11]

 もう1年振り以上かなぁ、ここに来るの。裏通りのビルの2階の小さなピアノバー。
 ホテルの宴会場で開かれた「鯨料理を楽しむ会」で鯨料理を楽しんだ後、流れで寄ってみたのでした。何しろその日は日曜日。夜の街はお休みの店が多いのですが、たしか以前にここは年中無休、って聞いたような記憶があって。

 ドアを開けるとこじんまりとしたカウンターにいつものマスターとママ。店の奥にはグランドピアノ。でもお客さんは誰もいません(やっぱり日曜日だしな)。
 「久し振りです〜」と言いながらカウンターに掛けます。
 注文したカクテルが出てくる頃、あ、お客さんだ。二人連れ。同じカウンターの少し離れた席に掛けます。少ししたら、あ、今度は一人のお客さん。しばらくしたら、今度は男女二人ずつの四人グループ。わっ、狭い店、急に混んできたぞ。

 やがて、マスターがピアノの所に行きます。お洒落な曲が流れ始めました。うん、久し振りに聴くけど、さすがにカッコイイなぁ。耳馴染みのある洋楽のスタンダードが小さな店内に流れていきます。
 するとカウンターの中にいたママが私の方を見てひと言。
 「あなたのピアノって、まだ聴いたことなかったよね?」
 「えっ、ウソ!?印象薄いから忘れたんでしょ」
 私が以前来た時に「ピアノやってます」と言ったのは覚えていてくれたみたいですが、一度ここで弾いたのはすっかり忘れられちゃったか。
 (弾いた証拠に、このコラム第341回「ありがとうございます!」にその時のエピソードを書いてますって:笑)
 でも、今日はお客さん同士の会話が盛り上がってるし、マスターのカッコイイ演奏もあってるし、私が弾く空気じゃないなぁ。

 弾き終わったマスターがまたカウンターの中に入ると、他のお客さんと今の演奏の話題。
 「マスター、いつ聴いてもカッコイイねぇ。それにしても、あんな沢山の曲、よく間違えずに弾けるよね」

 ―――さて、これに対するマスターの答えが、今日のコラムのテーマです〜。

 「いやぁ、何はともあれ、プロは間違えずに弾くことが一番大切でね。カッコよく弾くのはその次だから。どんなにカッコよく弾いていても、ポロッと間違ったらそれで聞いてる人はガクッと来ちゃうでしょ。そのために同じ曲を何百回も弾いて練習するんですよ」

 わっ!耳が痛い話しだ!よく人前でポロポロ間違っているan弾手としては。
 こんな会話が飛び交っている中では、とてもピアノの前に行けないじゃないですか。

 自分では、間違っても決して止まったり同じ所を弾き直したりしない、というのはルールにしているつもりですが、絶対間違わない、というのはなかなかハードルが高くて。
 やはり、同じ曲を何百回も弾いて練習する、っていうプロの爪の垢、煎じて飲まなきゃですかね〜。


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ちょっと、ひと言。

 鯨といえば、小さい頃は日常的によく食べていたような気がします。冷凍の赤身をそのままサクサク食べたり、白身のさらし鯨に酢味噌を掛けたり。でも近年は世界的な反捕鯨の流れの中で、なかなか見掛けなくなってしまいました。
 そんな中、一昨日はくまもと鯨料理を楽しむ会・熊本くじら文化を守る会の主催で開かれた第14回の「鯨料理を楽しむ会」に参加して、久し振りにたくさんの鯨料理を堪能してきました。日本古来の食文化である鯨。話を聞くと、これからの未来に向けて単なる「食材」の意味を越えた様々なプラスの要素がありそうです。鯨文化、いい形で復活していったらいいなあと思いました。

 
−an 弾手−


第414回「ちょっと忙しい気分〜」

[2012.9.18]

 このところ、ちょっとan弾手的に忙しい気分です。
 ひとつは、7月末のこのコラムにも書きましたが、次の出版企画。ひと通りの第一次原稿は既に渡し済みで、今、出版社の方で浄書・レイアウトの作業を進めて頂いています。初校が出て来るまでもうしばらく掛かりそうなんですが、その間に表紙のデザインも進めましょう、ということになって、出版社から提案して頂いた方向性をもとに私の方でもデザイン思案中なんです。
 通常なら著者が表紙のデザインもするなんてことはあまりないと思うのですが、実は私の本業がデザイン関係ということもあって、特別に表紙のデザインまで『仕事』として依頼して頂きましたぁ。表紙って店頭での売れ行きにも影響しそうですから、責任重大ですよね。

 でも、もっと本当に重要なのは本の中身。
 知人に「今、7冊目の本の原稿を書いています」と話すと、必ず返ってくるのが「へぇ、今度はどんな本なの?」という質問。確かに、これまでの6冊と何が違うの?というのは素朴な疑問だと思います。でも私に書けるテーマはあくまでも超初心者の方がどうやったらピアノと気持ちよく遊べるようになるか、ということ。伝えたいノウハウはその一点なのですが、それを説明するアプローチは色々考えられます。でもそれを1冊の本の中であれもこれも書いてしまうと読者の方が混乱しそうなので、これまでの本でも出来るだけシンプルに、というのを心掛けてきたつもりです。
 で、今回の本では、これまで複数の本に違うアプローチで書いた内容を出来るだけ整理して1冊のストーリーにまとめてみようか、という構想です。

 イメージとしては、最初の「お父さんのためのピアノ教室」が多少は楽譜や鍵盤に馴染みがある人向けのコード奏法入門書?としたら、昨年発刊の「2週間速習ピアノ講座」は全く初めて鍵盤に触れる人向けの導入編? で、今回のはその両方の内容を要約して1冊にまとめたような構成で、初めて鍵盤や楽譜に触れる人がまずは楽譜を使わずにコードを理解・体験出来、次に必要最小限の簡単な楽譜の知識を加えてコード奏法でシンプルに曲が弾けるようになり、続いてそれを少しバージョンアップしてある程度の応用まで出来るような内容にしてみました。そして最後に、最小限のコード理論に触れて、代理和音を使って自分でコード進行のバリエーションを作ってみることが出来るようなことも、ちょっとだけですが書いてみました。

 今回お声を掛けて頂いた出版社はこれまでのドレミ楽譜出版社や講談社とはまた違う会社なので、そういう意味でも少し違った雰囲気になるかなぁと思っています。
 出版社からは、12月〜1月頃には出したい、というお話しを頂いていますが、さて、どうなりますか。

 それとは別のちょっと忙しい気分について。
少し改まった人前ピアノの予定が10月に2回。まずは10月早々に結婚披露宴で(自分としてはあまり慣れない)歌の伴奏を3曲。歌手2人(とギター)とスケジュールを合わせての事前確認や調整・リハーサルが数回。まだこの後も音響の確認打合せ等が必要ですが、あっという間に日にちだけが過ぎて行きます。
 もう一つは下旬にパーティーでの演奏。こちらはソロなので準備はマイペースで出来そうなんですが、1人で1時間ちょっとの演奏時間になりそう。(ご担当の方との選曲・打合せも必要なのに、まだ何も準備が出来てないっ!)。

 とか何とか言いながらも、声を掛けて頂けるだけでもありがたいことですね。楽しみながら頑張ります!


(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 台風一過。
 でも天気予報によると四国、東海の方では今日も雨? 皆様の所はいかがですか?
 昨日の朝は私の携帯にも熊本市からメールが3本来ました。海岸部の地域に対する「避難準備情報」、「避難指示発令」、「避難勧告発令」でした。私の所は内陸部なので高潮の影響はありませんでしたが、テレビのニュースではかなり浸水している所があるようでしたね。
 このところあちこちで自然災害が多発しているように思うのは気のせいでしょうか。というか、自然災害以外にも色々と騒がしい事が多い世の中で何となく落ち着きませんが、まあ、焦らず、まずは自分に出来るところからきちんとやっていきたいと思います。

 
−an 弾手−


第415回「AKBじゃないけど、卒業公演」

[2012.9.25]

 最後の演奏が終わり、出演者全員が客席に向かって大きく手を振ると満員のホールは割れるような拍手。私も思わずジーンとしてしまいました。

 熊本県立劇場であった「NHK熊本児童合唱団第8回定期演奏会」。その日は団長で指揮者の春日幸雄先生からご案内を頂いて出かけて行ったのでした。演奏会のタイトルからは、普通のカワイイ(?)「児童合唱団」の舞台をイメージしていたのですが…。
 演奏が始まったら。演奏のレベルの高さと本格的なプログラムや舞台演出にすっかり引き込まれてしまいました。

 団員は小学2年生から高校3年生。舞台前列にはまだあどけないような小さな子供達。中後列は中学生から高校生?お揃いのユニフォーム姿で並んだ姿はいかにも「児童合唱団」なんですが、その歌声は美しいハーモニーで本格的でした。

 第1部は普通に童謡や熊本にちなんだ合唱で始まったのですが、その後はこの合唱団の卒団生で元宝塚歌劇団団員の愛那結梨さんによる特別客演でミュージカルナンバーを2曲。
 続いては、重いテーマだなぁと思ったのですが、水俣病をテーマとした作家・石牟礼道子さんの「みなまた、海のこえ」より、合唱組曲「しゅうりりえんえん」。
 『団員は原作の絵本を読み、必死になってこの難曲に取り組んだ』とプログラムにありましたが、水俣の美しい海と自然とそこに生きてきた人たちがいつしか公害病に倒れ、ひとり残された老婆が、海を見下ろす丘に咲く真っ赤な彼岸花の前で、病に侵され死んでいった幼い孫やその両親に語りかける物語。児童合唱団向きとは思えないような難しそうな曲と、寿咲亜似さん(語り座:昨年12月に『夢十夜の一夜』の語り公演で私an弾手にもピアノで共演させて頂いた方)の語りの組み合わせで、重いテーマながら美しく感動的な組曲でした。

 そして第2部は、本格的なミュージカル!
 ディズニーアニメより愛と勇気の物語「ポカホンタス」。舞台装置も照明も出演者(団員)の衣装も本格的で、ダンスありお芝居ありセリフあり、そしてもちろん歌に合唱。とても小、中、高校生が演じているとは思えないような本格的なミュージカルでした。

 時は1607年、イギリスから新世界を目指して大航海に出た遠征隊が難航海の末にアメリカ大陸を発見、そこで先住民と土地を巡る争いになり、遂に戦へと発展するのですが…。
 そんな中、先住民の酋長の娘とイギリス遠征隊の一人の探検家が森の中で出会い、恋に落ちます。やがて二人の愛の力で双方が和解し、遠征隊はイギリスへ帰る事に。
 その時、探検家が娘に「一緒にイギリスへ行こう」と言うのですが、娘は「私はここに残ります。でも、私の心はこれからもずっとあなたと一緒です」と答えます。ちょっと切ないハッピーエンド?のラブ・ストーリーです。

 でも、このコラムの冒頭で「私も思わずジーンとしてしまいました」と書いたのはそこではなく、全プログラム終了後のカーテンコールでのこと。再び幕が上がって、指揮者(団長)の春日先生から、今日この舞台を最後に卒業(卒団)する2人の紹介があった時。その2人とは、遠征隊の総督と探検家を演じた2人でした。高校3年生のその2人がそれぞれ前に出てソロを取りながら、長年の合唱団生活への思いや感謝、後輩への言葉などを織り込んだ歌を団員のコーラスに合わせて歌いました。

 これだけ密度の濃いハイレベルな舞台を、通学の傍らの限られた時間で練習し仕上げるのは大変だったろうなぁと思いながら、最後の卒業公演で主要な役を演じた2人の気持ちを考えると、思わずジーンとしてしまったのでした。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 つい先日までの猛暑がウソのように、すっかり秋めいてきたこの前の日曜日。思い立って棚田巡りに行ってきました。家から車で山都町方面へ。山道に掛かると周りに次々と稲穂の田んぼが見えてきます。途中、広い棚田に真っ赤な彼岸花の咲いている所を見つけて停車。しばらく付近の散策を楽しんだ後、通潤橋へ。橋の近くの五老ヶ滝を眺め(滝壺に虹が架かっていた!)、その奥の丘陵地帯に広がる棚田の中を歩きながら、黄金色に輝く秋の空気を楽しんできました。
 来週から、もう10月ですね。

 
−an 弾手−


第416回「すぐに時間は過ぎていく」

[2012.10.2]

 「みんな明日も仕事だし、そろそろお開きにしましょうか」
 深夜のカラオケボックス。ちょっと疲れてきたかなぁ。
 …って、飲み会の2次会じゃないですよ。その日は一週間ちょっと後に迫った、知人の結婚披露宴での余興演奏の最終打ち合わせでした。

 話は5時間前に遡ります。
 ドアを開けると、そこは結婚披露宴会場。円卓がズラッと並び、右側正面に新郎新婦が座る高砂。その左手奥にグランドピアノ。
 お祝いの余興演奏をする予定の会場へ下見と音響の確認に来たのでした。
 「えっと、ピアノマイクが1本でしょ。それからヴォーカル用のマイクが2本。アコースティックギターの音を拾うマイクが1本、用意できますか」
 会場担当の人にお願いし、実際にマイクをつないでみて音のチェックです。
 ピアノを弾き、ヴォーカル担当に歌ってもらってギターも入れて音の返りや会場内での聞こえ具合をチェックします。
 当初は返しのスピーカーを置かないと自分達でお互いの音が聴こえにくいかなあと心配していたのですが、ピアノの真上にも会場のスピーカーがあって、別に返しスピーカーが無くても結構聴こえそうです。もっとも、当日の出席者は200人超らしいし、会場に人が入ると音が吸収されて聴こえにくくなるのは事実ですが、この会場の状況ならなんとか大丈夫そうかなぁ。

 「本番では会場を暗くして、演奏している皆さんにスポットを当てるようにしましょうか?」
 と会場担当の人。
 「じゃ、今テストでその照明をしてみてもらえますか?」
 ありゃー、会場を暗くするとピアノ前のコードメモも鍵盤もほとんど見えなくなる〜!あーっ、手元にスポットがもろに当たると自分の指と黒鍵の影が強烈で鍵盤が読めなくなる〜!
 って訳で、鍵盤にはスポットが当たらないようにしてもらって、当日は自分で手元照明のランプを持参する事にしましょう。

 一通り会場の確認が済んだ後は、その日もう一仕事が残ってます。
 なかなかみんなで集まって合わせてみる時間が取れないので、会場下見の後はカラオケボックスに移動し、音合わせをする事にしたのでした。
 と言ってもカラオケで歌うんじゃないですよ。カラオケボックスにギターと電子ピアノの持ち込み!小型のキーボードじゃなくて本格的な88鍵の電子ピアノなので重いこと。やっとセットして。
 「お腹減った〜。まずはちょいと腹ごしらえでも」
 と、色々食べていたらすぐに時間は過ぎていく〜。やっと何回か通して合わせていたら、もう日付が変わりそうだ。
 「みんな明日も仕事だし、そろそろお開きにしましょうか」

 次はもう本番当日。すぐに時間は過ぎていく〜。それまで各自、自主練で!



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 我が家の隣の畑、今は大豆の葉がいっぱい茂っています。農家の方が作っている畑です。数ヶ月前までは黒い土に小さな青い芽が点々と並んでいるだけだったのに、毎日見る度にちょっとずつ大きくなっていくのが分かるような速さで成長し、今では見渡す限りびっしりと緑の葉で埋め尽くされています。まだ昼間の日差しは暑いですが、やがて秋らしい空が広がる頃になったら収穫なんでしょうね。
 ついに10月。今回のコラムのタイトルじゃないですけど、すぐに時間は過ぎていく〜(笑)

 
−an 弾手−


第417回「本番って、あっという間だ」

[2012.10.9]

 「本番って、ホントにあっという間に終わっちゃいますね」
結婚披露宴での余興演奏が終わって席に戻ると、ヴォーカルさんがポツリとひと言。確かに、本番ってあっという間だ。

 思えば、7月から披露宴演奏の話が動き出し、なかなか時間の合わないメンバー3人が、ファックスで譜面を渡したりYouTubeで世の中の参考になりそうな演奏を共有したり何度か時間をつくって集まってはキーの確認やらピアノ、ギターソロの部分の確認やら。
 私はというと、コード譜で何とかヴォイシングやリズムは工夫してみたものの、実際にヴォーカルと合わせてみないことにはその伴奏でいいのか分からないし、1人での練習は効率が悪いのです。やっと集まって合わせてみると、どうもしっくりいかない。ヴォーカリストからは色々と注文をもらってもう一度伴奏パターン作り直しっ!
 そんなことをやっているうちに、あっという間に本番当日になっていたのでした。

 広い会場に円卓が30卓近くも。盛大な披露宴です。華やかに宴はすすんで、我々の出番は新郎新婦がお色直しで再入場した後。花嫁が恩人に花束を渡している間にピアノとヴォーカルマイクの位置に移動します。
 「ここで、花嫁の音楽仲間のご友人からお祝いの演奏がございます!」
 司会者の紹介に続いて、いよいよ演奏の開始です。

 最初はFly Me To The Moonのボサノババージョン。ついつい走りそうになる伴奏のリズムを気にしながらも何とか最後まで行ったのは良かったのですが、最後の最後、エンディングでヴォーカリストのrit.(リタルダンド)とうまく合わず、ちょいと変な終わり方になってしまったぁ。

 次はOver The Rainbow。 1曲目と打って変わってスローでリズム感を抑えたアレンジ。あれ、やばっ!これはギターも伴奏に入っているのですが、そのギターの音が聴こえない!開宴前に、軽くマイクと音の確認だけはやったのですが、やっぱりお客さんが沢山入ると音の聴こえ方が全く変わるんですよね〜。客席には聴こえているのでしょうが、ピアノの私にはギターが聴こえな〜い。途中、ギターソロに軽くピアノで合わせるところがあるのですが、ギターの音が聴こえないので、勘で適当に音を出すしかないのです(聴いている人、変だったろうなぁ)。
 続いてピアノソロ。ここはある程度自分のペースで弾ける。その後、サビからまたヴォーカルが入ってくるのですが、そこで不覚にも一瞬、どこを弾いているのか見失い、迷子になってしまった!しょうがない、変な音を出すよりピアノは臨時休業っ!次のフレーズの切れ目から再合流ということになってしまいました。

 最後、3曲目は恋のバカンスで景気良く締めましょう!客席からも手拍子が入って、ノリノリで終わる事が出来ました。

 ふ〜っ、あっという間に駆け抜けるように終わってしまった。
 挨拶して、さて退場、と思ったら、ここで新郎新婦からサプライズ!我々に花束のプレゼントだって!ありがとうございます。自分としては何とも不完全燃焼で終わってしまった演奏でしたが、少しでも宴を盛り上げることが出来たならうれしいです。
 それに、日頃はソロで弾くことが多いan弾手にとって、こうしてセッションの貴重な体験が出来る機会をいただけるのはありがたいことです。感謝です。



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 さて、余興演奏の披露宴が終わった後は、夕方から服を着替えて「夢あかり」コンサートへ行きました。これは熊本城の横を流れる坪井川から市の中心部一帯でこの時期に行われる「みずあかり」というイベントと連動した夜の野外コンサート。5万本以上のろうそくや竹灯篭が夜の城下町を照らす幻想的な「みずあかり」の傍らで軽音楽や日本舞踊、寸劇、オペラなどがあり、贅沢なひと時を楽しんだan弾手でした。

(写真をアップしました)
夢あかりのワンシーン
みずあかりのワンシーン

 
−an 弾手−


第418回「さて、6日後に迫ったパーティー演奏!」

[2012.10.16]

 パーティー演奏、6日後になりました!でも、やっと演奏曲(約30曲)の選定と曲順と時間把握が出来たところです(汗)。
 だいぶ前からお話は頂いていたのですが、何しろその前に(先日終った)結婚披露宴での演奏が入っていて、そっちで頭が一杯だったのでした。披露宴演奏はヴォーカル二人とギターに私の慣れないピアノ伴奏。自分勝手に弾く訳にはいかないので、そちらが終るまでは他の演奏の事を考えたり練習したりする気持ちの余裕が無かったんです。そして、その披露宴がやっと終ったら、もう次まで2週間しか無いっ。まだ演奏曲も決めてないぞーっ、ていう訳で焦ってしまいました。

 話の発端は8月24日。熊本県立劇場に「栗谷かずよジャズコンサート」を聴きに行った時。劇場の入口で偶然に顔見知りの職員の方にお会いしたのでした。
 「あ、an弾手さん、こんにちは。えっと、たまたまお会いしたついでで何ですが…。実はちょっとご相談があるんですよ。an弾手さん、ということで」
 この方から「an弾手」という言葉を聞くのは初めて?日頃は私の本業(本名)ですっかりお世話になっている方です。
 「今度、劇場の現役職員とOB,OGが集まるパーティーがあるんですが、そこでピアノ演奏をしてもらえませんか?」
 「えっ、私なんかでいいんですか!?」(陰の声:劇場職員の皆さんだったら耳も肥えていらっしゃるでしょうに)
 「よくあちこちのパーティーなどで演奏されているのをコラムで拝見していますから」
 あ、そうなんですね。an弾手のコラム、見て頂いていたんだ。ありがとうございます!
 「開宴前の30分と、パーティーが始まってから30分位でも」

 立ち話での突然のお話しで、すでに前後して入っていた披露宴演奏の予定も頭をよぎり一瞬迷いましたが、『どうしよう?』と迷った時はとにかくやってみる、という日頃の座右の銘に照らして
 「はぁ、私でよろしければ」
 と思わず答えてしまったのでした。

 会場は熊本県立劇場内のレストラン。当日は50名程参加されるらしい。
 まずは30分+30分の演奏時間、というつもりで20曲程選んでみたのですが、その後当日のスケジュール表をメールで頂いたら。何と、開宴後は50分の演奏時間になっているではないですか。急遽、あと10曲追加!計30曲程を準備することにしました。ソロ演奏なのである程度自分のペースで弾けるし、曲間には適当にアドリブを挟みながら時間調節しつつの演奏が出来るとは思うのですが。それでも、特に開宴前の演奏は開会の挨拶スタート時間が決まっているので、早く終わり過ぎても時間オーバーしてもダメ。ピッタリに曲を弾き終わらせるために、かなりシビアな時間コントロールが必要になりそうです。

 さて、30曲近くとなると久し振りに弾く曲も結構あるのでそれなりに弾き込みも必要ですね。練習できるのはもう今日を入れて平日4日間の夜と土日だけだ。頑張らなくっちゃ。
 それにしても、試験勉強と一緒で、こうして何かのきっかけで切羽詰らないとなかなか詰めて練習する動機にならないし、このように声を掛けていただけるというのはありがたいことです。それに、すっかりご無沙汰している劇場OB,OGの方に久し振りにお会いできるのも楽しみです。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 日中の陽射しもひと頃ほど厳しくはなくなったので、たまに昼食後に会社の近くを散歩しています。会社から少し歩くと「坪伊川遊水地」という、水と自然の草がたくさん茂った所があります。街なかなのに、豊かな自然があって気持ちいいです。
 この前、ここを歩いていたら、道の傍らに小さな立て札が。赤い文字で「注意」と書いてあります。何だろうと良く見たら。「マムシが生息しています。ご注意ください」って!
 ビックリしましたが、自然が豊かな証拠?その先、足元を見ながら用心して歩いたことは言うまでもありません(笑)

 
−an 弾手−


第419回「第25回東京国際映画祭でグリーンカーペットを歩く!」

[2012.10.23]

 2012年10月20日。清々しい秋晴れの東京、六本木ヒルズけやき坂通り。たくさんの観客や報道陣に囲まれ、眩しいカメラのフラッシュを浴びながらグリーンカーペットを歩くと、いよいよ第25回東京国際映画祭のオープニング!

 …って、もちろんan弾手が歩いたわけではなく、その場にan弾手が居たわけでも何でもないのですが。それなのに何でこんな書き出しで始めたのかと言うと。

 実はこのコラムのバックナンバー第386回「春・明日への旅発ち」(今年2月掲載)で紹介した、私an弾手がちょっとだけピアノを教えた女の子(当時中学3年生)が、そのグリーンカーペットを歩いて東京国際映画祭のステージに立ったのです!聞いたところによるとサイン攻めだったとか!

 彼女が出演し、今回東京国際映画祭にノミネートされた映画というのは
 『NOT LONG AT NIGHT(夜はながくない)』
 熊本・天草を舞台に製作されたロードムービーらしいです。それがこのたび完成し、何と、あの東京国際映画祭の『日本映画・ある視点』部門にノミネートされたのです。

 その彼女とは、『島ゆいか』さん。
 当映画のホームページのキャスト紹介によると
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 島ゆいか
 女優、声優、モデル。
 1996年、熊本市生まれ。アミューズに所属する歌手、声優。アイドルグループ・可憐Girl'sでは「YUIKA」として活動。CMやファッションショーなどにも出演している。
 熊本では地元書店のキャンペーングラビアなどで聡明さを醸し出す美少女モデルとして好演。遠山監督が"盲目の少女"という神秘的な役柄を演じる女の子として、未知数の可能性を秘めた女の子を探していた際、撮影監督の森が推薦したのが島である。女優としての活動は本作が初演となる、まさに期待の新人女優。
 http://artist.amuse.co.jp/
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 と紹介されています。

 コラムの第386回「春・明日への旅発ち」の最後、私はこんな言葉で締めくくっていました。
 『〜短期間のレッスンでは伝えきれなかった事も一杯ありましたが、それでも超多忙の時間をやり繰りしてのレッスン、お疲れ様でした。いつも礼儀正しくて帰りにはきちんと笑顔で「ありがとうございました!」と言ってくれる彼女。これから東京に行って、沢山の新しい経験をすることになると思いますが、どうか精一杯吸収して大きく成長してくださいね。応援しています!』

 もちろん、私がピアノを教えた、と言っても、ほんの短期間コードのさわりをちょっと触れた程度で彼女の芸能活動とは直接関係ないのですが、それでも何らかの関わりを持たせてもらった彼女が今こうして、まさに「明日への旅発ち」、晴れの舞台に立っているというのは何とも嬉しいものです。
 これからもますますの活躍を期待し、応援しています!

※10月20日の東京国際映画祭オープニングでの写真をこちらにアップしました。
(クリック→赤いドレスの女性が「島ゆいか」さん、黒いドレスの女性が音楽担当の「志娥慶香」さんです)


 追記:この映画『NOT LONG AT NIGHT(夜はながくない)』の映画音楽は、熊本を拠点に多方面で活躍されている作曲家・音楽家の志娥慶香(しがけいこ)さんが担当されています。志娥さんももちろん今回の東京国際映画祭に出席され、一緒にグリーンカーペットを歩かれました。志娥さんの、心に沁みるようで、しかも凛とした風格のある音楽は私も大好きで尊敬しています。これまで何度も事務所にお邪魔したり、コンサートに行ったり、あるライブでは志娥さんの演奏終了後に突然指名されて私も一曲弾かせてもらったりしたこともあります。
 ちなみに、その時のエピソードがこちら→第365回「志娥慶香さん居酒屋ピアノライブ(その3)想定外ハプニング完結編」



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 前回のこのコラムに書いた熊本県立劇場OB・OG会でのパーティー演奏、実は昨日(10月22日)が本番でした!まだ昨夜終わったばかりで頭がまとまっていません(笑)。20日、21日の土日は家にこもって最後の確認と調整をしていましたが、今回のコラムに書いた20日の東京国際映画祭のオープニングで、直接関係のない私も何だかウキウキして、練習もどことなく気分よく出来たような気がしています。
 ま、少し冷静になってから、このコラムにも当日の顛末など書ければと思っています。

 
−an 弾手−


第420回「熊本県立劇場OBOG会パーティー演奏」

[2012.10.30]

 とても気持ちよく弾く事が出来ました!
 熊本県立劇場・職員の皆様のOBOG会でのピアノ演奏。
 弾きながら、会場内の席に顔見知りの方を見つけては「あ、最近ご無沙汰だけどどうされているのかな?後でお話ししよう」などど考えたりしていました。
 この様な機会を頂いたことに感謝です!


 今回のパーティー演奏、お声を掛けて頂いたのは本番の2ヶ月程も前だったのですが、このパーティーの2週間前にも別の結婚披露宴での歌伴の予定が入っていて、なかなかこちらのパーティーのための準備が進まず、焦ってしまったのでした。

 6:30開会の前にウェルカムピアノを30分。6:30に一旦演奏を終わって開会の挨拶その他があり、乾杯後の6:40から7:30まで50分間、2nd Setの演奏を、というのが事前に頂いた進行予定です。
 この様なパーティー演奏、これまで何度もさせてもらいながら、自分なりに準備のパーターンが出来てきたような気がします。今回のコラムでは、そんな自分なりの準備パターン裏話を書いてみようかと思います。

 まずは会の出席者や雰囲気、ご担当者のご希望などをヒアリング。
 「そうですね、ある程度年齢の高い人も多いし、ビートルズとかプレスリーとか往年の洋楽スタンダードものとか、あるいは日本の懐かしい抒情曲なんかもいいですね〜」
 とご担当者。何だかan弾手が弾けそうな持ちネタに配慮して言って頂いているみたいなお話しですが、結局はその辺りのジャンルしか弾けないし〜(笑)、って訳で、第一関門はとりあえずクリア、ということにしましょ。

 次は具体的な選曲。トータル1時間半近くとなると30曲近くは準備しなければ。まずは色々な曲集をめくって候補になりそうな曲名を多目に書き出します。今回は40曲ほど書き出してみました。その時、曲名と一緒にKeyとどの曲集の何ページにあったかも書いておきます。
 次に、大まかな時間確認。リストアップの曲を1曲ずつ弾いてみながらストップウォッチで曲の時間を計ります。時間を計るのが目的なので、途中間違おうが何があろうが気にせず、とにかくテンポを意識して最後まで通して弾きます。
 次に、時間、前後の曲のKey、ジャンルや雰囲気を考えて大体の曲順を書き出してみます。今回は1st Setの30分に対して正味25〜27分程度、2nd Setの50分に対して45〜47分程度になるように曲を並べてみます。また、他に予備として5曲程度は差し替え用を用意します。

 以上が下準備で、ここからが曲の弾き込み(練習)の第1段階です。
30曲近くとなると、弾きなれている曲もあれば普段あまり弾いていなくて「こりゃ、だいぶ練習しなくちゃヤバイ!」みたいな曲も混じっています。ヤバそうな曲を中心に、とにかく間違えずに気持ちを込めて弾けるように練習するしかありません。多少慣れてくると、今度は「このままじゃ何か物足りないなぁ」という曲も出てきます。「ちょっとイントロ付けなきゃ」とか「間奏を少し挟んでその後は弾き方を変えて盛り上げるか?」とかアレンジの工夫が必要になってきます。何しろ使っている楽譜はメロディーとコードだけのリード・シートなので。
 (日頃からその位考えて持ちネタ一杯作っておけよ!←陰の声)まあ、その通りなんですけどね。ただ、前後の曲とのバランスでアレンジの雰囲気を変えたり、というのも必要になるし〜(言い訳)

 それぞれの曲をある程度通して弾けるようになったら、いよいよ弾き込み(練習)第2段階に入ります。
最初に時間を計った時から多少アレンジが変わったり(当然、時間も変わったり)しているので、再度時間の計り直しが必要なんです。最終的な演奏の雰囲気を意識しながら再計測、演奏リストに書き出します。
 この時間を合計して今度はピッタリ30分、50分になるよう、数曲毎の曲間に緩衝時間(大体1〜3分程度)を書き込みます。ここがアドリブタイムです。主に次の曲のKeyのコード進行で適当にアドリブフレーズを弾きながら時間調整をするのです。
 本番ではピアノの上に置いたミニデジタルウォッチを見ながら次の曲の開始がピッタリ予定時刻になるよう、そこまでにずれた時間を調整します。
 こうして、最終的な演奏曲目及び時間リストの完成です。最終リストは本番で現在時刻とのズレを確認するために実際の開始時刻(例えば6:00)から各曲の開始時刻を書いていき、最後の曲の弾き終わりが(6:30)ピッタリになるように表記します。列車の時刻表の様なものですかね(笑)

 これが出来たら弾き込み(練習)第3段階、本番と同じ様に正確な時間を確認しながら演奏し、ピッタリに終わる練習です。
 ふー、ここまでを正味2週間、平日は夜の少しの時間しか出来ないし、全体通して一回弾くだけで1時間半ほど掛かってしまうので焦りました。

 と、ここまで準備して臨んだ本番だったのですが。当日会場に行ったら、ありゃぁ!思いがけない事が!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 先週末は同窓会が続きました。金・土は大学時代のワンダーフォーゲル部のOBOG会。全国から50人近くが紅葉の久住高原に集結して久々に(擬似?)キャンプファイアーで飲み明かし。卒業以来初めて再会、という人もいてその変り様(?)に一瞬誰か分からない人もいましたが、ちょっと話しただけで当時の面影が甦り、あっという間にウン十年前にタイムスリップでした。同期生でもいまだ現役で登山を続けていて本格的な登山装備で参加の人も。翌日は朝から山へ(元気!)。私は軟弱にも車で市内に戻り、そのまま夜は高校時代の同窓会へ。こちらはホテルに1,000人近い出席者で大盛り上がりでしたが、同窓会のハシゴでちょっと頭が混乱したかなぁ。

 
−an 弾手−
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