第631回 「リアル社会の中の、リズム・メロディー・ハーモニー?」 [2017.2.21]
 今年もまたその日が近づいてきました。先週の金曜日は実行委員が集まっての会議でした。「オハイエくまもと・とっておきの音楽祭」。今年は3月19日(日)に開催です。

 「オハイエくまもと」とは、このコラムでもこれまで何回か書いていますが、「みんな違ってみんないい」を合言葉に、障がいのある人もない人も、プロもアマも一緒になって音楽の力で心のバリアフリーを目指す「NPO法人オハイエくまもと」が、毎年3月に熊本市の市街地一帯で開催している音楽祭です。今年は第8回、中心市街地9か所の会場で丸一日掛けて同時開催されます。まだ出演者の全ては最終確定していませんが、去年は出演者が全国からプロ、アマ含めて約100の団体・個人、当日のボランティア・スタッフを合わせて1,000人規模の大イベントでした。

 今回は、一時、音楽祭の開催が危ぶまれました。というのは、去年の音楽祭が終わってひと月も経たない4月、熊本地震が起こったからです。
 幸いオハイエ関係者や月2回の練習を続けている障がいのあるオハイエ音楽隊のみんなには負傷者はありませんでしたが、毎月の練習会場が被災して使えなくなり場所を移すことに。その後、とっておきの音楽祭でこれまでご縁があった仙台や兵庫の関係者、そしてこれまでの県外からの出演ミュージシャンの方々などからの応援、また一時心配された地震被災の最中のたくさんの地元企業様からも協賛や広告出稿など資金面でのご協力が集まり、何とか3月に開催できることになりました。感謝です。

 今年は、イギリス、カナダ、東北、関東、関西、そして九州各地から、たくさんのプロ・アマ音楽関係者が出演、参加されます。

 一つの音楽祭を開くだけでも、大変な数の人の想いと知恵と力と繋がりが必要なんですね。そう思ったら、リアル社会にも何だか「リズム、メロディー、ハーモニー」の3要素が当てはまるような気がしてきました。
 音楽祭の大きなテーマや意義が「メロディー」だとすれば、その音楽祭を企画段階から実施まできちんとテンポよく進行していく「リズム」が必要であり、さらにそこに係わり参加するたくさんのスタッフや出演者の想いと、当日会場に来て街なかを音楽の熱で盛り上げてくれる観客みんなの心が響き合う「ハーモニー」。これって、大きな意味でリアル音楽?

 今年も熊本の街が、そんな一大シンフォニーに包まれるような音楽祭になりますように、願っています。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 先週末の土、日は、すっかり春のような気温でいいお天気でした。
 陽気に誘われ、郊外の農業公園カントリーパークで開かれている「くまもと春の植木市」に行ってみました。広〜い会場内には小さな植木の苗から見上げるような大木、綺麗な花が咲いたしだれ梅、大きな庭石やせせらぎまである本格的な造園の試作コーナーなどが並んでいて、たくさんの人で賑わっていました。
 それに会場の半分以上(?)は県内各地のJAや物産館などが出店している飲食コーナー。見て回っているうちに、植木を見に来たのか食べ物を食べに来たのか分からなくなりました(笑)。大津町の焼き芋、甘くておいしかった!
 雲ひとつない青空の下、早春の一日を楽しみました。

 
−an 弾手−

第632回 「イメージトレーニング」 [2017.2.28]
 「an弾手さんのピアノって歌えてますね。この、歌うっていうのが、難しくてなかなかみんな出来ないんですよね〜」
 数年前、このコラムでもチラッと触れたような気がしますが。あるパーティーで私がピアノを弾かせてもらって席に戻った後、近くの席にいたクラシックピアノの先生からそう声を掛けて頂いたことがありました。
 私は特に「歌うように弾く」とあらためて意識したことはなく、コード奏法で自分流に弾いていただけなんですが、クラシックの先生が聴くとそんな風に感じられるのかなぁと、その時は思ったものでした。

 と、ここで自慢話するつもりじゃないんですが(笑)
 先日、イメージトレーニングという言葉を聞いて、ふとピアノとイメトレのことが頭に浮かんだので、今回はその話を書いてみようかと思います。

 イメージトレーニングという言葉、聞いたことありますよね。例えばスポーツの世界。実際に体を動かさなくても、自分のイメージの中で自分の体が動いているイメージを持つことで技術を高めることができる、とか。
 これはピアノでも同じことが言えるでしょう。ある曲を練習するのに、実際にピアノを繰り返し弾いて練習するのは当然ですが、単に機械的に楽譜の音符を鍵盤に移しながら間違わないように指を動かす訓練をするだけでは、何かもっと重要なことが抜けているような気がするのです。
 もっと重要なこととは?
 弾きたいと思う曲があった時、何を目標にしますか? その曲を最初から最後まで間違わずテンポを崩さず、楽譜に書かれたクレッシェンドとかデクレッシェンドとかの記号も忠実に再現して弾くことが目標でしょうか。でもそれだけだったら、それがある程度出来るようになったとしても、何だか味気ないですね。

 私だったら。
 その曲と自分との出会いのきっかけとか、曲にまつわる思い出とか、その曲が生まれた背景とか、そんなことを考えながら、自分なりに曲の物語をイメージしながら弾いてみたいです。もちろん、最初からうまく弾けなくても、そんな最終的なイメージを膨らませながら弾いてみる、あるいは鍵盤に触れなくても心の中でピアノの音をイメージし、弾いているつもりになって自分なりの最高の演奏を妄想?する。ライブの店で、好きな人の前で、そんな素敵なピアノを弾いている自分を想像してみる。
 そして、もう一度実際に鍵盤を弾いてみたら、あれ、全然思った通り弾けないけど、となるかもですが。でもそれはそれ、「この辺、もうちょっとこんな風に弾きたいんだけどなぁ」とか「ここ、もうちょっとフワッと音を流したいんだけど」とか、そう思えるってことが大きな進歩だと思うんです。それが、結局「歌うように弾く」ための一歩なのでは。

 このイメージトレーニング、ピアノの前にいなくても、散歩していても、車に乗っていても出来ますね。
 あ、自分で車を運転中は危険ですから運転に集中しましょう(笑)



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an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 先日の日曜日、阿蘇まで行ってきました。何しに? はい、野焼きを見に。
 毎年2月から3月、阿蘇の見渡す限りの大草原は人の手による野焼きによって何百年も維持されてきたのだそうです。
 熊本地震で通れなくなっていた阿蘇登山自動車道も、一部片側交互通行で通れるようになり、その日は山上近くの草千里まで行きました。草千里で車を降りてしばらくしたら、バチバチバチという草が燃える音。見ると、近くの枯れ野から赤い炎が上がっていました。炎はみるみる茶色一面の枯草を焼いて黒い原野に変わっていきました。
 やがてこの黒い大地から緑が芽吹き、ハルリンドウの可愛い花が顔を出します。
 春はもうすぐです。

 
−an 弾手−

第633回 「好奇心」 [2017.3.7]
 皆さんはピアノの練習でピアノの前に坐った時、どんな気持ちでピアノを弾き始めますか? 今日はそんな話です。

 と、その前に。
 小惑星「Ryugu」(リュウグウ)を目指して、現在宇宙空間を飛行中の「はやぶさ2」をご存知でしょうか? 小惑星到着が2018年、そこで観測・地下物質サンプリングのあと、2020年末(東京オリンピック後)、地球に帰還予定だそうです。

 突然、宇宙の話から始めてしまいましたが。
 先日、私が所属している異業種交流会で卓話していただいた、日本工機(株)元社長の話です。
 その方は私の大学の先輩で、大学の同友会などで時々お顔を見掛けていました。今年の新年会でもお会いし、その時立ち話でそんな現在進行形の夢のある宇宙の話を聞いて、これは是非、異業種交流会で卓話をして頂きたいと思ってその場でお願いしたら、快く引き受けていただきました。

 話は宇宙のことだけでなく、日本工機(株)の前に執行役員などを務められた日油(株)がらみで油の話も。ひと言で油と言っても、工業用や爆薬から、食用、化粧品用など多岐に渡る話とその開発裏話。「はやぶさ2」は、小惑星の地表に人工クレーターをつくる装置を日本工機(株)が開発してJAXA(宇宙航空研究開発機構)に提供しているのだとか。
 現在進行形で宇宙を飛行している、夢のある話でした。

 その中で印象に残った言葉が「好奇心」。
 「仕事は、常に好奇心を持って新しい世界に挑戦していく気持ちが大切ですね」と。
 これって、仕事に限らないですよね。
 例えばピアノ。
 〜って、やっとここで宇宙からピアノの話になります(笑)。

 自分のことで恐縮ですが、私が大人になってからピアノを始めたのも、好奇心といえば好奇心? たまたまカーラジオの番組で聞いた「コード奏法」という言葉に「好奇心」を動かされ、放送局に電話し、その番組に出ていたライブバーのマスターの店のドアを初めて開いた瞬間も「どんな所だろう?」と、好奇心満載でした。
 これまで何度も書きましたが、その後の夜の街での飛び入り演奏、このコラムの連載開始、何のツテもなかった中央の大手出版社へのコンタクトから出版の実現、セルフプロデュースライブの開催等々、思えばいつも自分が知らない世界への「好奇心」が根底にあったのは確かです。

 これはまた、日頃のピアノの練習にも当てはまると思うんです。
 皆さんはピアノの練習でピアノの前に坐った時、どんな気持ちでピアノを弾き始めますか? 
 「昨日までやったこと(先生から教わったこと)がちゃんと出来るか?」
 「このテキストのこの部分、はやくちゃんとマスターしなきゃ」
 もちろん、それも重要な事かも知れませんが、「こうしなきゃ」という「課題」をクリアするための練習って、重荷になりませんか?
 改めて思い直してみると、私はそんな時
 「さて、今日はどんな自分に出会えるかな?」
 「どんな新しいピアノの世界を発見できるかな?」
 と「好奇心」いっぱいでピアノに向かっていたような気がするんです。

 すみません、何だかカッコ付け過ぎですかね(笑)
 でも、やっぱり思い返してみると、私はそんなワクワクする気分でずっとピアノをやってきたような気がします。
 大人の趣味のピアノ、好奇心いっぱいでワクワク楽しみながらやれたらこんな素敵な事はないと思いませんか?

 宇宙の彼方を目指して、今この瞬間も飛び続けている「はやぶさ2」に想いを馳せながら。




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an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 もう3月も一週間過ぎましたね。おとといの5日(日)は啓蟄(けいちつ)でした。二十四節気の一つで、土の中で冬ごもりしていた虫が穴から出てくる頃、という意味らしいです。
 これまではいつも寒いと思っていた風が、ふと気が付くとそうでもなかったり。三寒四温。まだまだ寒い日もあると思いますが、春はもうすぐですね。

 
−an 弾手−

第634回 「徒然草が人前ピアノを薦めていた?」 [2017.3.14]
 ビックリしました。700年の時を越えて、徒然草(吉田兼好)とan弾手が繋がってた?
 いえいえ、ナニ大げさなこと言ってるんですかね(笑)

 たまたまネットの情報から徒然草の内容を読んでみたら、スゴイ事が書いてありました。スゴイ、というより納得です。

 『芸事を身に着けるには、未熟でヘタクソな頃から、上手くてベテランな人たちに混ざって、バカにされて笑われて、それでも恥ずかしがらずに頑張っていれば、特別な才能がなくても上達できる……』と。

 実は私、拙著「大人のピアノ入門」(講談社+α文庫)の中で、一つの章を設けて『「人前ピアノ」が上達への近道』という内容を書いていました。それは私自身がコード奏法に出会って数ヵ月でまだまだ心もとない頃、ライブバーのマスターから「一人で練習していても上達しないよ。人前で弾かないと」と言われ、恥丸出しで人前ピアノを続けているうちに「なるほど、そういうことか」と納得した経験が元になっています。
 そして何と、徒然草に書いてあったのが全くそれと同じだったのです。

 以下に徒然草の原文の一部を引用してみます。
 『能をつかんとする人、「よくせざらむほどは、なまじひに人に知られじ。うちうちよく習ひ得てさし出でたらむこそ、いと心にくからめ」と常にいふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。いまだ堅固かたほなるより、上手の中に交りて、そしり笑はるゝにも恥ぢず、つれなくて過ぎてたしなむ人、天性その骨なけれども、道になづまず、みだりにせずして年を送れば、堪能の嗜(たしな)まざるよりは、終に上手の位にいたり、徳たけ人に許されて、ならびなき名を得ることなり。』

 これを現代語訳したのがこちら。
 『これから芸事を身に着けようとする人はとかく「ヘタクソなうちは誰にも見せたくない。こっそり練習して、ある程度見られるようになってから披露するのがカッコいい」と言うものだけど、そういうことを言っている人が最終的にモノになった例えはひとつもない。まだ未熟でヘタクソな頃から、上手くてベテランな人たちに混ざって、バカにされて笑われて、それでも恥ずかしがらずに頑張っていれば、特別な才能がなくても上達できる。道を踏み外したり、我流に固執することもないだろう。そのまま練習し続けていれば、そういう態度をバカにしていた人たちを遥かに超えて、達人になっていく。人間的にも成長するし、周囲からの尊敬も得られる。』

 う〜む、納得ですね。
 私も『未熟でヘタクソな頃から、上手くてベテランな人たちに混ざってバカにされて笑われて…』人前ピアノを『楽しんで』ましたっけ。
 拙著「大人のピアノ」では、自分の人前ピアノの例として、「クリスマスパーティーで」「結婚披露宴で」「ライブバーで」「ナイトクラブで」「おしゃれなレストランで」「小さなスナックで」などの体験エピソードを書いています。
 まだまだ『達人になっていく。人間的にも成長する』域には達していませんが、ま、いいじゃないですか。それ(生活の様々な場面での人前ピアノ)自体が、大人のピアノの大きな楽しみなんですからね。



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an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 今週末はいよいよ「オハイエくまもと・とっておきの音楽祭」です。3月18日(土)がプレ交流会。細川殿様の旧居・細川邸庭園で15時から17時まで。全国からプロや障がいを持つ演奏者を迎え野外演奏。そこに熊本の台所・田崎市場の人達が出店を出してお寿司や天ぷら等の食事や飲み物も。日頃は中に入れない細川邸庭園や、すぐ横の泰勝寺跡の自然にも癒されます。
 翌3月19日(日)は熊本中心市街地9カ所の会場で10時過ぎから18時頃まで。熊本の街が音楽に包まれる一日です。こちらも、国内はもちろん海外からも出演者が駆けつけて、ボランティアを含め1,000人規模のイベントです。
 私は演奏はしませんが、実行委員として裏方で頑張ります!

 
−an 弾手−

第635回 「自然に湧き出してくる心の動きでピアノが奏でられたら」 [2017.3.21]
 ふと考え込んでしまいました。自然界の法則と、人間が頭で考える理論について。そして音楽の理論と人の感性について。
 またまた大げさそうな前振りで始めてしまいましたが〜。

 会社近くの住宅地の中に、以前から広い空き地がありました。お昼休みの食事の後でたまにその辺りを歩いていると、空き地の中一面に緑の草が生え、春から秋にかけては草の間から黄色や白や紫色のたくさんの野草の花が顔を出しています。私はそんな風景を見るのが好きで、時々その空き地の中に入っては草の陰になっている花をのぞき込んだり、携帯で写真を撮ったりしていました。
 自分が立ったままの目線で見渡すと、空き地に雑草が茂っているだけの風景ですが、しゃがんで草や野草の花の視線になって覗いてみると、まったく違う風景が見えてきます。草の間の地面を歩いている小さなアリにとっては、ここはうっそうとしたジャングルなのかも知れないなぁ、な〜んて思ったりします。

 で、先日久し振りにここを通ったら、空き地がすっかり整地されて家が建築中でした。黒く平らな地面の広がる敷地を見ているうちに、ちょっと不思議な感覚に襲われました。やがてここには家が建ち庭が整備され、快適な人の暮らしが始まるでしょう。でも私にとっては、あの雑草が生い茂り、季節と共に色々な野草の花が咲き、虫が這っていた光景が、無性に懐かしく感じられたのです。
 『ああ、こうして人間は自然を切り拓き整地し、人間にとって生活に便利な空間を造ってきたんだよね。自然の野や山だった所が畑になり住まいになり、いつしか巨大な街や工場になっていったんだよね』
 それが人類の文化文明の進化であると言えばその通りだと思いますし、そのおかげで自分も今こうして便利な生活を送っていられると思えば幸せなことなのでしょう。
 でも、気持ちのどこかで、あの季節ごとに姿を変えながら自然の法則の中で緑の葉を伸ばし小さな花を付け、やがてまた季節の移ろいとともに枯れ落ちて、を繰り返していた空き地の雑草が愛おしくも思えてきます。

 で、ふと思ったのがピアノの事です。ピアノを弾き始めたきっかけは「自分もあんな風に弾けたらいいなぁ」です。ピアノは鍵盤を押さえるだけでとりあえず音は出ます。でもそれだけじゃまず音楽にならない。なので楽譜を見たり、教則本を読んだり、誰かに教わったりします。難しい音楽理論、意味わからんコード理論。でもそれを理解しマスターしないとちゃんと弾けないから、一生懸命に勉強しますね。
 私もそうやって少しづつ弾けるようになってきました。でも、最近ピアノを弾きながらふと思うことがあるんです。音符や様々な理論で頭が一杯になって『こんな風に弾かなくっちゃ』と思いながら弾くより、自分の気持ち、自分の感情が自然と音になって表現出来たらどんなにいいだろう、と。

 そんな時、あの空き地の雑草のイメージが浮かんだのです。あの雑草は誰かが考えた理論や設計図じゃなくて、自然の流れの中で顔を出し、成長し、花を咲かせ、冬が来ればまた枯れていく。もっとも『それが自然界の理論であり設計図だ』と言われればそれまでなんですが。ここではそんな自然の野草の風景が、ある日人間の設計図によってすっかり刈り取られ、整地され、セメントが流し込まれていくのに、どこか違和感を覚えてしまったのでした。

 何だか世捨て人の勝手な妄想に聞こえるかも知れませんが。
 理屈や理論に捉われず、自分の中から自然に湧き出してくる心の動きでピアノが奏でられたらどんなに素敵だろう、と思ってしまいました。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 先週末の土(18日)・日(19日)、年に一度の一大イベントが盛況のうちに終了しました。オハイエくまもと・とっておきの音楽祭(18日はプレ交流会)でした。
 熊本市中心街の9会場で、出演者、ボランティアあわせて約1,000人の関係者、そして各会場にはたくさんの観客の方が集まってくれました。18日の泰勝寺跡細川邸庭園でのプレ交流会は、後半に雨がポツポツ落ち始めて寒かったですが、19日の音楽祭は暖かな晴天に恵まれました。私はびぷれす広場という会場の担当だったので、朝から3時過ぎまで張り付きで他の会場は観れませんでしたが、4時からのフィナーレではみんなが花畑広場メイン会場に集まり、くまモンも駆けつけてくれて盛り上がりました。

 
−an 弾手−

第636回 「音楽の力で明るい気持ちを広げたい。熊本地震復興祈念・水前寺まつり」 [2017.3.28]
 「日本の抒情歌には、昔からの日本のふるさとの情景やそこで暮らす人たちの想いが込められているんですよね」

 ちょっと肌寒い春の午後。傾きかけた夕日が差す旧い木造りの能楽殿。そこに立つソプラノ歌手・福嶋由記さんとピアノ伴奏の藤本史子さん。
 その日は、水前寺成趣園で開かれた熊本地震復興祈念「水前寺まつり」のイベントとして、園内の能楽殿をステージにしたコンサートが開かれていました。能楽殿の横には山桜が咲いていて、二人のステージに花を添えています。
 日頃は大きなコンサートホールでオペラなどを歌っている福嶋さんですが、この日は春の兆し漂う能楽殿で、野外の広場に集まった観客を前に四季折々の日本の抒情歌をメドレーで聴かせてくれました。いつもながら、澄み切ったソプラノの響きが心地よく流れていきます。

 さくらさくら、朧月夜、月の沙漠、夏の思い出、宵待ち草、赤とんぼ、里の秋、冬景色、冬の夜……。
 聴きながら、自分の幼い頃の何とも言えない懐かしい情景が浮かんできました。

 これまでこのコラムでも何度か触れていますが、日本の抒情歌でふるさとの四季を辿るストーリー、これってan弾手もこれまで数回に渡ってやってきたセルフプロデュース・ライブSweet Piano Nightでずっとテーマにしてきたことでした。福嶋さんの歌を聴きながら、何だか自分の想いが繋がった(広がった)みたいな気がしてとても嬉しくなりました。

 そして、福嶋さんのステージの特徴はクラシック系の音楽家に似合わず?(いい意味で)、曲の合間のトークがとても気さくで弾むこと。この日も、曲の背景となっている時代の移り変わりや、歌詞に込められた意味などを、満面の笑顔でとてもフレンドリーに話してくださいました。

 例えば「冬の夜」では、寒い夜に囲炉裏を囲んで子どもたちと話をしているお父さんの言葉が、以前の歌詞の『過ぎし戦の思い出語る』から『過ぎし昔の思い出語る』に変わったこと、等々。

 そして最後の曲は「ふるさと」。
 そのエピソードとして、昨年4月の熊本地震で福嶋さんも被災し長く車中泊を余儀なくされたそうですが、やがて避難所や保育園から「みんなを元気にしてほしい」とコンサートの依頼が来るようになったとか。そこで福嶋さんは「よし、みんなを元気にしてあげなきゃ」という思いで気負って出掛けたところ、子どもたちはとても嬉しそうな笑顔で福嶋さんを迎えてくれたそうです。それで「私の方が元気を頂きました」と。
 そんな福嶋さんの言葉から、演奏する人も聴く人も音楽がみんなの心の中に広げる大きな力や夢を感じました。

 私も、これまで自分には音楽があることで自分の気持ちを前向きにすることが出来たような気がします。だから周りの人にもそんな音楽の力で明るい気持ちを広げていけたらどんなにいいだろうと、改めて思ったのでした。
 (次のan弾手ライブ、なかなか気持ちがまとまりませんが、早く企画しなくっちゃ、ですね)

 やがて、辺りに夕闇が迫る頃。
 水前寺成趣園のあちこちに竹あかりの火が灯されました。水に写る灯火、紅く浮かび上がるライトアップされた築山。たくさんの人の想いが、夕闇の向こうへとどこまでも広がっていくような光景でした。



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 今週で3月も終わり、来週はもう4月ですね。
 なかなか本格的な暖かさも来ないし、桜もまだツボミだし、まだ春は遠いような気もしますが、あと一週間もしたら各地の桜開花宣言も出て春本番になっているでしょうか。
 そういえば、今週末の日曜日は私も熊本城の辺りで花見の予定が入ってました。熊本城の桜の名所・御幸坂も地震の影響で現在通行止めになっていますが、花見シーズンの土日だけは特別に入れるそうです。
 今年はどんな桜が見れるのか、楽しみです。

 
−an 弾手−

第637回 「いつしかイメージの中には森の精の澄み切ったピアノの音が…」 [2017.4.4]
 ひと気のない森の中。小さな遊歩道を谷の方へ下って行くと、木々に囲まれた湿原がありました。一面に枯れた水草が広がっています。そこをさらに進むと小さな沼。横の崖の方からチョロチョロと音がして水が流れ込んでいます。水面の半分ほどに広がる睡蓮の葉。あと1〜2ヵ月もすると、この沼にもモネの絵の様な睡蓮の花が広がるのかなぁと、妄想してしまいました。

 その日は用事があって、自宅から車で30分程なのに普段はあまり通らない田園地帯を走っての帰り。道路脇の小さな標識が目に入りました。『蛇ノ尾公園』という文字と矢印。
 「蛇ノ尾公園? 聞いたことないなぁ。どんな所だろう」
 そう思った次の瞬間、私は車のウィンカーを出して矢印の方にハンドルを切っていました。

 少し道が狭くなり、辺りにはうっそうとした木々が迫ってきます。やがて道が下り坂になった先に小さな駐車場がありました。そこから木が茂る右の崖の上に延びる遊歩道。車を停めてそこを上り、さらにその先の木々の中を下って谷まで行ったら、ジブリアニメに出てきそうな沼地が広がっていたのでした。

 私は、こんな自然の雰囲気漂う空間が好きです。上空からの鳥の目になったり、地面を這う虫の目になったり、小さな草花の周りをイメージの中でトリミングしてみたりすると、全く別の世界が見えてきます。
 そしてふと思ったりするのですが、そんな時の気持って自分がピアノを弾いている時の感情とすごく似ているなぁという気がするんです。
 いつも弾いている同じ曲でも、弾きながら少し目線を変えてみたり、違うシーンを想い描いてみたり。その時の気持ちで様々な世界が見えてくるような気がします。
 「この3分間の曲の中で、今日はどんな映像やストーリーを描いてみようか」
 そう思って弾き始めると、また新たな発見や出会いがあったりします。

 『それって、あなたがそれなりに弾けるからそう言えるんじゃないの?』
 と言う人もいるかもですが。
 いえ、そうでもないと思うんです。

 音楽って、音を楽しむと書きます。楽しむ世界は人それぞれ。まずは自分がワクワクしながら、映像やストーリーを思い描きながら、弾いてみましょうよ。
 すると、イメージはあるのになかなか指が動かないとか、何でここでこんなコード進行になるのかよく分からないとか、気付くことがたくさん出てきますよね。そうしたら自分の中で自分にとっての課題も見えてくるはずです。
 最初から技術やテクニックの事ばかりに意識が捉われたり、自分の技術レベルで自分の演奏を規定してしまうのではなく、まずは自分の感情、想い、イメージを一杯に広げながら今出来る演奏を楽しむ。そうするとそこからまた新たな世界も広がっていくような気がします。

 ひと気のない森の谷間の湿原や沼を歩きながら、いつしかイメージの中には森の精の澄み切ったピアノの音が聴こえてきたような気がしました。



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 先週の「ちょっと、ひと言」に書いていましたが、一昨日の日曜日は熊本城まで花見に行ってきました。高校時代の同級生十数人と。
 熊本はその前日に開花宣言が出たばかりで、城内の桜はまだほとんどツボミでした。でも私達が行った「三の丸広場」という場所は運よく一本だけが六〜七分咲き。その下で春の風情を満喫してきました。
 熊本ではまだこれから10日程は、桜の話題に花が咲きそうです。

 
−an 弾手−

第638回 「新しい本の企画がスタート!?」 [2017.4.11]
 会社の電話が鳴りました。女子社員が受話器を取って何か話をしています。
 「しばらくお待ちください」
 そう言って保留にすると、私に声を掛けました。
 「○○○様から電話です」
 え? ○○○様? 電話掛かってくるの久し振りだなぁ。

 電話の主は……某出版社の方でした。
 「現在発売中の○○の本、着実に動いていまして在庫も少なくなりました。次の増刷では改訂リニューアルしてみたいと思っています。それと併せて別に一冊、新しく曲集も出せないかと…」
 お〜、ありがとうございます! しばらく振りに新しい本の企画のご相談を頂きました! 実際に形になるのはまだだいぶ先の事だとは思いますが。

 私の最初の本は、ピアノコード奏法教則本として2004年の「お父さんのためのピアノ教室」(ドレミ楽譜出版社)でした。その後2011年に「2週間速習ピアノ講座」(講談社)、2013年に「パパも弾きたいピアノ入門」(ドリーム・ミュージック・ファクトリー)が出版されました。その間、読み物(大人になってからのピアノ体験談)として2005年の「40歳からのピアノ入門」(講談社+α新書)、2014年の「大人のピアノ入門」(講談社+α文庫)、また並行してコード奏法の曲集を3冊出版して頂いています。
 最近では「お父さんのためのピアノ教室」の改訂新刊が2015年に出ましたが、新規の本としては2013年の「パパも弾きたいピアノ入門」以来4年振りとなります。

 このようにたくさんの本を商業出版して頂いているということは、それだけ買って頂いた方がいらっしゃるということです。本当にありがとうございます。私の本を手に取り、ピアノに挑戦されたり楽しまれたりしている方が、私の知らない所にたくさんいらっしゃるということですね。この場をお借りして改めて感謝申し上げますとともに、「ピアノ」というテーマでたくさんの方と繋がり、時間空間を超えて一緒に楽しませて頂いていることをとても幸せに思います。そんなご縁が私の大きな宝物です。

 ここで皆さまに改めてお願いなんですが。
 新しくピアノコード奏法の曲集を編集するにあたり、皆さまが「こんな曲を弾いてみたい!」とか「こんな曲が掲載された曲集が欲しい!」とか「まだ自分じゃ弾けないけど、これ私の憧れの曲なんです!」というような曲はありますか?
 あるいは、既にお持ちの曲集に載っている曲や、ご自分がオハコにされている曲で、これはお勧め!という曲もあったら教えてください。
 対象は趣味でピアノを楽しみたいと思っておられる大人の方。大人といっても、20代から40〜50代はもちろん、70〜80代の方まで。ジャンルは問いませんがクラシックの曲を楽譜通りに弾くというより、色々な曲を自分流にアレンジしながら楽しんでもらえるような本になったらと思います。
 せっかくこれから新しい本の企画を進めていきますので、皆さまに喜んで頂けるような企画を皆さまと一緒に創っていけたら嬉しいです。
 下記のan弾手メールまで、皆さまからのご意見お待ちしています。
 どうぞよろしくお願いいたします!

※an弾手メール
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com



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ちょっと、ひと言。

 おとといの日曜日、自宅から車で30分程の「竹迫城跡公園」に行ってみました。周囲に田園風景が広がる小高い丘陵地で、満開の桜の下ではバーベキューを楽しむグループや、土塁の斜面で草滑りボードに興じる子供連れの家族などで賑わっていました。
 城跡の脇を流れる小さな川を見つけて下りてみたら「くまもとホタルの里100選」の標識が。桜が散り新緑の季節が始まる頃には、ここで幻想的なホタルの乱舞が観られるかも。楽しみです。

 
−an 弾手−

第639回 「熊本地震からちょうど1年。音楽の力を信じて」 [2017.4.18]
 1,800席のコンサートホールを一杯に埋めた観客全員が立ち上がり、割れるような拍手を送っています。指揮者がステージに戻って来て、演奏者一人ひとりを指差し、満面の笑顔で拍手をします。するとそれに呼応するように会場の拍手が一段と大きくなります。
 そんなスタンディングオペレーションの渦が、延々と約10分も続きました。

 それは熊本地震の前震からちょうど1年目の4月14日夜9時26分。熊本の「復活」を祈るコンサートとして熊本県立劇場コンサートホールで開催された「復活」コンサートの演奏が終わった時。約80分に及ぶマーラーの交響曲第2番ハ短調「復活」がドラマティックなフィナーレを迎えると、客席とともにステージの照明も暗く落とされ、全員が立ち上がって静かに黙とうを捧げました。やがてステージの照明が戻ると、ワーッという歓声とともに、ホール全体が大きな拍手の渦に包まれました。ステージと客席とが、地震からの「復活」という同じ思いで一つになった瞬間でした。

 震度7の地震が2度も襲った熊本地震から1年。まだ約5万人弱の人が仮設住宅や、みなし仮設での仮住まい生活を送っています。このところ私の周りでも被災した建物の撤去がやっと進み出し、街なかに更地をたくさん見掛けるようになりました。
 私自身もしばらくは避難所での車中泊を余儀なくされましたが、自宅や仕事場はそう大きな被害はありませんでした。被害の大きかった人たちのことや、ボランティアで復興支援に力を注いでいる沢山の人たちの献身的な活動のことを聞くにつれ、熊本に居ながらほとんど何のお手伝いも出来ていない自分が何か後ろめたいような気になってきます。
 実は、地震の直後に立ち上げられた「くまもと音楽復興支援100人委員会」という組織に、私も設立総会に参加し登録しているハズ?なんですが、私自身はその後の活動の連絡、コンタクトがうまくやれなくて、いつの間にか蚊帳の外になっていました。
 これまで100人委員会が取り組んできた活動のひとつに、避難所や仮設団地をプロの演奏者と訪問して音楽の力で笑顔や元気を届ける「音楽炊き出し」があります。その炊き出しコンサート、これまでに何と二百数十回も実施されているそうです。地震後数カ月しての立ち上げですから、ほぼ毎日どこかを訪問していることになりますね。
 
 今回の復活コンサートは、その100人委員会を中心とする実行委員会によって企画され、開催されました。
 出演は、指揮者の山下一史さん、全国の日本オーケストラ連盟所属のプロ演奏者、海外からもノルウェー、オーストリア、タイ、マレーシアから、そして福岡、熊本の合唱団の皆さんなど、ボランティア演奏者、約300名の大編成でした。
 1,800席の前売りチケットは発売日に即完売したそうです。私は発売の受付開始時間と同時に予約電話を入れ、ボランティアで受付をしていた知り合いの人に後で聞いたら、私が電話予約の一番乗りだったとか(って、別になんの自慢にもなりませんが)。

 たくさんの人たちの力で開催された「復活」コンサート。「音楽の力」を改めて実感させてくれました。
 自分のピアノに関する活動も、自己満足を超えて周りのたくさんの人たちとの心のつながりが大切なんだと、改めて考えさせられた「復活」コンサートでした。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 先日の雨の朝。出勤時に玄関から出たら、庭木の枝の先に顔を出したばかりの新緑の葉が雨に濡れていました。ついこの前まで暗い色の葉っぱばかりだったのに、庭が急に明るくなったような気がします。水も滴るイイ〇〇? 嫌な雨の朝だなぁ、と思って外に出たのに、瑞々しい新緑に滴る水滴を見て、何だか気持ちが明るくなりました。
 こんなシーンのバックに流れてくるのは、どんな音楽だろう。キラキラと透明なピアノの音が似合うかな。

 
−an 弾手−

第640回 「読者の方からのリクエスト、ありがとうございます!」 [2017.4.25]
 読者の方からリクエストメールを頂きました。ありがとうございます!

 このコラムの第638回「新しい本の企画がスタート!?」の中で、某出版社から新しい本の企画のオファーを頂いたことのご報告とあわせて、掲載曲のリクエストやその他のご意見募集のお願いを書いていました。
 『せっかくこれから新しい本の企画を進めていきますので、皆さまに喜んで頂けるような企画を皆さまと一緒に創っていけたら嬉しいです。下記のan弾手メールまで、皆さまからのご意見お待ちしています』と。
 そうしたら早速数名の方からメールを頂きました。嬉しいです!

 その中のお一人からは、収録曲のご希望以外に私のピアノライフに関するご質問もありましたので、本に掲載できるかどうかは別として取り急ぎその一部にここでお答えしてみたいと思います。

 an弾手さまは放浪の途中(アッ違うか)、突然ピアノに出会っていきなり演奏を披露されたりしますが、暗譜されていらっしゃるのでしょうか。それともリードシートやコード譜みたいなものをいつも携行されているのでしょうか。いつもお忙しくされていて、何時どんな練習をされているのか、どんなピアノ生活を送られているのか興味津々です。

 はい、夜の街のバーやライブの店で、あるいはたまたま(放浪の途中で?笑)通りかかったホテルラウンジなどで「ちょっと弾いてみませんか?」などと言われると、ついホイホイッと弾いてしまう、という私の軽薄なクセのことですかね(笑)
 これまでこのコラムでもそんなエピソードを何回か書いていましたが。ま、それもピアノライフの楽しみのひとつではありますね

 確かに外出先でとっさに弾く場合、日頃からよほどしっかり「暗譜」しているか、リードシートなどの楽譜を携行していないとなかなか難しそうな気がするかもですが。
 でも、いつそういう場面に出くわすか分からないのに常に楽譜を携行して歩く、というのは現実的じゃないですね。つまり暗譜している、ってことになるでしょうか。ただ、暗譜と言っても、クラシックみたいなピアノ楽譜をその通りに覚える、というのとはだいぶニュアンスが違います。
 私の本やこのコラムの読者の方はお分りでしょうが、コード奏法ではメロディーとコードだけのリードシートで自分流に演奏しますので、ある程度くり返し弾いていると結構自然に「暗譜」出来るものです。もちろん、しばらく弾いていない曲は段々怪しくなってきたりしますので、自分がオハコにしておきたい曲は日頃から繰り返し弾いて体に馴染ませておくことは必要です。ただ放浪先(笑)で突然弾く程度であれば4〜5曲もあれば十分オツリが来るでしょう。
 私の場合、15〜20曲位はいつでも弾ける曲を自分の中に用意しているかなぁ。20曲としてもササッと通して弾けば約1時間程。自宅では夜の1時間程を使ってなるべく毎日か数日おきにでも弾くようにしています。1時間弱だったら、平日の夜でも何とか時間取れますよね。

 ただ、外で突然に弾くことになった時、「あれ、自分の弾ける曲、何と何があったっけ?」と不安になることがよくあります。そんな時のために、自分が弾ける曲目のリストメモ(小さなメモ用紙1枚)を手帳の中に挟んでおくようにしています。メモには曲名とその曲のKeyを書いています。そうすれば、弾く前に「これとこれを弾こうか」と確認出来るので安心です。また、Keyを書いておくのは、数曲弾く時に同じKeyの曲が続かないように、あるいは曲と曲の間の緩衝的なアドリブフレーズを次に弾く曲のKeyを意識したコード進行にしたり、メジャーとマイナーの曲を組み合わせるなどして演奏に変化をつけるためです。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■皆さまからのメッセージをお待ちしています。
 いつも読んで頂いてありがとうございます。皆さまのご感想をはじめ、ピアノへの思いや体験、日常のちょっとしたエピソードなど、お聞かせ頂けたら嬉しいです。どんな事でも構いません。下記のアドレスまでお気軽にメッセージをお寄せください。
 ご質問もありましたらどうぞ!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 早いもので4月も今週で終わり。来週のこのコラムの更新日(火曜日)はもう5月ですね。というかゴールデンウィーク真っ只中。皆さま、連休はどう過ごされる予定ですか? 
 私はちょっと静かな連休かなぁ。まだちゃんとした予定は立ってませんが。滴る新緑を楽しめたらいいかなぁ、なんて思っています。

 
−an 弾手−
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