このコラム、最近はピアノの奏法やコード理論の解説よりもan弾手の「体験見聞録?」みたいになってますが〜。今回は久し振りにQ&Aコーナーです。
既にこのコラムでも何度もご紹介しています東京の「弾手の会」のメンバーの方からご質問をいただきました。
内容はこのコラムの
第77回の記事に関するご質問です。以下にそのご質問メールの一部を引用します。
(弾手の会の方からのメール)
…ところですみません、質問その2になってしまいますがお願いできますか。
an弾手さんのピアノ奮戦記コラムを読み返して、そういえば第77回の次のところでつまずいて以前からそのままにしておいたところがあるですが、今回もまた解決できません。
コラムによると…
G→Am→D7→B7→Em→Am→D7→G
のコード進行ですが、結局、
G→D7→G →D7→G
という、(トニック)→(ドミナント)→(トニック)の繰り返しと同じ構造になっている…、と。
an弾手さんは敢えて読者に課題として与えられていますが、すみません、いろいろ考えても私の知識ではどうしても紐解けません。やはりヒントではなく、ここでお答えをいただいてよろしいでしょうか。宜しくお願い致します。
(an弾手より)
今、突然にこのページをご覧になった方には前後の話のつながりが何のことやらお分かりにならないかと思います。よろしければ
バックナンバー第77回もご参照頂けるとご質問の意味が分かりやすいかと思います。第77回の最後の方に、今回ご質問の話が出てきます。
このご質問に対して、弾手の会の他のメンバーの方からも回答・解説があって(複数メンバー同士の同時送信メールなので)それぞれになるほどという解説を頂いていました。
ただ、それらをここで全部ご紹介すると話しが煩雑になりそうなので、ここではとりあえず私の解説のみをご紹介することにします。もちろんコード進行の分析は色々な切り口が可能ですので、これが全てという訳ではありません。ひとつの見方と思ってください。少し長くなりますがよろしくです。
(an弾手の解説)
ご質問に出てきたコラム第77回では、私のオリジナル曲「そよ風の微笑」のコード進行を例にしながら、そのコード進行の仕組み(構造)を解説しています。
例題曲の調はKey=Gで、例にしたコード進行は、
@ G→Am→D7→B7→Em→Am→D7→G
です。このコード進行はどんな組み立てになっているのか?
コラムで私は、この一見複雑そうに見えるコード進行も、結局
A G→D7→G→D7→Gという、最も基本的な(トニック:G)→(ドミナント:D)→(トニック:G)の繰り返しと同じ構造になっている、と書いていました。
で、これが、なぜそうなのか分からない、というご質問ですね。
(すみませんが、以下の解説はダイアトニック・コードとか度数表記とかの基本的な知識はおありというのを前提にしています)
色々な曲に出てくる様々なコード進行。どうしてこんな進行になっているの?と疑問に思うことも多いと思います。でも複雑に見えるコード進行も、実は様々な化粧を取り去っていくと、基本の背骨の部分は結局(トニック)→(ドミナント)→(トニック)という超基本的な構造から出来ていると言えるのです。逆に言えば、まず(トニック)→(ドミナント)→(トニック)の基本的な進行があり、それに様々な化粧や飾りが付いてお洒落な雰囲気が醸し出されている、とも言えます。
上記@のコード進行も、一つの考え方として、コード進行の骨格となるコードと補助的な(曲の味付けのために使われている)コードに分けて考えることが出来ます。
@のコード進行を、骨格となるコードを太字で、補助的なコードを細字で書いてみると次の様になります。(コードの下のローマ数字は度数表記です)
どうしてそんな風に分けて考えることが出来るの?という疑問がここでまた湧くかも知れませんが、とりあえずここでは単純にGとかD7とかに着目しただけ(Emは特例で)、と思ってください。
で、上記の太字(骨格となるコード)のところだけ見ると
ですね。これらが骨格となるコードで、残りの細字のコードは補助的な味付け用のコードと見なすことが出来ます。
そして、たった今、特例と言ったEmは実はGの代理コード(注1)なんです。そこで、このEmをGに置き換えて(元に戻して)みると
となって、ほら、上記Aの基本的な(トニック)→(ドミナント)→(トニック)のコード進行になったでしょ。
では次に、細字の(補助的な)コードはどんな働きをしているのでしょうか?
…えっと、すみません。話が長くなりそうなのでこの続きは次回(来週)に、ということで。
(注1)上記の説明で出てきた「代理コード」を分かり易く書いた図を、今年3月発売の拙著「パパも弾きたいピアノ入門」(ドリーム・ミュージック・ファクトリー)に載せていますので、今回の話に出てきたKey=Gの代理コードの部分だけをちょっと紹介しておきますね。参考にされて下さい。
(続く→原則毎週火曜日更新)
an弾手(andante)
■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com
ちょっと、ひと言。 |
ニュースによると、フィリピンを襲った台風30号で現地では大変な被害が出ているようですね。酷い状況で心が痛みますが、更に今回はちょっと人ごとではなく感じています。
と言うのも、知人が11月の頭からフィリピンに長期出張だと聞いていたので。でも、たまたま出発の予定がひと月程ずれて、まだ行ってなかったらしい。よかった!と言っては被害に遭われた現地の人達に申し訳ないのですが。それでも1ヵ月後の出張は行けるのだろうか。
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