第471回 「A列車で行こう」 [2013.11.5]

 ジャズファンなら知らない人はいないスタンダードナンバー、「Take the A-Train(A列車で行こう)」。疾走する列車の振動が伝わってきそうなノリの曲ですが。いえ、本当に「疾走する列車の振動」が伝わってきました!
列車が揺れた瞬間、目の前でマイクを握って歌っているヴォーカリストがよろけて危うく転びそうになるシーンが何度も!

その日乗ったのは…。熊本市の県民百貨店が企画した列車貸切企画「夢のA列車〜ジャズ生演奏と世界のワインと夢のごちそう〜」。列車はJR九州が熊本―三角(みすみ)間で運行している「特急・A列車で行こう」という2両編成の特別仕様車。当日もらった「記念乗車証」によると…
『大人の旅へ。旧き良き時代を彷彿とさせる粋な列車で。16世紀の天草に伝わった南蛮文化をテーマにデザイン。A列車のAは天草の頭文字から。黒と金色の車体はどこかエキゾチックで昔見た映画のワンシーンさながら。内装は、落ち着いた色調の木を壁や床に様々にあしらい、随所に配したステンドグラスなどで「大人の旅」を演出しています』とのこと。車内にはバーカウンターやソファー席もありゴージャスな雰囲気です。
とは言え、この列車の通常の運行は金、土、日を中心とした昼間だけらしく、夜間にジャズの生演奏をしながら走るのは今回初めての企画らしい。私が申し込んだ時は既に50名の定員は満席で、キャンセル待ちという人気でした。

今回の特別運行は平日。熊本駅で午後6:00までに受付を済ませないといけないというので、仕事を5:00過ぎには抜け出して駅に向かったのでした。
熊本駅から天草の玄関口、三角駅まで片道約45分。三角で約40分の自由行動の後、また熊本駅まで帰るという行程。ジャズの生演奏は往路30分、復路30分の2回。ただ、生演奏の機材の設定上、実際に観れる(聴ける)のは2両中1両だけ。そのため、往路と復路で乗客全員が乗車する車両を交代するという設定でした。私は復路ライブ組。往路は演奏は聴けませんでしたが、配られたオードブルや複数のバーテンダー風の乗務員さんが(飛行機のキャビンアテンダントよろしく)客席の間を注いで回ってくれる飲み放題のワインを楽しみ、復路でいよいよライブ席へ。

何と、私の指定席は最前列。ゴージャスな金の手摺りをあしらったガラスの間仕切りの向こうに、ピアノ(エレピ)、ウッドベース、そしてMCやヴォーカル用のスピーカーが設置され、その奥にはレトロ調のバーカウンターが覗いています。
演奏が始まりました。列車のゴトゴトいう音とジャズのリズムがなかなかいい感じ?出演は、ピアノが住原恵美香さん、ウッドベースが村上明さん、ヴォーカルが松本理恵さん。いずれも熊本を拠点に県内外で活躍中のミュージシャンです。
と、列車がガクン!と揺れた瞬間、立って歌っているヴォーカリストが手摺りを掴みそこねて危うく転びそうに!それでも笑顔を絶やさず息の合った演奏を続けるミュージシャンに拍手!車内も一体になって盛り上がってきます。生演奏だからこその臨場感ですね。やがて、もちろん演奏曲目は「Take the A-Train」へ。

列車の振動とジャズのリズムが一体となったグルーヴ感を乗せて、夢のA列車は闇の中を疾走して行ったのでした。

当日の車内の写真はこちら→クリック



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 昨日の文化の日の振り替え休日。阿蘇の地獄温泉まで行ってきました。
阿蘇南郷谷から地獄温泉の方へ登って行くと、やがて道が狭くなりうっそうとした木々が迫ってきます。まるで下界から別世界へ抜けるトンネルの様です。
今年は暑い夏が長かったせいか、山はまだそれほど色付いてはいませんでしたが、それでも古い湯治場の雰囲気を残す山あいの地獄温泉は、落ち着いた秋の気配が一杯でした。

 
−an 弾手−


第472回

Q&Aコーナー
「東京・弾手の会の方からのご質問:コード進行について」 その@
[2013.11.12]
このコラム、最近はピアノの奏法やコード理論の解説よりもan弾手の「体験見聞録?」みたいになってますが〜。今回は久し振りにQ&Aコーナーです。
既にこのコラムでも何度もご紹介しています東京の「弾手の会」のメンバーの方からご質問をいただきました。
内容はこのコラムの第77回の記事に関するご質問です。以下にそのご質問メールの一部を引用します。

 

(弾手の会の方からのメール)
…ところですみません、質問その2になってしまいますがお願いできますか。
an弾手さんのピアノ奮戦記コラムを読み返して、そういえば第77回の次のところでつまずいて以前からそのままにしておいたところがあるですが、今回もまた解決できません。

コラムによると…
G→Am→D7→B7→Em→Am→D7→G
のコード進行ですが、結局、
G→D7→G →D7→G
という、(トニック)→(ドミナント)→(トニック)の繰り返しと同じ構造になっている…、と。

an弾手さんは敢えて読者に課題として与えられていますが、すみません、いろいろ考えても私の知識ではどうしても紐解けません。やはりヒントではなく、ここでお答えをいただいてよろしいでしょうか。宜しくお願い致します。

 

(an弾手より)
今、突然にこのページをご覧になった方には前後の話のつながりが何のことやらお分かりにならないかと思います。よろしければバックナンバー第77回もご参照頂けるとご質問の意味が分かりやすいかと思います。第77回の最後の方に、今回ご質問の話が出てきます。

このご質問に対して、弾手の会の他のメンバーの方からも回答・解説があって(複数メンバー同士の同時送信メールなので)それぞれになるほどという解説を頂いていました。
ただ、それらをここで全部ご紹介すると話しが煩雑になりそうなので、ここではとりあえず私の解説のみをご紹介することにします。もちろんコード進行の分析は色々な切り口が可能ですので、これが全てという訳ではありません。ひとつの見方と思ってください。少し長くなりますがよろしくです。

(an弾手の解説)
ご質問に出てきたコラム第77回では、私のオリジナル曲「そよ風の微笑」のコード進行を例にしながら、そのコード進行の仕組み(構造)を解説しています。
例題曲の調はKey=Gで、例にしたコード進行は、
@ G→Am→D7→B7→Em→Am→D7→G
です。このコード進行はどんな組み立てになっているのか?
コラムで私は、この一見複雑そうに見えるコード進行も、結局
A G→D7→G→D7→Gという、最も基本的な(トニック:G)→(ドミナント:D)→(トニック:G)の繰り返しと同じ構造になっている、と書いていました。
で、これが、なぜそうなのか分からない、というご質問ですね。
(すみませんが、以下の解説はダイアトニック・コードとか度数表記とかの基本的な知識はおありというのを前提にしています)

色々な曲に出てくる様々なコード進行。どうしてこんな進行になっているの?と疑問に思うことも多いと思います。でも複雑に見えるコード進行も、実は様々な化粧を取り去っていくと、基本の背骨の部分は結局(トニック)→(ドミナント)→(トニック)という超基本的な構造から出来ていると言えるのです。逆に言えば、まず(トニック)→(ドミナント)→(トニック)の基本的な進行があり、それに様々な化粧や飾りが付いてお洒落な雰囲気が醸し出されている、とも言えます。

上記@のコード進行も、一つの考え方として、コード進行の骨格となるコードと補助的な(曲の味付けのために使われている)コードに分けて考えることが出来ます。
@のコード進行を、骨格となるコードを太字で、補助的なコードを細字で書いてみると次の様になります。(コードの下のローマ数字は度数表記です)



どうしてそんな風に分けて考えることが出来るの?という疑問がここでまた湧くかも知れませんが、とりあえずここでは単純にGとかD7とかに着目しただけ(Emは特例で)、と思ってください。

で、上記の太字(骨格となるコード)のところだけ見ると



ですね。これらが骨格となるコードで、残りの細字のコードは補助的な味付け用のコードと見なすことが出来ます。
そして、たった今、特例と言ったEmは実はGの代理コード(注1)なんです。そこで、このEmをGに置き換えて(元に戻して)みると



となって、ほら、上記Aの基本的な(トニック)→(ドミナント)→(トニック)のコード進行になったでしょ。

では次に、細字の(補助的な)コードはどんな働きをしているのでしょうか?
…えっと、すみません。話が長くなりそうなのでこの続きは次回(来週)に、ということで。

(注1)上記の説明で出てきた「代理コード」を分かり易く書いた図を、今年3月発売の拙著「パパも弾きたいピアノ入門」(ドリーム・ミュージック・ファクトリー)に載せていますので、今回の話に出てきたKey=Gの代理コードの部分だけをちょっと紹介しておきますね。参考にされて下さい。





(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 ニュースによると、フィリピンを襲った台風30号で現地では大変な被害が出ているようですね。酷い状況で心が痛みますが、更に今回はちょっと人ごとではなく感じています。
と言うのも、知人が11月の頭からフィリピンに長期出張だと聞いていたので。でも、たまたま出発の予定がひと月程ずれて、まだ行ってなかったらしい。よかった!と言っては被害に遭われた現地の人達に申し訳ないのですが。それでも1ヵ月後の出張は行けるのだろうか。

 
−an 弾手−


第473回

Q&Aコーナー
「東京・弾手の会の方からのご質問:コード進行について」  そのA
[2013.11.19]
 今回のコラムは前回(第472回)からの続きです。前回をお読みでない方はそちらのバックナンバーから先にお読みください。

(前回からの続き)
前回では、Key=Gの場合を例にして、an弾手の曲「そよ風の微笑」の中に出てくるコード進行



を、骨格となるコード(仮に太字で表記)と補助的な(曲の味付けのために使われている)コード(仮に細字で表記)に分けて、まずは骨格となる太字のコードの部分について見てみました。
今回は、細字の(補助的な)コードAmやB7の働きを見てみましょう。

これら(AmやB7)は前回解説した基本的な(トニック)→(ドミナント)→(トニック)のコード進行



にお洒落な味付けの意味で付け加えられているコードです。まずD7(X7)の前に入っているAm(Um)はD7(X7)の4度下のコードで、D7(X7)と合わせてトゥ・ファイブの進行(Um→X7)を形成しており、セットでドミナントの機能とも考えられます(面倒な理屈は別にして、実用的にはどんなKeyであってもX7(ドミナント・セブンス)が出てきたら「○○の一つ覚え」の様に常にその前にUmのコードを置けばトゥ・ファイブとして使用出来る、と覚えておくとどんな曲にでも機械的に使えて便利です)

次にEm(Ym)の前に入っているB7(V7)ですが、これも実はEmの4度下のコードで、度数の間隔はトゥ・ファイブと同じ進行になっています。
さらにKey=Gのダイアトニック・コードとしてはマイナーであるべきBmを、メジャーのB7に置き換えて、Emに対するドミナント・コードの機能を持たせています(つまりEmをTmと考えると、B7はX7)。この様に、その曲のKeyの本来のルート(T度。この場合はG)とは違うコード(この場合はEm)を仮にルート(T度)と見なした時、それに対するドミナント・コード(X7)にあたるコード(この場合はB7)を、セカンダリー・ドミナントと言います。
これも○○の一つ覚えみたいに、「このコードをT度と仮定したらX7にあたるコードは何?」と考えて、それをコード進行でひとつ前に挿入すると、そこで一瞬転調した効果が生まれハッとする様な響きを作ることが出来ます。色んな曲のコード進行で手当たり次第に(笑)機械的に試してみるだけで、思わぬ新鮮な響きに出会って面白いですよ。
この手法はまさにコラム第77回の主なテーマとして書いている「ちょっぴりアレンジャーになった気分になれるドミナントモーションの応用」で、次々にドミナントモーションをつないでいくテクニックに他なりません。

という訳で。…ふぅ、ご質問に対して2回(2週)に渡って書いてみましたが、言葉で説明しようとすると難しくて疲れますね〜(笑)。読んでいる方はもっとお疲れになったと思いますが。すみません!今回はコードやコード進行の基本的な知識、「トニック」「ドミナント」「代理コード」「トゥ・ファイブ」などの言葉の意味が分からない人には「何のコッチャ?」という話しになってしまいました。
実はそれらの基本的な解説も、このan弾手コラム第52回「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座(その1)」以降に順を追って少しずつ書いていますので、ご興味がおありの方はお暇の時にでもボチボチご覧になってください。
ありがとうございました!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 またまたですが。私の本の話です。少し前にもお知らせしましたがドレミ楽譜出版社の「お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く想い出のフォークソング」が12月に改訂新刊として新たに発売になる予定です。2006年初版のものと内容はほとんど変りませんが、微妙にマイナーチェンジして再登場です。
それから今年3月に初版発売になった「パパも弾きたいピアノ入門」(ドリーム・ミュージック・ファクトリー)が、年明け早々にも増刷になりそうです。
講談社の「2週間速習ピアノ講座」はつい先日第5刷が出たばかりですが、編集のご担当者から次の新しい企画のご相談も頂いていて、今、頭をひねっているところです。
まだお会いした事もない全国のたくさんの大人ピアノ愛好家の方達と、こうして少しずつでも共感の輪を広げていけることに感謝です。

 
−an 弾手−


第474回

「透明な音の粒子」
[2013.11.26]
 今、自室で、デスクの両脇に置いたスピーカーから流れるウォン・ウィンツァンの「光の華」というCDの、静かなピアノサウンドを聴きながらこの原稿を書いています。瞑想の世界に引き込まれるような空気に包まれて。

それは、知り合いのあるホールの副館長さんからご案内頂いたピアノコンサートに行ったのが始まりでした。私は不覚にもその日の出演者、WONG WING TSAN(ウォン・ウィンツァン)さんの事を何も知らなかったのですが、演奏が始まったらいきなりその世界に引き込まれてしまいました。静かで瞑想的なその音色。心の底からそっと語り掛けて来るような抑揚。その日のコンサートのサブタイトルに書いてあった「〜透明な音の粒子〜」という言葉通りでした。
長く伸ばした髪は真っ白。その白髪に合わせるように上下真っ白の服。全身を白で包まれた男性がステージの上で一人、白い長髪を振り乱しながら演奏しています。流れてくる曲は静かな瞑想サウンド。

こう書くと、何だか謎めいた孤高のピアニスト?みたいに思われるかもですが。ところが…。一旦曲が終わってピアノの上に置いたマイクを取って話し始めたら、まあ、何てフレンドリーな!
彼は名前から想像できるように中国系の血筋の様ですが、日本生まれの日本育ち。現在63歳。本人の自己紹介MCによると「日本語しかしゃべれない変な外人」だとか。しゃべり出すと止まらなくてMCの長いこと(笑)。
「えっと、今日は何曜日でしたっけ?」
と会場に向かって問いかけます。会場から
「金曜日です〜」
と声が返ってくると
「ああ、そうでしたね〜。残念!これからドーヨー弾こうと思ったのに」
とオヤジギャグで会場の笑いを取り、ピアノに向かいます。
静かに静かに、「うみはひろいな、おおきいな〜」のメロディーが流れてきます。聴き慣れたこの童謡のメロディーからしたらメチャクチャゆっくりなテンポ。そして思い入れたっぷりの抑揚。ほとんど違う曲に聴こえます。続いて「五木の子守唄」。こちらも全く違うウォン・ウィンツァンサウンドです。

聴きながら、自分の中でひらめくものがありました。
まあ、大それたことに。『この雰囲気、an弾手の演奏に何か取り込めるんじゃない!?』と。
何と恐れ多い事を!という気はしますが。でも、聴きながら『なるほど〜!なるほど〜!』というポイントが満載で。これまで自分でも多少は(癒し系?)のピアノを意識しながら弾いているつもりだったのですが、このコンサートを聴いて、それがまだ全然なっていないことを痛感しました。同時に、なるほど、この雰囲気は自分のピアノ演奏にも取り込めそう、という目指す方向が幾つも見えてきた様な気がします。
同じコンサートを聴いていた知り合いの人が、終わった後で
「an弾手さんのピアノと雰囲気がよく似ていましたね」
と言ってくれたんですが、自分以外の人からも似たような感想を聞いて、『あ、自分だけの思い込みでもないんだ』というのを実感出来て嬉しかったです。

早速、出口でウォン・ウィンツァンさんのCDを何種類も大人買い(笑)。童謡だけ集めたCDも2種類ありました。童謡は私も「お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く懐かしい日本の叙情歌」というタイトルでコード奏法アレンジの曲集を出していますが、大変好きで自分の演奏のレパートリーにもしています。

この原稿を書いている今、部屋に流れている「光の華」というCD。全てウォン・ウィンツァンさんのオリジナルです。でも、タイトルは知らなくてもどこかで聴いた事がある曲がいくつも入っていてびっくりしました。
コンサートプログラムのプロフィールを見たら、NHKの「家族の肖像」「世界遺産 中国・九案溝」「にっぽん紀行」「こころの時代」などテレビ番組のテーマ曲もたくさん手掛けられているようで、知らないうちにどこかで耳にしているのかも知れません。

さて、私も新たな刺激を頂いて、自分では弾き慣れたつもりだった曲もまた新鮮な気持ちで弾けそうです。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 珍しく本業(関連?)ネタですが(笑)。昨日は熊本デザイン専門学校のロビーに作品展示に行ってきました。私も会員になっているJAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)主催で開く、デザインを学ぶ学生のためのイベント「学生の日」の関連展示です。会員有志17名がそれぞれ自分の仕事の作品をB1パネルにして展示しました。イベント本番は今週土曜日(30日)なんですが、その日私はボランティアで参加しているオハイエくまもと主催の「トーク&コンサート」に出るため、学生の日は欠席です〜。

 
−an 弾手−


第475回

「読者の方から『夢物語』のご報告」
[2013.12.3]
 いつも読者の方には沢山のメールを頂いてありがとうございます。今回のコラムは最近届いた中から福岡在住で63歳の男性の方からのメールを、ご本人のご了解を頂いてご紹介します。
最初のメールが届いたのは4ヵ月前、8月2日夜7時過ぎのことでした。


 
福岡在、63歳の男性です。図書館からアンダンテさんの本『お父さんのためのピアノ教室』を借りました。
ピアノはあの、二段譜のおかげで(?)子供の時から避けていました。
が、この度→なんか突然自分にもできそうな気がむくむくと湧いてきました。
まだ…本を読んで文面を咀嚼の段階ですが、いつか夏川りみの、涙そうそうにチャレンジします。まさに60の手習いです。
タイムリーな本、ありがとうございます。
 
(an弾手より)
嬉しいですね!
拙著「お父さんのためのピアノ教室」を図書館からお借りになった様ですね。この本、ネットで調べた限りですが、あの国会図書館はじめ、全国の色々な図書館にも所蔵されているみたいです。メール頂いた方は福岡在住とのことですので、福岡のどこかの図書館で手にされたのでしょう。
まあ、本当は買って頂くとその分部数が伸びて嬉しいのですが(笑)。
いえいえ冗談です。全国の図書館で沢山の方の目に触れ、こうしてまたまた大人ピアノ仲間が増えるのはとても嬉しいことです。ありがとうございます!
メールに書いて頂いている様に、あの仰々しいピアノの二段譜が壁になってピアノに手が出せないでいる、という方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。その点、私の本では二段譜を使わず、コードで自分流に弾いていく奏法ですから、取っ付きやすいと思います。
「夏川りみの、涙そうそうにチャレンジします」とのこと。楽しみですね。



そして、そのひと月後、続編のメールが届きました。
 
8月あたまに初めてメールしました者です。
『いつか夏川りみの、涙そうそうにチャレンジします。まさに60の手習いです』
と書きましたが、両手で、涙そうそうをなんとかたどたどしく弾けてます(笑)。自分で信じられません。
学生のころ、ギターのFコードに挫折しそうになったことを考えれば→こんなに楽にキーボードが弾けてしまっていいの?という感じです(笑)。
同年代の友人にも勧めてます。
 
(an弾手より)
はい、弾けてしまっていいのです(笑)
そう言えば、以前にも別のある読者の方から、
「こんなに簡単に弾けてしまっていいのでしょうか?逮捕されないでしょうか?」
というメールを頂いたことがありました。
その時の私の返事が
「はい、大丈夫です。私もまだ逮捕されていませんから」
だったことを思い出しました。



そして、先月初めには3通目のメールが届きました。
 
お元気ですか。
いま、LOVE (ジョン・レノン)を練習してます。たどたどしいしいですが、あんな簡単で(多分弾き馴れたひとには)→しかしあんな美しい曲を作れるジョンはやはりすごいです。
自分が弾ける、なんて夢物語でした…。
 
(an弾手より)
いやあ、「涙そうそう」に続いて、今度は「LOVE (ジョン・レノン)」に挑戦ですか!?素晴らしい!
「自分が弾ける、なんて夢物語でした」
という言葉に沢山の思いが込められているような気がして激しく共感します。私もコード奏法に出会って、まさに「夢物語」が実現したような気持ちでしたから。


福岡の63歳の男性の方、お便りありがとうございました。
これからもご一緒に「夢物語」楽しんでいきましょう。そしてまた次のご報告も楽しみにお待ちしています!



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 123と数字が並びました。いえ、12月3日っていうだけなんですが。全く、一年が過ぎるのって何て速いんでしょう、もう師走だなんて。
郵便受けにもこのところ「喪中につき…」というハガキがいくつも届きます。それも以前は友人からは「祖父が…」「祖母が…」というのが多かったのに、最近では「父が…」「母が…」が増えたような気がします。世代の移り変わりも感じますね。
さて、(泣いても笑っても?)あと4週間。有意義に過ごしましょう。

 
−an 弾手−


第476回

「オハイエくまもと・トーク&コンサート」
[2013.12.10]
 その時私は薄暗い舞台の袖にいました。仕切幕の隙間から見えるステージでは、元宮城県知事・浅野史郎さんが照明を浴びて軽妙なトークを続けています。舞台の袖に待機しているのは30人ほどのオハイエ音楽隊のメンバー(パフォーマー)と、私を含めたサポーター達。息を殺して出番を待っています。

その日はオハイエくまもと5周年記念「トーク&コンサート」の本番。19:00開演に備えて、私達は15:00に会場のくまもと森都心(しんとしん)プラザ5階ホールに集合。控え室での最後の練習、確認、そして開場前の舞台でリハーサルをしたのでした。

「オハイエくまもと」とは、このコラムでも何度か取り上げた事がありますが知的発達障がいのある人たちを中心に、日常的に音楽(楽器演奏、歌、踊り)を練習しながら、音楽の力で心のバリアフリーを目指そうという団体です。今年はNPO法人にも認証され、さらに発足から5周年ということで記念の「トーク&コンサート」が開かれたのでした。
私はとりあえず、音楽指導、及び毎年3月に開催されるオハイエくまもと「とっておきの音楽祭」の実行委員の一人、ということでの参加です。

その日の「トーク&コンサート」は、熊本がお手本にした仙台のオハイエ創設に関わられた浅野史郎さんの講演、及び浅野さんと潮谷義子さん(元熊本県知事でスペシャルオリンピックス日本・熊本理事長)、及び入部祥子さん(オハイエくまもと会長)3人によるトーク、そして、心の病を持ちながらも「天使の歌声」といわれる素晴らしいピアノ弾き語りライブ活動を続けている大林由紀さん、視覚障害者国際柔道大会で優勝経験を持つ「黒帯のシンガーソングライター」大山桂司さんの演奏、そして我がオハイエ音楽隊の演奏、というプログラムでした。

開演前のステージリハでは、全員の並び順、楽器の設置位置、緞帳の下りる位置の確認、音を出しながらマイクの配置調整やPAの確認、曲の途中で打楽器のメンバーがステージの前を踊りながら動き回るパフォーマンスのタイミングや動きの確認などバタバタ!リハの途中で急遽、打楽器隊の動きの誘導を私がやることに決まったりして責任重大です!

さて、いよいよ浅野史郎さんの講演が終わり会場の拍手が聞こえています。リハの通りに素早く全員がステージに移動し所定の位置に付きます。
曲は、最初がソレアード。私がサポートで付くのはCのトーンチャイム担当の女の子。横に立って一緒に楽譜を見ながらトーンチャイムを鳴らすタイミングを合図します。これまで何度も練習してきているのでバッチリです。
「私たちは待っている。未来の子どもたちを〜」
途中、メロディーの演奏をバックに全員で語る部分もあり、みんなの気持ちが一つになった気がします。
2曲目はカントリーロード。威勢のいいリズムに合わせて打楽器中心の演奏です。途中、メロディーが消えて打楽器を乱打する所に入ります。よっしゃ、打楽器隊に合図してみんなでステージ前方に移動!リズムに合わせて踊りながら動き回り「ピー、ピピッピー!」とホイッスルも入って盛り上がります。再びメロディーが流れ始めたらまた最初の位置にバックです。

その後、大林由紀さんのピアノ弾き語り、大山桂司さんのギター弾き語りでしっとりと盛り上がった後、再びオハイエ音楽隊が登場してフィナーレ。
東日本復興ソングの「花は咲く」を、ステージ全員が手話のパフォーマンスを入れながら会場のみなさんと一緒に歌いました。この手話は日頃の練習の時に東京から手話の専門家の方に指導に来て頂いてみんなで練習したものです。
歌詞の意味を体全体で表現しながら歌うことで、言葉だけよりもとても気持ちがこもります。最後に
「花は 花は 花は咲く いつか恋する君のために〜」
と歌いながら全員が人差し指を空高く伸ばしてその先をじっと見つめるところでは、ステージの上で思わずグッと来てしまいました。

ある時は笑顔で、ある時は身を乗り出しながら食い入るようにこちらを見つめているお客様の顔、顔、顔。客席とステージが一体になった空気が伝わってきて、私は脇役のサポートでしたがとても充実した気持ちを味わわせてくれたコンサートになりました。



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ちょっと、ひと言。

 あーっ、もう12月も3分の1が過ぎてしまった!こうして忘年会やライブに顔を出しているうちに、師走もあっという間に過ぎて行くんでしょうね〜。役所関係の仕事も、ここに来てバタバタと相談が増えてきたような気がしますし。おっと、年賀状は?大掃除は?
すみません、それでなくともせわしないのに、こんな「ひと言」で。
少し気を落ち着かせて、今から来年のプランでも考えてみようかと思います。

 
−an 弾手−


第477回

「ドレミ楽譜出版社より改訂新刊発売」
[2013.12.17]
 「どうやったら手に入りますか?書店に聞いたら今のところ入荷の予定がないと言われたんですけど」
そんなメールを全国から随分頂きました。ドレミ楽譜出版社から出ている拙著「お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く想い出のフォークソング」です。この本は2006年に初版が出て既に7年以上が経過しました。私も出版社に確認したら、在庫がないとの事。ネットの販売サイトを見ると、入荷予定なしで中古品が新品の2倍以上の価格で出されているところもありました。私も手元には自分の保存用が数冊あるだけなので、お分けすることもかないません。
どうしようと思っていたら。出版社が動いてくれました。『改訂新刊』という出版の方法があるんですね。以前に出版された本を一部改訂して新刊として改めて出版する方法みたいです。
それで私も出版社からの依頼で全体を見直し、あとがきを書き直し、表紙の色を多少変えて頂いて、新刊として再登場です。それが出来上がり、実は本日(平成25年12月17日)ドレミ楽譜出版社の倉庫に入庫するそうです。
「どうやったら手に入りますか?」とお問合せ頂いた全国のたくさんの皆さま、お待たせしました!12月下旬からは全国の楽器店、大型書店でお買い求め頂けるはずです。
店頭に見当たらない場合は書店員の方に、出版社名:ドレミ楽譜出版社、書名:お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く想い出のフォークソング、著者名:an弾手、それと念のために新しいISBNコード:978-4-285-13855-9 を言って頂くと確実です。

それからもう一つ。講談社から+α新書シリーズとして2005年に出版された拙著「40歳からのピアノ入門」ですが、昨年10月から電子書籍に移行し、紙書籍での販売が終了しました。それに伴い、今回こちらもほぼ同じ内容ではありますが講談社の+α文庫シリーズに収録されることになり、新たに新刊として発売されることが決まったと講談社から連絡がありました。今後私の方で一度全体に目を通して見直しを行い、版型や装丁も+α文庫用に装いを変え(タイトル等も多分変わる?)来年6月以降に全国発売となるそうです。

更に、講談社からは並行して別の新企画の本のご相談も頂いており、現在全体構成案を練っているところです。こちらは今後構成案を講談社内の企画会議に掛けて頂き、その後具体的な原稿執筆に取り掛かって…、という段取りですので、まだいつまでにどうなるかは分かりません。

また、ドリーム・ミュージック・ファクトリーから今年発売になった「パパも弾きたいピアノ入門」ですが、この秋以降は新たに「くまモン」バージョンの帯を付けて書店へ配本されていて動きがいいらしいです。こちらも年明け早々には増刷になる予定です。

という訳で、これまでに私の本を出して頂いている出版社3社とも、引き続き新たな動きをして頂いて嬉しい限りです。これも偏に実際に私の本を手に取り買って頂いている全国のたくさんの皆さまのお陰です。本当にありがとうございます。

自分がピアノコード奏法と出会って味わった感動を全国のたくさんの人にも広げたい…。そんな思いで始めたこのコラムや本の執筆ですが、お会いしたことも無いたくさんの人たちとこうしてピアノつながりの輪を広げて頂いていることに感謝しています。
ありがとうございます。
新しい年も、たくさんの輪が広がりますように願っています。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 「輪」と言えば。先日発表になった「今年の漢字」は「輪」でしたね。東日本大震災復興に向けた物心両面での人の「輪」とか、2020年東京五輪にちなんだ「輪」とか。「輪」という言葉からは人によってそれぞれ沢山の思いが広がるような気がします。
私の周りでも今年は色々と訃報が飛び込んできたり慶事の案内を頂いたり。年末年始は同窓会も多いのですが、そんな時に改めて人の人生というものを考えてみたり。そこにはちょっとした友人の輪から人の輪ご縁の輪、さらに輪廻転生といった大きな巡り合わせの輪まで、色々あって考えさせられます。
今年もあと2週間。また新たな年の輪が始まるんですね…。

 
−an 弾手−


第478回

「ステキなプレゼントをもらった今年のクリスマス会」
[2013.12.24]
 「それでは今から、『3分間で分かるコード奏法講座』のお話をしたいと思います」
その日、「2013〜オハイエクリスマス会」に参加した私。その中で私たち音楽指導者も何かアトラクションの出し物をやるように言われていて、私が考えたのが「3分間で分かるコード奏法講座」。他の指導者の先生方はピアノの先生だったり、交響楽団で演奏されている現役の団員さんだったりで、皆さんそれぞれに素晴らしい演奏をされるので、私がナンチャッテ鼻歌ピアノを弾いてもパッとしないかなぁと思ってですね。

でも、私が当日の進行係の人に「3分間で分かるコード奏法講座、みたいなのをやってみようかと…」という話をしたら、「パフォーマーには話が分からないかもですよ」と心配されました。パフォーマーとは知的障がいを持つオハイエ音楽隊のメンバーのことです。
「いえいえ、ナンタラ講座、と言っても、遊びみたいなものですからぁ」と私。

で当日。会場となった第二大江学園の講堂は、パフォーマーとその保護者、そしてボランティアの皆さんや音楽指導の先生で溢れました。
まずはこれまで練習を重ねてきた「花は咲く」の手話入りバージョンの練習。その後、皆で講堂の床に座ってクリスマス会が始まりました。プログラムはいきなり音楽指導の先生の演奏です。交響楽団員の先生方のチェロとピアノ、チェロとビオラ…。クラシックの優雅な調べが講堂に響きます。続いてピアノの先生の伴奏でジングルベル、きよしこのよる、サンタが街にやってくる、を皆で歌います。そして、日頃はパーカッションの指導をされている先生が、珍しい民族楽器やオモチャのバイオリンなど、沢山の楽器を次々に持ち替えながら弾いて楽しませてくれます。

そして、いよいよ私の番!マイクを手にします。
「みなさん、こんにちは! それでは、これから少し時間を頂いて、ピアノの話と実演をしてみたいと思います…」
私がピアノに触れるようになったきっかけやコード奏法との出会いをちょっと話してから、マイクを持ったままピアノの前に掛けます。
「では、これから『3分間で分かるコード奏法講座』をやってみたいと思います〜」
「まずはドレミファソラシドを弾いてみます〜!」
「はい、コードではこれをCDEFGABと言います〜!」
「はい、このド、ミ、ソ、つまりCEGを一緒に弾くと、これでコードCになります〜!」
「はい、この指の形のまま右に一つずつ移動していくと7つのコードが出来ます〜」
「はい、これに左手を入れると〜」
ザーッとコードの話をしたところで
「実際の曲では、この7つのコードのうち、2つか3つで弾けるのが沢山あります〜」
「それではコードCとFとGの3つを使って『きよしこのよる』を弾いてみます〜」

という訳で、簡単なイントロと間奏を入れながら『きよしこのよる』を弾いてみました。最後コードが普通ならG→Cと終わる所をG→A♭→B♭→Cというコード進行にして、クリスマスの夜空に高く高くトナカイのソリが昇って行く様な雰囲気を出してみました。

多分、コードが何なのか、ちっとも分からない『コード奏法講座』だったと思いますが(笑)。でも「あのおじさん、何かゴチャゴチャ言いながらピアノ弾いてたよ」位でも覚えておいてくれたら嬉しいかな。

そして。
クリスマス会の最後、サプライズのプレゼントが!
「日頃お世話になっている先生やボランティアの皆さんに、パフォーマーの皆からプレゼントを渡してください〜!」
と司会者が言いながらパフォーマーに小さなお菓子の袋を配り、前方にズラッと並んだ音楽指導者やボランティアにプレゼントを手渡す場面があったのですが。
一人の知的障がいのある女の子が、私と目が合った瞬間、ニッコリ笑って一目散に私の所に走って来てお菓子の袋を渡してくれたのです!そしてさらに!いきなりのハグハグ!
はい、嬉しゅうございました!
これまで練習の時に彼女の横でサポートに付いた事は無かったと思うのですが。そう言えば日頃練習会場に入る時にたまたま顔を会わせると、いつの頃からか満面の笑顔でハイタッチしてくれるようになってたっけ?

障がいのある人もない人も、一緒になって音楽を演奏する楽しさや交流の機会を広げよう、という趣旨で私たちは『サポーター』として音楽指導をしているのですが、こうして私の方が励まされたり嬉しい思いをさせてもらったりしているんですね〜。
ステキなプレゼントにちょっと心が温かくなった、今年のクリスマス会でした。

★マイクでしゃべりながらピアノを弾いているan弾手→(クリックで写真)
★最後に皆で踊りながら歌うパフォーマーと参加者→(クリックで写真)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 残すところあと1週間になってしまいましたぁ!ホント信じられません。ついこの前のあの猛暑の日々は何だったんだ?
そんな中、今年もこのan弾手コラムにお付き合いいただき本当にありがとうございました。以前も書いたことがありますが、一人パソコンに向ってコラム書いていると、こんなもの一体だれが読んでくれるのだろうと不安になったりするものです。でも、メールを開くと、知らない人から「いつも楽しく、また興味深く拝読させて頂いております」とか「やっと私の大好きなピアノアレンジのページが見つかり出会う事が出来ました。嬉しいです」とか「なんか突然自分にもできそうな気がむくむくと湧いてきました」とか、温かいメッセージが飛び込んで来て嬉しくなります。そんな皆さまの声が、ここまでこのコラムを書き続けてこれた原動力になっている様な気がします。本当にありがとうございます!
さて、来週の火曜日は大晦日ということでコラムはお休みさせてください。次回の第479回は年が明けて1月7日(火)にアップの予定です。
それでは皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください!

 
−an 弾手−


第479回

「半歩先の未知へ」
[2014.1.7]
 新年初めてのコラムです。
皆さま、明けましておめでとうございます!
旧年中は何かとお世話になりありがとうございました。このコラム、引き続き読んでいただいていることに感謝です。今年もよろしくお願い申し上げます。

皆さま、どんな新年をお迎えでしょうか?
私は年明け早々の1月2日、居酒屋で開かれたある新年会に参加しました。現役大学生とOB(と言ってもほとんど20代?)という、実に自分の子供より若い世代ばかりの集まりでした。
「あの〜、何年の卒業ですか?」と聞かれて
「はい、昭和46年です」と。(あ、歳がバレちゃいましたね。別に隠す必要もないですが:笑)

一体、何の新年会だったのかと言うと…。
熊本大学探検部OB会。
『え?何でan弾手が探検部のOB会なんかに?』
と思われる方もいらっしゃるでしょうが。
実は…。
私an弾手は熊本大学探検部のOBなのであります。というか、熊本大学探検部の創設者なのであります〜。(すみません、ピアノと関係のない話ですが。後の方でピアノの話につながっていきますから)

あれは今からもう40数年前、私が大学3年生だった時の事です。それまで所属していたワンダーフォーゲル部を退部し、1人で「探検部」なるものを始めたのでした。当時は社会も騒然とし、全国に大学紛争の嵐が吹き荒れ、熊大でも学園封鎖で半年以上授業が行われていない状況でした。そんな中で、『何かやりたい。何かやらなければ』という気持ちで始めたのが探検部でした。まだ若かったし、何か自分の知らない未知のものへの憧れというかロマンみたいなものがあった様な気がします。

1人で部員募集のボスターを作って学生会館前の掲示板に貼り出し、よく出入りしていた文化部会室に勝手に居候して応募者を待ったのでした。そして旗揚げ時には部員5人、何とか文化部会に団体届けを出して熊本大学探検部が発足しました。
その後私はすぐに4年生になり活動できたのは実質1年程でしたが、その間、五家荘村落調査と称して五家荘の山あいの小さな集落に1週間滞在して村人や子供たちとの交流や聞き取りをしたり、屋久島の南のトカラ列島のひとつ、宝島に3週間滞在して島の暮らしや自然、鍾乳洞の調査をしたりしました。
五家荘では、最後に村を離れる朝、親しくなった村の子供たちが集まってきて、林道沿いにリュックを担いで出発する私達に「またけーよ!またけーよ!」(また来いよ!また来いよ!)と声を掛けてくれたり、宝島では宿舎として借りた島内の空き家に、夜になると島の人が焼酎を下げてやって来て、毎晩酒盛りでした(笑)。

あれから40数年。活動は後輩にちゃんと受け継がれているのか(そもそも探検部が存続しているのか?)心配していましたが、今年OB会に参加してみてひと安心。探検部より歴史が長かった山岳部を吸収合併して現在部員が30数名、活発に活動を続けているようです。

何だか、正月早々、ピアノと関係なさそうな話になってしまいましたが。
でも自分の中では、学生時代に未知の世界にトキメキながら一歩を踏み出した探検部、それと40歳を過ぎてから始めたピアノやそこで出会った未知のコード奏法の世界、どちらも同じロマン溢れる世界の様な気がするのです。
まずは小さな一歩から。そうすればきっと新しい出会いがあり、自分が知らなかった新しい世界が見えてくる。

そんな思いで、今年の年賀状には「半歩先の未知へ」というメッセージを書いてみました。一歩よりもっと小さな半歩。そんな半歩でも踏み出してみると、そこにはきっと未知の世界がある。このコラムや本の出版を通してご縁を頂いた沢山の皆さまとの出会いも、そんな半歩が運んでくれた大切な宝物です。
今年もそんな「半歩」を大切に、まだ見ぬ「未知」の世界へと続く果てしのない「道」を、歩いて行きたいと思っています。ワクワクしながら。

★2014年an弾手年賀状はこちら→クリック



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 あっという間に今年も一週間が過ぎて、今日は七草。
せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、の7種の野菜を刻んで入れた「かゆ」を食べる風習らしいですね。「御節料理で疲れた胃を休め、野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補うという効能もある」とは、Wikipediaからの引用ですが、確かに、お正月の間は御節料理やお菓子に囲まれて食べ放題の我がままを自他共に許してきましたからね(笑)。
ただ、この後も2月頭まで続く新年会ラッシュで、まだまだ胃を休めるのはしばらく先になりそうですが〜。

 
−an 弾手−


第480回

「新年の祈り」
[2014.1.14]
 いつものように、少し話をしてから部屋の隅に置いているキーボードを引っ張り出します。サウンドをNo.32 Stringsに設定して、と。
「何がいい?えっと、例えば…」
こちらも部屋に置いている『心のうた・日本抒情歌(野ばら社)』の本のページをめくって、と…
冬景色、野菊、紅葉、海、蛍、茶摘、朧月夜、ふじの山、浜千鳥、早春賦、ゆりかご、花嫁人形、赤い靴、かなりや……
私がキーボードを弾くと、横のベッドに寝ている母が曲にあわせて歌います。少し前までは2番、3番まで歌詞を完璧に覚えていた母も、さすがに最近は少し曖昧になってきたかなぁ。それでもキーボードにあわせて結構高い音までちゃんと歌ってくれます。そんな時、いつもは退屈そうに見える母の表情が少し明るくなったような気がするのが救いです。
介護施設にお世話になって2年。今年誕生日が来ればもう96歳です。

 窓の外にはすっかり葉の落ちた大きな木。その向こうに広がる小さな丘陵と青い芽が出たばかりの麦畑、そして点在する民家。さらにその向こうにはこんもりとした里山。このコラム第443回〜第445回でご紹介した「野鳥の森」「天空広場」「風の丘」などがある、あの里山です。この施設の母の部屋からいつも遠くに見えていて気になり、去年の春、思い立って方角だけを頼りにこの施設の駐車場から畑の道を歩いて行ってみたのでした。山の中に入ると、思い掛けないほど美しい森が広がっていました。綺麗に手入れされた遊歩道。進むと、あたりは自然のままの美しい木立に包まれ、コラム第445回「天空の少女」に書いたようなファンタジックな世界が広がります。山の名前は「飯高山(はんこやま)」。

それ以来、私はこの山がすっかり気に入って、毎週母の部屋を訪ねてはその後にここをウォーキングするのが楽しみになりました。春の新緑、夏の木陰、そして秋には森全体がセピア色に染まり、足元にはフカフカの落ち葉がぎっしりと積もりました。いつも歩きながら思わず脳内妄想ピアノの美しい調べが天から降ってくるような気がします。

先週土曜日、母の部屋に寄ってから今年初めての飯高山ウォーキングに行きました。ここ熊本でも明け方は氷点下まで気温が下がり結構な寒風でしたが、すっかり葉が落ちた森を抜けて一気に頂上の風の丘まで。ややどんよりした空模様で、いつもは遠望できる阿蘇や俵山の風力発電の風車も全く見えませんでしたが。

その頂上展望所のすぐ横の林の中に、小さなお地蔵さんの祠があります。
『そうだ、今日は新年早々だし、お参りして行こう』
そう思って祠の前へ。ここはいつも感心するくらい綺麗に掃除してあります。この日も打ち水され花が活けられていました。私も小さな空き瓶の賽銭箱(賽銭瓶?)にお賽銭を入れて手を合わせました。
何をお祈りしたのかって?
そうですね。この素晴らしい自然の森に出会えた事に感謝。そして今年もまた、この自然の中で四季折々季節の移ろいに染まりながら元気に歩けますように。

…と、そうお祈りして、ふと気が付きました。
この森に出会えたのは、母の部屋からこの山が見えたのがきっかけだったっけ。それに毎週この森まで足を延ばせるのも、私のキーボードに合わせて歌ってくれる母が元気であの部屋にいてくれるから…。

そう思ったら、何だか急にあたりの風景がちょっと違って見えました。
今年もまた、元気な母の歌声とこの美しい自然の移ろいの中に、変わらず足を運び続ける事が出来ますように…。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 昨日1月13日は成人の日でしたね。子供たちはとっくに成人を過ぎているし、最近は身近に「成人式」を意識する事もあまりないなぁ、と思っていたら。夕食時に家人がポツリとひと言。
「この家、建ててからちょうど20年になるよね」
ああ、もうそんなになるのか。まだ10年ちょっと位の気がしていたんだけど。あっという間の20年、我が家も成人式って訳ですね。
そう言えば最初の頃に植えた庭の木も随分大きくなりました。そして食後に出てきたミカン。
「これ、うちの庭でなった温州ミカンよ」
手に取ると、ちょっと甘酸っぱい香りがしました。

 
−an 弾手−
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