第401回「嬉しい悲鳴?」

[2012.6.12]

 タイトルに401という数字を書き込んで、ふとパソコンを打つ指を止める。

 …あぁ、1回なんだ。01って1の前に0があるから「1」が際立つ。その前の4はもうずっと前に過ぎ去った400なのかな。また新しい第一歩。

 前回の「ちょっと、ひと言」にも書きましたが、我が家の隣はついこの前まで一面の麦畑が広がっていました。10日前の日曜日に刈り取りが済んで、今は麦わらが混じった黒い土の畑にカラスが数羽遊んでいます。やがてまた新しい作物(生命)の植え付けが始まることでしょう。

 さてさて、そんな空気の中、私のピアノですが。
 5月の清和高原の演奏が終り、このコラムもやっと400回特別号のアップが終って、また次の新しいステップに進むタイミングなんでしょうかね。
 と言いながら、心機一転というよりは早く宿題こなさなきゃ、みたいな気分が強いんですが〜(笑)

 宿題?その(1)
 7月に開かれる高校の同窓会でバンド演奏することになってまして。メンバーはもちろん同じ同窓生で、ドラム、ギター、ベース、ヴォーカル、そして私のピアノ(ホテルの宴会場なのでグランドピアノを借りるらしい)。私はずっと以前にバンドで少しキーボードを経験した事はありますが、基本はソロなのでバンドでやるとなるとそれなりの準備が必要なのですよ。
 メンバーの同窓生から「これやるから」と楽譜(リードシート)が幾つかファックスで来てましたが、やっと先週になってまじまじと見たところです。YouTubeで曲の感じを聴いてみたら、ノリノリのリズムでドラムとギター、ヴォーカルがカッコいい!で、キーボードはどう弾けばいいの?それに生ピアノだし〜、みたいでまだ先は見えない(笑)事前にメンバーが集まって合わせてみる時間も1回しか取れないみたいなので、その場である程度試行錯誤に対応できるような準備が必要ですね。

 宿題?その(2)
 これはもう、以前から何回もつぶやいてますが。次の本の原稿書き!出版社の方には随分お待たせしてしまって申し訳ありませんっ。4月には改めてメールでお話して「急いで進めますから」とご挨拶しましたが、それからまたゴールデンウィークを挟んであっという間に時間だけは過ぎていきます。もちろん大まかな構成とある程度の原稿は出来ているので、後は細かい詰めや解説図、最終的な選曲、アレンジ譜起こし等なのですが、これらはある程度の集中が必要で細切れの時間ではなかなかはかどりません。

 そんな中、音楽つながりの複数の知り合いからありがたいことに最近ライブの案内が多くてですね。でもそれらに律儀に顔を出していると、平日の夜はもちろん、週末も結構つぶれてしまいそうだし。…と言いながら、つい嬉しそうにいそいそと出掛けてしまうan弾手なのでした〜。

 400プラス1回目のコラム、何だか前向きなのかボヤキなのか分からないような話になってしまってすみません!
 いえいえ、ボヤキではありませんから。嬉しい悲鳴?とでも言っておきましょう!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 この前の日曜日、ホタル狩に行ってきました。場所は熊本県立図書館裏の江津湖。
 湧水に草や木が茂る一帯に着くと、夕闇の中に沢山の人影。家族連れやカップルが、水面や茂みを指差して「ほら、あそこ!」と叫んでいました。暗い中に小さな灯りが点滅しながらフワフワと舞っています。あたりが暗くなるにつれて点滅する灯りも次第に数が増して来て、しばし幽玄の世界に遊んでしまいました。
 いよいよ梅雨入りですね。これからしばらく、雨の日もそれなりに楽しく過ごせたらいいなぁと思います。

 
−an 弾手−


第402回「しあわせな夜」

[2012.6.19]

 わー、大入り満員! 開演の10分程前にそのライブハウスに着いたら、入口の所まで人で一杯です。知っている顔、顔、顔。その中に今日の主役の女性ヴォーカリストさん。数時間前にmixiで「これから化けて来ま〜す!」とつぶやいておられましたが、なるほど。衣装、ヘアメイク共に気合が入ってます!

 前々回のこのコラムが10周年400回ということで皆様から貴重なメッセージを頂きましたが、前回401回も何だかその余韻を引っ張ってしまったような内容で読者の皆様にはうんざりされたかと思います。と言いながら、実は今回も10周年ネタでございます(笑)。
 いえ、私のことじゃなくて、そのヴォーカリストさんのこと。何でも、ジャズヴォーカルのレッスンを始めてから10周年なんだとか。そう言えばたしか去年も別のヴォーカリストさんが10周年記念ライブをされた記憶があったので、何だか10周年というのが続くなぁ、と思ったところでした。

 前の方に、知り合いの男性の顔と空席を見つけて隣に座ります。その人は普段はある市民合唱団に所属しながら、最近はジャズヴォーカルのレッスンも始められたとか。この店でも時々歌っておられるのを聴いたことがあります。
 あ、反対の隣の席にまた1人、「ここ空いてますか?」と言いながら掛けて来た男性。この店でよくお会いする人だ。こちらはピアノを弾かれる人です。何でも、私の本の読者でもいらっしゃるらしい。やはり大人になってからピアノを始めて、先生に付かれているようなのですが、今ではジャムセッションにも飛び入りで参加して、バリバリ弾かれるのが凄い!弾き終わった後、よく「いやぁ、緊張しちゃって。家ではもっとちゃんと弾けたんですけどね〜」なんておっしゃってますが。いえいえ、なかなかのものですよ。

 とか何とか言っているうちに、ライブ開始です。
バックバンドのピアノ、ウッドベース、ドラム、ギター、こちらバリバリのプロ。何か盗もうと思って聴いてもとても私なんかが盗める次元じゃない演奏でオープニングのインスト2曲。そしていよいよ本日の主役の登場です。そんなに広くないハコに満員のお客様なので、カブリつきはもう演奏者に手が届きそうな勢い。私もすぐ近くで、照明にキラキラする付けマニキュアを見ながら聴かせて頂きました。

 このヴォーカリストさん、いつもながら緊張したそぶりを全く見せないところ、凄いです。多分、内心はドキドキなんだろうと思いますが、この熱気ムンムンの中で、1人主役を張りながら、普段の雰囲気で歌えるしゃべれるって、大したものだと思います。歌の途中のミュージシャン紹介のMCでも、軽くジョークを交えて会場を沸かせながら、自分のペースに持っていくんですね。こちらも思わず笑顔になって雰囲気に引き込まれてしまいます。
 少し前のこのコラム第390回「私は女優?」で取り上げた別のヴォーカリストさんも来られていて、私の顔を見るなり「女優度アップ、頑張らねば」とつぶやいてました。

 途中、友情出演、ということで、お友達の女性が登場。数曲、トランペットで参加してくれました。後で知ったのですが、この女性が10年前に今回のヴォーカリストさんを音楽の道に誘ったんだとか。彼女にとってもきっと色々な思いが詰まった今回の10周年だったことでしょう。

 「音楽は人々をしあわせにします」とは、音楽家・志娥慶香さんから頂いた言葉ですが、会場一杯の笑顔、笑い声、拍手、そして心に響いてくる演奏と歌…。そんな「しあわせ」な空間に自分も一緒にいれることに感謝しながら、この「しあわせ」を、もらうだけではなくて、自分も周りに広げていけるようもっと頑張らなくちゃ、と改めて思わせてくれた夜だったのでした。



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ちょっと、ひと言。

 昨日は、来る7月11日から熊本近代文学館で開かれる「まんが王国熊本・マンガミュージアム展」の仕事の打合せに行きました。すると、その席に見たような人が。久し振りに会う高校の同級生。この特別展を企画しているNPO法人・熊本マンガミュージアムプロジェクトの代表だったのでした。で、展示協力の漫画家リストを見たら、その中にこのコラムの400回にメッセージを頂いた漫画家・小説家の田島みるくさん(元・我が社の社員)の名前もあってまたびっくり!何だか急に内輪の会議みたいな気分になってしまいました(笑)
 熊本はワンピースはじめ沢山の漫画家を輩出しています。今回の特別展でどこまで展示されるのか、実は私にはよく分かってないんですが、この機会に漫画の世界を少し覗いてみるのもいいかなぁ。

 
−an 弾手−


第403回「昭和歌謡」

[2012.6.26]

 「では、続いて昭和歌謡のナンバーをお送りします。マスターのたっての希望もありまして」
 その日は若い女性ボーカルと、今年還暦を迎えるという店のマスターのギターによるデュオライブ。そう言えば最近、ジャズやボサノバのライブでも、間に「昭和歌謡」を挟むのをよく見かけるようになりました。ジャズの店で「昭和歌謡」と言われると、逆に何だか新鮮な感じがしないでもありません。若い人にはどんな風に聴こえるんでしょうかね。私なんかの年代だと、懐メロ、と言うか、曲によってはもっと幼い頃に親の世代から何となく聴かされたような…、みたいな曲もあったりしますが。
 その日の「昭和歌謡」ナンバーは、「港が見える丘」「異邦人」「かもめの街」の3曲。「港が見える丘」はリアルタイムではあまり記憶がないのですが、曲はもちろん良く知っていて聴くと懐かしい気分になります。「異邦人」は青春時代?いや、もうちょっと後かな?懐メロというより、割とリアルにつながっている感がある曲です。「かもめの街」(?)は、全く聴いた覚えがありませんでした。以前、やはりこの店で同じメンバーの演奏で聴いた昭和歌謡は「蘇州夜曲」と「星影の小径」。うーん、どちらもなかなかシブイ。

 最近のハヤリの曲は、どちらかというとリズムやノリ、それにテレビの特性やプロモーションの戦略でしょうか、曲そのものより振りなどヴィジュアルで見せるものが多いような気がします。そんなことを思っていたら、たまたま来ていた同世代(?)のお客さんと「今の若い人は、50代、60代になった時に自分の若い頃の曲を懐かしく思い出したり歌ったり出来るんでしょうかねぇ…」という話になって、妙に同感してしまいました。

 もちろん、昭和といっても後半はテレビも普及していましたが、それでも歌と言えば歌詞とメロディーと歌手の歌声が主役だったような気がします。ラジオやレコードを聴きながら自分でイメージを膨らませていました。たまにテレビでその曲を歌手が歌っているのを見て、「あれ、イメージと違う!」と思うことがよくあったものです。歌(音楽)というのはそもそも歌詞とメロディーで出来ているので、最初からヴィジュアルとセットでお仕着せのイメージを見せられるより、聴く者が目を閉じて自分でイメージを膨らませる方がはるかに豊かな世界が広がるような気がします。

 閑話休題。えっと、すみません、このコラムは音楽全般の話じゃなくてピアノがテーマでしたね。はい、ピアノネタに移りますから(笑)。
 実は、そのライブで「昭和歌謡」を聴いたおかげで、いいなぁ、自分のピアノレパートリーにも昭和歌謡を入れてみようかなぁ、と改めて思ったところです。まずは3週間後の同窓会での演奏に、昭和歌謡ネタを入れてみよ、っと。みんな同世代だし、懐かしく聴いてくれるかな。
 聴きながらそれぞれが自分の若い頃の時代を思い出し、心の世界を広げてくれるような演奏が出来たらいいなぁ。そのためには、まずは自分が曲の世界を大きくイメージしながら弾けるように練習しなくっちゃ、ですね。



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ちょっと、ひと言。

 今朝の熊本は目の覚めるような青空でした。それでも昨日までの雨で各地では洪水、がけ崩れ等の被害が出ているようですね。皆様のところはいかがでしょうか。被害に遭われた方がいらっしゃいましたら心よりお見舞い申し上げます。明日からまた本降りになるようで、これからも引き続き警戒が必要なようです。
 6月の大雨といえば、忘れもしません、私がやっと物心ついた頃だったでしょうか。今でも「6・26熊本大水害」と記録に残る6月26日の大洪水(熊本市だけで死傷者千人以上?)があり、当時白川の近くにあった平屋の我が家も床上浸水。真夜中に起こされて父がこれ以上水かさが増えた場合に備えて屋根裏の梁にロープを架けて避難の準備をしていた光景を覚えています。翌朝、川のようになった道を親に背負われて近くの小学校体育館に避難、そして避難所生活。配給でもらった1個のおにぎりのおいしかったこと。その後の復旧作業など親や大人は大変だったのでしょうが、まだ小さかった私には辛い記憶は全く無く、そんな非日常の出来事が懐かしくさえあります。子どもを不安にさせないよう、親は気を配ってくれていたのでしょうね。
 今日はその6月26日。テレビで各地の避難所などの光景が流れる度に、そんなことを思い出す今日この頃です。

 
−an 弾手−


第404回「見えない世界が見えてくる?」

[2012.7.3]

 最近立て続けに観たライブの話です。あ、ライブはライブでも演劇なんですけど。ひとつは近未来がテーマ。そしてもうひとつは江戸時代が舞台。

 近未来の演劇とは、姿かたちだけでなく表情まで人間そっくりに再現できるロボット(アンドロイド)と生身の俳優による共演。現代演劇界の旗手・平田オリザ氏と天才ロボット博士・石黒浩氏が大阪大学で共同で進めている研究プロジェクトだそうです。
 熊本県立劇場の地下室にセットされた舞台。入ると、客席100位の狭くて薄暗い空間の舞台に置かれた椅子に長い黒髪の美しい女性が腰掛けています。遠目には人間に見えますが、じっと動かないところを見るとこれが今日の主役の「アンドロイド」か。開演前の薄暗い舞台に黒い服が溶け込み、顔から胸元、腕の柔らかそうな白い肌が色っぽく浮かび上がって見えます。
 やがて開演。部屋が一旦真っ暗になり再び舞台に照明が入ると、アンドロイドの向かい側の椅子に女性の俳優が掛けています。この女性、難病で死を宣告されており、残り少ない余命の期間、アンドロイドがこの女性に語りかけながら癒してくれる、という設定らしい。
 俳優とアンドロイドの会話が続きます。アンドロイドがしゃべる時の首の動き、口元、視線、まばたき、そして会話のタイミングや間の取り方など、生きた人間そっくりです。公演後のトークセッションで聞いたのですが、この間の取り方、人間の会話を分析してコンマ何秒のタイミングで制御されているのだとか。またアンドロイドの声や動きはリモートと自動(記録)の両方が出来るそうですが、この日の演技?は全て自動だったとか。自動で人間とこれほど自然な会話が出来るなんてスゴイ!
 でも、見ているうちにそんなテクノロジーのことは忘れて生身の人間のドラマが見えてくるから不思議です。
 やがて女性(人間の俳優)が眠りに付くと、代わって運送業らしい男性が現れてストーリーは新しく展開していくのですが…。

 もうひとつ、江戸時代のお話。こちらは皆さまよくご存知の「曽根崎心中」。会場は古い木造の倉庫。擦り減った急な木製の階段を上った二階の板張りに五角形のスペースが作ってあり、その前を囲むように客席。蒸し暑い中、空調設備もなく、貸し出された保冷材を首筋に当て、うちわをパタパタしながらの観劇です。(まあ江戸時代の話なので空調は無くて当然?)
 日頃、私も本業でお付き合いのある女優(劇団ゼロソーの松岡優子)さんが主役。当然ですが普段お会いする時とは全く違うキャラクターで、激しい動きと声と表情、文字通り汗みどろの熱演に引き込まれてしまいました。

 この二つの公演に限らず、小さな小屋での演劇は舞台装置もシンプルで登場人物も少なく、大きな場面転換もなく進行していきます。でもそんな演劇に魅力を感じるのは、シンプルな空間なのに見ているうちにその向こうに限りない光景が広がってくること。全部説明して見せるのではなく、見る人のイマジネーションに働き掛けて見えない世界を見せてくれるその凄さです。そんな舞台を見ながら、ああ、音楽も(そしてピアノも)同じだなぁと思ってしまいます。

 曲を聴くだけで情景が浮かんでくる演奏、というか、自分が人前演奏の時、聴く人の心に情景が浮かんでくるような演奏って、どうしたらいいんだろう、と思います。技術的な上手下手とは別に、何かしっくりと聴かせる演奏ってあると思いませんか?
 今さらプロやセミプロ級の演奏は無理な、大人から始めたピアノだからこそ、聴く人の気持ちに響く演奏が出来たらいいなあ。
 テクニックを誇示するより、「見えない世界が見えてくる」ような演奏。難しそうだけど、自分の中でいつもそれを意識し模索し続けるというのは大切なのかな、と思います。

 近未来から江戸時代へと時代設定は違っても、シンプルな空間の向こうに遥かな風景や人間の心の機微を見せてくれる舞台を見ながら、つい、そんな事を考えてしまった夜でした。



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an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 遂に7月!(笑)。今週土曜は七夕ですね。今日も熊本は雨空ですが週末には天の川が見れるのでしょうか。
 願い事といえば短冊に書ききれないくらい一杯ありますが、せっかくなので七夕の時くらいはロマンティックな願いでもつぶやいてみたいですね。あ、おまえ日頃から妄想つぶやき過ぎだぞっ!って突っ込まれそうですが。でも、人生って妄想と誤解と忘却があるから生きていられるんでしょ?なんて開き直ってみたりして〜。
 さてさて、今週はどんな週末になることやら。…あっ、同窓会での演奏の音合わせだったっけ(汗)。

 
−an 弾手−


第405回「バンド練習の予定が結局お持ち帰り自習に」

[2012.7.10]

 楽器店の階段を上って貸し練習室の受付前に行くと、既に二人が来ていて何やら楽譜を整理しています。
 とうとうあと1週間(正確に言うと正味あと5日)になってしまいました。7月14日の同窓会での演奏準備(打合せ)でやっとバンドメンバーが集まった日曜日です。
 「えっと…、どれやる?これは静か過ぎてみんな聴いてくれないかなあ。こっちが盛り上がりそう?でも難しいか?」
 事前に「恋のバカンス」だけは楽譜がファックスで来ていたので少し練習してきたのですが他の曲は初めて。集まった(正確に言うと召集された)メンバーも、たまに楽器に触るくらいで日頃から演奏している訳でもなく、こうしてメンバーが顔を会わせるのも年に一度の忘年会くらい?当然、一緒に演奏するような日頃の活動は全く無し。同窓会に合わせて急きょにわか仕立てのバンドなんです。

 予定の時間になる頃にはベース、ギター(2人)、ドラム、そしてキーボード(ピアノ)の私が揃います。後は女性のヴィオーカリストだけだ。
 とにかく部屋に入って思い思いに自分の楽器をいじり始めます。すぐに女性ヴォーカルも到着。この人は同窓生ですが日頃からセミプロ的な活動をしていて、1週間前にも市内のホテルでライブをやったばかり(私も聴きに行ってきました)。

 とにかく合わせてみなくっちゃ、という訳で、まずは「恋のバカンス」から。これはちょいと練習してきたので何とかなるかな、と思ったのですがぁ。それが大誤算!
 伴奏弾き始めたら。ヴォーカリストからいきなりダメ出し。
 「キー低いね〜。もっと高くならないの?」
 「えっ?でも楽譜通りなんだけど…。低いって言うか、逆に高いのかな」
 「とにかくキー変えてよ」
 「ありゃ〜!じゃあ、今がEmだからぁ…」
 そうねぇ。とりあえずCmに移調して少しメロディー弾いてみます。
 「あ、それ位でOK!」
 それじゃ、みんな手元のコード書き換えなくちゃ!
 「最初のEmをCmに変えるから、次のB7はG7ね、AmがFmで、E7はC7で、えっと、GがE♭で…」
 単純作業ではありますが、目の前の楽譜のコードを3度下げて書き直しながら読み上げ、みんなの楽譜も一緒に書き直してもらいます。
 で、とにかく伴奏のコードとヴォーカルをあわせてみたら問題なさそうだけど、イントロやリピートで楽器が間奏を弾くところは移調した音符を書いてみないと難しいっ。じゃ、これ各自練習しておく、ってことで、次の曲へ!

 次はとりあえず森田公一の「青春時代」やってみる?これももらったばかりの楽譜で少しコードを押さえてみたら…。
 「高過ぎ〜っ!」
 ってことで。はいはい、移調でございますね。
 楽譜のキーがEmのところ、とりあえずAmでメロディーを弾いてみると
 「あ、それ位でOK、かな?」
 またまたコード書き直し〜!EmをAmに、BmをEmに、AmをDmに、F♯7をB7に…という具合でまたみんなでシコシコ書き直しです(初見で頭の中で変換しながら弾けたらいいんだけどね)。
 で、ずっと最後の方まで見ていったら。あれっ?楽譜が途中までしかない!
 「この楽譜の紙、途中で切れてるよね?」
 「確かに。じゃ、この後は適当に曲をつなぎましょ。帰ってからYou tubeで雰囲気聴いてみてよ」
 ってことで、これも各自持ち帰り自習のことっ!貸し練習室の時間ないし。

 さて、あと一曲どうしよう。以前に同窓会で一回やったことあるようだけど、アニマルズの「朝日の当る家」、やる?
 私はすっかり忘れてましたが、ギターの人に弾いてもらったら何とか雰囲気は記憶が甦ってきました。でも楽譜らしいものは無くて、もらったのはザッとした手書きのコード進行だけ。途中、繰り返しとか間奏とかが結構あるので、どこ弾いているのか迷子にならないようにしなくっちゃ。
 はい、これもお持ち帰り自習、ね。

 というところで練習室の予定時間も終了。もうこの後みんなと会うのは6日後の本番当日なのだ。開会1時間前位に集合して各自自宅練習の成果?で最後の確認を、ってことにはなったのですが。

 さてさて…



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ちょっと、ひと言。

 このところ熊本は青空が広がっていますが、梅雨明けはまだなんですよね?
 ところで、今年も我が家のユリが白い大きな花を咲かせました。直径が25cmほどはあるでしょうか。10輪ほどが次々と競うように開いて、近づくと妖艶な香りが漂ってきます。そう言えば去年も会えたよね。七夕じゃないけど1年ぶりの再会?今年も忘れずに来てくれて嬉しいです。
 美人薄命。あっという間に花びらはしぼんで散っていくけど、梅雨の晴れ間の、ちょっと幸せな、ひと時。

 
−an 弾手−


第406回「いよいよ同窓会での演奏本番!」

[2012.7.17]

  翌朝起きたら。ん?喉が痛い!?
さては昨日の同窓会のせい?でも自分はピアノは弾いたけど、歌っちゃいないんだけどなぁ。あ、叫び過ぎか?何しろ100名以上の出席者がみんな大声でしゃべっている大騒音で、隣の席の人とも顔を寄せて大声で叫ばないと聞こえない状況が丸2時間半。そして同じ「叫び会話」はその後の2次会まで続いたのでした。

 それはそうと、その日の同窓会の出し物、俄か仕立てのバンド。一週間前の(最初で最後の)打ち合わせ兼音合わせでは、持ち寄った楽譜のKeyは変わるわ曲目は変わるわのドタバタで結局ちゃんと通して合わせる事も出来ずにお持ち帰り各自練習、ってことになってしまったのでしたが、本番当日も負けず劣らずのドタバタが。

 まずはその日、2〜3日前からの豪雨!九州北部、阿蘇や熊本市内でも河川が氾濫して大変なことになりました。ベース担当の1人は胸まで水に浸かって同窓会どころじゃないと欠席。山口から来る予定だったギターの1人はその日JRも高速道路も不通で、途中、携帯から「今、鳥栖で立ち往生」と連絡があり、ちゃんと到着できるかどうか不明。
 そんな中、とりあえずもう1人のギターとドラムとヴォーカルと私の4名は早めに会場のホテルに入って準備です(こんな時にこんな事してていいのか?なんて思いもよぎりながら)。何とかドラムとギターとマイクをセットして、ホテルの関係者が会場のテーブルや椅子を準備している中でやっと音合わせです。

 「ギターの音が聞こえないなぁ」「ピアノマイクちゃんと入ってる?」
 ヴォーカリストも「自分の声がよく聴こえなくてすごく歌いにくいんだけど」
 会場担当のホテルマンに、音のバランス調整を頼んだりてんやわんや。やっと予定の「恋のバカンス」「朝日の当たる家」「青春時代」の3曲、何とか通して合わせてみる頃はもう5時。これから向かいの別室で別の法事があるから大きな音を出さないようにとホテルの人に言われてリハ終了。後はなるように〜?ですかね(汗)

 と、司会担当者に声を掛けられました。
 「開会の少し前から、何かピアノ弾いていてもらえますか?」
 あ、ウェルカムピアノですね。そんなこともあろうかと一応弾ける曲は考えて来ましたが。でも今回はバンド用のピアノ練習だけで一杯一杯で自分のソロピアノの準備までは手が回ってないんですけど。まあソロは自分のペースで弾けばいいから何とかなるかな、と思ったのがちょいと甘かった!
 6時半開宴の25分前、6時5分位からピアノについて弾き始めます。
 考えてきた曲目は。卒業45周年の同窓会だし、昔の叙情歌やニューミュージック系、それに昭和歌謡などもちょっと混ぜて。
 「浜辺の歌」「誰もいない海」「花かげ」「蘇州夜曲」「鈴懸の経」「小さな日記」「愛燦々」「津軽平野」「この広い野原いっぱい」…。

 いい調子で弾き始めたのは良かったんですが。段々会場に人が増えて話し声も大きくなってくるにつれ、それに反比例して自分のピアノの音が次第に聴こえにくくなってくるではありませんか。
 あ、何かヤバイなぁ、と思い始めたら案の定、これまで一度も間違った事も無いような所で凡ミスっ!演奏って、自分の音を聴きながらその流れで次に自分が弾く音を無意識に選んだりしているようなので、自分の弾く音がよく聴こえないとむちゃくちゃ弾きにくいのだ、というのを改めて痛感。
 一応ピアノマイクは入っているのですが、スピーカーは広い会場の四隅の天井にあるだけでピアノの位置から遠いのです。リハの時は会場が静かで人もいなかったためかちゃんと聴こえる気がしたのですが、人が大勢入って会場がザワついてくると、自分の弾いている音がどこか遠くからかすかに聴こえてくるような感じで弾きにくいことこの上なし。自分でも不本意な演奏になってしまいました。

 そして、この「音の返し」がちゃんと聴こえない、ということがその後のバンド演奏本番でも大問題に!


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 本文でも少し触れましたが、先週後半から九州北部地方は大変な雨とそれに伴う河川の氾濫、崖崩れなど、各地で大きな被害が出ています。ここ熊本市でも特に龍田陣内など白川の氾濫で大変なことになっているようです。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。
 私の身辺は自宅、会社とも大きな影響はなくて通常の生活を送っております。ただ、引き続き台風も近づいているようですし、皆様どうかお気を付け下さい。

 
−an 弾手−


第407回「いよいよ同窓会での演奏本番!その2」

[2012.7.24]

  卒業45周年記念の同窓会で宴もたけなわ。開宴から1時間半ほど過ぎた頃、司会者のアナウンスが。
 「山口から参加の○○さんが、今到着されました!」
 その日は九州北部豪雨でJRも高速道路も不通の中、途中の車から「今、鳥栖で立ち往生」と連絡のあったギター担当メンバーが、やっと到着です。
 8時半、司会者からバンドのメンバーに準備の指示がきました。会場内は半分以上が席を立ってあちこち移動しながら叫ぶようにしゃべっているし、隣の席とも顔を寄せて叫ばないと聞こえないほどの喧騒。そんな中、ギター2名、ドラム、ヴォーカル、そしてピアノの私、それぞれ位置に付きます(ベース担当の1人は洪水被害で急遽欠席)。

 ドン!ジャジャジャジャ、ジャーン!
 ステージに注目〜!とばかりにドラムが音を出します。でもそれ位で静かになるような会場ではありません。それはこちらも承知の上、まずは「恋のバカンス」でスタートです。
 ピアノによる4小節のイントロに続き、ドラム、ギター、ヴォーカルが入ってきます。
 ん?ヴォーカルとドラムは聴こえるけど、ギターの音がよく聴こえない。自分のピアノの音はちゃんと届いているのかな?微妙にリズムの頭もズレてるみたいだけど、今さらテンポを変えるのも怖いから、このまま行くか。
 途中、繰り返しで12小節のピアノ間奏。そしてサビに突入〜!あれ、何か違う!?ヤバッ、勘違いして違うところ弾いてしまった!数小節ほど迷子になってやっと合流(汗)その後は予定通りエンディングまで行き着いたのですが。ま、途中はずっとドラムとギターがリズム刻んでたし、ヴォーカルも切れずにちゃんと歌ってたからいいことにしよう。

 続いて「朝日の当たる家」。これはほとんどギターとドラムに合わせてピアノはコードでリズムを刻むだけなので気楽〜。しっかし、会場はしゃべり声ワンワンでうるさいなぁ。みんな聴いてるのかな!?

 最後「青春時代」。これは用意してきた歌詞カードをテーブルに配って、「みんなで一緒に歌いましょう!」という趣旨。
 途中、ギターの間奏のところで…。あれ、ギターが止まっちゃった!ヴォーカルとドラムが慌てて私の方を見てピアノで何とかフォローしろ!という視線。私はあわてて間奏の後半をピアノで弾いて、何とか大きな事故にならずに曲は進行しました。

 終わったら騒々しい会場から思いがけず「アンコール!」の掛け声!
 「では、どうぞ会場の皆さんもステージに上がって、もう一度青春時代を一緒に歌いましょう!」
 というヴォーカリストのMCで、ステージに十数人が登壇。会場百人による「青春時代」の大合唱になったのでした。傍から見たら、いい年したおっさんおばさんが「青春時代」で声を張り上げているのも滑稽な図かもしれませんが。ま、同窓会、ということでお許しを。気分は「青春時代」なのでありました。

 ふっ…!
 準備から本番まで、ドタバタ続きの同窓会バンド演奏でした。「青春時代」で間奏をトチッたギターの彼は「せっかく練習してきたのにぃ。自分のギターの音が全く聴こえなくて」と後で悔やんでましたが。うん、分かる分かる。私も自分のピアノの音がよく聴こえなくてウェルカムピアノの時から散々だっだし。俄か寄り合いのバンドで会場の音響の確認もよく出来ないまま本番突入だったからね。

 それでも今回の演奏、やって良かったなぁと思えたのは、「へぇ、お前、どこかで演奏の仕事やってるの?えっ?本業は別なの?スゲー!」なんて目一杯ヨイショ込めて声を掛けてくれた45年振りの懐かしい顔にも出会えたし、最後はみんな大声で「青春時代」を歌ってくれたし、途中のミスや失敗なんか、そんな細かいことはどうでもいいようなあの会場の熱気に浸れたことでしょうか。
 そんな中でピアノを弾かせてもらえたこと、そして俄かバンドに誘ってくれた同窓生に感謝です!


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ちょっと、ひと言。

 昨日7月23日は「ふみの日」だったんですね。23日を「ふみ」と語呂合わせ、そして7月を文月ということから来ているらしいです。そういえば最近は紙の「ふみ」をあまり書かなくなったなあ。ほとんどがメールだし、紙の文書で出すにしても手書きじゃなくてパソコンだし。そう言えば会社のFAXの送信票を手書きしていたら、ある取引先の人から「今どき手書きの送信票でFAXしてくるのはおたくとあと1社位ですよ」と言われたことがあったっけ。
 それはさて置き。手書きの「ふみ」って、もらったらやっぱり嬉しいですよね。その人の肉声が聞こえてくるようで。たまには気持ちを込めて「ふみ」を書いてみようかなぁ。

 
−an 弾手−


第408回「やっと、次の新しい本の話?」

[2012.7.31]

 「それでは、これでレイアウトのフォーマットをいくつか作ってみましょうか」
 と出版社の方からメール。
 「よろしくお願いいたします」と、私。
 もう随分前からこのコラムでもチラチラと触れながら、一向に具体的にならなかったan弾手の次の出版企画。何とか一歩、形に近づきそうです。

 今年の新年のコラムでも
 「〜もちろん、本の執筆というテーマもまだまだ継続中です。一昨年、昨年と講談社の新刊に時間を取られて、もう2年越しで待っていただいている某出版社の宿題も今年は形にしないといけませんし」
 と書いていました。
 ただ、頭の中では全体の構想が出来ていても、実際に具体的な文字や図版の原稿に起こしていくにはそれなりの気持ちの集中とある程度のまとまった時間が必要で、タイミングがどんどん遅れてしまっていたのでした。
 本業の仕事では当然何本も抱えている仕事を平行して進行させていかないといけないのですが、ピアノの事となるとどうしても気持ちの中で複数のテーマを同時進行するのが苦手なようなんですね。
 例えば、春先からは5月の清和でのイベントの構想や選曲、練習に気持ちが向いていて、本の原稿はどうしても後回しになってました。そこで清和が終わったタイミングで「今だっ!」とそれまで少しずつまとめていた原稿案を整理し、6月に入ってから出版社の方に送ったのでした。
 その時、出版社の方からは「内容を確認しますので少し時間を下さい」と言われていて、そのお返事が一ヵ月後、冒頭の「レイアウトのフォーマットを進めてみましょう」というメール。

 私も、これまで何冊か本の原稿を書いてきましたが、実際に本のレイアウトになった時にこの原稿が何ページで収まるのか、というのは中々予測が難しいところがあります。本の場合、印刷製本の都合で効率的なページ数というのが段階的に決まっていて、そこにピッタリ収まるようにしないといけないし、ページ数によって本の定価も変わってくるので書きたい事があってもやみくもに書けばいいという訳でもありません。逆にまだページ数に余裕があるのでもう少し内容を膨らませて、ということもあります。いずれにしても、最後はレイアウトが進んでみないと分からない部分が残ります。そこで、ある程度の原稿が揃った段階で、まずは具体的なレイアウトのフォーマットを進めてみながら調整を…ということになるのです。

 ただ、レイアウトがそれなりに進んだ後で大幅な原稿や図の変更になると、編集やデザイン担当の方に余計な手間やご迷惑を掛けてしまうので、最初からある程度の見通しを立てて原稿の量をまとめておくことも重要なんです。とは言っても文字主体の本ならページ数の見通しが立て易いのですが、図や楽譜などがたくさん入る本では、その見極めがとても難しいです。

 ところで、今度の本はどんな内容なのか?自分の中では、最初の「お父さんのためのピアノ教室」がある程度楽譜やピアノの予備知識・体験がある人を対象にしたコード奏法入門編、去年の講談社の「2週間速習ピアノ講座」が本当にピアノに初めて触れる人を対象にした鍵盤とコード奏法の導入編、という気がするのですが、今回のはその両方の良いとこ取り(?)と言うか、本当に初めて鍵盤に触れるところからスタートして、それなりのコード奏法のテクニックや、実践的なコード理論の入り口まで体験してもらえるような感じかな、と思っています。

 原稿を進めながら書きたい事はたくさん出てくるのですが、一冊の本にまとめるためには削ることも必要で、その内容的なバランスとページ数の物理的なバランスを考えながら、まだしばらく試行錯誤が続きそうです。


(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 わっ、もう7月も終わりだぁ!
 ついこの前の「ちょっと、ひと言」で「遂に7月!(笑)。今週土曜は七夕ですね」なんて書いたような気がしますが。あっという間ですね。
 ところで、先週から始まったオリンピック。ついついテレビや新聞に目が行ってしまいます。競技の実況とは別に、選手達のここに至るまでの何年にも渡る苦労や葛藤のドキュメントを見るにつけ、たくさんの感動をもらっています。苦しかっただろうなあ、とか、どれだけのプレッシャーを乗り越えて来たんだろう、とか。ちょっとした人前ピアノでもすぐに緊張してトチッてしまう自分と比べて(おいっ!比べる次元が違うだろが!!)あの全世界注目の舞台で競技できる精神力、スゴイのひと言です。もうしばらく、熱い夏を楽しませてください。

 
−an 弾手−


第409回「今度は披露宴ライブ?」

[2012.8.7]

 同窓会ライブも終って、前回のコラムでは「やっと、次の新しい本の話?」と書いて、しばらくは「執筆モードに専念!」っていきたいところだったのですが。なかなかそうは問屋が卸さないようで。
 あ、もちろんロンドンオリンピックも佳境で深夜までテレビ観なくちゃいけなかったり、知人のライブのお誘いにもお付き合いしなくちゃいけなかったり、という事情は別にしても。実はまたまた人前演奏の話し。結婚披露宴の余興での演奏です。

 音楽つながりで顔見知りになったある女性がこの度めでたく結婚されることになり、光栄にも私にまでご招待を頂きました。で、その音楽つながりの数人から誰からともなく「お祝いの演奏をしましょう!」って話しが持ち上がり、私にもご指名が来たのでした。

 内容は?ヴォーカル、ギター、パーカッション?、そしてピアノ。私はピアノで伴奏を、というご指名。
 私、普段はほとんどピアノ・ソロばかりで伴奏はあまり自信がないのですが。でもおめでたい話ですし、ここはお祝いの気持ちを込めてぜひ頑張らねば!

 ヴォーカルはセミ・プロとして今や各地のライブハウスやイベントで引っ張りだこの新進女性ヴォーカリスト。昼間は会社勤めをしながら、夜は連日出演やそのためのレッスン、リハーサルでほとんど休日もないような生活らしい。他のメンバーも仕事しながら趣味でヴォーカルやギターを学んでいる人。

 「曲は、Over The RainbowとFly Me to the Moonのボサノババージョンで。それとあと一曲、恋のバカンスで盛り上がって終われたらいいですね」
 そう言ってOver The Rainbow とFly Me〜の譜面をくれたのですが。もちろんイントロも間奏も何も書いてないシンプルなリード・シート。これを見て、これからヴォーカル用にピアノアレンジを工夫しなくっちゃ、です。
 ただ、彼女はいつもプロのジャズピアニストと一緒にステージに立っているので、私の伴奏でどんな風に歌ってくれるのか。まだ譜面をもらっただけで、音合わせはもちろん、打合せも何も出来ていないので、さて、これからどうなりますか。

 あ、最後の一曲「恋のバカンス」選曲は、私が7月の同窓会ライブで伴奏をやった曲で、既に私が慣れているだろうと配慮してくれたのかな。それでも、またまたヴォーカリストが変わるとKeyをどうするのか、一度音合わせをしてみないことには何とも言えないところもあり、まだ見通し不安定ですね〜。

 披露宴は10月頭。10月といってもあとひと月半しかないですね。その間に超忙しそうなメンバーが集まって何回調整できるのか。待ったなしの本の原稿とあわせて、気が抜けない日が続きそうです。

 まあ、こうやって嬉しい宿題を次々に投げて頂けるというのも、ありがたいことではあります。感謝。


(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 酷暑の毎日、いかがお過ごしですか?どこに行っても「暑いですね〜!」が挨拶になっていますが。
 そんな中、オリンピックも熱いドラマが続いていますね。今回の日本勢は期待の大きかった個人がなかなか結果が出せない反面、団体ではメンバーが力をあわせてメダルを獲得する場面が多くて感動的ですね。孤高の戦い、というのももちろん素晴らしいですが、気持ちを通い合わせながら結果を出すという強い絆には、また違った感動が伝わってきます。
 オリンピックも後半、立秋というのに、もうしばらく熱い夜は続きそうです。

(次週、8月14日は夏季休暇中のため、このコラムもお休みです)

 
−an 弾手−


第410回「草原のピアノ」

[2012.8.21]

 曲がりくねった山道。ハンドルを切りながら進んでいくと、カーブを曲がる度に周りの視界が開けていきます。やがてフロントガラス一杯に広がる緑の草原。はるか眼下には阿蘇谷。
 帰省していた家族も帰って静かになったお盆休みの一日、午後からふと思い立って阿蘇外輪山までドライブに来たのでした。目的は「ユウスゲ」探索。
ユウスゲとは、阿蘇の草原に自生する野草で、7〜8月頃の夕方、陽が傾く時間に合わせるように黄色い花を開き、翌朝には閉じてしまうことからこの名があるそうです。

 外輪山の上まで出ると、あとは360度の視界の中を快適に走るドライブルート。見渡す限り続く草原の向こうにムクムクと立ち上る真っ白な入道雲。夏ビールのコマーシャルにでも出てきそうな風景です。
 やがて大観峰(だいかんぼう)着。ここは外輪山の一部がひときわ高く阿蘇谷に向かって鼻のように突き出した所で、見晴らしがいいことから「遠見ヶ鼻」とも呼ばれている展望所です。
 『うわっ!多いっ!』
 広い駐車場も満杯らしく、ずっと手前の道路脇まで車やツーリングのバイクがズラッと並んでいます。さすが夏休みだ。

 時間は午後3時過ぎ。周囲に広がる草原を見渡しても、まだお目当ての「ユウスゲ」らしい黄色い花はどこにも見えません。直射日光はさすがに暑いのですが、日陰のベンチに腰掛けると吹きぬける風が気持ちいい。すぐ横の草原ヘリポートから頻繁に離着陸する観光遊覧ヘリコプターや、空を優雅に舞うハンググライダーを眺めながら高原の空気を楽しむこと2時間。もうそろそろかなぁ。

 車に戻り、草原の道を走りながらユウスゲを探してみることにします。しばらく走り、道路脇に車を寄せて停車。周りは一面の草原。
 『あっ、あれってもしかして!?』
 道路から少し離れた草原の中に小さな黄色い点々が。でも、あそこまでどうやって行くんだ?
 道路脇のガードレールから草原までの間は地形がやや低くなり、そこに身の丈に近い夏草がびっしり生えていて下の地面の様子が全く分かりません。急に落ち込んでいたり穴があったりする恐れもあり、ヘタに足を踏み入れるのは危険そう。でもその向こうに美しく広がっている草原まで何とかして渡らなければ。

 しばらく周りの地形を見回して一考。深い夏草が周囲よりやや高く盛り上がって馬の背のようになっているところを発見!ここなら多分下の地面も高くなっているはずだから落ち込む事はないだろう。ひときわ高い背の部分を選び、慎重に草をかき分けて辿りながら、無事夏草の茂みを突破。広々とした草原に出ました。
 遠くから見えた黄色い点々に近づいてみると、まさしくお目当ての「ユウスゲ」でした。時間は5時半過ぎ。ようやく傾きかけた夕日を浴びて、スッと伸びた茎の上に7〜8センチのユリのような黄色い花を咲かせています。

 見渡すと、遠くまで続く草原のあちこちにも小さな黄色い点々が。
 さっきまでの大観峰とは打って変わり、シンとして時折名も知らない鳥の声が聞こえてくる、二人だけの静かな草原。翌朝にはしぼんでしまうという一夜限りの可憐な花に囲まれて、ここでついついピアノネタを考えてしまうan弾手なのでした(笑)

 ・・・うっすらと霧に包まれた草原が広がっています。
 生い茂る野草の間に、かれんな草花が点々と花を開いています。
 時折、風がサワサワと草花を揺らして過ぎて行きます。
 と、霧の切れ間から一瞬、一筋の光が差し込むのと同時に一陣の風が吹き渡り、草花をいたずらっぽく揺らし始めます。それまで静かだった草原に、しばし華やかなさざめきの輪が広がっていきます。
 ・・・やがて風はおさまり、草原は再び何事もなかったかのように、静かな世界にもどります・・・。

 あ、これは本コラムのバックナンバー第74回に載せたan弾手のオリジナル曲「そよ風の微笑(ほほえみ)」からの転載でした〜。すみません!

 メルヘンの世界にでも迷い込んでしまったようなこの風景。もしここに大屋根を広げた一台のピアノがあったなら…。
 しばし、そんな妄想に遊んでしまった草原の夕暮れでした。

 (こちらに、その時のユウスゲの写真をアップしてみました)


(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 2週間ぶりのコラムです。先週はお盆休みの方も多かったと思いますが、いかがお過ごしだったでしょうか。私は上のような休みを過ごしておりました(笑)
 ところで昨日は銀座でロンドン五輪メダリストの凱旋パレードがあったんですね。沿道では50万人の人が声援を送ったとか。想像も付かない数ですが、ニュースの映像を見ているだけでも熱い気持ちが伝わってきました。
 熱い、と言えば、まだまだ暑い毎日が続きそう。夏バテしないように気を付けながら、また8月の後半も頑張らねばと思います。

 
−an 弾手−
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