第361回「あの日、静かに会場に流れていたピアノの記憶」

[2011.8.9]

 御導師の退場の後、前方にスルスルとスクリーンが下がってきて故人を偲ぶ映像が流れ始めます。

 ここは葬儀の会場。二日前の夕方、私の携帯に一本の電話。県外の親戚からでした。「あなたのいとこの○○さんの旦那さんが急に亡くなった。明日7時から通夜、明後日12時から葬儀です。とり急ぎ連絡します」。
 亡くなったご本人とはあまり親交があったわけではありませんが、何度かお会いしてよく知っている方です。
県外なので葬儀の当日は朝から高速で出掛けたのでした。

 ゆっくりと、在りし日の故人の映像が流れていきます。映像に合わせて語り掛けてくるナレーション。そして、そのバックに静かに淡々と流れていくピアノの調べ。突然のご不幸だったこともあり、前方の親族席で必死に涙をこらえるご家族の姿を見ながら、私も思わずこみ上げてくるものがありました。

 それにしても、何と綺麗なピアノでしょう。こんな時に、まあ、ちょっと不謹慎(?)かとは思いながらも、ついついan弾手キャラの耳も目覚めてしまいます。普通の演奏より倍くらいゆっくりしたテンポ。曲と曲の間は静かなアドリブ風のフレーズでつないでいきます。その落ち着いた安定感のある演奏は、何気なく聴いているとヒーリング系のCDでも掛かっているような錯覚に陥りそうですが、「ご遺族のご希望で、故人がお好きだった曲を選んで演奏しております」というナレーターの言葉からすると、どうも生演奏の様です。こんな時にキョロキョロするのもいけないのでじっと前を見ていましたが、どうも会場の後ろの方で演奏しているらしい。どんな人がどんな風にして弾いているんだろう。気になります。

 式が一通り終わり、次は出棺。「お時間がございます方は、玄関でお見送りをお願いいたします」という司会者の言葉に参列者が席を立って動き始めます。この間もBGMの様に静かに流れている美しいピアノの調べ。
 私も席を立つと、気になっていたピアノを探します。あ、ありました。部屋の後ろの隅に電子ピアノ。その前に中年の女性が掛けて演奏しています。そうか、電子ピアノだったんだ。あまりに音が綺麗だったので生ピアノのような印象でした。
 私は人波を分けながらさりげなく後ろまで行ってみます。どんな楽譜で弾いているのか気になります。あ、コード奏法だ!これまでこの様な場所で生演奏しているシーンを見たことは何度もありますが、広い2段のピアノ用楽譜を立てて弾いている印象がほとんどでした。でもこの人がピアノの前に立てているのは、分厚くて結構音符が小さい、いわゆるリードシートの本。見ていると、一曲終わるたびに左手でページをめくって次の曲を探しながら、その間も右手ではさりげなく綺麗なアドリブ風フレーズを弾いています。それが何とも自然で耳に心地いいのです。

 私は何とかこの人とコード奏法の話をしてみたいなぁ、という気持ちになってきます。でも、場所が場所だし、この人もお仕事中(演奏中)だし、やがて出棺の時間だし…。
 ふっと、演奏が途切れました。ザワザワと参列者が会場を出て行くところなので演奏も途切れなく弾く必要もないようです。
 私はピアノに近づいて声を掛けてみました。
 「いつもこの斎場で演奏されているんですか?」
 「ええ、ここが多いですけど。でも他のところでも弾いていますよ」
 「素敵な演奏ですね。ずっと聞き惚れていましたよ」
 「ありがとうございます」
 会話は結局それだけ。そのまま出棺待ちの玄関へ移動です。いま出てきた部屋から、また静かなピアノの音が流れ始めます。

 気負わず淡々と奏でるピアノ。それでいて静かに心に染み込んでくる味のあるピアノ。私は会場から漏れてくるピアノの音を聴きながら、普段ライブハウスやバーなどで聴くピアノと全く違うそのテイストを、何とか記憶しようとしていました。

 でも、聴いただけで覚えるのは難しいですね。あれからひと月、今この原稿を書きながら、あの微妙なテンポのとり方、強弱の付け方、コード伴奏の入れ方、アドリブ風フレーズの動き、どれも具体的には思い出せません。
 でも具体的に思い出せなくても、心にしみる演奏を聴いたという記憶だけは、故人を見送ったあの日の想いとともにあります。そんな記憶体験を重ねながら、それがいつか少しでも自分なりの演奏に反映できたらいいなあと思います。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 地方によってお盆には7月と8月があるようですが、皆様のところはいかがですか?私のところは8月です。ということで来週はお盆休み。ということで、このan弾手コラムもお休みさせて頂きます〜。
 色々なところで、家族、親族、ご先祖様、それに旧友などと様々な再会や交流があるんでしょうね。はい、私のところでも。
 で、次のコラム更新は再来週の8月23日?えっ、8月ももう残り1週間なんですね!
はやっ!

 
−an 弾手−


第362回「2週間速習ピアノ講座、読者の皆さまからのメッセージ」

[2011.8.23]
  7月いっぱい、このコラムで散々騒いでました私の2年ぶりの新刊「楽譜が読めなくてもいきなり弾ける!2週間速習ピアノ講座」(講談社)ですが、おかげさまで発売から3週間経ちました。この間、さっそく手にしていただいた全国の皆さま、ありがとうございます!
  Amazonのベストセラーランキングでも、しばらくはピアノメソッドや音楽一般のカテゴリーでどちらも1位になっていました。今度の「2週間速習ピアノ講座」と前著「40歳からのピアノ入門」(どちらも講談社)が1位2位独占、という時もありました。ショッピングカートに入れていただいた皆さま、ありがとうございます!
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  ただ、今回は楽器店よりも一般書店がメインの配本ということで、書店の店頭では音楽(楽譜)系の棚が少ないところもあり、それなりの大型書店でないとなかなか店頭で皆さまの目に触れる機会が少ないのではと、ちょっと心配もしています。かく言う私も、実はまだ近場の書店でこの本が並んでいるのを見てないんですよ〜(笑)

  そんな中、全国のさっそくお買い上げいただいた方から、ありがたいお便りメッセージが届くようになりました。ほんとに嬉しいです。ありがとうございます。
  今回は、そんな中からいくつかをご紹介させていただきます。

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●横浜のY.Sさん(男性)より。私と同年代(?)の方です。

  「〜(前略)…早速行きつけの書店をいくつかあたってみたのですが見つからず、結局アマゾンで購入し、本日届きました。
  3日目ぐらいまでやってみたのですが、ピアノについて全くの初心者の私にもすんなりと入っていけて、これなら最後までやれそうな気がしました。これからマイペースでやっていこうと思います。
小生、3月の震災、それに続く原発事故の後ずっと体調もいまいちで、新しいことをやる気力もなかなか湧かなかったのですが、私にとってタイミングよくといいますか、この本のご出版を機にピアノ練習を一つのきっかけとして、また新しいことにいろいろ趣味を広げていけたらいいなと思っています…(後略)」

●熊本のA.Nさん(女性)より。以前、拙著「40歳からのピアノ入門」を読んでいただいてご感想のメッセージをいただいた方です。独学でピアノを弾かれているようです。

  「〜(前略)…先日発売されました新刊につきまして読ませていただきました。
  正直、『もっと早く出会いたかったぁ』です(笑)
  あの頃この本と出会っていれば、もっと違ったピアノライフが待っていたかもしれません。
  それと同時に、今からピアノにふれる人にはぜひ読んでいただきたいと思います…(後略)〜」

●東京のY.Sさん(女性)より。1年ほど前にも一度メッセージをいただいた方です。拙著「お父さんのためのピアノ教室」でピアノを始められ、その時に「超初心者中高年向けの教本をもう1冊お願いします」とリクエストをいただいていたのでした。

  「〜(前略)…先週木曜日に購入致しました。〜(中略)〜レッスン開始して疑問など浮かびましたらよろしくお願い致します。ひとまず「これから始めます」のご報告まで。
  〜(その後、再度のメールで)〜
  練習は発展途上です。『2週間速習〜』のおかげでなるほどと思ったこともあります。そして改めて『〜ピアノ教室』を開いて納得しています…(後略)」

●東京のK.Nさん(女性)より。このan弾手コラムがきっかけで東京に誕生したピアノオフ会メンバーの方。一昨年私が上京の際にメンバーの皆さま集まっていただいて楽しいピアノ交流をさせていただきました。

  「〜(前略)…先ほど池袋西武の別館のリブロで拝見しました。旅愁のメロディー譜と、コードが見やすくて本当に2週間でピアノが弾けると思いました。 私も只今、コード学習中です。an弾手さんのように華やかに流れるようにピアノを弾くことを夢にみています…(後略)」

●佐賀のH.Sさん(女性)より。ピアノ教室の先生をなさっているようです。

 「〜(前略)…何と絶妙なタイミング!! 現在の大人の生徒さん、3コードの伴奏(基本型)が定着し『さぁ〜、これから華麗な両手演奏の世界へ〜』との時期に次なるテキストを検討中でした。今月には教室の必須アイテムとなる事決定(^_^)v
  今回特に、鍵盤未経験者が『どの様に伴奏を認識すれば、市販の楽譜が弾ける様になるのか?・・・』コード理論に則りそのプロセスをゆっくり丁寧に且つ実践的に指南されているのが嬉しく感じました。単発ではなく長いスパンで教室にみえる大人の生徒さんへ最適のテキストだと思います…(後略)」
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  皆さま、温かいお言葉をありがとうございます!
  他にもメッセージをいただいたたくさんの皆さま、ありがとうございます。長くなりますのでまた次の機会にご紹介させていただければと思います。

  この本は、私がそうだったようにピアノに憧れている初心者の皆さまの立場で、どうしたらピアノと気軽に仲良くなっていけるか、これまでのピアノ本執筆の経験も踏まえながらいろいろ工夫をこらして書き下ろしたものです。
  この本が、ピアノに関心をお持ちのたくさんの方にとって楽しくピアノと友達になれるきっかけになれたら嬉しいです。

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(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 お盆休みも終り、甲子園も終り、8月も残すところあと1週間。うるさかったセミの声もいつの間にか静かになってしまいました。この時期になると、何かやり残したことがあるような気になるのはどうしてでしょうね。
 一度気持ちをリセットして、手元の「やることリスト」を整理して、これからの実りの(?)季節に備えてみたいと思います。
 …それにしても、何?この雨、よく降るなぁ 。

 
−an 弾手−


第363回「志娥慶香さん居酒屋ピアノライブ」

[2011.8.30]
 激しい通り雨が過ぎた夕方、話に聞いていた真っ赤なテントの居酒屋さんに着きました。熊本市電「味噌天神前」停留所のまん前。すぐ分かりました。ちなみにこの辺りは私が小学生の頃住んでいたところで懐かしいです(あ、今日のテーマとは関係ありませんが…)。
 今日は志娥慶香(シガケイコ)さんの居酒屋ピアノライブ「夏の夜の清涼一服コンサート」の日なのです。

 店に入ると、広ーい板張りのフロアにズラッと座卓。早めに来たらしい10数名のお客さんが座布団に座っています。右手の隅にアップライトピアノ。照明とマイクがセットされていて、ここで演奏があるみたいです。

 志娥慶香さんは本名・上田圭子さん。以前、このan弾手コラム第316回のちょっとひと言コーナーでもご紹介したことがある作曲家・ピアニストの方です。
 アメリカ・ボストンのバークリー音楽大学映画音楽科を主席で卒業、数年前に帰国して出身地・熊本を拠点に全国的に活躍されています。その日も前日の東京での自作曲のコンサートに顔を出してトンボ帰りで帰熊されたばかりでした。
 志娥慶香さんのホームページはこちら。
 http://www.keikoshiga.com/Welcome.html

 開演時間が近づく頃には居酒屋のフロアはほぼ満席(50〜60人位?)。私は1人だったので4人用の座卓に知らない3人のグループさんと相席でした。

 演奏が始まります。静かに、優しく、遥か遠くから風の音でも聴こえてくるような高音部の音色が、シンと静まった居酒屋の中に響きます。やがて音が豊かに広がっていくと、あたりはたちまち慶香ワールドに包まれてしまいました。

 今日のライブはピアノ1本。全て慶香さんの作編曲ものです。慶香さんの曲は自然からインスパイヤーされたものが多く、聴いていて色々な情景が浮かんできます。阿蘇の山々をイメージした「蘇峰」。これはFMラジオの「朗読・声の贈り物」という番組のテーマ曲として長年使われていて耳馴染みがあります。「水のうた」。これは水の大切さを、様々な巡る生命と重ねてイメージし慶香さんが作詞作曲した曲で、水保全活動のTVCMにも使われています。
 その他、「凪」、「穀雨」、「雪白の輪舞」、「Fragrance」……曲は単に綺麗なだけの自然の情景描写ではなく、自然が持つ優しさ、逞しさとともに、その奥にある生命の営みの神秘さや巡り合せの不思議さへの畏敬のようなものが慶香さん自身の語りと共に心に響いてきて、よくありがちなノリだけで盛り上がるライブとは全く違う空気が満員の居酒屋を包んでいきます。
 途中15分の休憩を挟んで1時間40分。最後はアンコールの「融和」(だったかな?)という曲名の通り、会場全体が優しい気持ちで1つになったのでした。

 さてさて、ライブの後はここは居酒屋ですから!皆で飲みましょう、食べましょうタイムに突入!1人客の私は、たまたま顔見知りの方がいらした4人グループの席にお願いして無理やり入れて頂いたのですが、その席で思わぬ会話の展開とそれに続くここライブ会場での想定外ハプニングが!
 出会いに感謝!の、そんなサプライズご紹介は、また次回に!


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(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 たまに、「季節はいつが好きですか?」と聞かれることがあります。いつだったか、そう聞かれて思わず「季節の変わり目が好きです」と答えたら「キザ〜」って言われてしまいました。今まで寒かったのにフッと春の気配を感じた時。あるいは暑い毎日の中でフッと秋の空気を感じた時、何だか新しい何かに出会ったようなうれしさと、それでいて何か過ぎ去っていくような寂しさを感じたりしませんか。
 まだまだ暑い毎日ですが、そんな季節の機微に出会えるのも、もうすぐなんでしょうね。

 
−an 弾手−


第364回「志娥慶香さん居酒屋ピアノライブ(その2)
         想定外ハプニング編」

[2011.9.6]
 心にしみる志娥慶香(シガケイコ)さんのソロライブのあとは、ほとんどのお客さんが会場の居酒屋にそのまま残って大宴会と相成りました。(前回・第363回はこちら)

 その日私は1人だったのですが、たまたま顔見知りの人がいたグループのテーブルにずうずうしく合流させていただいて乾杯!
 その顔見知りの人というのは、慶香さんと親交のある女流画家の方。以前、私が慶香さんの仕事場にお邪魔した時、私のことを『ピアノの本を書いているアンダンテさん』とその方にご紹介いただいて以来のお知り合いなのです。同じテーブルにいらしたのはその画家のご主人、お母様、それに慶香さんからピアノを習っているという中年の男性。「始めまして」と言ったら、「いえ、以前も慶香さんのライブでお見かけしましたよ。それに私、アンダンテさんの本、持っています」と言われました。そうだったんですか。ありがとうございます!

 画家のご主人は、話してみたら私が若い頃の東京時代にその方も東京在住だったようで、ついつい懐かしいあの頃の東京の街の話題で盛り上がります。やがて話はさっきの慶香さんのライブから音楽(演奏)全般の話題へ。
 「音楽ってテクニックじゃなくてどう感情を表現するか、だよね。テクニックはその手段だから。慶香ちゃんの演奏、何回も聴いているけど、心に伝わってくるところがいい」と、その男性。
 「私もそう思います。まあ、私は大人からの素人ピアノでテクニックなんてないから言うわけでもないですけど、よくある超絶技巧的な演奏、感心はしても感動しないんですよ。それより、音楽そのもので心にしみてくるのが好きですね」
 「そういう演奏だったら、たとえば○○○とか、○○○とか、他に〜」
 そのご主人、クラシックからジャズまでとても音楽や演奏家に詳しいようで、私の知らないピアニストの名前が次々に出てきます。私は「はあ、ええ、なるほど〜」と、すっかり聞き役になっていました。

 そのうち、慶香さんが会場のマイクをとって話し始めました。
 「今日はお客さんでアカペラグループの方が来ていらっしゃいますので、歌っていただきたいと思います」
 女性の3人グループ、前に出て歌い始められました。澄んだ声のハーモニーが美しく会場に響きます。
 心地よく聴いていたら、テーブルの女流画家さんが突然
 「そうだ、アンダンテさんにも一曲弾いてもらいましょうよ!」って。
 「それはいい!ぜひぜひお願いします!」
 テーブルの皆が一斉に声を上げます。
 「えっ、あの…。今日はそんなつもりで来てないんですけど」
 思わぬ流れにとまどうan弾手。
 それにはお構いなく、その画家さん、慶香さんを呼んで言ってます。
 「次、アンダンテさんに一曲弾いてもらいますから」
 「わかりました!」と慶香さん。
 あれれ、いきなりそんな段取りになっちゃってる!

 アカペラグループの歌が終わります。慶香さんがマイクをとって話し始めます。
 「今日は、この会場にいろんなお客さんが来られているんですよ。次はアンダンテさんをご紹介します。大人になってからピアノを始められたのですが、今ではピアノの教本を6冊も書かれています。最新刊は先日アマゾンのランキングで1位になっていました」
 それを聞いて、会場から「お〜っ!」というどよめきが。
 「では、アンダンテさんお願いします!」

 ああ、もう腹を決めるしかないですね(汗)。
ピアノの前に出て慶香さんからマイクを受け取ります。

 …って、またまた引っ張ってしまいますがぁ。長くなりますのでこの続きはまた来週ということに〜。

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(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 先日、講談社から電話が。
 「熊本の○○書店から『2週間速習〜』の追加注文が30冊来ました。他の書店からも追加が入っていますよ。動きがいいようですから店頭POPを作ってお店に送ろうと思います。ついてはPOPに入れる著者メッセージを考えていただけませんか?」
 わぁ、講談社で店頭POPまで作っていただけるんですか!うれしいです。まずは店頭に並んで皆様の目に留めていただかないと始まりませんからね。一般書店ルートの実用書ですしどうかと思っていたのですが、結構手にしていただいている方がいらっしゃるようでありがとうございます!引き続きよろしくお願い致します。

 
−an 弾手−


第365回「志娥慶香さん居酒屋ピアノライブ(その3)
         想定外ハプニング完結編」

[2011.9.13]
 志娥慶香(シガケイコ)さんのライブの後の居酒屋宴会。そこで突然、「アンダンテさんも一曲お願いします!」という想定外の流れになって慌ててしまいました。(前回・第364回はこちら)

 席を立ちピアノの前に行きながら「さて、何を弾こうか?」と考えます。こんな時はやっぱりいつもながらの安全パイですかね。はい、例の『ダニー・ボーイ』。このコラムでも何度か書いたことがある気がしますが、どんな時でもとりあえずほとんど何も考えずにすぐに弾ける曲っていったらこれ。他の曲を弾く時も、最初にこの曲から入れば初めて触るよそのピアノのタッチの確認とか指慣らしとかにもなりそうな曲なんです。(本当なら、そんな持ち曲をもっと増やさないといけないんでしょうけどね)

 ピアノの前に座り、まずはコード進行のタラタラアドリブフレーズをイントロ代わりに。それも無難にKey=Cの1・6・2・5でC→Am→Dm→G7。
 G7のアルペジオから、静かにダニー・ボーイに入っていきます。でも、弾き始めてすぐピアノの音量に違和感が。さっきまでの慶香さんの演奏ではしっかり聴こえていた音が、自分で弾いてみると何だか小さくしか聴こえない!?ピアノはアップライトでピアノマイクは無し。ピアノの上部の蓋が開けてあるだけなので、もしかしたらピアノのすぐ前に座っている自分が最も音が聴こえにくいのかな?会場の皆さんには果たしてちゃんと聴こえているんだろうか?と不安になります。すこしタッチを強くしてみましたがあまり変わらず。強く弾くことを意識しすぎると肝心の演奏が雑になったりミスタッチし易くなりそうなので、すぐまた普段の自分のタッチに戻し、もう音量のことは気にしないようにしましょ。
 後は出来るだけ自分の音を聴きながら、テンポが走らないように気を付けながら、何とか大きなミスもなく弾き終えました。

 弾き終わってテーブルに戻ったら、聴いてくれていた同席の女流画家のご主人が開口一番
 「今の曲はロンドンデリーの歌ですか、それともダニー・ボーイですか?」
 私は一瞬質問の真意が分からなかったのですが、自分ではいつも『ダニー・ボーイ』と言っているので、ごく自然に
 「ダニー・ボーイです」
と答えました。するとそのご主人は納得の様子で
 「やっぱりそうですよね。今の曲、もともとはイギリスでロンドンデリーの歌として歌われていたんですが、それがアメリカに渡り、黒人の間でブルースの要素が加わった哀感のあるダニー・ボーイとして歌われるようになったんですよ。今のアンダンテさんの演奏、心に沁みる雰囲気があって、きっとダニー・ボーイだと思いましたよ」
 はぁ、何だかすごい分析、ありがとうございます!そう言われてみれば、確かに自分なりにブルー・ノートっぽい音をちょっと加えてみたりはしていますが。
 「アンダンテさん自身が曲を楽しみながら弾かれているのが伝わってきて、とても良かったです」
 そう言われて、ふとその数日前に聞いたFMラジオの番組を思い出しました。それは、ジャズミュージシャンがパーソナリティーを務めるトーク番組でゲストに出ていたあるヴォーカリストの言葉。
 「ステージで歌う時、どんなことに気をつけていますか?」という質問に
 「まずは自分が楽しみながら歌えるようにしたい。そしてそれが聴いて下さっている人の心に届いて、皆さんがそれで私の歌を楽しんでくれたら最高です」
 そうかぁ、私はまだまだそんな域にはほど遠いですが、それでも今「アンダンテさん自身が曲を楽しみながら弾かれているのが伝わってきて〜」と、似たようなことを言っていただいて嬉しい限りです。

 ここでちょっと話の流れが変わりますが。
 上のことに関連してピアノ演奏時の『3人の聴衆』ということを考えてみましたので書いてみようと思います。
まず1人目。それは弾いている自分。どう弾くか、次のコードは何か、ここの指使いはどうするか、などなど考えながら間違わないように意識して弾いている自分。
 2人目。それは文字通り自分の演奏を聴いてくれている人、聴衆。
 普通はこの弾いている自分と聴いてくれている人の2人いれば人前演奏が成立しているはずなのですが、最近、これに3人目の聴衆が必要ではないかと思うようになったんです。それは、弾いている1人目の自分の演奏を聴いているもう1人の自分。よく自分の演奏を録音して聴いてみると自分が思っていたのと全く違ってアラがよく分かる、と言いますが、この「録音を聴いている自分」って3人目の聴衆ですよね。これを録音ではなく弾いている時にリアルタイムで意識して聴けたらいいですよね。
 こんな風に弾こうと考えながら指を動かしている自分とは別に、それを横から客観的に聴いているもう1人の自分がいたら。そして、そんなもう1人の自分(3人目の聴衆)を感動させられるような演奏ができたら、きっと2人目の聴衆(本当の聴衆)にも感動してもらえるのではないか。そう思いながら、演奏中に意識して客観的に自分の音を聴く、というか、聴けるようにしたいと思っている私です。

 話を戻しましょう。席に帰ってもう1人の男性から言われた言葉。
 「実はこれまで何回もアンダンテさんの演奏予定を調べて聴きに行こうと思ったことがあったんですよ。でもいつも予定が合わなくて。それが今日は聴けて良かったです」
 わあ、ありがとうございます!
 その日のライブの主催者の男性からは
 「一曲じゃもったいなかったです」と。
 わあ、社交辞令だとしても嬉しいです。
 それから、中年の女性の方が近づいてきて
 「先生の本は、どこで買えますか?」と。
 あ、いえいえ、私、先生じゃないですけど。そっかぁ、でも教本を書いている、という時点で先生と言われてもその言葉を引き受ける責任はあるのかもしれませんが。
 「市内でしたら大谷楽器地下の楽譜コーナーにありますよ」
 テーブルの上にあった箸袋の裏に2冊の本のタイトル(2週間速習ピアノ講座、と、お父さんのためのピアノ教室)を書いてお渡ししました。ありがとうございます。これでまた1〜2冊売れるかなぁ。

 そんなこんなで。
 突然ピアノを弾く羽目になって慌ててしまった私でしたが、お陰さまで単に飲んで食べていただけとは違う出会いや交流をいただき、うまくほめ言葉で励ましていただき、また自分なりに演奏について思いを巡らす貴重な機会もいただいて本当にありがとうございました。

 志娥慶香さんのライブが広げてくれた素敵な一夜に感謝です!

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ちょっと、ひと言。

 少し前まで熊本県立美術館で開催されていた「スタジオジブリ・レイアウト展」というのを観ました。アニメ映画の「レイアウト」というのは絵コンテ(絵で描いた脚本)を元に、実際の映画の画面構成を具体的に描いた下絵の様なものです。膨大な数の下絵が実に細かに具体的に書き込まれていてびっくりしました。この下絵に合わせてアニメーターや美術スタッフが手分けしながら実際の絵を書いていくらしいです。
 会場の壁をびっしり埋め尽くした「レイアウト」をたどりながら、いつのまにかジブリアニメの世界にワープしてしまいました。

 
−an 弾手−


第366回「最近嬉しいことan弾手ネタ」        

[2011.9.20]
 最近、an弾手の活動に関していくつか嬉しいことが続いています。嬉しいことに(笑)。
 ただ、あえてここに書いても、読者の方には「何だ、そんな事」と思われてしまうかも知れませんが。あるいは「それって自慢話?」と鼻白んでしまうかも。でもあえて書いてみようかなぁと思いました。ここに書くことで、一つひとつの出来事が単なる過去の記憶に流れてしまうのではなく、自分の中でわずかでも未来の力になってくれればと思って。

 なーんて、大げさな書き出しですね〜。実は大したことでもなくてすみません。

 ひとつは拙著「2週間速習ピアノ講座」のその後。先日講談社の担当の方から電話がありました。「重版が決まりました!」と。書店からの追加注文などいい動きの話は聞いていましたが、こんなに早く重版になるとは思っていませんでしたから、素直に嬉しいです。これもお買い上げいただいた全国の読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!

 ふたつ目は、その本の紹介記事が地元紙・熊本日日新聞に掲載されたこと。もちろんそれだけでもありがたいことですが、地味な小さな記事だったにもかかわらず、結構気付いていただいた方がいらっしゃるようで、思わぬ方から何人も「新聞に出てましたね」と声を掛けていただくのが嬉しいです。中には本業でのお付き合いしかなくピアノの話などしたこともない方から「あの記事、もしかしてあなたのことですか?」と聞かれ、思わぬピアノ話で盛り上がって、オフィシャル以外の部分でもグッと親しくなれたような気がするのも嬉しい限りです。

 それから、最近ピアノのレッスンを始めたこと。あ、私が教える側で。これまでも知人、友人に頼まれて何人かレッスン的なことをしたことはありますが、今回は全く知らない方から突然の電話で頼まれ、一応ちゃんとしたレッスンの形で進めることになりました。それも中学生の女の子。お母さんから特別な事情をお聞きし、私で出来ることならとお引き受けしました。ここに詳しい事は書けませんが、私自身もよく知らない世界での短期レッスンで、微力ながらお役に立てれば嬉しいです。また、自分の新たな経験・勉強にもなりそうです。

 それから、先日あるパーティーでたまたま隣の席になった方とのご縁。実はその方、プロとして幅広くタレント活動をされていて、最近立て続けに生のステージを拝見していました。そんな方と全く偶然の隣席。そして話をするうちに「今度ある公演を企画しているんですけど、よかったら一緒にやりませんか?」というお誘い。えーっ!それはありがたいお言葉ですがぁ!しっかし〜私、本は書いていても演奏は素人だし…。ということで、その飲みながらの話、もちろんまだ決まった訳では全然ないのですが、そういう話にカスルだけでもありがたいことではあります。

 と、まあ、大げさな書き出しの割りにはこんなネタですみません!
実は、こんな中途半端なネタでも書いてみようと思ったのにはあるきっかけがありました。それは、日頃たくさん送られてくるメルマガの中のひとつにあったある言葉。

 「知らないことでも本は書ける」
 その秘訣は
 「問題意識」と「その解を得るために勉強する」こと。
 むしろ、ものを知っているから本を書くということではなく、本を書くということでもの知りになる。
 そして重要なことは
 「アウトプットの回路を作る」こと。
 脳は、見たり、聞いたり、学んだりしたことの多くのことを記憶している。
 ただ、その見たり聞いたりしたことを常にアウトプットしていかないと
 いざというときに引き出せない。
 (ビジョネット山口俊晴氏のメルマガより一部要約引用)

 ちょっと嬉しい小さなネタが重なっていた時に上のような言葉を見て、よっし、とりあえずこのコラムでアウトプットしておくか、と思った次第でした。
 (今回のネタはちょっと違うような気もしますが…)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 秋の連休の前半、皆さまはいかがお過ごしでしたか?私は帰省中の家族とともに阿蘇へささやかな一泊ドライブに行ってきました。
 一日目、阿蘇への途中で寄った萌の里では日本国際童謡館のDOYO組の野外コンサートに遭遇。その手伝いで来ていた同じ童謡館の歌手・星野ひな子さんとも久し振りにバッタリ会って、最近出たばかりという彼女のCDをゲット。
 二日目は阿蘇にあるカドリー・ドミニオンという動物触れあいのテーマパークへ。私は熊本在住にもかかわらずここは初体験でしたが、動物園とは違う雰囲気の中でたくさんのクマを間近に見たり、ビックリするくらい訓練されているたくさんの犬と触れ合ったり、Pig Racing(競馬みたいな豚レース)の豚券?で一着を当てて景品をもらったり、楽しいひと時でした。帰りには相当疲れちゃいましたけどね(笑)

 
−an 弾手−


第367回「さよならの夏〜コクリコ坂から」        

[2011.9.27]
 テレビCMを見ました。いかにもジブリアニメらしい雰囲気の少女が掲揚ポールを見上げながらにカラカラと旗を揚げています。そしてそこに流れてくる音楽〜。わずか十数秒の映像を観、その曲を聴いただけで、とても懐かしいような想いが湧き上がってきました。
 これは映画を観に行かなくちゃ!どんなシチュエーションなのか、どんな物語なのか、何も知らないのにそう思ってしまいました。何といってもこの音楽がいい!

 で、観に行きましたよ。物語はこれまでのジブリアニメのようなファンタジーではなく、とてもリアル。1960年代の横浜が舞台で貨物船が通る海を見下ろす丘の上の館に住む高校生の少女が主人公。実写版のドラマにしてもおかしくないようなストーリーでした。原作は雑誌『なかよし』(講談社)に連載された漫画のようです。

 と、まあ、このコラムは映画の紹介が目的ではないので詳しくは触れませんが…。
 映画の中のテレビから坂本九の「上を向いて歩こう」の曲が流れていたりして自分の幼かった頃の時代の空気を感じながらも、肝心のあの曲、そう、テレビCMで流れていたあのテーマ曲がいつ出てくるかと思いながら観ていました。結局、出てきたのは映画のエンディング。初めて聴くはずなのになぜか懐かしさが心に沁みてくるような曲(歌)が、かなり長い時間、流れていきました。
 同じようなフレーズが繰り返し出てくる曲なので、私は聴きながら何とか耳コピー出来ないかと思い、頭の中でメロディーに階名を当てはめ、それにコードを振ってみました。私は絶対音感はないので聴いただけではオリジナルのKeyは分かりませんが、単純にドレミに当てはめてみたらメロディーの動きとしてはKey=Amでうまくいきそうです。

 映画館を出てから寄った喫茶店で、忘れないうちにとテーブルの紙ナフキンに五線を引いてさわりだけメモしました。でもピアノはないので、それで本当に違和感ないメロディーとコード進行になっているかの確認はできません。
 家に帰ると、さっそくちゃんとした五線紙に書き写してピアノで弾いてみました。うん、頭の中でイメージしたメロディーとコード進行にはなってるみたいだ。でも、実際に映画の中で流れた曲はサビのところでメロディーが変わって転調した感じになっていたけど、そこのところ具体的に思い出せないなぁ。という訳で、何となく雰囲気は似てるけど、曲としては中途半端な耳コピーになっちゃいました。

 数日後、楽器店に寄ったら「コクリコ坂から」の楽譜があるではありませんか。テーマ曲の題は正確には「さよならの夏〜コクリコ坂から」らしい。自分の耳コピーとどの位違うかの興味もあって、早速購入。
 見ると楽譜のKeyはEm。ただ、移調して考えればコード進行は自分で記憶してメモしていたAmの進行でほぼ当たりでした(ほぼ、と言うのは細かい所で楽譜ではオン・コードが使ってあったりとか)。メロディーは、出だしのいわゆるAメロ、A´メロはそこそこ書けていましたが、サビのBメロはほとんど記憶できてませんでした(Aメロを覚えるだけで一杯一杯でしたぁ)。

 という訳で、この「さよならの夏〜コクリコ坂から」、弾けるようになろうと楽譜を見ながら練習です。でも楽譜通りのEmで弾くと、何だか音域が高くて最初から最後までピアノがキンキンした響きになるんですよね。実際に映画で聴いたようなしっとりと優しい雰囲気にどうしてもならないので、KeyをCmに移調してみたらいい雰囲気になりました。ところが、しばらく弾いてみたらCmでは♭が多くて何となく弾きにくい。という訳で結局Dmにしてみました。これでかなり優しい雰囲気と弾きやすさのバランスがとれたみたいな気がします。
 曲の構成も、原曲通りだと同じフレーズが繰り返し繰り返し出てきて、歌であれば素敵な歌詞が1番から3番までつながっていくのでいいのですが、ピアノソロでは単調になりそうなので、3番は間奏からいきなりサビに入るように変化を付けてみました。まだ完成形になってませんが、もう少し弾き込みながら工夫してみたいと思います。

 なお、この曲、歌詞もなかなか素敵です。読んでいくと目の前に風景が広がってきて優しく切ない気持ちになります。
 映画のサウンドトラックで歌っている手嶌葵さんの歌がYouTubuで聴けます。
 http://www.youtube.com/watch?v=HXCxPaGF2Qc
 また、調べてみたらこの曲の原曲は1976年にテレビドラマの主題歌として森山良子さんが歌ったものらしいです。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。

 シルバーウィーク(?)が終り、9月もいよいよ今週だけですね。この間、台風の影響で大きな被害を受けられた地域の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
 それにしても今年もあと3ヶ月、なんて残りの日にちを数える季節になってしまいましたね〜。やり残してることが一杯です。特に、講談社の本の出版時期と重なった都合で、一時待ってもらっている別の出版社の原稿が途中のまま手付かずになってしまって気になっています。はやく仕切り直ししないと。
 (コクリコ坂から〜なんて練習してる場合かっ)

 
−an 弾手−


第368回「オハイエくまもと・とっておきの音楽祭」        

[2011.10.4]
 「ぜひ手伝ってもらえませんか?」
 「今度また練習がありますから、その時ぜひ来てくださいよ!」
 とあるパーティーの会場で。顔見知りの人を見つけてテーブルに挨拶に行ったら、そこのお二人からそう言われました。

 ええ、私も関心はあったんですよ。オハイエくまもと・とっておきの音楽祭。障がいを持つ人と一般の人が一緒に参加し一緒に楽しもうという音楽祭で、去年、今年と、3月に熊本市内の繁華街一帯で同時多発的に開催されたもの。どちらも私は見物人として街なかに足を運んで楽しませていただきました。そして、その企画・運営はもちろん、出演のプロミュージシャンまで全てボランティアでやっていると聞いたり、実際に顔見知りの人たちがたくさんスタッフとして動かれているのを見て、私にも何か出来ることはないかなぁ、とぼんやりと思っていたのでした。
 異業種交流会でよく顔を会わせるある社長さんも運営委員として活動されていると聞いていましたし、少し前にその会の会長さんと、とあるバーでバッタリお会いして、初めて言葉を交わすのにいきなり親しい雰囲気になってしまったり、今年の音楽祭会場では会の理事をやっているという高校の同級生とバッタリ会ってびっくりしたり。
 パーティーでお会いした顔見知りの二人というのは、その同級生と会長さんだったのでした。

 ところで、この「とっておきの音楽祭」、もともとは2001年に宮城県仙台市で始まったのがルーツとか。音楽を通して、障がいを持つ人々と一般の人々がともに健康で楽しい生活をしながら、かつ地域において支援の輪を拡大しノーマライゼーションを目指すことを目的としています。その大きな活動のひとつが、街の中心地などで皆が一緒に楽しめる「オハイエくまもと・とっておきの音楽祭」を開催すること、らしいです(会のホームページより一部要約)。

 という訳で、先日、障がい者の人たちが集まって練習をやっているという会場に足を運んでみました。会場に着くと、あの会長さんと同級生が笑顔で迎えてくれました。
 「いらっしゃい!」
 「皆さ〜ん!大型助っ人さんがご参加ですよっ!」
 楽器の指導役で来られているらしい大勢の人たち(ほとんどが音楽やピアノの先生?)にいきなり大げさに紹介していただきました。
 「あの〜、私、今日はとりあえず見学に来たんですけど…」
 と言いながら、頼り無さげに挨拶する私。名刺も持って来ていなくて失礼しましたぁ!

 その日の練習プログラムは、ハンドベルによる「エーデルワイズ」と鍵盤ハーモニカによる「ドレミの歌」。ハンドベルの「エーデルワイズ」の練習時は、私は後ろで皆さんの演奏をただ聴いているだけでしたが、「ドレミの歌」になったらいきなり
 「はい、指導係お願いします!」
 と言い渡されて、1人の障がい者に付いて楽譜の見方から鍵盤の押さえ方まで指導(?)。
 あっという間の2時間でした!

 会長さんの話によると、このような演奏指導の他、来年3月の音楽祭に向けて会場の手配や出演者の段取り、プログラムの策定など、たくさんのボランティアスタッフが必要なんだとか。
 私も、出来る範囲でお役に立てたらいいかなあと思います。あ、自分も演奏で出演するかどうか、は、また別の問題ですけど。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 JR熊本駅前に「くまもと森都心プラザ」というビルがオープンしたので先日行ってみました。2F観光・郷土情報センター、3Fプラザ図書館、4Fビジネス支援センター、5Fプラザホール。フロア名だけ見ると地味で硬そうなイメージがするかも知れませんが、実際は来館者が楽しめそうな工夫も一杯あって面白いです。その日は連休でオープニングイベントがあっていたこともあり、たくさんの人で賑わっていました。
 で、自慢話になりそうですが、その図書館の「音楽」の棚で、先日発売になったばかりの拙著「2週間速習ピアノ講座」(講談社)が鎮座しているのを発見!ワタシ的にはグッと好感度アップの森都心プラザでした〜(笑)

 
−an 弾手−


第369回「永遠の妄想?若い女性の肌を…」        

[2011.10.11]
 ホテルのパーティー会場。宴もたけなわ、いよいよフィナーレが近づいてきました。
 「では、最後に先生のピアノ演奏を聴かせていただきます。先生、どうぞよろしくお願いします」

 その日は私の高校時代の音楽の先生で恩師の、卒寿及び第61回熊日賞受賞の祝賀会。先生は長年に渡る音楽教師としての教育活動のほか、たくさんの作曲も手掛けられ、地域の文化芸術の発展に貢献されたとして、10年前には熊本県芸術功労者顕彰も受賞されています。

 祝賀会のスタートでは、セレモニーに続いて先生の教え子のコーラス、今も先生がご自身で開いておられるシャンソン教室の生徒さん、それに先生と縁のある女性民謡歌手の歌などが、卒寿(90歳)とは思えない若々しく華やかな先生のピアノ伴奏で披露されました。

 と、ここまで書いてきましたが、このコラム、先生のご紹介やこの日の祝賀会のレポートを書くのが趣旨ではありませんので、すみません、ここから先のan弾手的勝手な話の展開、どうかお許しを。

 久し振りに会う先生や同級生、先輩、後輩との楽しい時間はあっという間に過ぎていくものですね。
 「では最後に、先生のピアノ演奏を…」という司会者の言葉で再びピアノの前に出られた先生、おもむろにマイクを手にされます。
 「実は今日、これだけは話しておきたかったことがあります」
 「私はね、今も毎日2〜3時間はピアノを弾くのが日課になっています。そんな時に私がいつも心に留めていることがあります。それは私が20年ほど前(70歳の頃)に読んだ、著名な外国人ピアニストの本に書いてあったこと。それは、ピアノは決して叩くものじゃないということ。強く叩いたり、超スピードで弾けるというだけでは決して人の心に届くような演奏にはならない。f(フォルテ)と書いてあっても、強く叩けばいいというものじゃなくて、強く心に響くように弾かなくちゃいけないんだ。ではどうしたらいいのか。強く!じゃなく優しく、速く!じゃなくゆっくりでいい。ちょうど『若い女性の肌を優しくなでるように』弾くんだよ。そうしたら気持ちが伝わるから」

 なるほど、『若い女性の肌を優しくなでるように』ですね!
 私の場合、そもそも技術的に速く弾けない、強く弾けない、ということで、結局は消去法で、『ゆっくり、優しく』、になっちゃってるところがあるような気はしますがぁ。
 これからは、『ゆっくり、優しく』、にプラス、『若い女性の肌をなでるように』を目標に加えましょう!
 でもこれ、女性はどう考えればいいのかな?『若いイケメンの肌を……?』あ、いえ、そういう話じゃないんですよね。

 先生、とても分かりやすく、そして永遠の妄想になりそうな、じゃなかった!永遠の目標になりそうなキーワードを聞かせていただいて、ありがとうございました!
 それに、卒寿の今も毎日2〜3時間のピアノ演奏とは。私もこれから先の課題と人生の楽しみ方を一つ気付かせていただいたような気がしました。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 この前の週末、土・日は熊本城周辺で毎年この時期に開催される恒例の「みずあかり」が繰り広げられました。熊本城が見通せる市街地の一角(歩行者天国)や公園、お城の堀になっている坪井川などに、約13,000個の手作りの竹灯篭が並べられ、日没前から1本ずつ灯篭のロウソクに火が灯されます。1本の竹灯篭に複数のロウソクが設置されているのもあるので、ロウソクの数はおそらく数万になると思います。あかりびと、と呼ばれるたくさんのボランティアの人の手で一個ずつ灯されていきます。
 私も県外からのお客さんを案内して坪井川沿いを歩きましたが、照明を消した夜の街や川面に揺れる無数の明かりはとても幻想的。これまで何回か見たことがある私も思わずため息が出そうで、すっかり癒されたのでした。

 
−an 弾手−


第370回「an弾手がライブ出演?語りライブ『夢十夜』の一夜。」        

[2011.10.18]
 突然ですが。12月2日、an弾手がライブに出演することになりました。
 ライブといっても音楽のライブではなく、「語りライブ」。

 「語り座」という活動を主宰されている寿咲亜似(すさきあい)さんが語る夏目漱石の「夢十夜」にピアノでコラボさせていただくというライブです。寿咲さんは各地域の民話や歴史をドラマティックに語る手法で、これまでも琴、三味線、チェロ、フルートなどとのコラボの舞台のほか、ラジオのレギュラー番組なども持たれています。さらにもうお1人、FMラジオ番組のパーソナリティーなどで活躍されている松崎よしひろさんも語り手として出演されるらしい。

 12月2日といえば、もうあとひと月ちょっとですよね。実は寿咲さんとはつい1週間ほど前にお会いして簡単な打合せをさせていただいたばかり。寿咲さんが11月半ばまで他の舞台や出演の予定がぎっしりでなかなか時間が取れないらしく、本格的な打ち合わせや音合せ(読み合せ?)もそれからになりそう。それまでに私は自分なりの音作りをしておかなくっちゃ!なのです。それに寿咲さんからは「既存の曲を弾くのではなく、話のストーリーに合せたオリジナルの音楽を」という注文が。それって、大げさに言えば脚本に合せたラジオドラマの曲作りみたいな感じ?それも生で語りに合せるということは、いわゆる映画音楽で言うところのシンクポイント(って、ある映画音楽家の方からちょっと聞きかじった言葉を訳も分からず使ってますがぁ)を生演奏で合せていくみたいな感じ?(大丈夫か!?自分)

 短い詩の朗読のBGMならちょっとだけ遊びでやらせてもらったことはありますが、本格的なドラマ風音楽は全くの未経験で、果たしてどうなりますか?自分でもやってみないと全く見当が付きませんが、いずれにせよプロの舞台をぶち壊さないようにしないとですね。
 しかし、新しい分野に挑戦させていただいて感謝です!

 という訳で、このライブの入場は要予約となっております〜。ただいまご予約受付中です〜!
 下記にその概要を書きますので、ぜひ私宛にメールにてご予約くださいませ〜
 piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com
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 【語りライブ】
 『夢十夜』の一夜。
 語りで綴る夏目漱石・不思議な夢幻の世界。

 漱石の無意識に秘められた願望や不安、恐怖などが、ある時は幻想的にある時は滑稽に流れ出す。寿咲亜似と松崎ひろゆきの語り、an弾手のピアノで繰り広げる摩訶不思議の夜。

 ●原作:夏目漱石「夢十夜」
 ●語り:寿咲亜似(すさきあい)http://www10.plala.or.jp/susakiai/
        松崎ひろゆき
 ●音楽:ピアノ=an弾手(鮎川久雄)

 日時:2011年12月2日(金)
   18:00開場、18:30開演
 場所:ぺいあのPLUS
   熊本市新市街1-3 ホクショウビル4F
   TEL 096-322-6813
 入場料:1,500円【要予約】

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 ご予約は下記メールアドレス(an弾手)まで。
 piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com
 ★お名前(ご本名。これまでにan弾手とハンドルネームでやり取りされている方は、よろしければそのハンドルネームも併せて教えてください)
 ★ご連絡先(こちらからご連絡ができる電話等)
 ★人数
 をお知らせください。

 an弾手と別のルートでも予約受付していますので、ある程度の人数になりましたら予約を締め切らせていただく場合もあります。何卒ご容赦ください。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。

 10月9日、秋晴れの熊本城二の丸公園でギネス記録達成があったらしいです。私はその日、朝から同じ熊本城の一角にいたんですが、昼前から別の場所に移動してしまって残念ながら見れませんでした。
 そのギネス記録とは大太鼓演奏の人数。これまで盛岡さんさ踊り(岩手県)の2571人が記録だったらしいんですが、今回は熊本県はじめ九州各県、島根県の太鼓演奏グループが集まって2778人演奏の記録を達成したそうです。審査のために来日したギネス・ワールド・レコード社(英国)の担当者が、5分以上、同時演奏で楽曲として成立していること、などの条件を満たしているとして認定されたそうです。
 たまたま近くに居合わせた知人によると、何事か!?と思うようなものすごい音が響いてきたらしい。私はニアミスですれ違ったのが残念でした〜

 
−an 弾手−
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