第501回「またまた読者の方からのメッセージご紹介」 [2014.6.17]
先週まで2週に渡って第500回感謝特別号を掲載させていただき、ありがとうございました。皆さまのメッセージを読みながら、私も改めてこの500回12年の歩みを振り返る事が出来たような気がしています。で、今回はいよいよ第501回、次の新しい第一歩、と思ったのですが…。
実はその後もまたメッセージをいただいた方もおられて、自分一人で読んでいるのももったいなく、今回もまたまたメッセージの続き(ミニ増刊号?)みたいな感じになってしまいますこと、お許しください〜!
「このメッセージはan弾手さんの胸の中だけに留めておいてください」みたいなことを言われた方とか、500回の後で読後の感想を寄せていただいた方とかもたくさんいらっしゃいましたが、その中から、ここへの掲載許可をお願いしてご了解いただいたお二人の方のメッセージをご紹介いたします。

●まずは茨城県の男性「青木」さんからのメッセージです。
〜(前略)〜
500回、わくわくしながら読ませていただきました。
また、「大人のピアノ入門」は、数軒本屋を探しましたが見つかりません。そこでアマゾンで購入、その日のうちに読みました。文章が読みやすく、分かりやすいです。
私が個人指導を受けている孫のような若いピアノの先生の所にこの本を持って行き、「私を指導する参考に」と、こちらからお貸ししました。
今はレリゴー「Let It Go.」が弾けるようになるのが当面の課題です。
まずは、お礼まで。
また火曜日を楽しみにしています。
(an弾手より)
拙著「大人のピアノ入門」お買い上げいただいたとのこと、ありがとうございます。また、ピアノの先生にまでお貸しいただいたんですね。先生もビックリされたかも(笑)。
遠く離れていますが。これからも楽しいピアノライフをご一緒に楽しんでいけたら嬉しいです。

 ●次は愛知県の女性「姫スズの母」さんからの長文のメッセージです。
〜(前略)〜
さっそく500回特別号、拝見させていただきました。多くの方に支えられて、ほんとうにおめでとうございます。私も皆様と一緒にお祝いさせてもらえてとてもうれしく思います。
また、文庫となった本の発売日が娘の誕生日といっしょになって、これも何かのご縁かな?と思いました。
私の住んでいる地域は人口10万程度の小さな町でして、残念ながら書店には置いてなかったので、アマゾンで取り寄せて購入いたしました。

実はお祝いのメッセージでは書かなかったのですが、7年前なぜan弾手さんの本を手にとったのか?と言いますと、それはan弾手さんがどこにでもいるふつうのオジサマだったからなのです。
音楽に精通した方がお書きになった本や楽譜ですと、自分には無理かも?という気持ちが先に立ってしまいます。音楽の素人の方が、楽しくピアノを習得されていく様子をみて、 何だか自分でもできるような気がしました。
私の10歳年長の兄は音楽好きで中学、高校とバンドを組んでギターの弾き語りが得意でした。兄はピアノを習ったことはなかったのですが、chordをおさえて曲を作っていました。私の家は、父が見栄っ張りの性格のおかげでピアノはあったのです(お父さんありがとう)。
ピアノをうまく弾ければいいな〜と思うようになったのは高校生のころでした。小学生の時に少しは習ったのですが、すぐに挫折。兄が音合わせのために弾くピアノを眺めるばかりでした。

時は流れ、兄が結婚してピアノと一緒に家を離れ、そのピアノは兄の子供の通う幼稚園に寄付しました。
兄は子に、また豪華なピアノを購入。その後、社会人になった私は仕事が音楽関係だったこともあってクラビノーバを購入。でも相変わらず弾けないまま、内臓されている曲を聞いてました。
娘が生まれ、5歳のときにピアノを習わせました。そのころan弾手さんの本と出合いました。chordの本は何冊か購入していましたが、音楽の専門家の方の書かれたものばかりで、今ひとつ馴染めませんでした。大人のピアノ教室も通ったのですが、先生との相性もあって挫折、夫の転勤もあって私のピアノの先生はan弾手さんとユーチューブになりました。娘はどんどん上達していき、人に聴かせるピアノを弾けるようになりました。私は自己流で自分だけが楽しむピアノですが、娘いわく、
「お母さんは顔で演奏している、いつも楽しんで弾いているよね。それがうらやましいよ」
娘はいつも課題曲を与えられて楽譜とニラメッコ。技術的には上達しているけど、曲を仕上げるともう2度と弾かない。
6月1日は 江南市制60周年のアトラクションで江南市の小中学生を代表して「大切なもの」「ふるさと」のピアノ伴奏を任されました。うまく弾けたけど、もうこの曲は弾かないだろうな。
「なんか、心に残らないんだよね」。最近、娘は私にこういいます。
私の方が ある意味幸せなピアニストなのかも知れませんね。

長々といろいろ書き綴りましたが、これからもピアノを教えてくださいね。
an弾手さんの演奏を生で聴けることを願っています。
(今井選手とan弾手さんの追っかけをはじめますか)
では、お元気でお過ごしくださいね。     姫スズの母。
(an弾手より)
はい、どこにでもいるふつうのオジサマでございます(笑)。そんな風に言っていただいて、とても嬉しいです!ああ、私の気持ちが分かってもらえた、と。
どこにでもいるふつうのオジサマ、オバサマが、気軽に鼻歌でも歌う様な気分でピアノを楽しめたら…。そんな楽しみを、自分と、誰かと、共有していけたら…、というのが今の私の永遠のテーマになっています。
姫スズの母さんのエピソードを拝見していると、まさにそんなテーマを地で楽しんでおられるご様子が伝わってきて、私もとても励まされています。
娘さんも、ピアノメキメキ上達されているようですね。でも「なんか、心に残らないんだよね」とおっしゃっているそうですが、課題を与えられてひたすらその習得に打ち込んでいたら、私もそんな気持ちになることがあるかも知れません。でも、その先に、きっと音楽の楽しさを見つけられる時があるのでは。これからも、ずっと笑顔で親子ピアノを楽しんでいかれますように。
(追伸:an弾手のことを今井選手と同列で扱っていただいて感激です:笑)



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 ここ熊本も雨の火曜日です。大降りではありませんがシトシトと降り続いています。
ちょっと前までは一面の麦秋が広がっていた我が家の隣の畑、毎朝出勤時に目にするのですが、今はすっかり刈り取られ、麦わらの切れ端が混じる黒い土の原に、音もなく雨が吸い込まれていました。
もうしばらく、こんな日が続くのかな。

 
−an 弾手−


第502回「読者の方からのご質問・an弾手の本ってどれがどうなの?」 [2014.6.24]
 実は500回感謝特別号の少し前に、このコラムの読者の方からご質問のメールをいただきました。特別号にもメッセージを掲載させていただいた『*花*』さんです。これまで1年ほど独学でピアノのコード奏法を学んでいらっしゃるそうで、最近たまたまネット上でan弾手のコラムや本のことをお知りになり、数冊ある私の本の内容に関するご質問でした。「どれが今の自分に適した内容なのか、いまいち分からない」と。
確かに、リアルでの知り合いの方からもよく聞かれます。「まず最初はどの本がいいんですか?」と。そこで今回はそんな話を書いてみようかと思います。

頂いたメールの一部です。
 
今はコード譜を見れば左手でルートを1音orオクターブで押さえ、右手でコードをおさえられるレベルです。自分の好きな安全地帯の音楽のギター用の楽譜本を買って、そのコードの部分を見て弾きながら、頭の中で安全地帯の音楽と勝手に重ね併せ、楽しんでいる感じです。
しかし、いわゆるただの伴奏にすぎないので、だんだんこれだけではつまらなくなってきてしまいました。右手で単音ではないちょっとだけ工夫したメロディーを弾いて、左手ももう少し色づけしたいなと思うようになってしまったのです。まさに最近知った「an弾手のピアノ奮戦記」にあるように!!

そこで、an弾手様の本を購入させて頂こうと思ったのですが、たくさんあったので、ネットでそれぞれの本をクリックして<内容>(目次?)をみてみたものの、どれが私のレベルに適しているのかわかりません。。。
本を手元に置いてめくったり戻ったりしながら練習したいのです。クラシックピアノを習ったこともないので、アルペジオなど、そんな高度なものは弾いたことはありません。
まずは「目からウロコのピアノ速習法」が適していますでしょうか?
ご迷惑でなければ、どの本が適しているかアドバイス頂けるとありがたいです。不躾なお願いで申し訳ありません。
これからも「an弾手のピアノ奮戦記」に時々おじゃまします!
では失礼致します。
 

(an弾手より)
メールありがとうございます。an弾手のピアノ奮戦記、お読み頂いているとのこと嬉しいです。
確かに、コードの理論書など、理屈っぽくてなかなか分かりにくいですよね。

>今はコード譜を見れば左手でルートを1音orオクターブで押さえ、右手でコードをおさえられるレベルです。

とのこと、そこまで出来ればあとは早いと思います。
私の本のご紹介ですが、自分でも「これ!」と一つに決めるのはなかなか難しいです。というのは、それぞれの本はだんだんとレベルアップしているのではなく、ほぼ同じ内容を切り口を変えて解説しているからです。レベル的にはどれもほぼ同じで、入門者向けです。
といっても分かりにくいでしょうから、それぞれの本の特徴をご説明させて頂きます。

@「お父さんのためのピアノ教室」(目からウロコのピアノ速習法)・ドレミ楽譜出版社
【→ピアノコード奏法教則本です】

これは私が最初に書いた本です。内容はコラム「an弾手のピアノ奮戦記」の第52回以降にしばらく書いています【アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座】をベースに本の形にまとめたものです。
ただ、例題曲が自分の世代の古い曲ばかりなのでamazonなどの読者コメントで「知らない曲ばかりだった」という感想を書いている人もいます

A「お父さんのためのピアノ曲集」(フォークソング)・ドレミ楽譜出版社
B「お父さんのためのピアノ曲集」(日本の抒情歌)・ドレミ楽譜出版社
C「お父さんのためのピアノ曲集」(洋楽スタンダード)・ドレミ楽譜出版社
【→コード奏法によるピアノ曲集です】

これら3冊は、@の教本で解説している奏法で弾ける曲をジャンルごとにまとめた、いわゆる@の併用曲集のようなものです。ただ、これらの本単独でも私が伝えたいコード奏法のエッセンスは分かるように本の巻頭部分でページをさいてan弾手流コード奏法のポイントを整理、解説しています。@とABCを併用すると、より実践の中で奏法が身に付き、 また頭の整理がつくようにと思って書いたものです。

D「2週間速習ピアノ講座」・講談社
【→ピアノコード奏法教則本です】

@ABCがドレミ楽譜出版社からの本に対して、これは講談社の本です。出版社が違うため、解説の切り口や表現は変えていますが、伝えたいこと、技術的なポイントは@とほぼ同じです。ただ、例題曲は@とは趣を変えています。

E「パパも弾きたいピアノ入門」・ドリーム・ミュージック・ファクトリー
【→ピアノコード奏法教則本です】

これはまた別の出版社(ドリーム・ミュージック・ファクトリー)から出版されている本で、@Dとはまた切り口を変えて解説していますが、想定読者のレベルや、伝えたいこと、技術的なポイントは@Dとほぼ同じです。例題曲は@Dとは趣が違います。また、この本では新しい試みとして、よくあるピアノ楽譜(二段譜)を見て、それを自分流コード奏法に置き換えて(アレンジして)弾くための発想法や事例などを加えて載せています。

また、上記D「2週間速習ピアノ講座」とE「パパも弾きたいピアノ入門」も、ABCの曲集と併用することで理解と応用力が深まると思います。ひと口にコード奏法といっても著者が違うと解説しているテクニックがそれぞれ違って戸惑うと思いますが、上記の本では、これでもか、という位にan弾手流奏法のポイントで全て統一していますので、全く違和感なく入れてすぐに手に馴染んでくると思います。

F「40歳からのピアノ入門」・講談社
【→私のピアノ体験エッセー】

これはほぼ「an弾手のピアノ奮戦記」に書いている私のピアノ体験談をベースに多少手を加えて本の形にまとめたものです。40歳からの私のピアノとの出会い、コード奏法との出会い、いきなりのライブバーデビュー、バンド体験、大人のピアノ教室選び、人前ピアノのコツ、私自身の体験的ピアノ練習法など、自分がここまでどんな思いでどんな発想でピアノと付き合ってきたのかを、これでもか、という位の自分自身のリアルエピソードを交えながら書いていますので、ピアノを弾いてみたいと思っている方はもちろん、今すぐピアノ弾く気はないけど…という方が読まれてもそれなりに感じて頂けるものはあるのかな、と思います。ただ、この本は現在電子書籍のみの販売となっています。

G「大人のピアノ入門」・講談社
【→私のピアノ体験エッセー】

今年5月20日に発売になったばかりの、講談社+α文庫です。
これはF「40歳からのピアノ入門」が電子書籍に移行したのに伴い、新たに講談社+α文庫シリーズとして発売になったものです。内容は上記Fとほぼ同じですが、文庫化にともないその後の新しい情報や読者の方との交流などの話を加え、タイトル、判型、カバーデザインなどを一新して改めて新刊として刊行されたものです。

という訳で、コード奏法の教則本としては@DE、コード奏法の曲集としてはABC、私の体験エッセーとしてはFG(Fは紙の本はありません)となります。

で、結局、教本としてはまず@DEのどれがいいの?ということですが(笑)
どれもレベル的にはほぼ同じなので一つだけに絞るのは難しいのですが(出版社が違うので、同じことを別の切り口で解説したり、あちらの本で書けなかったことをこちらの本には書き足したり、逆があったりとか、の違い)。
ですから、まず@DEのどれかをやってみられて、その後あと二つの本も見られると、同じことを別の視点から見ることで、なるほど、そういうことだったのか!と、理解を深めてもらえるかな、と思います。
 
という訳で。
『*花*』さん、ご質問ありがとうございました。最初にも書きましたが、『*花*』さんからいただいたメッセージは500回感謝特別号にも掲載させていただいています。

(以下はその一部)
 
メールをいただいた日(金曜日)に早速Amazonのお急ぎ便でお父さんのためのピアノ教室(目からウロコのピアノ速習法)をポチッと買わせていただきました。
そして土曜日には手に入れ、即、開封し一通り目を通し、すんなり夕方には「富士山」まで読み進め、弾くことができました!今は「故郷」を弾いています。楽しくて仕方ありません。こういうのが弾きたかったんです。こういう本が本当にほしかったんです!(ちょっと興奮)ありがとうございましたm(--)m
 
『*花*』さん、こちらこそ、ありがとうございました!



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 今日はちょっと明るい薄曇りの空ですが、このところ相変わらずのうっとうしい天気が続いています。でも先週の土曜日(6月21日)は夏至だったんですね。これから段々と昼の長さが短くなっていく、って言われてもですね〜。まだそんな実感はないですね〜。
まだしばらくはこの梅雨空が続いて、そしていよいよ暑〜い夏本番がやってきて、っと、この先こそ長い昼が続きそうな気がします。
さてさて、もうすぐやって来る夏本番に備えて、これから気分高めていかなくてはと、ちょっとダル目の体に暗示を掛けているところです(笑)。
 
−an 弾手−


第503回「Sweet Piano Night an弾手ソロライブ 今月開催」 [2014.7.1]
 とうとう7月になりました。沖縄は先週梅雨が明けたそうですが、それ以外の各地はまだまだ梅雨本番というところでしょうか。

さて、一か月前のこのコラム(第499回)でもお知らせしましたが、私、an弾手のピアノソロライブ、Sweet Piano Nightがいよいよ今月となりました。前回は3月27日にan弾手初のセルフプロデュースによるライブ「Sweet Piano Night:癒しのピアノサウンドでSweetな夜を」第1回を開催しましたが、その節はたくさんのお客様に来ていただいてありがとうございました。
第2回目となる今回も、前回と同じライブハウス「酔ing」にて開催いたします。

私のピアノはノリノリ系や超絶技巧系ではなくて(と言うより出来ない?)、どちらかと言うとシットリとした癒し系を目指しております。
夏の宵、オシャレなライブハウスでグラスを傾けながら、しっとりとSweet Piano Soundのオトナなひと時に涼んで頂ければと思っています。

前回の3月は、1stセットに「春」をテーマにした日本の曲を、2ndセットに洋楽スタンダードをお送りしました。今回は7月ということで、1stセットではまず「夏」をテーマにした日本の曲を、2ndセットでは洋楽スタンダード(主に懐かしい外国映画のテーマソングなど)をお送りします。演奏曲数は全20曲、前回とは全て入れ替えてみました。また、今回は2ndセットにちょっとした趣向をこらしてみようと思って、目下ある人に相談中です。どんな趣向になるか?は、当日幕が開いてのお楽しみ、ということで(笑)。

●タイトル:an弾手サマーライブ「Sweet Piano Night」(ピアノソロ)
〜癒しのピアノサウンドでSweetな夜を〜
●日時:2014年7月31日(木)
20:00開演(19:30開場)
●会場:LIVE&DINING BAR「酔ing」(Swing)
熊本市中央区花畑町10−10 中山ビル2F(銀杏北通り・喫茶アロー隣り)
TEL 096−356−2052
●出演:an弾手
●Charge:700円(要ワンドリンクオーダー、軽食も出来ます)
※予約チケット等はありません。当日お店へ直接おいで下さい。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 ここ数日、熊本は梅雨の中休み? おとといの日曜日は薄日が差す天気で、昼から思い立って阿蘇までドライブに行きました。阿蘇の山々は白くかすんでいましたが、阿蘇パノラマラインの途中「米塚下園地」というエリアに車を停めて、一面に広がる草原を歩きました。見ると、心地よい風に揺れる緑の中に黄色い花が。「待宵草(マツヨイグサ)」です。夕方開花し翌朝にはしぼんでしまうはかなさから、一夜の恋にも例えられるそう。竹久夢二がこの花のイメージから作った詩歌が「待てど暮せど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ」で知られる「宵待草」だそうです。
草原の一角には石造りの歌碑も。「大阿蘇の 霞の端に 遊びけり(藤崎久を)」。


…はかない恋の花を愛でながら、かすみの端に遊んだ、阿蘇の午後でした。
 
−an 弾手−
第504回「ストーリーを語る?」 [2014.7.8]
 今、ネットで色々な曲の情報を集めています。その曲が出来た背景、曲に込められているドラマ、具体的な歌詞、作詞家・作曲家の思い…。調べていると、どんどんイメージが膨らんできます。曲そのものは以前から知っているものでも、その背景を知っていくとまた違った風景が見えてくるものですね。自分で弾く時も思い入れが違ってくるような気がします。

何をしているのかと言うと…。
今月末(7月31日)に予定しているan弾手ソロライブ「Sweet Piano Night」の準備です。とりあえず弾き間違えないように練習するのは最低条件ですが(この最低条件がなかなか難しいっ!)、加えて曲にまつわる「語り」を挟んでいきたいと思ってですね。
ライブやコンサートでの演奏には色々なタイプがあると思います。特にクラシックのコンサートでは演奏者はほとんどしゃべりませんよね。黙って舞台の袖から出てきて一礼し、黙ってピアノの前に座って演奏し、また黙って袖に引っ込んでいく。純粋に、雑音を入れずに、「演奏そのもの」の完成度を聴かせようということでしょうか。ポピュラーやジャズでは演奏者もお客さんと会話したり機知に富んだトークを入れたりして盛り上がるのが普通です。そこでは演奏曲の背景や歌詞を紹介したりすることもよくあります。

では、私はどんな感じのライブにしたいと思っているのか。まあ、演奏の完成度は今さら焦っても急には期待出来ないし〜。よくあるジャズやロックの様なノリノリの盛り上がりは無理だし〜。という訳で、ここはひとつ何か自分にしか出来ないものを出せないかなぁと。いえ、決して逃げている訳ではありません。私の本が、音楽やピアノの専門家とは違う、素人おじさんの視点からのコード奏法入門書としてたくさんの方に受け入れてもらえたように、私の演奏もバリバリのピアニストとは違った、拙い中にも自分流の味が出せたらなぁと思うのであります。

自分流の味?それは永遠のテーマなのかも知れませんが、とりあえず現時点でイメージしているのは、情景が浮かぶようなピアノ?、フーッと気持ちが落ち着くようなピアノ?、キザに言えば癒しのピアノサウンド?、みたいな感じでしょうか。
(ライブのサブタイトルにも「〜癒しのピアノサウンドでSweetな夜を〜」みたいなコピーを入れてみました)。
そして、そんなピアノサウンドと共に、その場にいる人たちがいつの間にかもう一つの物語の世界に入って行けるような時間、空間を……、と言ったらカッコ付け過ぎ?

でも、ちょっとでもそれに近づけるように、と思って、冒頭に書いたようなネタ調べをやっています。純粋な音の世界のイメージに加えて、語りによる物語の広がりが生まれればと思います。この、物語(ストーリー)の力というのは大きなものがあるらしいです。少し前にこのコラムでも私が受講したスピーチトレーニング講座の話を書いたことがありますが、そこで徹底して教えられたのが「ストーリーを語る」ということでした。よく朗読メインでバックにピアノ(音楽)を流す、というのはありますが、ピアノメインのライブでこのストーリーをどう組み合わせていけるのか、少し試行錯誤をしてみたいと思います。

なーんて、ちょっとカッコ良さげに書いてしまいましたが。このコラムを読んだ人が実際にライブを聴きに来られてガッカリされたらどうしよう…(笑)。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。
 今日7月8日午前10時。熊本市はいいお天気です。この明るく穏やかな空を見ていると、台風が接近しているなんて想像もつきません。しかし…。
沖縄ではすでに暴風域に入っているとか。これから、明日、明後日にかけて九州へ、そしてその後日本列島を縦断しそうとのこと。なにしろ過去最強クラスともいわれる台風8号、これからどんな状況になるのか想像もつきませんが、皆さまどうかお気をつけ下さい。
 
−an 弾手−


第505回「月あかりの奇跡」 [2014.7.15]
 語り掛けるように、そしてどこか悲しげなケーナの調べ。そこに重なるシンセサイザーの美しいストリングス・サウンド。目を閉じると、月あかりに照らされた阿蘇の大地が広がります。
約500席のホールのステージで演奏しているのはVient(ビエント)の2人、吉川万里さんと竹口美紀さん。その日はVientコンサート、「森の音楽会《月あかりの軌跡》」でした。

私が竹口美紀さんと知り合ったのはもう15年ほど前。私がコード奏法を習い始めたライブの店でたまに見掛けていました。そんなある日、店のマスターの自宅マンションでの食事会に呼ばれて遊びに行った時、美紀さんも来ていてその時初めて言葉を交わした様な…。話では音大を出てそのライブの店でたまにバイトをしたり、「車にシンセを積んであちこち演奏に行ったりしてます」とか言われてましたっけ。今思うと、ユニットを結成されて活動を始められたばかりの頃だったのかも。その時はまだVientという名前も聞かなかったなぁ。その食事会では、マスターの部屋のグランドピアノで彼女のピアノを聴かせてもらって、いたく感動したのを覚えています。実は私もその時、覚えたての曲を弾かせてもらったっけ(笑)
それからしばらくしてVientという名前をよく見聞きするようになり、三角西港のレストランでライブがあると知って聴きに行きました。吉川万里さんのケーナ、オカリナ、竹口美紀さんのシンセサイザーという組み合わせで、独特の世界を創り出していました。

そんなVientサウンドのファンになった私は、実は本業の仕事で県や市にイベントの提案などをする時、何度かアトラクションの一つとしてVientを組み込んだ企画をしたことがありました。残念ながら結局実現はしませんでしたが。でもそれがきっかけで吉川万里さんとも親しくなりました。

私がVientに惹かれるのは、醸し出すその独特の世界観。CDジャケットのプロフィールから少し引用すると…。
『阿蘇大地から吹く雄大で力強く爽やかな風を運んでくるデュオ・ビエント。阿蘇西原村に住みつき風を大地を自然の営みや優しさ怖さを全て体で受け止めて譜面に音符を踊らせる竹口美紀の作曲、彼女の自在に奏すシンセサイザーと、アンデスの様々な民族楽器を使って優しく淋しく、時には楽しく壮大に音を奏でる吉川万里の二人による楽曲の演奏。舞台では熊本弁で自然や人の愛をゆったりと語る吉川の語り。これらが三位一体になったのがビエントサウンドである』
とあります。吉川万里さんが素朴な口調でとつとつと語り、竹口美紀さんはひと言もしゃべらず大地の風と一体になったかの様に踊りながらシンセサイザーを操るパフォーマンスが、前回のコラム第504回「ストーリーを語る?」に書いたような、独自の物語の世界を創り出しているのがすごいと思います。もちろん私がこのプロのマネをそのまま出来る訳はありませんが、「どこにもない、独自の世界(物語)を語る」という発想は、自分の演奏にも何か参考に出来ないものか、という気がしています。

ちなみに、Vientの曲はNHK「くまもと駅風景」のテーマ曲や挿入曲に、またJNN九州沖縄7局ネット「新・九州遺産」の挿入曲としても使われているそうです。



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ちょっと、ひと言。
 自宅の駐車場の脇に、大きなユリの花が咲きました。朝出かける時は爽やかにお見送り、夜帰宅した時は、薄暗がりの中で妖艶に出迎えてくれます。このユリ、「カサブランカ」と言うそうです。確かに、欧風の気品がありますね。「ユリの女王」とも言われ、花言葉は「威厳」「純潔」「高貴」だとか。結婚式のブーケにもよく使われているらしいです。
さて、今日は15日。早いもので7月も半分過ぎたんですね。雨に濡れるカサブランカを見ながら、そろそろ梅雨明けが待ち遠しいこの頃です。


※自宅駐車場横のカサブランカの写真はこちら
 
−an 弾手−


第506回「空蝉(うつせみ)」 [2014.7.22]
 朝からセミの大合唱です。うっそうと茂った(というより剪定していないだけの)庭木の葉の間からワッシワッシと聞こえてきます。

昨日、7月21日は海の日でした。祝日ですがどこにも行かず家にこもっていました。何をしていたのかというと、ちょうど10日後に迫ったan弾手サマーライブ「Sweet Piano Night」の準備(一応)。もうあと10日になったというのに、いまだに不安の残る曲が数曲あったりして、その確認です。
演奏予定が全部で20曲あるので、平日の夜は1時間通して弾いても一つの曲は軽く1回流すだけで終わり。少し念を入れて確認したい曲は休日をあてにしているのですが、それでも1時間弾くと結構疲れるので、休み休みやっております。少し慣れてくるとつい無意識に指が覚えているままに弾いてしまって、一瞬つかえそうになると、今何のコードを弾いていたのか分からなくなったりしてヤバいです。ある程度慣れてきた段階で、また改めてコードを意識しながら弾いてみることが大切ですね。

それと、前回の「Sweet Piano Night」でも意識したことですが、今回も「ストーリーを語る」というテーマをもう少し膨らませてみようかと思って準備中です。
ピアノメインのライブで、このストーリーをどう組み合わせていけるのか、まだ試行錯誤ですが自分なりに挑戦してみたいと思っています。先日は、今度のライブで手伝っていただける人との簡単な打ち合わせもしました。誰に何を手伝ってもらうのかは、当日、幕が開くまで秘密ですが(笑)

それにしても、セミの大合唱をBGMに弾くピアノ。ちょっと疲れてきたので庭に出てみました。見ると、葉の陰にセミの抜け殻が。この庭の土の下に7年も棲んでいたのかな。やっと明るい空の下に出てきて、いま、我が世の夏を謳歌しているのでしょうか。セミが地上に出てからの寿命は1週間とも1ヵ月ともいわれますが、思いっ切り歌って生き切ってほしいものです。

先日、セミの抜け殻の写真をネットに投稿したら、ある知り合いの俳人の方から俳句の書き込みがありました。
「空蝉(うつせみ)や生の証しを残しをく」
なるほど、地上に出て1週間そこらで終わる命でも、生の証しをしっかり残しているんですね。
だったら、自分にとって「残しをくべき空蝉」とは、一体何なのだろう?

うーん、暑い中考えても分からないので、そろそろまた部屋に戻ってピアノでも弾きますか。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 熊本もやっと梅雨が明けたみたいです。先日から真夏のような日差しかと思っていたらいきなり土砂降りになったり、すぐまたカンカン照りになったり、妙な天気が続いていましたが、やっと本格的な夏の訪れですね。日本列島レベルでいえば、まだまだ大雨の所があったりして大変そうですが、どうかお気を付けください。
8月のお盆前にちょっと遠出をする用事が急に出来てホテルや飛行機の予定を調べたら、もうほとんど予約で一杯みたいです。さて……。
 
−an 弾手−


第507回「コードで遊んでみる」 [2014.7.29]
 このところ、第500回感謝特別号の前後をまたいで7月31日のan弾手サマーライブ「Sweet Piano Night」絡みのネタばっかり続いていますがぁ。本番に行き着く前に、「いい加減にしてほしい」って声が飛んで来そうですが(笑)すみません、今回もちょっとそれ絡みになりそうです〜。
とは言っても、今回は少しだけ「コード奏法入門講座」風の話題にしてみようかと思います。

今度のan弾手ライブ、2set合わせて20曲を弾く予定です。1stセットが季節(夏)をテーマとした日本の抒情曲シリーズ、2ndセットが洋楽スタンダードのシリーズです。
基本的には、自分の本に書いているような、基本的なコード進行を使ったアレンジなのですが、所々でちょっと味付けのコードを挟む等の工夫をしてみようかと思っています。
そこで、今回のコラムではそんなちょっとした味付けコード進行の例をいくつか書いてみます。
詳しい理論までは書けませんが、とりあえず試しにコードを鳴らしてみるだけでも何となく響きの雰囲気は分かるかと思います。で、他の曲でも同じ様なコード進行を試してみられると応用が出来るかもです。

まず、抒情曲で、夏にちなんだ童謡の「うみ」。
「う〜み〜は ひろいな おおきいな〜 つきがのぼるし ひがしずむ」という、簡単なあれです。Key=Gで。
短い曲でコード進行もシンプルですが、適当に間奏を挟みながら数回繰り返した後、最後のところでちょっと遊んでみます。
最後の「つきがのぼるし ひがしずむ」のところで、普通なら
| G | Em | C D7 | G |
となるのですが、ここを
| G | Em | F♯m7♭5 Bm7 D7 | G |
としてみました。
3小節目が|Z−V−X|という進行です。F♯m7♭5というコードはメッチャ複雑そうに見えますが、このコードの超簡単な押さえ方があります。左手でルートのF♯を、右手でAmのパターンを押さえるだけです。それだけでこのコードの不思議な響きが味わえます。

次に「月の沙漠」です。拙著「お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く懐かしい日本の抒情歌」には「月の沙漠」をKey=Dmで載せていますが、今回はKey=Amで弾いてみます。
これも最後の「ふたつ ならんで いき ました」というところです。
普通は単純に、
| Am |  | E7 | Am |
となるのですが、ここを
| Am/A Am/A♭ | Am/G Am/G♭ | Bm7♭5 E7 | Am maj7 Am9 |
としてみました。
頭の2小節はベースが半音ずつ下降していきます。この、ベースが半音ずつ動く進行はラインクリシェと言ってよく使われる単純なアレンジテクニックですが、ちょっとカッコイイです。3小節目はトゥ・ファイブ進行になっています。4小節目は単純にmaj7や9の音を入れて遊んでいます。

もう一つご紹介します。洋楽スタンダードで「ヴェニスの夏の日」。これは拙著「お父さんのためのピアノ曲集〜コードで弾く憧れの洋楽スタンダード」に載せている曲です。
これもKey=Gで曲の最後が単純にトゥ・ファイブ・ワン(の進行、Am →D7→G)、
| G | Am | D7 | G |
で終わるのですが、これを
| G | Am | D7 | E♭ G |
という具合に、最後の最後で一旦E♭のコードに進行し、フワッと宙に浮いたような雰囲気にしてGで終わる、という感じにしてみました。
これは、曲の最後に余韻を持たせるコード進行で、最後のトニック(ここではG)に行く前に、Y♭のコード(Key=Gの場合はE♭)を入れる、というテクニックです。これも色々な曲で応用が出来ます。これは、もうひとつコードを増やして(Y♭→Z♭→T)とすることもあります。

今回はコードに馴染の薄い方には「ナンノコッチャ」という話だったかもしれませんが、少しコード奏法をやられている方は試してみてください。もちろん、ただコードをジャーンと押さえるだけではなく、曲の流れに乗ってバラしたりアルペジオにしたり演奏の工夫は必要ですが。
もっとも、そんな初歩的な話し、とっくに知ってるよ、という方は、ごめんなさい。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 今日は「土用の丑の日」です。鰻を食べて暑さを乗り切ろう!というところですが、最近はウナギも絶滅危惧種に指定されたとか。そう言えばクジラも国際的に規制が厳しくなってきているようですし、古くからの日本人の食文化、鰻重やら鯨食やら、この先どうなるのでしょうか。と、会社近くの和食屋で、いつもお昼のお魚定食を注文しながらふとそんなことを思うこの頃です。
 
−an 弾手−


第508回「Sweet Piano Night・ストーリーを語る?」 [2014.8.5]
 『…只今の最初の曲は、先週月曜日、7月21日の海の日にちなんで「うみ」をお送りしました。さて、梅雨も明けて、すっかり夏本番になってきましたが、それでは続いて、5月の新緑から先日の七夕様まで、季節の移り変わりにちなんだ3曲を続けてお送りします』

その日(7月31日)、ライブハウス・酔ingの席を一杯に埋めたお客さんを前に、スポットライトを浴びながらan弾手ピアノソロ・サマーライブ「Sweet Piano Night」が始まりました。今回は、1stセットは日本の抒情歌を中心に夏にちなんだ曲を、2ndセットは洋楽スタンダードを中心に。さらに、その2ndセットではサプライズの趣向も。

前回3月27日のライブ「Sweet Piano Night」から4か月の期間があったのですが、選曲、構成、MC資料作成、そして曲の弾き込み、とやっているうちに、あっという間にこの日になってしまいました。今回、特に意識したのは『ストーリーを語る』ということ。単に曲目を紹介して次々に弾いていくのではなくて、その曲の背景や自分との関わり、思い出などを語りながら、お客様にもピアノの音色と一緒にもう一つの物語の世界に遊んでもらえたら、という趣向です。語りながら(弾きながら)客席の方に目をやると、逆光で薄暗い空間にじっとこちらを見つめてくれている顔、顔、顔。気持ちが通じているのを感じます。

1stセットの日本の抒情歌は、『季節』をテーマとして新緑から梅雨、そして七夕、さらに8月のお盆までの歳時記を意識しながらストーリーを考えてみました。
1stセットで演奏した曲目は、
「うみ」「茶摘み」「蛍」「たなばたさま」「夏の思い出」「鈴懸の径」「椰子の実」「月の沙漠」「浜辺の歌」「精霊流し」。

例えば「夏の思い出」では…。
『…あれは確か、大学2年の夏休みの時でした。友人4人とテントを担いで2泊3日で久住に登った後、登山口の長者原まで下りてきました。あのあたりには広〜い湿地帯、湿原が広がっています。緑の湿原の中に、名も知らない黄色い花が一面に咲いていました。そんな、遠い夏の日を思い出しながら、弾いてみたいと思います。「夏の思い出」…』

そんな語りを入れながら、自分でバックにピアノのBGM音を入れていきます。以前にも書きましたが、これがなかなか難しくて〜。言葉を意識すると手がお留守になるし、手を意識すると次の言葉が出なくなるし〜、って訳で。一応、台本を作ってセリフの切れ目毎にそこで弾くコードを書いておき、頭で意識しなくても目で見るだけで手が動く様に練習はしたのですが。弾く度にセリフとコード進行の組み合わせが変わってしまって、まあ、それもまたライブ(生)の醍醐味?

1stセットの最後は、さだまさしの「精霊流し」。8月のお盆を意識したストーリーを語りながら弾いてみました。

1stセットが終わった後、
「久しぶりに日本の抒情歌聴いたけど、心に沁みますね」(古くからの仕事つながりの方)、「聴いていて、私も自分の演奏曲に日本の抒情歌を入れてみようかなと思いました」(女性ヴォーカリストの方)というご感想も頂きました。

そしていよいよ2ndセット・洋楽スタンダードのスタート。ここからサプライズ企画の始まりです!

と、いよいよ佳境に入りますが、長くなりそうなので続きは次回に、ということで。



(続く→原則毎週火曜日更新)

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ちょっと、ひと言。
 上の本文で「続きは次回に」と書いたのですが、カレンダーを見たら来週はお盆の週でした。私の個人的な都合で、来週火曜は早めの盆休みです。で、このコラムの次回の更新は再来週(8月19日)になりそうです。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は8月最初の火曜日ですが、再来週の19日と言えばもう8月も後半、あっという間に9月の声が聞こえて来そうです。
まあ、季節の過ぎるのの何と早い事か。
 
−an 弾手−


第509回「「Sweet Piano Night・ストーリーを語る?」そのA [2014.8.19]
 その日、ライブハウス・酔ingを一杯に埋めたお客さんを前に、スポットライトを浴びて始まったan弾手ピアノソロ・サマーライブ「Sweet Piano Night」。日本の抒情歌を中心に夏にちなんだ曲で綴った1stセットが無事終了し、いよいよ2ndセットのスタートです。
(今回のコラムは、前回・第508回からの続きです)
2ndセットは、誰もがどこかで耳にしたことがありそうな、懐かしい洋楽のスタンダードでまとめてみました。そして、ここからサプライズ企画の始まりです!

『実は、素敵な女性にお願いして手伝っていただくことにしました〜!ご紹介します、minminこと、みやこひろこさんです〜!』
私以外の人に私のピアノにあわせて「語り」を入れてもらう、という趣向です。

(まずはan弾手によるMC)
『洋楽スタンダードは、多くが外国映画のテーマ曲だったり洋楽のヒット曲だったりします。そこで、その映画のストーリーとか、曲の歌詞などをひろこさんに語って頂きながら、ピアノのメロディーにあわせてそれぞれの曲が繰り広げるドラマの中に、皆さまとご一緒に旅をしてみたいと思います。さあ、想像してみてください。まずは、1955年のイタリアです。運河の街・ヴェニスにタイムトリップします…』

(ここでan弾手のBGMピアノ始まり〜。ピアノをバックにひろこさんの語り)
『♪〜 ヴェニスの夏の日 Summertime In Venice イギリス映画「旅情」のテーマ曲です。アメリカから休暇を取ってヴェニスの旅行にやってきた女性が、そこで1人の男性と出会い恋に落ちます。でも、あっという間に休暇は終わりに近づきます。夏の日のつかの間の愛、そして切ない別れの時……』

(続いて曲の演奏始まり〜。曲にのせてひろこさんの語りが続きます)
『♪〜 私はあの夏の日を夢見る。ヴェニスの夏の日だ。カフェが見える。あなたと過ごした幸せな日々…。土産を買うためにアンティック・ショップに立ち寄った。橋やボートを下に見て、青空を上に見た……。しかし、別れることは知っていた。私の心の奥底に残されたもの。それは、ヴェニスとあなたと、そして、あの、夏の日……』

みたいな感じで。ストーリーの語りに合わせて弾いてみました。
この2ndセットで演奏した曲は、
「慕情」「ヴェニスの夏の日」「The End Of The World」「恋人よ我に帰れ」「ライムライト」「ほほにかかる涙」「愛のロマンス」「タミー」「マイ・フーリッシュ・ハート」。

私のピアノにあわせて女性の語りが入るという、初めての試み。さて、どうだったでしょうか。実は、私の最初の本『お父さんのためのピアノ教室』の中に、曲を弾く時の心構えとして『映画監督になったつもりで』というのを書いているのですが、今回はそれを心構えだけではなくてまさに一つのカタチとしてやってみた、ということでしょうか。これからも試行錯誤が続きそうです。もちろん、自分のピアノ演奏そのものの質、という最低限の課題も、まだまだ厳しいハードルが続きそうですが。

それでも、今回も満員のお客様の温かい視線を感じながら演奏させて頂いたことに感謝です。そして、サプライズで語りをして頂いたminminさん(本来はヴォーカリストさん)、私の突然の依頼にも快く引き受けて頂いてありがとうございました。

終演後、沢山の方から「癒されました〜」とか「NHKラジオで弾き語りピアノ演奏の番組がありますが、語りも含めてそれ以上だと感心しました」とか、もちろんご祝儀込みの身に余るお言葉を掛けて頂いて有難かったです。
その中で、少し違った角度からのご感想を頂いた一人の男性の方の言葉も印象に残りました。
「an弾手さんのMCの声が、ピアノの音とすごくマッチしていて良かったですよ」
実はライブでのMCも意識して(それだけではないのですが)、少し前に受講した講座があったんです。それは「スピーチトレーニング講座」。そこでは発声や滑舌、聴衆を引き付けるストーリー構成の考え方などを習いました。今回のお客様の感想では、そのあたりにも触れて頂いて光栄でした。
とは言っても、もともと人前でしゃべるのが苦手な私にとって、スピーチ講座は受講しただけでほとんど身に付いていませんでして。ピアノも語りも、まだまだ課題山積です〜。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 先週のお盆休み。週の初めは台風直撃、週の終わりから今週にかけては前線の影響で各地で大雨と荒れ模様のお天気でした。被害にあわれた地域の皆さまにはお見舞い申し上げます。皆さまいかがお過ごしだったでしょうか。私はちょっと個人的な事情で結局休みらしい休みもないお盆になってしまいました。
今週末は処暑。暑さが終わる、という意味だとか。このところ夏らしい青空を見上げる機会もなかなかありませんが、そろそろ秋の気配?を感じる季節になってくるのでしょうか。
 
−an 弾手−


第510回「選曲中。まだ道は遠い…」 [2014.8.26]
 「次は3ヵ月後にしますか?」と店長。
「いやぁ…、4ヵ月後でいいですか?」と私。

先日のan弾手ライブの後、しばらく振りに行ったライブハウスでの店長さんとの会話です。
「では11月の終り頃に」
またまた次のライブの予定(日程)だけは決まってしまいました……が。
何をどうするのか、構想はこれからです。
4ヵ月と言ってもすぐ来るんですよね。ほらもうこの前の7月31日のライブの後、『終わった〜』とちょっと解放感に浸っていたら、既にもう1ヵ月過ぎちゃったし。

私の場合のライブの準備手順は次の通りです。
まずは選曲。曲が決まらないことには練習もMCの準備も何も始まりません。
大まかに、1stセットが日本の抒情曲で季節もの10曲、2ndセットが洋楽系10曲、の計20曲、というのはとりあえずこれまで2回の流れの通り。
最初のライブが3月で「春」、2回目が7月で「夏」と来たので、次の11月は「秋・冬」をテーマにしようというのは決めています。
日本の抒情曲は、改めて見てみると季節を歌ったものが多いですね。やはり日本の暮らしや情景、風情には四季が大きく関わっているんだなぁと、改めて気付かされました。
そんな訳で、抒情曲で秋・冬もの10曲、というのはすぐに揃いそうです。

問題は洋楽系。ここまで2回のライブで既に20曲弾いてきて、今回さらに別の曲を10曲です。まあ、それなりのピアニストの方なら洋楽の30曲くらい簡単に日常のレパートリーなんでしょうが、私にとってはやはり大変です。 自分の「お父さんのためのピアノ曲集〜洋楽スタンダード」にも24曲は掲載していますが、その中のかなりの曲は既にこれまで2回のライブで弾いているし。ひとつのライブで10曲をセットで弾く時の雰囲気やバランスもあるし。

という事で、まずはたくさんの曲が載っているリードシート集のチェックです。ちなみに私が使っている曲集は「永遠のポップス@ベスト458」、「永遠のポップスAベスト358」「スタンダードジャズのすべて・ベスト401」など(書名の最後の数字は掲載曲数)。
これらをパラパラめくりながら、曲名と楽譜(リードシート)をサーッと見ていきます。曲名や楽譜を見てもすぐに曲のイメージが湧かない曲は多分自分が聴いたこともない曲なのでパス!
『あ、これ知ってる』と思う曲は、とりあえず鍵盤で弾いてみます。この段階ではきちんと弾けなくてもOK。まずはライブの演奏曲としての雰囲気、良さそうかな、と思ったらとりあえず候補としてリストアップします。こうして書き出した曲が50曲程度。ここまででも結構ひと仕事です。なにしろ上記3冊の本の掲載曲が全部で約1200曲もあるのでサーッと流しても休日が1日潰れます。

さて、ここまで出来たら、次はリストアップした約50曲の絞り込みです。今度は少し丁寧に弾いてみながら、曲の雰囲気が自分のアレンジにうまく合いそうか、イントロ、間奏、エンディング、オカズなどが自分のテクニックでお洒落に決まりそうか、そして前後の曲とのバランスは?等を考えながら絞り込んでいき、何とか10数曲をリストアップしました。
(現在はこの段階)

この後は、選んだ曲のメロディを見やすいように五線紙に書き写し、本を参考にしながらも多少コードを変えたりして自分流のリードシートを作ります。
その後、そのリードシートを弾いてみて、イントロや繰り返しのパターンや間奏等、思い付いたことを少しずつ書き足しながら自分流に作り込んでいく、という作業です。

その後は、ほぼ完成した自分流のリードシートを弾き込んで練習することと並行して、曲の背景や歌詞、その曲のアーティストの情報、映画音楽なら映画のあらすじ等を調べて、自分色のライブとしてのまとまったストーリー構成やMC原稿を練っていくという作業があります。

まだ道は遠い……。



(続く→原則毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 昨日、仕事の打ち合わせで熊本大学に行ったついでに、校内にある赤レンガ造りの五高記念館に寄ってきました。「大宰府につながる官道」というテーマ展示があっていました。詳しい内容は省略します(というか、私が理解出来てないです〜)が、ひとつ、目からウロコの発見がありました。
当時の官道はお役人が早馬で情報を伝える道(当時の高速道路)だったそうで、その地図を見たら何と現在の高速道路(九州自動車道、長崎自動車道、大分自動車道、東九州自動車道、など)とほぼ重なっていました。
なるほど、千数百年の時を越えて人間は同じことをやってるんだ。
 
−an 弾手−
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