実は500回感謝特別号の少し前に、このコラムの読者の方からご質問のメールをいただきました。特別号にもメッセージを掲載させていただいた『*花*』さんです。これまで1年ほど独学でピアノのコード奏法を学んでいらっしゃるそうで、最近たまたまネット上でan弾手のコラムや本のことをお知りになり、数冊ある私の本の内容に関するご質問でした。「どれが今の自分に適した内容なのか、いまいち分からない」と。
確かに、リアルでの知り合いの方からもよく聞かれます。「まず最初はどの本がいいんですか?」と。そこで今回はそんな話を書いてみようかと思います。
頂いたメールの一部です。
今はコード譜を見れば左手でルートを1音orオクターブで押さえ、右手でコードをおさえられるレベルです。自分の好きな安全地帯の音楽のギター用の楽譜本を買って、そのコードの部分を見て弾きながら、頭の中で安全地帯の音楽と勝手に重ね併せ、楽しんでいる感じです。
しかし、いわゆるただの伴奏にすぎないので、だんだんこれだけではつまらなくなってきてしまいました。右手で単音ではないちょっとだけ工夫したメロディーを弾いて、左手ももう少し色づけしたいなと思うようになってしまったのです。まさに最近知った「an弾手のピアノ奮戦記」にあるように!!
そこで、an弾手様の本を購入させて頂こうと思ったのですが、たくさんあったので、ネットでそれぞれの本をクリックして<内容>(目次?)をみてみたものの、どれが私のレベルに適しているのかわかりません。。。
本を手元に置いてめくったり戻ったりしながら練習したいのです。クラシックピアノを習ったこともないので、アルペジオなど、そんな高度なものは弾いたことはありません。
まずは「目からウロコのピアノ速習法」が適していますでしょうか?
ご迷惑でなければ、どの本が適しているかアドバイス頂けるとありがたいです。不躾なお願いで申し訳ありません。
これからも「an弾手のピアノ奮戦記」に時々おじゃまします!
では失礼致します。
(an弾手より)
メールありがとうございます。an弾手のピアノ奮戦記、お読み頂いているとのこと嬉しいです。
確かに、コードの理論書など、理屈っぽくてなかなか分かりにくいですよね。
>今はコード譜を見れば左手でルートを1音orオクターブで押さえ、右手でコードをおさえられるレベルです。
とのこと、そこまで出来ればあとは早いと思います。
私の本のご紹介ですが、自分でも「これ!」と一つに決めるのはなかなか難しいです。というのは、それぞれの本はだんだんとレベルアップしているのではなく、ほぼ同じ内容を切り口を変えて解説しているからです。レベル的にはどれもほぼ同じで、入門者向けです。
といっても分かりにくいでしょうから、それぞれの本の特徴をご説明させて頂きます。
@「お父さんのためのピアノ教室」(目からウロコのピアノ速習法)・ドレミ楽譜出版社
【→ピアノコード奏法教則本です】
これは私が最初に書いた本です。内容はコラム「an弾手のピアノ奮戦記」の第52回以降にしばらく書いています【アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座】をベースに本の形にまとめたものです。
ただ、例題曲が自分の世代の古い曲ばかりなのでamazonなどの読者コメントで「知らない曲ばかりだった」という感想を書いている人もいます
A「お父さんのためのピアノ曲集」(フォークソング)・ドレミ楽譜出版社
B「お父さんのためのピアノ曲集」(日本の抒情歌)・ドレミ楽譜出版社
C「お父さんのためのピアノ曲集」(洋楽スタンダード)・ドレミ楽譜出版社
【→コード奏法によるピアノ曲集です】
これら3冊は、@の教本で解説している奏法で弾ける曲をジャンルごとにまとめた、いわゆる@の併用曲集のようなものです。ただ、これらの本単独でも私が伝えたいコード奏法のエッセンスは分かるように本の巻頭部分でページをさいてan弾手流コード奏法のポイントを整理、解説しています。@とABCを併用すると、より実践の中で奏法が身に付き、
また頭の整理がつくようにと思って書いたものです。
D「2週間速習ピアノ講座」・講談社
【→ピアノコード奏法教則本です】
@ABCがドレミ楽譜出版社からの本に対して、これは講談社の本です。出版社が違うため、解説の切り口や表現は変えていますが、伝えたいこと、技術的なポイントは@とほぼ同じです。ただ、例題曲は@とは趣を変えています。
E「パパも弾きたいピアノ入門」・ドリーム・ミュージック・ファクトリー
【→ピアノコード奏法教則本です】
これはまた別の出版社(ドリーム・ミュージック・ファクトリー)から出版されている本で、@Dとはまた切り口を変えて解説していますが、想定読者のレベルや、伝えたいこと、技術的なポイントは@Dとほぼ同じです。例題曲は@Dとは趣が違います。また、この本では新しい試みとして、よくあるピアノ楽譜(二段譜)を見て、それを自分流コード奏法に置き換えて(アレンジして)弾くための発想法や事例などを加えて載せています。
また、上記D「2週間速習ピアノ講座」とE「パパも弾きたいピアノ入門」も、ABCの曲集と併用することで理解と応用力が深まると思います。ひと口にコード奏法といっても著者が違うと解説しているテクニックがそれぞれ違って戸惑うと思いますが、上記の本では、これでもか、という位にan弾手流奏法のポイントで全て統一していますので、全く違和感なく入れてすぐに手に馴染んでくると思います。
F「40歳からのピアノ入門」・講談社
【→私のピアノ体験エッセー】
これはほぼ「an弾手のピアノ奮戦記」に書いている私のピアノ体験談をベースに多少手を加えて本の形にまとめたものです。40歳からの私のピアノとの出会い、コード奏法との出会い、いきなりのライブバーデビュー、バンド体験、大人のピアノ教室選び、人前ピアノのコツ、私自身の体験的ピアノ練習法など、自分がここまでどんな思いでどんな発想でピアノと付き合ってきたのかを、これでもか、という位の自分自身のリアルエピソードを交えながら書いていますので、ピアノを弾いてみたいと思っている方はもちろん、今すぐピアノ弾く気はないけど…という方が読まれてもそれなりに感じて頂けるものはあるのかな、と思います。ただ、この本は現在電子書籍のみの販売となっています。
G「大人のピアノ入門」・講談社
【→私のピアノ体験エッセー】
今年5月20日に発売になったばかりの、講談社+α文庫です。
これはF「40歳からのピアノ入門」が電子書籍に移行したのに伴い、新たに講談社+α文庫シリーズとして発売になったものです。内容は上記Fとほぼ同じですが、文庫化にともないその後の新しい情報や読者の方との交流などの話を加え、タイトル、判型、カバーデザインなどを一新して改めて新刊として刊行されたものです。
という訳で、コード奏法の教則本としては@DE、コード奏法の曲集としてはABC、私の体験エッセーとしてはFG(Fは紙の本はありません)となります。
で、結局、教本としてはまず@DEのどれがいいの?ということですが(笑)
どれもレベル的にはほぼ同じなので一つだけに絞るのは難しいのですが(出版社が違うので、同じことを別の切り口で解説したり、あちらの本で書けなかったことをこちらの本には書き足したり、逆があったりとか、の違い)。
ですから、まず@DEのどれかをやってみられて、その後あと二つの本も見られると、同じことを別の視点から見ることで、なるほど、そういうことだったのか!と、理解を深めてもらえるかな、と思います。
という訳で。
『*花*』さん、ご質問ありがとうございました。最初にも書きましたが、『*花*』さんからいただいたメッセージは500回感謝特別号にも掲載させていただいています。
(以下はその一部)
メールをいただいた日(金曜日)に早速Amazonのお急ぎ便でお父さんのためのピアノ教室(目からウロコのピアノ速習法)をポチッと買わせていただきました。
そして土曜日には手に入れ、即、開封し一通り目を通し、すんなり夕方には「富士山」まで読み進め、弾くことができました!今は「故郷」を弾いています。楽しくて仕方ありません。こういうのが弾きたかったんです。こういう本が本当にほしかったんです!(ちょっと興奮)ありがとうございましたm(--)m
『*花*』さん、こちらこそ、ありがとうございました!
(続く→原則毎週火曜日更新)
an弾手(andante)
■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏法超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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