陽が落ちた街の裏通り。表通りの喧騒とはちょっと違うけど、小さくてオシャレで個性的な店が点々と並んでいます。
その日は知り合いの女性からライブの案内を頂いて、その裏通りのシックなライブの店にやって来たのでした。その方、以前からちょっと顔見知りで、某図書館の司書をされていて、私の本を蔵書として置いて頂いたり、熊本人が薦めるこの一冊、みたいな企画コーナーに私のお勧めの本を展示して頂いたりもしていました。
その方が音楽やるなんて全く想像もしていませんでしたが、聞くところによると以前は市内のライブハウスで定期的に演奏していたミュージシャン?で、その後結婚、子育てにより中断していて、20数年ぶりの復活ライブなんだそうです。すごい!
そしてその日は、もうひとつの目玉として旦那さんとの共演があるらしい。ご主人はバリバリ現役のプロ・ベーシスト、兼ピアノ調律師(どちらが本職だったかは不明ですが)。私も夜の店では頻繁に顔を会わせますし、我が家のピアノの調律もお願いしている人なんです。
店に入って席に着いていたら、その旦那さんが私の後ろの椅子に来て話し掛けてきました。
「いやぁ、カミさんから一緒にやってくれって言われてですね〜。嫌だって言ったら怒られたんですよ〜。今日は強制連行されました」
って、半分照れ笑いしながらの言い訳。いいじゃないですか〜。ご夫婦共演なんて素晴らしいですね。
で、彼女、楽器は何をされるんだろう? と思っていたら。 ギターの弾き語りでした。1st setが始まりました。まずは彼女のソロから。中島みゆきオンパレード? 2〜30年前に聴いた懐かしい曲が続きます。
2nd setは20数年前に同じ店で歌っていたというもう一人の女性のヴォーカルonピアノ。
そして3rd set、いよいよメオトDUOの始まりです。彼女がセンターでMCを入れながらの進行。旦那さんはちょっとスポットライトの暗い斜め後ろでウッドベースを抱えてサポート、っていう感じでしょうか。
数曲目、彼女がギターを弾き始めてから旦那さんのベースが入ってきたら
「そこ、違うでしょ!」
と彼女のダメ出しが入ってやり直し(会場爆笑)。
最後は、これも中島みゆきの「悪女」。会場は終始和やかな雰囲気に包まれていました。
『21年ぶりのスポットライトは、やっぱり気持ち良かったです。楽しかった(≧∇≦)!
復活のきっかけを作ってくれた○○さん、お店のママ○○さんに心から感謝!
またライブできるようにぼちぼち練習します( ̄^ ̄)ゞ』
とは翌日のfacebookでのご本人のコメント。
いいなぁ。若い頃の音楽の夢を、子育て一段落させてまた復活させた彼女。そして照れながらもそれを優しくサポートしているミュージシャンのご主人。
店の外に出ると、夜空には大きな丸いお月さま。そうか今日は中秋の名月だったっけ?
円満なご夫婦に満月がま〜るい笑顔で微笑んでいるようでした。
(続く→原則毎週火曜日更新)
an弾手(andante)
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