第101回 「食事会&ピアノご披露会(2)」 [2004.8.3]
 「今度、夕食にご招待しますわ。その後、どこかでピアノ聴かせて下さいね!」
仕事先の女性の責任者の方から、夕食のお誘いを受けた話、第99回に書きました。
今回はその続きです。

 あらかじめ弾けそうな曲を家でおさらい。その曲名を書いたメモ用紙を胸のポケットに忍ばせて出かけたその日。まずは、とあるバーで待ち合わせ。
 そこから彼女お勧めのフランス料理店へ。私は後ろからついて行くだけです。小ジャレた店の奥に通されました。彼女、この店の常連さんのようです。マスターとひとしきり親しげな会話の後、私を紹介してくれました。
 私はフランス料理のコースなんて柄じゃないし。こういう場も慣れてないし。テーブルにずらっと並んだナイフ、フォーク、スプーンの列を見ただけでドッと不安が押し寄せてきます。それに考えてみると彼女は私の仕事上のお客さんだし、本来なら私が彼女を接待しなくちゃいけない立場なのに、こんな所でおご馳走になっていいのかなあ…。まあ、ご招待します、って言ってくれてるんだから、ここはゴチャゴチャ言わずにスマートに甘えちゃった方がいいのかな…。
 なんて考えているうちにスープが運ばれてきました。よっし、もうこうなったら腹を決めて遠慮なく頂くとするか。

 食事の間、ピアノの話題は全然出てきません。彼女、バリバリの仕事人らしく、出てくるのは仕事の話ばかり。ついには、たまたま持ち合わせていたらしい他の会社の資料を取り出し、
「これ、どう思います?」
私も、その分野の専門と言うこともあり、しっかり感想をしゃべってしまいました…。

 さてさて、コースも終わって舌もお腹も大満足。デザートを済ませて外に出ます。今夜も熱帯夜か。夜9時を回っているというのに、ムッとする熱気です。
 「じゃ、これから私がどこかピアノのあるところにご案内しますよ。」
この時のために、2日前に練習した曲目、メモ用紙に書いてポケットに忍ばせてあります。いよいよその成果をご披露する時が近づいてきました。しかし、です。そんな思い入れのそぶりを決して悟られてはいけないのです! あくまでもさりげなく、さりげなく。たまたま入った店にピアノがあった。そこで、たまたま成り行きでちょこっと弾いてみました…。っていうのが理想的なんだけど。
 今回は最初から「ピアノ聴かせて」と言われているので、そのシチュエーションは無し。でも、an弾手としてはあくまでもサラッと、さりげなく、を追求するのであります!

 ここで、私にはひとつの決断が必要でした。
候補の店が2つありました。
ひとつは男っぽい雰囲気のピアノバー。もうひとつはきれいなお姉さんが一杯のピアノのあるクラブ。実はホステスさんがワーッと寄ってくるクラブに彼女を連れて行っていいのかなあ、という躊躇がありました。彼女、気を悪くしないかなあ。
 でも、もうひとつのピアノバー、今日は多分バンドが入ってる。バンドの合間に、私が弾かせてもらえるタイミング、うまくいくかどうか?
私は思い切って
「ホステスさんのいるクラブでもいいですか?」
と聞いてみました。
「おまかせします。」
という返事。
確か以前、彼女が
「私、きれいなお姉さんのいるクラブって行ったことがないんです。どんな所か一度行ってみたいわ。」
と言っていたのを思い出しました。

 よし、決めた。
私は携帯を取り出し、店に電話を入れます。
「今から2人、行きますから。」
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 よく日替わりランチを食べに行く喫茶店。先日行ったら、そこのママが
「お客さんでピアノ習いたいという人がいるんだけど…。」
という話。
「楽器店の大人のピアノ教室に行ってみようかとも思ったけど、いまひとつ勇気が無くて、と言ってるのよ。Let it be1曲だけ弾き語りが出来ればいいんだって。」
聞くと、この喫茶店でよくお昼に顔を合わせるおじさんです。
私は、つい
「日曜日に、月に1回位だったら私が相手してもいいですよ。」
と、口走ってしまいました。
「え〜っ、そう!今度見えたら言っとくわね。」
う〜ん。うかつなこと言っちゃったかな。この忙しいのに…。
でも、あの人、なかなか気さくなおじさんだし。
さてさて、どうなることやら…。
−an 弾手−


第102回 「食事会&ピアノご披露会(3)」 [2004.8.10]
 ※今回の話はバックナンバー第99回からの続きモノです。初めての方はそちらから順に
  お読みになることをおすすめします。

 「じゃ、これから私がどこかピアノのあるところにご案内しますよ。」
仕事先の女性責任者にディナーをお御馳走になったその夜。
少し迷った末に私が選んだ行き先はピアノのあるクラブでした。
ドアを開けると、いきなりピアノの音が耳に飛び込んできます。ちょうどピアニストの演奏タイムのようです。黒いスーツをビシッと決めた店長が私たちをお出迎え。
「お待ちしておりました。今、ボックス席が一杯ですので、しばらくこちらでお待ちいただけますか?」そう言ってカウンター席に案内されました。
「うわぁ、賑わってますね。」
彼女が店内を見廻しながらささやきます。

 カウンターの中に入ったチーママと、しばし当たり障りの無い会話。でも、3人共通の話題がなかなか見つからず、何となく気まずいムードが。それを察したかチーママが突然ピアノの話題で彼女に話しかけてきました。
「そうそう、○○さんの(an弾手さんの)ピアノ、聴かれたことあります? お上手なんですよぉ!」
「ちょうど今、ピアノ空いたみたいですね。どうですか? ○○さん、一曲…」
まあ、私も彼女も最初からそのつもりで来てるんですが、何しろこのカウンターの位置が悪い。ここからはピアノが死角です。せっかくここまで彼女を連れてきて、見えないところで弾いても効果半減だぞ。私は立ち上がりながら
「ピアノのところに一緒に来ませんか?」
と彼女を誘います。
「えーっ?」と、とまどいながらも彼女は付いてきます。
「じゃ、そのあたりに」
と言いながら私はピアノの前に座ります。
彼女は「えーっと、どの辺に立てば…」とぶつぶつ言いながらウロウロしています。
チーママもやってきました。でもピアノの周りが狭くて、どうもしっくりいきません。
その時、うまい具合にピアノのすぐ後ろのボックス席が空きました。
「じゃ、この席に、移動しましょうよ」
ということでやっとスタンバイOKです。

 …さて、いよいよ1曲目。そよ風の微笑。
「最初に私のオリジナルを弾きますから。」
と彼女に声をかけます。この曲、こういうところで弾くには少し単純すぎて物足りないけど、まあ、いいか。
…何とか、最後まで弾き終えます。
あれ、拍手が無い? まあ、こういうBGMっぽい演奏では、普通、1曲ごとに拍手なんかしないからなあ。
2曲目、ひき潮。
うーん、全然反応無いなあ。次の曲にいく前に少し、循環コードで遊んでみるか。さて、次はThe End of The World。そしてその次、小さな日記。これ、意外と知らない人、多い。昭和40年代のフォークソングなんだけど、私が自己流でカクテルピアノ風にアレンジしたやつ。実はこれ、ここのママがお気に入りで、私が来ると必ずリクエストしてくれる曲なのです。

 「小さな日記」を弾き終えます。
ちょうどその時、奥のボックス席からお客さんを送ってこの店のママが出てきました。ピアノの前を通りかかります。私と目が合うと、
「あら、○○さん、いらしてたんですか! それじゃ、ほら、例のあれ弾いて下さいよ。」
「例のあれって?」
「小さな日記ですよ!」
「えっ?今弾いたばかりなんだけど…」
何だ、全然聴いてない!
「あら、そうだったんですか? じゃ、もう1回、お願い。あれ聴くと、私、胸がキューンとなるんですよ。」
ホントかなぁ?
「まあ、いいけど。それじゃ…」
またまた「小さな日記」です。
さっき聴いてた人、イヤだろうなあ。全く同じに弾くのもダサいし、と思いつつ、意識してアレンジを変えてみます。でも自分の技術ではリアルタイムで大幅変更はムリ! ちょっとしたフェイクやフィルインをいじるのが精一杯です。それとエンディング。パターンを変えてみます。でも、せっかく苦労してアレンジ変えても誰も気付いてくれないだろうなあ。

 弾き終わると、今度は拍手が!
ああ、もういい加減に止めろということか。

 何だかほろ苦いピアノご披露会。席に戻ると、彼女が
「聴いている私のほうが緊張しました。」って。
リラックスさせるはずのピアノで緊張させちゃったらしょうがないし…。
更に、代わって弾き始めたピアニストの演奏を聴きながら
彼女がトドメの一言。
「やっぱり音が違いますね。」だって!!!

…ああ、確かに私はシロウトピアノですが。
ケニー・ドリューとは較べようもありませんが。
しかし、彼女にはお世辞のひとつも言ってほしかったなあ。

蒸し暑い、ある熱帯夜の日の思い出でした…。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 ニューヨークのTODOSさんから、最近出たばかりの「アダルト・ピアノ」っていう本を紹介していただきました。さっそく読んでみました。タイトルは一見いかがわしそうにも聞こえますが、内容は41歳からジャズピアノを始めたある大学の先生の、体験的大人のピアノ考察記です。ひょっとしてan弾手のピアノ奮戦記と競合するか?とも思ったんですが、いえいえ、さすが大学の先生。社会的な考察を交えながら現在の大人のピアノブームを客観的に分析してあります。なるほど。自分もこのブームをつくっている一員か、と、妙に納得してしまいました。
 で、自分の本はいつできるんだ? 早く片付けないと、何となく落ち着かないなぁ…。
−an 弾手−


第103回 「Q&Aコーナー」(その6)
ブラインドタッチの方法?
[2004.8.17]
 東京の奥座敷、青梅の石頭(男性、62歳?)さんからご質問を頂きました。

さてan弾手様に質問です。
ピアノ練習で、楽譜だけを見て弾く いわゆる「ブラインド・タッチ」をしたいのです。
指の移動範囲が1オクターブ以内の場合は、親指(又は小指)を尺取虫のように移動させる事で
移動ピッチが分かりますが、音が2オクターブも跳んだ場合、キー位置が分からず
手元をジックリ見て確認するため、リズムが崩れてしまいます。
色々 工夫をし、
椅子の座る位置を少し後ろ側に移動し、楽譜を視野の中心に入れ、眼は楽譜位置を動かさない
まま、視野下方ギリギリの鍵盤位置も見ると、なんとか指の動きが見えます。
しかし正確な位置は良くわかりません。
ブラインドタッチを習得する良い方法(ノウハウ)があるのでしょうか。
やはり、繰返練習で手の移動幅を感覚で憶えるしかないのでしょうか。
成果=練習量×効率 なので、効率を「1」に近づけたいのです。
(理屈っぽくて申し訳ありません)
 う〜む。私には荷が重いご質問ですね。私も鍵盤を全く見ずに弾くという技をいまだ習得しておりませんので。
以前、クラシックピアノの先生に聞いてみたことがあります。
「どうして手元を見ないで弾けるんですか?」
その時の答え。
「楽譜を見ると、手が自然にそこに行くんです。」
う〜ん、答えになってない!
やっぱり反復練習しかないのか?
でも、それじゃ石頭さんへの答えにもならないので、私の現状を少しお話します。

●まず、左手。
 私がこのコラム「アナ鼻ピアノ」でご紹介している奏法では、左手の小指は基本的にそのコードのルートに当てます。これで左手の位置が決まりますから、後はそのルート位置を基準に他の音を探っていくことになります。
 ではこのルートの位置にうまく左手を持っていくには?この件についてはバックナンバー第89回「目を閉じていても出来る左手の移動法」に人差し指をガイドに使う方法を書いていますので、そちらを参考にされてください。この方法に慣れてくると、あまり意識しなくてもコードネームを見ただけで自然にその位置に左手が動いてくれるようになって、人差し指は、手の位置が間違っていないかどうかの確認程度になってきます。

● 次に右手。
 左手の目視から解放されたら次は右手ですね。確かに1オクターブ以上跳ぶ音は私も難しいです。でも、ひとつだけ救いは、私は右手もほとんどコードを意識して弾いているということです。メロディーをトップノートに置いて、その下にコードをつかむ、という方法です。つまり、楽譜でメロディーの音符を見たら、瞬間的にその下にコードの転回形を意識します。(五線譜じゃなくて、鍵盤のイメージを頭の中に描きます)
 ですから、右手もメロディーを弾くというより、コードをつかむ感覚です。すると、結構、右手の位置も決まりやすい気がします。コードをつかんで、その中の指でメロディーを弾いていく、っていう感じですかね。
 極端な場合、右手でコードさえつかんでしまえば多少メロディーが違っても、何かそんなアレンジに聴こえてしまうみたいな…。(これは反則技ですけど!)
 まあ、全てがうまくいくわけでもないですので、どうしても難しいところは、そこだけ何回も練習するしかないですね(^^;

● ご参考までに。
 以上のようなことで、左手、右手とも、なるべく鍵盤を見ないで弾くように心がけています。それと、たまに私がやっている練習法。
 単純ですが目を閉じて弾く。
手の移動距離と、指先に触れる鍵盤(特に黒鍵)の感触に神経を集中します。華麗なるアルペジオ(第35回参照)なども目を閉じたまま3〜5オクターブ位走ってみます。何回もやっていると、だんだん、的に当たるようになってくるものです。

 以上、コード奏法に限って私の経験をお話してみました。他にも、色々なノウハウをご存知の方がおられましたら是非教えてください。
青梅の石頭さん、ご質問ありがとうございました。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 お盆。ギラギラと夏の日差しが照りつける8月15日。県外の田舎の親戚回りをしてきました。今年は家族の都合で一人行。初盆の所を2軒。そして、納骨堂のお参り。
 のどかな田園地帯の中、こんもりとした里山を背にその納骨堂は建っていました。開け放たれた扉から中に入ると正面に大きな仏壇。両側にズラッと納骨棚が並んでいます。シンと静まり返ったお堂の中で、一人線香をあげてしばし故人に思いを馳せます。
 外に出ると、ワーンという蝉時雨。目の前に広がる誰もいない広場には、たくさんの赤とんぼが舞っていました。
−an 弾手−


第104回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」(その29)アドリブに挑戦!(1) [2004.8.24]
 アナ鼻ピアノ、前回(その28)が5月4日でしたから、随分間が空きました。もう終わっちゃったんじゃないかと思われた方もおられるのでは。いえいえ、まだ続いてます(^^;
今回は、いよいよアドリブに挑戦!です。
とは言ってもこの話になってくると、私自身も怪しいものです。あんまり自信がないことを分かった風に言うのもよろしくないので、私が分かる範囲の話しかしません。ですから少しデキル方が読まれたら、「何だ、こんなこと!」としかられそうですが、どうかゴカンベンを。アドリブってさっぱり分からない、という方が対象ですから。

まず、技術的な話の前に、精神論から。

●既成概念をはずす。
 アドリブを(マネゴトでも)やろうと思ったらまず、既成概念をとっぱらうことが必要です。アドリブって、即興的に自分を表現することです。譜面に書いてない音を自分で弾いていくことになります。そのための理論やテクニックはもちろんありますが、いきなりそれを学んでも、結局、また新たな枠の中に自分を当てはめてしまうことになりそうです。
とにかく、色々なしがらみや先入観、既成概念から自由になる。その覚悟が必要です。(まあ、大げさな)
 そんな大上段に構えなくてもいいんですが、とにかく譜面と違う音を弾いてみる、コードのルールと違う押さえかたをしてみる、っていう、そのちょっとした一歩が、意外に大変なでんすよね〜。怖くて。でも思い切ってやってみましょう。

●恥ずかしがらず、自分をさらす。
 以前、コード奏法を一緒に習っていた人と話した時のこと。私が
「アドリブの練習とか、してます?」
と聞いたら
「いや〜、恥ずかしくて。近所の人から、あの人頭がおかしくなったんじゃないかって思われそうで。」
と言ってました。
う〜ん、その気持ち分かるなぁ。
 譜面どおりに弾いている間は、結局、作曲者の人格を自分が変わって表現しているだけだけど、アドリブってなると、まさに自分の人格を人前にさらしてるような気がするんですよね。そこまで意識しなくても、変な音出したらみっともない、とか。
 クラシックピアノでそれなりの演奏ができる人など音楽的なレベルが自分で判断できるので、みっともない音を自分が出すのに抵抗があって素直にアドリブに挑戦できない人がいるかもしれません。でも、アドリブは自分の人格を人前にさらすことです。特に、最初のうちは惨めでみっともない自分をベローッと人前にさらすことになっちゃう!
 ですから、そこが吹っ切れないと、なかなかアドリブの世界に入っていけません。

覚悟はよろしいですか?

覚悟が出来たら、次回から少しずつ具体的な練習法を考えてみましょう。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 8月22日(日)、23日(月)の2日間、出張で京都まで行ってきました。
せっかくの京都なのにフリータイムはほとんどなし。
23日の昼に予定が終わってそのまま京都駅に直行です。でも、新幹線の時間まで少し間があったので、烏丸通五条から京都駅まで、地下鉄ひと駅分、ブラブラ歩いてみました。
 大通りを避けて裏道へ。ひと気のない昼下がりの路地を歩くと、何の変哲もない家並みにもさすがに京都らしい風情を感じます。さりげなく下がった暖簾。のんびりペダルを踏みながら過ぎていく自転車のおじさん。軒先にかかる古ぼけた看板。○○表具店、○○法衣店、○○念珠店、○○仏具店、○○紙屋……。
 巨大な駅ビルの雑踏まで、しばし古都の空気に浸って歩いた15分間のミニ・トリップではありました。
−an 弾手−


第105回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」(その30)アドリブに挑戦!(2) [2004.8.31]
 前回、
「アドリブをやるには、最初は惨めでみっともない自分をベローッと人前にさらすことになっちゃう! 覚悟はよろしいですか?」
と書いたところ、さっそく読者の方からメールが来ました。
「覚悟は大丈夫です。早く次回を読みたいです。」って!
そこまで覚悟して待たれてると、かなりプレッシャーだなあ!
大したこと書けないので、
「なんだ、こんなことか!」と怒られそうです。
でも、どうか怒らずに読んでくださいね。
サラッと書きますが、内容は深いはず、です。多分…。

では、いきますよ!

●コードを使う。
 アドリブ入門として、分かりやすい方法です。ある曲を2コーラス、譜面どおりに弾いたとします。そして、3コーラス目をアドリブにしたいと思ったとします。そうしたら、その曲のコード進行に従ってアドリブしていくのが一般的ですね。
 
 まずは、コードの音(コードトーン)を拾って適当に組み合わせてみましょう。譜面のメロディーと違うフレーズになれば、もうそれだけでも立派なアドリブです。でも、すぐ行き詰ってしまいそうですね。コードトーンだけじゃ非常に音の選択肢が狭い。自分の感性はこんなもんじゃないぞ!と思うでしょう。アドリブは既成概念にとらわれてはいけないんだから、ここでコードトーンにとらわれる必要も無いですよね。

 では次のステップとして、コードトーンとコードトーンの間を、とりあえずコードトーン以外のスケール上の音でつないでみましょう。すると、随分使える音の種類が増えますね。このとき、この音はコードトーンで、この音はそれをつなぐ音だっ、と自分で意識して弾くと、フレーズがまとまりやすくなります。つまり、コードトーンから始まって、別の音を経過して、またそのコードの別のコードトーンに行き着く、という感じですね。

 ここまで出来たら、今度はコード進行におけるコードとコードのつながりに注意してみましょう。コード進行が、なるべくスムーズにつながっていくようなフレーズにしてみます。例えば、あるコードにおけるフレーズの最後の音を、次のコードのコードトーンの1音又は半音上か下の音にしてやる、という方法です。すると、フレーズが次のコードにスムーズにつながっていきます。

 ここまでの方法を色々なコード進行で試してみましょう。色々なKeyの循環コードなどを使って色々なフレーズを弾く練習を日頃からやってみると、とても勉強になります。譜面以外の音を即興的に弾くことへの抵抗感を、早く無くしてください。

 え〜っと、文章ばかりでサラッと流しちゃって、分かりにくくなかったですか?
分からないことがあったらどうぞ質問メールを下さい。ご質問が多い場合は、改めて例題の楽譜などを書いてみるかも知れません。

次回は、アドリブへの別のアプローチを考えてみます。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 この「an弾手のピアノ奮戦記」の出版のお話をしてから早くも2ヶ月以上過ぎてしまいました。今日はその後の経過報告です。
 話は順調に進んでいます! 出版社の方針と私の思惑が多少違う所もあったりしましたが、色々すり合わせをさせていただきながら、お陰様でいい方向に進んでいると思います。
そこで、今の時点で発表できることをお知らせします。

 内容は初心者向けのピアノ(コード奏法)入門書です。
ほとんどこのコラムの「アナ鼻ピアノ」がベースになっていますが、少し書き足したり話の順番を分かりやすく整理したこと、練習曲を入れて具体的に練習しやすくしたこと、大きな紙面で文字や楽譜が見やすくなったことなどが特徴です。
発行日等、確定しましたらまたお知らせしますね!

今のところ、本の仕様その他は次の通りです。

出版社:株式会社ドレミ楽譜出版社
版型:菊倍版(228×303)
タイトル:お父さんのためのピアノ教室
サブタイトル:体験的コード奏法超入門
キャッチコピー:目からウロコのピアノ速習法
ページ数:96P
定価:1,680円(税込み)…予定
発行日:10月頃…予定

…今日、第2校の校正を出版社へ郵送しました!
−an 弾手−


第106回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」(その31)アドリブに挑戦!(3) [2004.9.7]
 前回は、コードを使ったアドリブの考え方を書いてみました。アドリブには、このほかにスケールを使った考え方もあります。でも、私もあんまりここでウンチクをたれる程の自信はありません。何せこのコラム、「初心者おじさんのピアノ奮戦記」ですからね。
立派な入門書や理論書も沢山出ていますので詳しくはそちらで勉強してくださいね。
ここではちっとも体系的ではないですが、ちょこっとヒントになりそうな話が出来ればと思います。

●スケールによるアドリブ
 たった今、私には語る自信がないと言ったばかりですが、話を単純化してしまえば、(ここだけの話ですが…)前回のコードによるアドリブより、実は、簡単かも。
 例えばKey=Cの場合。
コード進行がダイアトニックコードで進行している時は、Cのスケール上の音(白鍵の、いわゆる、ドレミファソラシド)は何でも使えます。つまり次のコードは何だ?…なんてイチイチ考えなくても、適当に白鍵を弾いていればいいんです。楽でしょう?
 いや、その適当に、がムズカシイんだッ、て声が飛んできそうですが。確かに。
…でも、そういう人に限って実際には鍵盤を押さえて音を出していない人が多い。ムズカシイって口で言いながら手は止めてしまって実際に弾いてないでしょ。アドリブは頭で考えていても弾けません、多分。始めのうちは無茶苦茶でいいからとにかく鍵盤を押さえて色々音を組み合わせてフレーズを作ってみることですね。もう、これ以上の組み合わせはあり得ないッ、と思うくらい、色々遊んでみることですね。だって、みっともない自分をベローッとさらす覚悟は出来てるんでしょ。だったらもう怖いもの無しですよね(笑)。

 さて、話を進めましょう。ダイアトニックコード以外のコードが出てきた時だけ臨時的に転調したようになって、使える音が変わります。(Key=Cの場合はどこかに♯や♭が付いて、そこだけ黒鍵が使える…厳密には違うけど、とりあえずそういうことにしておこう…)
 例えばKey=Cの曲の中でC7のコードを弾いたとします。
 このC7というコードには、Key=Cのスケールには無いB♭という音が入っているでしょ。明らかにこれはKey=Cではないですよね。B♭が入っているスケールと言えば…。そう、F。この時既に曲のこの部分はKey=Fに転調していると考えることも出来るのです。そこでこの時はFのスケールでフレーズを弾いてOK!そしたらコードだってGmも使えるってことになります…。
(この辺のKeyの話が良くワカランぞ、っていう方はバックナンバー第65回を開いてみてください。)

 スケールを使ったアドリブでは、ブルーノートスケールを使うという手もあります。
例えばKey=Cのブルーノートスケールは、普通のドレミファソラシドに、ミ♭、ソ♭、シ♭を加えた音階です。
 この3つの音をブルーノートと言います。雰囲気的にはこのブルーノートを装飾音的に使ってミ♭→ミ、ソ♭→ソという具合にタラッと音をつなぐと、俄然ブルージーでジャズっぽい響きになって、ちょっぴり大人の気分に浸れます。
 ブルーノートスケールには、他にいくつかの音を抜いたペンタトニックスケールというのもあります。(ジャズっぽい音階ですが、下手すると日本民謡みたいにもなってしまう!)これらのスケール上の音を適当に組み合わせてフレーズをつくります。このとき、左手のコード進行はそのKeyのダイアトニックコードなら何でもOKです。
 とまあ、この話をしだすと、だんだん理論書の受け売りみたいになっていくので、この辺でやめときましょう。

 次回は、フェイク、フィルイン、高音域の活用について書いてみます。
えっ、それってアドリブと違うだろ!と言われそうですが。でも、曲を適当にいじってオシャレな雰囲気をつくっていく、という意味ではまあ、あまり目くじら立てて分類しなくても…、という気持ちで書いてみます。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 ジャーン!!!
この前の日曜日(9月5日)、このくまもと文化邑が記念すべき記録を達成しました!
一日のアクセス数がついに1,000件を突破しました。1,015でした。これまで一日800や900は来てましたので1,000も時間の問題かなあとは思っていましたが…。
もちろん、これは文化邑全体の話なのでan弾手のページって訳ではないんですが、やっぱりうれしいです。皆様、ありがとうございます。WEBマスターに代わってお礼申し上げます。今後とも、よろしくお願いいたします。
−an 弾手−


第107回 「アナタも鼻歌をピアノで歌えるようになる(!)ためのコード奏法超入門講座」(その32)アドリブに挑戦!(4) [2004.9.14]
 さて、今回はフェイク、フィルイン、高音域の活用について考えてみます。アドリブっていう領域からちょっと外れてるかも知れませんが、まあ、固いこと言わずに、「譜面に書いてない音を弾いてカッコ良く聴かせる」というコンセプトでくくってしまえば似たようなものかなあ、なんて、大ざっぱに開き直っていきましょう!

● フェイクって何?
 フェイクという言葉の音楽辞典的な解説は私にもよく分かりませんが、譜面に書いてあるメロディーをいろいろ変化させて弾くことかなあ、ぐらいに私なりに解釈しています。
変化させて弾く、と言っても漠然としていますね。変化のさせ方にも、いくつかの方法があります。

1)譜割を変える
 例えば4分音符の連続で出来ているメロディーがあったとします。これを部分的に8分音符と付点4分音符の組み合わせにしたり、休符をはさんだり、リズムをシンコペーションにしたり、どこかを3連音符にしたりなどして、原曲の雰囲気を変える事です。

2)メロディーの音の組み合わせを変える
 ある小節の中に出てくる音を使って順番の組み合わせをいろいろ変えてみると、どこかに原曲のイメージを残しながら原曲とは別のフレーズになりますね。音のパズルみたいに遊んでみましょう。

3)その小節のコードトーンを使う
 これは第105回に書いた、コードを使ったアドリブの方法と同じ考え方です。

 フェイク、という場合は1コーラス丸々オリジナルのフレーズで弾いてしまうと言うより、原曲のイメージを残しながら、部分的にちょっと気の利いた節回しにしたり、リズムを変化させて曲の雰囲気を変えてみたり、という感じでしょうか。

●フィルインって何?
 フェイクが、原曲のメロディー部分を変化させていくのに対して、フィルインはメロディーの動きが無かったり休んでいたりするところをメロディー以外の音で埋めてやることです。特にピアノという楽器はポーンと音を鳴らすと、後は次第に消えていくしかなく、人の声や弦楽器のように途中で音を大きくすることは不可能ですよね。ですから全音符などで音が伸びているところは、何かメロディー以外の音を入れて聴き手が飽きないようにする必要があります。これがフィルインです。別名「おかず」とも言います。
ではどんな音を入れてやったらいいんでしょうか?

1)コードを使う
 またまたコードの登場です。例えば曲の途中によく出てくるドミナントモーション(V7→I)のところ。ここはメロディーが一息ついてまた次のメロディーにつながっていくところですね。V7のコードでメロディーが伸びたり休符になったりしています。こんな所では迷わずV7のコードをバッキングしたりアルペジオにしたりしてはさんでみてください。実に無難に、それなりにカッコよくキマリます。
 また別にドミナントモーションでなくても音が長く伸びているところではそのコードの華麗なるアルペジオ(バックナンバー第35回〜)がぴったり決まることも多いです。

2)メロディーの一部をマネる
 全音符や休符でメロディーが動かないところに直前に出てきたメロディーをもう一度マネて(弾いて)時間的なスキ間を埋めていく、っていう感じです。

3)ブリッジをかける
 あるフレーズと次のフレーズをスムーズにつなぐような短いフレーズでスキ間を埋めていく方法です。

 って、言葉で言っても何のことか分かりませんよね。そのつもりでいろんなCDなんかを聴いていると、「ああ、これのことか」と、分かってくる、かな。

●高音域の活用について
 上記のフィルインを弾く時、普通、常識的にはメロディーが鳴っているのと同じような音域や、あるいは左手を弾いているあたりで弾くことが多いと思います。もし、そうでしたら今度試しにメロディーより1〜2オクターブ上で弾いてみてください。全く同じフレーズのフィルインでも、高音域にキラッと入れることによって、俄然ポピュラーピアノっぽい雰囲気になって、曲によっては夜の街の大人のムードがチラッと香ったりしますから、ぜひ試してみてください。
 但し、奥さんから「お父さん、急にどうしたの?」とけげんそうな顔をされても当方では責任は負いかねます。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 先日、阿蘇・長陽村にある大野勝彦美術館という所に行ってきました。大野さんは15年前(45歳の時)に農機具の事故で両腕を切断してしまい、一度は失意のどん底に落ちながら周りの人の温かさと生かされていることへの感謝の心に目覚め、義手に筆を持って心温まる詩画を描き続けている方です。昨年、阿蘇国立公園内に10年来の夢であった美術館を開設されました。1万2千坪の敷地と鉄筋3階建ての建物は並みの施設ではありません。
 館の前に立つと、雄大な阿蘇の山並みの向こうに有明海と雲仙、天草まで見渡せる絶景の地です。
 ご本人と話をしてきましたが、両腕を失くした人とは思えないような底抜けに明るくてユーモアたっぷりのお人柄、それに60歳にして今また美術館経営と言う新しい事業に挑戦をされるバイタリティーに少なからぬ勇気を頂きました。
自分も甘えたこと言ってる暇はないなあ。
−an 弾手−


第108回 「Q&Aコーナー」(その7)
どんな練習をしたらいいの?
[2004.9.21]
 大学生の方から質問メールを頂きました。
埼玉県の高野さん(男性、19歳)です。

 ピアノの初心者向けのサイトをめぐっていたらこのサイトにめぐりあいました。埼玉県に住んでいる19歳・大学生(男)の高野といいます。
 an弾手サマのピアノ奮戦記、読んで、めちゃめちゃ感動して一気に大学のプリンターでコピーしました。(笑)
 僕は高校生の頃から「ピアノが弾ければなぁ〜」と思ってました。僕はTVゲーム(PS2とかです)がかなり好きなので、その「ゲームミュージックを弾きたいな」と思いながら、「ピアノは子供の頃に習ってなかったので無理」とあきらめてました。けれど、やはりどうしてもあきらめきれず「大学を卒業するまでにはなんとか形にしよう!」と思い、友達のキーボードを借りて(ピアノは買うお金がない(>_<))練習している最中です。
 そんな最中、an弾手サマのコード奏法のコラムを読み、ギターは高校の頃やっていたのでコードは親しみやすく、「これならイケる!」と思い、コラムを参考にしつつ、鍵盤とコードと格闘している毎日です。
 それで、質問です。コラムの内容は非常にわかりやすく、初見だけで、理解できるものばかりで大変助かっているのですが、いざ、うまく弾けるようになるために、具体的にはどのような練習方法をすればよいのでしょうか?(例えば「○○の本が練習には良い!」とか)
 また、子供の頃にピアノを習ってきた人はほとんど「バイエル」で指づかいの練習などをしているとききます。そのような「バイエル」みたいな指使いの練習などもやはり必要なのでしょうか?
よろしくお願いします。

 練習方法ですねぇ。
個々の具体的なテクニックについては色々具体的な方法があると思いますが、ここではもっと全体的にコード奏法をマスターしていく方法っていう風に考えてみましょう。
 コード奏法上達のためには

(1)頭でコードの仕組み、コード奏法の原理を理解する。
(2)それを実際に鍵盤上で押さえて体に馴染ませる。(沢山の曲を弾く)
(3)いろいろな演奏を聴いていいイメージを自分の中に蓄える。
(4)覚えたイメージを鍵盤上に置き換えて表現する。

っていうステップがあると思います。

この、(1)から(4)まで来たら
またさらに高いレベルの(1)に戻って(2)、(3)、(4)に行く、みたいに(1)〜(4)をぐるぐる繰り返しながらだんだん高いレベルにスパイラルアップしていくという感じでしょうか。

 私のコラムではコードの理論的なことはほんのさわりしか書いていませんので他の理論書を参照してみてください。具体的にこの本、というより、店頭でいくつか立ち読みして、分かりやすそうなのを選べばいいと思います。

 (2)の、体に馴染ませる…は、リードシートの曲集を手に入れ、私が書いている弾き方で、出来るだけ沢山(100曲、200曲)の曲をとにかく弾いてみることをおすすめします。そのうちにこの奏法になれてきます。

 私のページでは著作権の関係で具体的な例題曲を載せていないので、少し分かりにくいかもしれません。
 
 これについてはこの秋、私の教本が出版される予定です。そちらには例題曲を交えて具体的な弾き方の説明をしているのでもっと分かりやすいと思います。(バックナンバー第105回の、ちょっとひと言。をご覧下さい)

 あとは(3)、ライブやCD等で沢山の演奏を聴いて自分のイメージを高めることです。自分のイメージ以上の演奏は出来ませんから。

 そして(4)。覚えたイメージをできるだけ自分の演奏に取り入れてみてください。フレーズを真似るのもいいですが、細かいことより全体の雰囲気をつかんで自分もその気持ちになりきって弾いてみることですね。

 なお、バイエルは気にしないでいいと思います。ある程度練習が進んで、どうしても指慣らしの訓練もしたいと思ったら、その時「ハノン」等を少しやってみるのもいいかもしれません。

 また、一人でやっていると行き詰るので一緒に練習する仲間や、ポピュラー、ジャズなどのピアニスト(ハイ・アマチュア、セミプロ、プロ等)と知り合いになって話を聞いたり実際の演奏を間近で見たり、自分も人前で弾いてみたりすると、上達のスピードがぐんと速まると思います。

 ということで、抽象的な話になってしまいましたね。高野さん、貴重なご質問、ありがとうございました。また何かありましたらいつでもお便り下さい。まだ19歳ですからこれからいくらでも可能性がありますよね。
楽しみながら頑張ってください!
その後どうなったかも教えてくださいね。
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 …108回です。人間には108つの煩悩があるとか。
 私もここまで煩悩の塊で108回もこのページを書き汚してきたかと思うとぞっとします。
 実を言うと、100回を前にした頃、この連載をどこで決着させようか、と考えたことがあります。その時、この108、という数字が頭に浮かびました。
どうせ煩悩を書き綴ってるんだから、108回で終わりっ!というのもカッコいいかなあ…、なんて。(そういう発想自体が煩悩ですねぇ)
 でも、いざ108回まできたらまだまだ未練があって、終われそうにないです(笑)
 ゴメンナサイ!この煩悩の塊にもう少しお付き合い下さいね〜。
−an 弾手−


第109回 3カ月で喫茶店のママをピアノの弾き語りデビューさせる
プロジェクト!(その1)
[2004.9.28]
 よくランチを食べに行く喫茶店でたまに顔を合わせるおじさんから「ピアノを習いたいんだけど…」と相談されたって話。そして「日曜日に、月に一回位だったら私が相手してもいいですよ。」と口走ってしまった話。少し前に書きました。バックナンバー第101回の、「ちょっと、ひと言。」です。
今回はその後の経過報告…。


 またまたお昼を食べに行ったら、ママが「ホラ、この前の話なんだけど、Kさん(そのおじさんのこと)がね、ぜひお願いします、って。それで、KさんはLet it beやりたいそうだから、私はThe End of The Worldね。」
「えっ…、私は、って?」
「Kさんね、1人じゃ心細いから私にも付き合えって言うのよ。だから、私はThe End of The Worldね。」
おいおい、2人いっぺんに、なんて話し、聞いてないぞ〜。
「だから、Kさんが1時間やって、その後私が1時間やればいいでしょ。」
え〜っ、いきなり生徒が2人?
「an弾手さん、引っ張りだこですな。仕事の話がそれくらい来ればいいのにねぇ。」
と、横でこの店のマスター(ママのご主人)が笑ってます。
「ところで、ママ。ピアノ触ったことあります?」
「ぜ〜ん、ぜん。あ、Kさんは家に小さなキーボードはあるって言ってましたよ。でも、自分では弾いたことはないって。」
う〜む。ぜ〜ん、ぜん、か…。
 と言いながら私にも多少の勝算はありました。あの、アナ鼻ピアノの要領でいけば全くの初心者でも何とかなるハズ、という自分の体験から来る思い。
 ただ、私自身はコード奏法を始める前に、我流とはいえ二段譜の丸暗記奏法に悪戦苦闘した前歴があったことはあったなあ。
目の前のママはと言うと
「ピアノって右手と左手と違うことするんでしょ。たいへんよね〜。それに楽譜なんてチンプンカンプンだし。でも歌ならまかせて頂戴。ちゃんと英語の歌詞覚えとくから。」
どうも弾き語りをしたいらしい。
「そうだ、ママ。恒例のクリスマスパーティーで弾き語りデビューってのはどう?」
「きゃ〜っ、間に合うかしら?月に1回のレッスンじゃ、もう何回も出来ないけど。」
う〜む。確かに。しかし、目標があったほうが励みになるし。よーし、3ヶ月でママをピアノの弾き語りでデビューさせるプロジェクトのスタートだっ!

 んっ? 肝心のKおじさんがいない間にこっちの話だけ、どんどん進んじゃってるぞ。

(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 もう、忘年会のシーズンですねぇ。
…えっ、早すぎる? いえいえ、仕事先の居酒屋さんの企画会議の話です。ホントは遅いくらい。もう、10月ですからね。
 忘年会のコースメニューとイベントの打ち合わせをしてきました。ついこの前、春のメニュー会議やったと思ってましたが…。きっと、すぐ師走になるんでしょうね。
 何か、やり残したことがいっぱいあるような気がしてます。
さあ、あと3ヶ月!
−an 弾手−


第110回 an弾手の本、いよいよ発売間近! [2004.10.5]
  以前から騒いでました私のピアノ教本ですが、やっと発売日が見えてきました。
出版社の話では一応10月15日、ということです。ただ、地域によって店頭に並ぶ日がズレる所があるので10月中旬としておくようにと言われてます。
(と言いながら、ここでシッカリ15日って書いちゃったけど。よかったのかなぁ…。ドレミ編集長の石川さん、勝手にごめんなさい!)→(注)実際は10月17日になりました。
 
 で、この「くまもと文化邑」にも、WEBマスターの渡辺さんがしっかり広告のページを出してくれました。ありがとうございます!
 まずTOPページにでかでかと載ってます!それとこのan弾手のページにも、バックナンバーのページにも、コレデモカ!っというくらいにバナーが貼ってあります!
 ちょっと派手過ぎる(ハシャギすぎ?)かなぁという気もしますが、目障りだったら言ってくださいね。そのうち、もうちょっと控えめに手直ししてもらいますから(笑)。

 今回のコラムでは、広告のページに書き切れていない内容を、このコラムの読者の皆さんだけにご紹介しておこうと思います。

全体は6つの章に分かれています。

まず、
●Introduction
 ここでは、この本が対象としている読者のイメージや、私、an弾手の自己紹介、それとコード奏法とはそもそもどんなものか、という話をしています。

●Step1 コードでソロ・ピアノを弾くための準備
 ここは、ほとんどこのコラムのアナ鼻ピアノをもとにしています。文章もほとんどそのままのところも多いです。でも決して手抜きしてる訳ではありません。同じように見えても何度も文章を読み直して少しでも分かりやすいように微妙に表現を変えたところも沢山あります。
 また、ダイアトニックコードの説明ではメジャーキー12種類、マイナーキー12種類すべての一覧表を載せてみましたので、参考になると思います。
 更に基本的なコードの押さえ方からだんだん曲の演奏に応用していくステップを、実際の曲で解説しています。古い文部省唱歌で申し訳ないですが「富士山」という曲です。コード進行がシンプルで例題曲として分かりやすいので、この曲を使ってみました。

●Step2 いろいろな曲を弾いてみよう!
 ステップ1で学んだ奏法を使って色々な曲を弾いてみるステップです。
例題曲は●故郷●浜辺の歌●しおさいの詩●峠の我が家●朝日のあたる家●ダーク・アイズの6曲です。
 これらのリードシートと、これをコード奏法で実際に弾いた場合の音譜、つまり二段譜(アレンジ譜)を対比させて弾き方の解説をしていますので、この本で解説している奏法の原理がよく分かると思います。この6曲がリードシートだけで弾けるようになったら、世の中のかなりの曲はメロディーとコードだけのリードシートさえあれば自分でアレンジしながら弾けるようになると思います。

●Step3 演奏の幅を広げるテクニック
 ここも、アナ鼻ピアノで取り上げたテクニックがほとんどですが、Step2の例題曲を使いながら実際の曲にどう応用したらいいかを解説しています。Step2で一応弾けるようになった曲を、Step3のテクニックを使ってさらにオシャレにイメージアップさせる方法を体験してください。

●Step4 自分の世界を広げよう
 ここでは、今後この本を離れてもっともっと自分の世界を広げていくための方法を取り上げています。このコラムのどこかに書いたような文章も入っていますが、もう少し詳しい話や、指先のテクニック以外のことにも触れてみました。

●参考曲に挑戦! 厳選リードシート集
 ここでは練習の材料になりそうな参考曲のリードシートを載せてみました。
 ●エデンの東●ダニー・ボーイ●虹の彼方に●ロミオとジュリエット●5番街のマリーへ●知床旅情●雪の降る町を●「いちご白書」をもう一度●新世界より●別れの曲
の10曲です。
 これらの曲がこのリードシートだけで弾けるようになる頃には、楽譜に弾かされているんじゃなく、いつの間にかピアノを自分の意思で操ってるっていう不思議な感覚に、きっと気が付くはずです。

 そうですね、普通の教本と違うところは、理論やテクニック、奏法の話だけでなく、大人の特権である豊かな感情表現やイメージ力などの活かし方を、私自身の体験も交えて隠し味のようにちりばめてみたところかな。
 ひとりで練習されている方も、an弾手がいつも近くにいて応援しているような気持ちになっていただけたら、こんな嬉しいことはありません。そして、また分からないことなどがありましたら、私宛にメールでもいただければ幸いです。

 その他のウラ話です。
 これまで私宛に頂いたメールや掲示板から、メッセージの一部をこの本の「あとがき」の中にちょっとだけ引用させていただきました。それと、著者プロフィールでan弾手の本名を明かしちゃいました! 演奏中の写真も載ってます(汗)なんだこんな奴か、と笑ってやってください!
(続く→毎週火曜日更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 この前の日曜日、爽やかな天気に誘われて久し振りの阿蘇までドライブしました。
今年の春に開通した俵山トンネル(阿蘇カルデラの南外輪山を貫通している!)を初めて抜けて南阿蘇へ。そばの里として有名な長陽村のそば道場に立ち寄り、遅い昼食。肉そば定食・大盛り! コシのあるおいしいそばを堪能しました。
 帰りはトンネルを迂回して俵山峠まで登り、広々とした草原でゆったりと空に舞うパラグライダーを見上げながら風に吹かれていました。久々に下界のことを忘れた一日でした。
−an 弾手−
バックナンバーリストに戻る   ピアノ奮戦記に戻る