前回(先週)のコラムで、耳コピーについてちょっとだけ触れていました。
「メロディーを頭の中で階名で歌う習慣が付いていると、テレビやラジオから流れてくる他の曲を聞いた時もそのメロディーの階名が浮かぶようになります。するといわゆる耳コピーも割と簡単に出来るようになります」と。
今回はその具体的な方法です。
この「メロディーを頭の中で階名で歌う」ということ、考えてみたら、これまで自分では無意識のうちにやっていたようなんですが、今回、体調不良で指も痛くて長期間ピアノに触れられなくて、しょうがなくコード進行メモを見ながら頭の中でバーチャルピアノをやったりしているうちに、これまで自分がどんな事を意識しながら曲の旋律をイメージしていたかに思いがけず気付くことが出来たのでした。
曲を聴きながら、その旋律を階名(ド、レ、ミ〜)で意識してみるといい事がたくさんあるようです。脳内バーチャルピアノで鍵盤のどこを弾いているかが何となく見えてきますし、コード進行のイメージも何となく湧いてきて、割と簡単に耳コピーが出来るようになります。
では、耳に聴こえる旋律をどんな風に意識したら階名で聴き取れるのか、私なりに気付いたことを書いてみますね。もちろん「そんなこと今さら言われなくても分かってる!」とか、「もっといい方法がある」とか思われる方もいらっしゃるかもですが、ここに書くのはあくまでも私個人の感想です(健康食品のCMの注釈みたいですが:笑)。
@まず最低限、「ドレミファソラシド〜」と言いながらその音階をイメージできることは必要です(ま、当たり前ですが)。そしてそれぞれの音の並びの間隔が分かること。
つまり、ド⇔レ⇔ミの間隔はそれぞれ全音、ファ⇔ソ⇔ラ⇔シもそれぞれ全音、ミ⇔ファ、シ⇔ドは半音、ということですね。
A次に、とりあえず曲のKey(調)は無視し、移動ドでどんな曲でもKey=C(ハ長調)、又はKey=Am(イ単調)と思って聴きます。
Bこの時、なかなかすぐには階名が浮かばないかも知れませんが、メロディーの流れの中で、どの音がどんな感じに聴こえるかを意識します。
1.曲の中で安定した響きを感じる音→「ド」か「ミ」か「ソ」の可能性が高い。
2.曲の中で少し浮いた(落ち着かない?)感じの音→「レ」か「ラ」の可能性が高い。
3.半音っぽい響きを感じる音→「ファ」か「シ」の可能性が高い。
C上記のようにして3つの階名グループのどれかを感じたら、とりあえずその音にその階名を当てはめ、それを基準に、その後に続くメロディーの階名を当てはめてみる。
Dその後に続くメロディーの音の流れがうまく「ドレミファソラシド」の音階に馴染まなかったら、再度、曲の流れの中で出てくる同じ音に上記グループ内の別の候補を当てはめて、それ以降のメロディーの階名を追ってみる。
E曲の流れの中で以上を何回か試してみると、ピッタリ合う階名が見つかる可能性が高い。
Fメロディーと階名がうまく一致した流れになったと思ったのに、所々で部分的に合わない半音の音が出てくる時は、そこだけ臨時記号で半音上がったり下がったりしている場合もあるので、あまり気にしない。
日常生活の中で、テレビを観ながら、あるいは車の中でカーラジオを聴きながら、流れてくる音楽やBGMのメロディーに対して上に書いたことを試してみてください。
映画館でドラマの背景に流れてくる素敵な主題曲なども、暗い館内で階名を意識しながら観ていると、家に帰ってから自宅のピアノで今観てきた映画の主題曲のメロディーを再現することも可能になります。
もちろん、こうやって聴き取った階名はとりあえずKey=Cか又はKey=Amになっていますので、ピアノで弾いてみて音域が不自然(高過ぎ、低過ぎ)の時は丁度いい音域になるようにそっくり移調すればOKです。
耳コピーしたメロディーにコードを当てはめていく方法は、またそのうちに改めて。
(続く→原則毎週火曜日更新)
an弾手(andante)
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