暮も押し詰まった去年の12月27日。
その日はこのコラム第426回で書いた「スピーチトレーニング講座」の第3回目、他の受講生の前でスピーチをやる、という実践訓練でした。課題は「嬉しかった事、感動した事、感激した事、など、自分の実体験を2分間で話す」というもの。時間オーバーはダメ、原稿丸暗記もダメ、という条件。
話の構成や事前準備の要領、実際に話す時のポイントなど、なるほど〜!と思うようなことを講義でたくさん教わったのですが、有料の講座ですしその内容をネット上で詳しく書くのはルール違反になると思いますので、具体的には書けません。
ただ、その時私が取り上げた話のテーマが自分のピアノネタだったので、自分がスピーチした内容だけならこ こでご紹介してもいいかな、と思いまして。
実はスピーチの準備期間は2週間あったんですが、「まだ2週間ある〜」と思っているうちに師走のバタバタにまぎれてあっという間に日にちが過ぎ、気が付いたらもう講座の前日!(ん?何か人前ピアノの準備と似てる)
ヤバッ!急いでテーマを決めて話す内容を考えなくては!と焦り、このコラムのバックナンバーで何か使えそうなネタはないかと探したのでした。ここに書いているのは全部自分の実体験なので。
で、何とか2分間スピーチのネタになりそうかな、と思ったのがちょうど1年前の第384回「母のベッドの横でキーボード」でした。
原稿丸暗記はダメ!と言われていたのですが、2分間スピーチってどの位の長さなのかも分からないのでとりあえずスピーチ原稿にしてみました。
かなり短か目にまとめたつもりで試しに読んでみたら…。あれっ、3分越してしまう〜!3分の2以下にしないとダメだ、ってことで。短く短く削りに削って何とか2分ぎりぎりで納まる長さにしてみたのですが、起承転結を付けて2分以内で話す、というのはほんと難しいですね。
話の中身は第384回とほぼ同じですが、それを2分間スピーチにした下書きを載せてみますね。
『あれは確か、今から2年前の、まだ肌寒い早春の出来事でした。
高齢の母が1人で歩けなくなり、老人ホームに入居することになったのです。
入居した部屋の窓から外を見ると、目の前に広〜い広場があり、その真ん中にすっかり葉を落とした一本の大きな木が立っていました。
私が母に「ほら、あの木、形がいいね〜」と言うと、母も「そうね、いい形してるね」と言っていました。
それから毎週、私は週末になるとその部屋を訪ねては母と話をしながらその木を眺めるのが楽しみになりました。
ある時思い立って、自分の家にあった小さなキーボードを持って行きました。
母のベッドの横にキーボードを置くと、ちょうど目の前の窓から広場の木が見えます。私はその木を眺めながら、母が知っていそうな曲を思いつくままに弾いてみました。すると母は曲に合わせて次々に歌ってくれました。歌っている時、母の顔は少し明るくなった様な気がしました。
やがて広場の木には新緑が芽吹き、うっそうとした緑になり、そのうち黄色くなって、また裸の枝ばかりになっていきました。
そんな風景の移り変わりがふた周り過ぎて、母はもう94歳になりました。
あと何回、この風景を一緒に見ることが出来るのだろうと思いながら、今も週末になると母の部屋へ行っては、キーボードを弾いています』
実際はこれをもう少し自然な話し言葉にしてスピーチしたつもり(?)ですが、途中でつかえたり、言い回しが変わって長くなったりして、やっぱり2分間で収めるのは至難の業でしたぁ。
また次回の講座(もう明後日!)でも別のテーマでの2分間スピーチをしないといけません。大変ですけど、これも多少は人前ピアノの度胸訓練になるかなぁ。
(続く→原則毎週火曜日更新)
an弾手(andante)
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ちょっと、ひと言。 |
もう年が明けてから1週間が過ぎましたが、新年最初のコラム更新です。
明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします!
皆さま、どんな新年をお迎えでしょうか。私はいよいよ次の本の最後の詰めの段階です。巻末の参考曲で少し時間が掛かっていますが、ここを過ぎれば一気に刊行の予定が見えてくるのではと思います。はっきりしましたらまたご案内いたしますので、どうかよろしくお願いいたします。
また、しばらくご無沙汰していました東京「弾手の会」の皆さまからも新年のメールを頂きました。嬉しいです。今年はまた久し振りに交流の機会が持てればいいなぁと思っています。
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