前々回(第466回)、前回(第467回)と、総合文化誌「KUMAMOTO」第4号掲載のan弾手の記事から転載でご紹介しています。今回はその3回目(最終)です。前々回、前回のバックナンバー(このページの下の方にバックナンバーリストがあります)からお読みいただくと話がつながります。
(前回より続く)…ピアノが弾ける、とはどういうことでしょうか。
ピアノの先生に言わせれば、指の使い方、ペダルの踏み方、読譜力、解釈力、表現力…、たくさんのクリアすべき要素があるかも知れません。もちろんそれらは重要な条件かも知れませんが、大人になってから楽しみでピアノを弾いてみたい、という人にとっては、もうひとつ違う世界もあるような気がするのです。
今さらショパンコンクールを目指すわけでもないし、リサイタルを開くわけでもないし、プロピアニストになるわけでもないし。それより自分にとってもっと大切なこと、それは生活の様々なシーンの中で自分の気持ちのままに、思いを語るようにピアノを奏でること、そして、そんな時間、空間を周りの人と心から共有できること。
そんなピアノ人を、私は「人生のピアニスト」と呼びたいと思います。
暮らしの中に音楽がある。心の中に表現したい音がある。朝起きて歯を磨くように、休日の昼下がりにフッとお茶でも飲むように、手を伸ばすとそこに鍵盤があり、何気なく今の気分が音になって気持ちに届く。家族の笑顔があり、友人の気取らない話し声があり、見知らぬ人との共感の出会いがあり、たまには夜の街での思い掛けないトキメキ?もある(笑)
まあ、夢のような話ですが、そんな「人生のピアニスト」に憧れます。
幾つになっても、夢は追い続けていきたいものです。(完)
私が参加している異業種交流会の例会でいつも顔を会わせる男性(60歳過ぎ?)。少し前にan弾手の最新刊「パパも弾きたいピアノ入門」の新聞記事をご覧になり、早速買いに行くとおっしゃっていたのですが、先日お会いしたら目下練習中とのこと。
「いやぁ、指は動かないし、鍵盤はどこも同じに見えるし。なかなかコードが覚えられなくて〜。でもね、息子が音を聴きつけてきて『へぇ〜!ピアノ始めたの?急にどうしたの?まあ、家族としては騒音はとりあえず我慢して応援するから頑張ってね!』と言ってくれました。それに、孫が寄ってきてジーッと見上げながら私のピアノを聴いているんですよ。まだまだですが頑張ってみます!」
と、嬉しそうにおっしゃっていました。
ここにもお一人、人生のピアニストを目指す仲間がいる(笑)。嬉しい限りです。
(続く→原則毎週火曜日更新)
an弾手(andante)
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随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com
ちょっと、ひと言。 |
先週の土・日(10月12,13日)は熊本市の熊本城周辺で恒例の「みずあかり」が開かれました。市民手作りの祭りとして始められ今年で10周年だとか。竹の筒に様々な模様をくり抜いて中にロウソクを灯した竹灯篭が、熊本城長塀前の坪井川やライトアップのお城を見上げる歩行者天国の通りを数万個の灯りで埋め尽くし、まさに幽玄。
竹灯篭の製作、設置からロウソクの点火、そして最後の撤去まで数千人の市民ボランティアの手で実施されているというのもスゴイです。地域のコミュニティー再生を願って始められたというこの「熊本くらし人祭り
みずあかり」。
私はまだ何のお手伝いも出来ていませんが、すっかり秋の気配が深まった夜風の中、たくさんの人波と見渡す限りの灯りに、たくさんの「熊本くらし人(くらしびと)」の存在を感じながら歩いた夜でした。
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