第151回「余興、愛嬌?夜の街で大ぼけピアノ」 [2005.12.20]
 忘年会シーズンですねぇ。飲んでますか。
 今回のコラムは久し振りに夜の街の話題です。

 先日、業界仲間の忘年会。1次会は居酒屋で盛り上がり、2次会はカラオケスナックへ。そしてお開きの後、私は1人で久し振りに、くだんのライブレストランに向いました。
 ドアを開けると、約80名入る店内がなんとほぼ満席!出てきたママに思わず
 「今日は貸切り?」と聞いてしまいました。
 だって、この店でこんなに一杯なのは有料ライブの時か団体の貸切の時くらいなので…。
 「違いますよ!12月の金曜日ですよ!」
 そうか、今日あたりにヒマだったらどうしようもないか。
 「指定席へどうぞ!」
 ステージから一番遠い隅っこのソファー席。この店のマスターやお馴染みさん、出入りのミュージシャンなんかがよく座る席で、私も1人で来た時はここを利用させてもらいます。この席は1人で来ても、誰か話し相手になってくれる人がいるんですよね。
 ほら、この日も久し振りに会うおじさんがいました!自称ギターコレクター。私はギターのこと全然分からないので話を聞いてもチンプンカンプンなんですが、なんでも私の知らない有名なギターを何本も持ってるらしい。そして最近はついに!自分でも演奏を始めたらしい。あるバンドに入ってこの店でもステージに立つんだとか!そんなこんな、積もる話をいっぱい聞かせてもらいました!
 この日のステージはベンチャーズバンド。パワフルな演奏に酔っていると、若い女性3人連れのお客さんが入ってきました。久し振りに見かけるお馴染みさんだ!なかの1人が私に気付いて
 「あらっ!○○さん久し振り!」
 と近づいてきてハグハグしてくれるのも相変わらず。これが彼女流の挨拶なので、別に深い意味はありません。
 ステージの演奏も一段落した頃、今度は近くのテーブルにいた7〜8人のグループの1人の男性が私に話しかけてきました。
 「もしかして、ピアノを弾かれる方じゃないですか?」
 「えっ、まあ、ピアノは趣味でやってますけど…」
 「やっぱりそうですよね!ホームページ見てますよ!」
 おっと、ここでホームページの読者の方とお会いするなんて!
 「たまたまあのページにたどりついてですね。コードの話とか、すごく分かりやすく書いてあったので、楽しく読ませてもらってます。」
 「ありがとうございます。」(本も買ってくださいね!←陰の声)
 「今日はピアノ弾かれるんですか?」
 「いいえ、今日は弾きませんよ!」
 「せっかっくだから弾いてくださいよ」
 「えっとぉ…今日は弾くつもりで来てないんで…」
 そんなやり取りをしていたら、さっきの女性がやってきました。
 「久し振りにピアノ聴かせてくださ〜い」
 それに勢い付いたその男性
 「そうですよね!弾いてくれなきゃ」
 …うーん、この空気は後に引けない感じだなぁ!

 パチパチパチ!拍手に送られながらさっきバンド演奏が終わったステージへ向います。
 ピアノの前に座ると、消えていたスポットライトがパアッと点いて、例の通り黒鍵の陰が斜めに伸びた、とても見にくい鍵盤が目の前に現れます。
 さて、こんな風に突然弾く時は、いきなり曲を弾き始めないでまずコード進行で少し遊んで指慣らしです。
 ん?ピアノの音がよく聴こえない。モニターが入ってないなあ。
 (注:ステージでは自分の弾いている音がよく聞こえるようにモニタースピーカーが付いています。これが無いと客席に届いている自分の音を自分で確認できません。)
 しかし、もう弾き始めたからとりあえずいいか…
 と思ったのがいけなかった!大ミスの連続だぁっ!

 1曲目:ダニーボーイ、2曲目:誰もいない海、3曲目:小さな日記、4曲目:ひき潮…
 各曲とも途中でミスの連発!いままで練習でも間違った事もないような思わぬところでコードを間違えるわ、引きずられてメロディーもはずすわ!
 言い訳みたいですが、弾いている時はコードの響きを聴きながらその流れで次のコードを無意識に押さえたりしてるんですね。弾いている音がよく聴こえないと次のコードが出てこないのだ!違うコードを弾いてしまうとメロディーも違ってしまうのだあっ!

 しかし、人前ピアノの最低必須条件、途中で止まらない!弾き直さない!だけは何とかクリア。間違いながらも強引に弾き続けて最後のエンディングまで辿り着きましたっ!

 フッ。やんやの拍手は「大変だったで賞!」というお情けの拍手?
 席に戻ったら、マスターがひと言。
 「派手に間違ってましたね。途中で違う曲に変わったかと思った。」

 失礼しました。まあ、余興、愛嬌、しばしの場賑わせにはなったかな?

 それにしても、見知らぬ私に声を掛けていただいた男性の方、ありがとうございました!またお会いしましょう!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。
 寒いですねぇ!
 名古屋方面は何十年振りかの大雪らしいじゃないですか。街なかで積雪があると、いろんな機能が麻痺してしまいますよね。大丈夫でしょうか。そちら方面の方はどうかお気をつけ下さいね。
 今年もあっという間に2週間になりました。と言っても途中3連休が入ったり年末の休みで、正味1週間ですよね。まだ何にも片付いてません。年末年始に締め切りの仕事が重なってとにかく目の前をこなすのに精一杯!
 まだまだ正月は遠い!
−an 弾手−


第152回「2005年の最終回!ありがとうです!」 [2005.12.27]
 いよいよ2005年のコラムも今回が最後になりました。月並みながら、月日の速さにびっくりしています。

 思えば、このコラムを始めたのが2002年の8月。50回記念で騒いだのが2003年の8月、100回記念で騒いだのが2004年の7月。ドレミ楽譜出版社から「お父さんのためのピアノ教室」を出版していただいたのが2004年の10月、そして講談社から「40歳からのピアノ入門」を出版していただいたのが2005年の7月。いずれもついこの前のような気がしています。

 この間、肝心の自分のピアノの腕は?って言うと、一向に進歩がありません。と言うか、ある意味ヘタになってるような…。コラム書いたり本の原稿をまとめたりしている間、以前よりピアノに触っている時間が少なくなっちゃったですからねぇ〜!こりゃ、本末転倒かなぁ…なんて思ったりもですねぇ。

 でもそれ以上にたくさんの楽しみを知ることが出来ました。それはまず何と言っても全国、あるいは遠く海外からも寄せていただいたたくさんのメールや書き込みの数々。数多くのまだ見ぬ読者の方々とどこかでつながっている、という思いが、ひとりパソコンに向かって黙々とキーを叩く行為をいままで支えていただいた原動力です。本当にありがとうございます!そしてそのお陰で、自分でも信じられないような本を2冊も出版させていただくことが出来ました。

 考えてみると、以前は自分でピアノを練習して、多少弾けるようになって、人前で弾いてそれで嬉しかったのですが、今は自分のコラムや本をたくさんの方に読んでいただいて、それがきっかけで「ピアノを始めました!」とか「励みになります!」とか「弾けるようになりました!」とか言っていただけるのがとても嬉しいのです。自分の嬉しさを周りの人にも共有体験していただける嬉しさ、と言うんでしょうかね。

 私の、ほんとに乏しい経験と知識、つたない文章で申し訳ないんですが、この目に見えないつながりが、これからももっともっと広がっていったらいいなあ、と思っています。

 新しい年も、このコラムなんとか続けていこうと思っていますので、どうか皆様、よろしくお願いしますね。

 それでは、新年が皆様にとって素晴らしい年になりますように!
 そして、これからもご一緒に、気楽に、ピアノ楽しんでいきましょう!今年もありがとうございましたっ!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 ところで、以前3冊目の本「お父さんのためのピアノ曲集」の話をしておきながら、 その後音沙汰ないなぁ、と思っておられる方も、もしかしたらおられるのでは。
はい、遅れてますが無くなったわけではないです。諸般の事情で遅れております(汗)
 またそのうちにお知らせする事が出来ると思いますので、どうかよろしくお願いしますね!
 さてと、今日は12月27日。会社も明日まで。で、忘年会があと2つ!
 どっちもピアノの出番がありそう!弾き納めしてきま〜す!!!
−an 弾手−


第153回「明けましておめでとうございます!」 [2006.1.5]
 明けましておめでとうございます!
 ご挨拶が遅くなってしまいましたが、いよいよ2006年ですね。

…と言いながら、実は、白状しますと、年末年始もあっという間に過ぎて、まだ次の原稿が出来てないんです(汗)。しかし、もう5日になりますからね。いつまでも「2005年の最終回!」っていうのが出ていたらどうもカッコ悪いしですね。という訳で、とりあえず更新させていただきました。すみません。

 今年の正月は自宅でしっかりピアノと親しむ事が出来ました。
 久し振りに専用のワックスを使ってピアノを磨きました。
 (掃除だったら年末にしろよ!っていう声が聞こえてきそうですが…)
 お正月にのんびりピアノ磨いてみる、ってのもなんかいい。知らないうちに結構汚れているんですよね。布にワックスをつけて薄く延ばし、その後を丁寧に拭き上げていったら、見違えるようにピカピカになりました!鍵盤はワックスじゃなくて鍵盤用のクリーナーですね。いつの間にか手垢がついた鍵盤もスッキリ綺麗になりました。

 というところで初弾き。「ピアノが輝くと音も輝く!」って、ピアノワックスの箱に書いてあったけど、なるほど。そう思えばそんな気もするか。
 曲は、いま編集中の「お父さんのためのピアノ曲集」に載せる予定のフォークソング。ソロピアノ用にキーを変えて書いたリードシートを見ながらダーッと通して弾いてみました。何回か弾くたびに「もうちょっと、こんなかなあ」なんて思いながら少しずつ弾き方を変えてみたり。かっこよく弾くのはなかなか難しいですが、本になるまでには自分でもちゃんと弾けるようになってないとですね〜(笑)

 …と、大した話題もないままの今年最初のコラムになってしまいました。
 次回はもうちょっと為になる(かも知れない?)テーマを考えてますので、ごめんなさい!
 今年もどうぞよろしくお願いします!
 またご一緒に、ピアノ楽しんでいきましょう!!!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 年末に映画を観に行きました。3丁目の夕陽。昭和30年代の東京。白黒テレビや電気冷蔵庫、電気洗濯機がやっと登場し、まだみんなの暮らしが不便で貧しかった中でも温かい心と大きな夢が一杯満ち溢れていた古きよき時代。次第に出来上がっていく東京タワーを見上げる人々の頬が夕陽に赤く染まり、その目は希望に輝いていました。私なんかそんな時代をリアルタイムで知っているだけに、感無量でした。
 あらゆるものがデジタル化し、システム化していく一種殺伐とした時代にあって、かつてのアナログ的な人間の暖かさみたいなものに心惹かれるのは、私がすっかりそんな歳になってしまったからでしょうかねぇ。
−an 弾手−


第154回「コードは道具。楽しい使い方を工夫しましょう!」 [2006.1.10]
 自分で分かってしまうと、それが当たり前になってしまって以前自分でも疑問に思っていたということさえ忘れてしまうって事、ありますよね。
 以前、読者の方からメールいただいたのと同じことを最近ある人から言われて、
「あっ、そうか!そう言えば自分も昔、そんな風に思ったことがあったっけ」って気が付いた事がありました。

 フッ、と記憶によみがえったのは私が大学生の頃の事。ある日友人が興奮した様子で私に話しかけてきました。彼はその頃ギターに凝っていて、前の晩ギター雑誌でコード理論を読んだらしいのです。それによるとコードには5度進行のサークルって理論があるんだって!で、これを応用するとコード進行が自分で作れるんだって!!で、コード進行を使うと作曲が簡単に出来るんだって!!!はやりのフォーク歌手やシンガーソングライターって、みんなこのコード進行を使って作曲してるんだって!!!!
(もちろん当時私はコードなんてチンプンカンプンで、上に書いた彼の言葉は今から考えてみると多分彼はこんな事を言ってたんだろう、と推測しながら再現してみたんですが…)
 ふーん… 私は彼の興奮を白けた気分で聞きながら思いました。
「へぇ。なんか知らないけど決まった何とか進行とやらを使って作曲するの?それってオリジナリティが無いんじゃない?音楽って、もっと自由な発想の中から創造するものじゃないの?」

 時は流れ、かつてのそんなエピソードなんてすっかり忘れていたんですが、読者の方からいただいたメールと知人から直接言われた同じような言葉で、はたと当時の事を思い出したのです。
 曰く、「コード進行のパターンなんて覚えて何の意味があるんですか?実際の曲ではそんなパターン化されたコードじゃなくて次々に色んなコードが出てくるじゃないですか」「メロディーって自由に発想するものだから、コード進行にとらわれるのって変じゃないですか?」
 なるほど。そう言われればそうですよね〜。曲って無数に存在するし、これからだって無限に曲が誕生していくはずだし。コード進行で曲を作るなんて創造性がないし邪道ですよね〜!

 でもね、学生の頃に全く同じように感じた私・an弾手が、コード理論をちょこっとかじった今、思っていることを書いてみますね。

 今、私は日本語でこの文章を書いています。読者の皆さんも普通に日本語を話していますよね。世の中には日本語で書かれた無数の文章が存在します。文豪の名作はじめエッセーや詩などの文学作品はもとより、優れた散文、論文、創造性あふれた文章がいくらでも存在します。優れた文章はこれからも無限に生まれ続けるでしょう。ではこれらの文章は全く自由に何の制約もなく書かれているのでしょうか。いえ、少なくとも「日本語」という文法に従って書かれているはずです。まず単語があり、次にそれを配列するための主語、述語があり、助詞、助動詞があり、さらに形容詞、形容動詞(?)があり、と、きちっとしたルールの下に書かれています。でもその内容はどれもこの世に一つしかない素晴らしい創造性とオリジナリティーに溢れているのです。

 音楽も、多分同じような事が言えると思います。自由に作られているように見えて、実はきちっとしたルールの下に作られているのです。ルールにのっとっているから、私たちはそれを聴いたときに単なる「音」ではなく「音楽」として認識し、美しい、とか心地よい、とか元気が出る、とか感じることが出来るのです。と言うより、人間という生き物が本来そのように感じる音の組み合わせを発見しルール化していったのが音楽の理論になったのでしょう。コード理論はその音楽の理論を更にシンプルに実用的にしていったものではないかと思います。
 そして、言葉は世界中にたくさんあってそれぞれの文法を分かっていないと通じませんが、音楽のルールは人間が本来そのように感じる音の組み合わせをルール化したものですから、世界中、どこに行っても「人間でさえあれば」同じ感情が通じ合えるんですね。もちろん、世界には民俗音楽というのがあって独特のルールで独特の曲調を持っていますが、それも言葉で言えばちょっとした方言程度の違いで、初めて聴いても充分に感情が伝わります。

 という訳で、コード理論にのっとったコード進行というのは、決して自由な創造性を制限するものではなく、むしろ自由に発想するための便利な道具と言えるかもしれません。この道具の使い方を覚えれば、誰もが簡単に手軽に自由な感情を音に託す事が出来る、優れものではないかと思っています。
 コード進行が同じだと曲も似てくる?いえ、そんなことはありません。1曲まるごと同じコード進行で出来ているのに全く違う曲、というのも探せばいくらでもあるはずです。部分的に同じコード進行を使った曲、というレベルで言えばそれこそ世の中のほとんどの曲はどこかの部分が同じコード進行になっているはずです。いわゆるドミナントモーションというコード進行(V7→I)だけ見れば、多分世の中の100%全ての曲(違ってたらごめんなさい!)で使われていると思います。
 ですから、コード理論、コード進行を覚えるということは、これまでたくさんの先人が苦労してルール化してきた「人間の心に響く《音楽》を創造する道具」を、一気に手に入れる事になるんですよ〜!
 このコラムの100回記念にいただいた内田さんのメッセージ(初めて道具を使うことを覚えた猿人くらい進歩した気分です…)にもあるように、コードって便利な道具なんですね!
 道具は道具。そして、それを使いこなすのは人間。今年も道具の楽しい使い方を皆さんと一緒に色々工夫して行けたらいいなあ、と思っています。

 よろしくお願いします!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
 年が明けて、早くも10日経ちましたね〜。挨拶回りしているうちにまたまた連休に入り、やっと今日から本格始動!って感じです。皆様はいかがですか?
 さて、私にとっては今年も課題を一杯抱えての新年スタートとなりました。先日お会いした人から「課題が一杯あるのは神様があなたを成長させるためにそうして下さっているのだから感謝しなきゃ。」と言われて、変に納得。なるほどそうですよね。そう思えば今年もやることをたくさん頂いて幸せです!
 それにしてもこの寒さ、何とかならないかなあ…。な〜んて、すぐ軟弱なことを考えてしまう私ではありますが(笑)
−an 弾手−


第155回 「おばさまパワーに圧倒!3分間で分かるコード奏法講座初体験」 [2006.1.31]
 去年の暮の高校の同窓会。そこでシャンソンをやっている同窓生に会いました。彼女はシャンソン教室のレッスン生でつくっているグループのメンバー。彼女のシャンソンは何度も聴いた事がありますが、なかなかの実力です。で、そのグループ、熊本市内のライブレストランで月に1回発表会をやってるんです。
「1月は23日だから。ぜひ聴きに来てね!」
とのお誘い。
「あ、それからその時あなたのピアノも聴かせてくださいよ。」
とのご注文。
「うん、分かった、分かった!」
飲んだ勢いでは当然そういう会話の流れですね。

 その時は、まだ来年の話だしずっと先のこと、と思っていたんですが、あっという間にその日はやって来るもんです。
 1月23日月曜日。仕事しながら、そういえばそんな約束してたなあ、と思い出します。仕事早めに片付けて行ってみるかと思いつつ、やっぱり会社出たのは20時過ぎ。冷え込み厳しいし、お腹は減ってるし、最近疲れ気味だし、このまままっすぐ帰宅してさっさとご飯食べてあったかくして寝ようかなあ、なんて、つい弱気になってしまいます。自分の車を置いている駐車場まで会社から歩きながらずっと迷っていました。でも車に乗り込むころには
「まあ、迷った時はやっちゃったほうがいいか。」
 とスイッチ切り替えっ!
 という訳で、ネオン街の中へとハンドルを切ります。

 店に入ると女性ばかりのメンバー20人ほど。もう宴もたけなわっ、という感じで盛り上がっています。私を見つけてワーッと声を上げて歓迎してくれました。
「ほら、この人が例のピアノの本を書いた人よ!」
「はーい、私買いましたぁ!」
 なんて手を挙げる人も。
「今、ワンステージ終わったところ!はい、今のうちにピアノ弾いてよ!」
 と、いきなりピアノのリクエストです。
「すみません、私お腹減ってるんでとりあえず向こうで食事させてください。」
 とお願いして、奥のほうに1人で座ります。

 シャンソンのメンバーは中年の女性からそれなりにご高齢(失礼!)の方まで。皆さんステージ衣装にメイクもバッチリでなかなかの迫力。テーブル一杯の料理にワイン、カクテルのグラスを傾けながらボルテージも上ってます。

 やがてセカンドステージが始まりました。グループ専属のピアニストの伴奏でお1人づつステージに上ってシャンソンの熱唱です。皆さん、年齢を感じさせない張りのある声で女心、恋心を切々と歌い上げるステージは迫力充分。途中、何人かがホールに出て踊り始めました!いやあ、こりゃ若者顔負けのノりだぁ!私は奥の席で1人静かに食事をしながら圧倒されていました。

 一通りメンバーのステージが終わりました。
「はーい、ステージ空きましたよー。ピアノお願いしまーす!」
 と、待ちかねたように私のほうに注文が回ってきます。
 さて、こんなノりノりのステージの後に出て行ってポロポロッと弾いても全く冴えないなあ。ここはちょっと仕掛けでごまかそう!っと。

 私はステージに出るといきなりピアノに付かず、マイクを取って話を始めました。簡単な自己紹介、自分の2つの本の紹介(っていうか、宣伝)。本はこの店に見本で置いてあります。
 で「ピアノ弾いたことがないけど弾きたい人−っ」
「はーい!」と、何人かの手が挙がります。
「じゃ、今から3分でわかるコード奏法講座をしまーす!いいですか?」
「はーい!」
 って訳で、ピアノのところにマイクをセッティング。
「こんな風にすると弾き語りをするみたいでしょ。はい、すみません。弾き語りはしないんですよー。」
 とか何とか言いながら場をつなぎます。

 では、コード奏法講座1時間目の始まりっ!
 まずは鍵盤をABCで呼びましょう、って話。それからC、Dm、Em、F、G、Am、Bm♭5のコードの話。実際にピアノで音を鳴らしながらの実演。
5〜6人の人が席を立ってピアノの回りに集まってきます。
はーい、この中の5つのコードを使えば、こんな曲がすぐ弾けまーす!
と言いながらおもむろに曲の実演。ダニーボーイ。
はい、今作った5つのコードしか使っていませーん。

 では次にこのコードの中の音を半音下げたり上げたりして味付けをしてみましょう!
とCmaj7、C7、Caugをいれたコード進行でもう一回ダニーボーイ。
「………」
 ほんとに3分間でコード奏法が分かる、と思った人にはちょっと申し訳なかったけど、まあ、お遊びだから。
 そのあと、続けて2〜3曲弾いていたら、もう彼女たちは自分たちだけでワーワー盛り上がって私のピアノなんか誰も聴いていないぞ!
 すみません、そろそろ静かに引っ込みましょうかね。

 初めてステージでMC(おしゃべり)をいれながらやってみましたが、だまって曲だけ弾くよりお客さんと一体になるにはいいみたいですね。
 とは言っても、まずはピアノだけでちゃんと聴かせられる演奏が出来るようになるのが先決ですけどね〜。
(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
「40歳からのピアノ入門・重版のお知らせとお礼」

 先日、車の運転中に携帯が鳴りました。路肩に寄せて発信者の表示を見ます。
 講談社の新見さんだっ!
「もしもし、今日は嬉しいお知らせです!40歳からのピアノ入門が重版になります。」
 やったぁ!もうそろそろかなあ、とは思っていたのですが、初版から6ヶ月で念願の重版がかかりました!
 全国の読者の皆様、ありがとうございました!お陰様で約10,000人の方にあの本を手にしていただきました。次は2月10日に第2刷発行となります。これからも、もっともっとたくさんの方に読んでいただけるよう頑張りますので、引き続きご支援、ご協力、応援、口コミ(笑)の方、よろしくお願いいたします!
→「40歳からのピアノ入門」の詳細はこちら
−an 弾手−


第156回 「自分が諦めない限り可能性は続く」 [2006.2.14]

 ある日、午後から人に会う用事が出来ました。そこで、その人に
「午後からあなたに会わないといけないので、午前中を有意義に過ごさなくてはですね。」
 と言ったところ
「という事は、私と会う午後は有意義じゃないってことですか」
 と、思いがけない言葉が返ってきてびっくり。
 うーん、そんなつもりじゃなかったんですけどね。まあ、その人も軽い冗談のつもりで言ったのでしょうが、物事、考え方一つで180度逆の意味になったりするんだなあ、と考えさせられました。
 考え方一つ、と言えば、よくある格言、名言、ご教訓。短い言葉でなかなか人生の核心を突いていたりして、私は好きです。

 まさに

『言葉一つで人間の発揮できる能力は驚くほど変わる』

 ってこともありそうですからね。

 たとえば

『何かを始める時、自信が持てるようになってから始めるのではタイミングを逃してしまう。本当に自信がつかなくても、自信がある振りでいいからしてみよう。そうしているうちにその自信は本物になる。』

 な〜んて、いつもいまひとつ自信がない私なんかにとっては、とても心強い味方になってくれます。

『会いたい人には必ず会える』

 という言葉もありますね。
 確か、どんな人にでも(どんな有名人にでも)知り合いの知り合いをたどっていけば7人目でたどり着ける、っていうのも聞いたことがあります。(なんか違ったかな)

 ん?
 今回のコラム、なんだかピアノと関係ない話だなぁ…
 いえ、これからだんだんピアノの話になりますから!

『仮説を立ててそれを証明していく事が大切。すべての始まりは途方もない仮説から始まる。』

 くまもと文化邑の掲示板に書き込まれたある投稿者のブログを拝見していて、ふと上の言葉を思い出したのです。
 そのブログとは
「ふくちゃんのピアノ日記!」
http://relog.jp/fuku/

 ブログの主は55歳の男性。昨年末から先生についてピアノのレッスンを始められたらしい。それだけなら別に珍しくないし、初心者ピアノレッスン日記のHPやブログは他にもたくさんありますね。(かく言うこのコラムもそんなもののひとつですが)
 私がびっくりしたのはそのブログの1月13日に書いてあった記事。なんと今年の11月にピアノサロンを借りて自らコンサートをするんだそうな!立派な会場の写真まで載っている!フルコンサートのグランドピアノがドーンと鎮座していてなかなか立派な会場です。私もこれまでたくさんのピアノ愛好家、初心者の方のメールやページを拝見して来ましたが、レッスン開始ひと月そこそこでこんな事を考える人、初めてです。
 まさに

『すべての始まりは途方もない仮説から始まる。』

を実践しておられる。これから1年(11ヶ月)かけてその仮説を証明していかれるのでしょう。

 このように自分の想像力(イマジネーション)を越えた発想に出会うと、新鮮な驚きと楽しさと、そして、してやられたっ、という、ちょっぴり嫉妬心が混じった心地よい興奮に浸れます。お陰で、私もまた新しい企画が湧いてきました!(まだ具体的には発表できませんが)
 その後のブログを拝見しても、着実にレッスンを進められているようで、きっと11月のコンサート、実現されることでしょう。楽しみですね!

 『限界だと思った瞬間が限界になる。自分が諦めない限り可能性は続く。』

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。
「お父さんのためのピアノ教室」第10刷発行のお知らせ

 今日(2月13日)ドレミ楽譜出版社の編集長からメールがありました。
 拙著「お父さんのためのピアノ教室」(ドレミ楽譜出版社)がついに第10刷になったそうです。とうとう、記念すべき2桁、10刷に乗りました!編集長の言葉を借りれば
「大人向けのピアノ教本としては異例のヒット商品」
 だそうです。これもひとえにこのピアノ奮戦記が始まった当初から貴重なご意見、ご感想、ヒントをお寄せいただいた皆様、そしてあの黄色い本を手にしていただいたたくさんの読者の皆様の温かいご支援、応援のお陰です。心からお礼申し上げます。
 今日はたまたま、あの本で勉強されている方から
「お陰さまでレッスン開始半年で念願の人前ピアノデビューを果たしました!」
 という、うれしいメールを頂いたばかりです。
 ただ、あの本を改めて読み返してみると、いろいろ言葉足らずのところや分かりにくい所もないとは言えないようです。読者の方からいろいろ貴重なご指摘も頂いています。
 今後、更に研究、勉強をさせていただいて、もっともっとたくさんの方に分かりやすい画期的なコード奏法の手引書が出来たらいいなあ、とも思っています。どうかこれからもご指導、応援をよろしくお願い致します!
ありがとうございました!
→「お父さんのためのピアノ教室」の詳細はこちら
−an 弾手−


第157回 「遂に人前デビュー!読者のお便りご紹介」 [2006.3.6]
 さて、今回はまた読者の方からのお便りをご紹介しましょう。
…って、最近はどうも他の方のネタに頼り過ぎの感もありますが。
 でも、それだけ私の周りに仲間(と、勝手に呼ばせていただいてすみません)が増えてきたということでしょうか。自分ひとりの事を話しているより、それはまた別の意味で嬉しいものですね。

 で、お便りの主は鹿児島のY.Iさん。実はこのコラムの第139回に一度お便りをご紹介させていただきました。
「お父さんのためのピアノ教室」で独習されて1ヶ月でウソのように上達されたという方です。その後「40歳からのピアノ入門」に触発されて今度は人前ピアノを目指そうと、ピアノ教室に通い始められたのが昨年の8月。そして遂に、今年2月人前デビューを果たされました!
 そんな嬉しいお便りをいただいて、私も嬉しくてたまらないです。


 an弾手さま こんにちは、お久しぶりです。
 昨年8月頃に、ピアノ教室に通い始めましたというメールをしました、鹿児島のY.Iです。ホームページの方はその後も楽しく拝読しております。

 実はおかげさまで昨日(2月12日)人前ピアノデビューいたしました。うれしくて誰かに話したいと思いメールしました。私の通っている音楽教室は高校生以下の子供たちは12月にクリスマスコンサートと称して、また大人の生徒さんはバレンタインコンサートと銘打ちこの時期に発表会を開催しています。出ませんかと先生からお誘いを受けたのが昨年末でしたが、まだ家族と先生以外の人の前で演奏した経験が無く、とても自信はなかったのですが、この機会を逃したら人前デビューはいつになるかわからないと意を決して申し込みました。

 しかし当日、会場の狭いホールで肩を寄せ合い出番を待つ間、心臓バクバクで手に汗はにじんで来るわ、やっぱりやめればよかったと何度思ったことでしょう。演奏者は21組、応援の人たちを含めると観客は40名以上。このうちピアノの生徒さんが約半分、他はバイオリン、リコーダー、独唱、合唱の人たちです。
 ピアノは最後で、私はピアノの3番目(この順番は恐らくヘタな順だったようです。聴いていて判りました)。
 次第が進むにつれ、緊張は増すばかり。実は発表会前に見たピアノ関係のホームページで、自分の前の演奏者がミスしたり、途中止まって弾き直してくれるとホッとすると書いてあるのを読みましたが、案の定私の前の二人とも途中で止まって弾き直しされました。ミスタッチも目立ち、申し訳けないと思いながらもこの程度ならば自分も捨てたものではないと、少し落ち着きました。

 いよいよ順番が回ってきて、司会の先生からプロフィールが紹介された後、ピアノの前に座って弾き始めました。曲目はポールモーリアの有名な「シバの女王」です。
 なぜか左手だけが小刻みに震えています。イントロの途中で間違えて止まってしまいました。「弾き直します。」と小さくつぶやき、初めからやり直しました。小刻みな手の震えは止まっていませんが、今度は無難に主旋律に入れました。
 途中何度も止まりそうになりながらも弾き直すことなく、ミスタッチは恐らく二ケタいったと思いますが、最後まで弾き終えました。

 喝采の拍手の中(と勝手に思いながら)自分の席に戻ると隣の男性が
「本当に習い始めて半年ですか?」
 とプロフィールに書いたおいた内容を聞かれました。演奏会終了後の慰労テイーパーテイでも他の演奏者の方から
「半年くらいであれだけ弾けたらたいしたものですね。」
 とお世辞かもしれませんがお褒めのお言葉をいただきました。本人のデキとしては70点くらいかなと思っていましたのですこし照れくさいやら、気恥ずかしいやら。でも人前デビューまで来れた事にピアノを続けていてよかったなとつくづく思いました。

 他の方の曲は、「エリーゼの為に」とか「乙女の祈り」、ショパンのワルツやノクターンが多かったですが、ポピュラー曲を弾かれた方も数名いて皆さんそれぞれに思い入れがあるようでした。

 私はご推察のとおり、左手の伴奏はコードを1−5−10で、右手はメロデイーにときどき和音を混ぜる例の奏法で弾きましたが、これで十分発表会で通用します。これも「お父さんのためのピアノ教室」と出会ったおかげです。改めて御礼申し上げます。

 今回で確実にひとつのステップはクリアしたかなと思います。つぎはぜひ夜のライブバーデビューをと考えていますが、ちょっと今のレベルではお店で弾くにはご迷惑ですので、つぎの目標に向けてまた練習に励みます。
 ほんとうにありがとうございました。 それではまた次の機会に。


 パチパチパチ!Y.Iさん、記念すべき人前デビューおめでとうございます!そして嬉しいお便り、ありがとうございました!
 私も発表会で初めて弾いた時の緊張を思い出しました。でもそんな経験が自分の中で段々自信と財産になっていくんだと思います。
 今度は、夜の街デビューですね。

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

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ちょっと、ひと言。

 先週はハードでしたぁ。仕事が重なり、徹夜とまではいかなくても午前様が続いて、さすがにこの歳になるとこたえます。さて、今週は気を取り直していきましょう!と言っても東京に3日出張で会社には2日間しかいないなあ。仕事のやり繰りがちょっと心配…。
 今朝はシトシトと雨が降っています。でも、何となく春の雨?そういえば今日(3月6日)は啓蟄なんですね。虫たちも冬眠から覚めて活動を始めるんだとか。あやかりたいものですな。
 
−an 弾手−


第158回 「海外からも!人前ピアノレポート」 [2006.3.20]
 さてさて、読者の皆様からの「人前ピアノ」のレポート、最近増えてきました。
 嬉しいですね。
 いよいよ「人前ピアノ実践プロジェクト!の輪」が全国に広がってきましたっ!とお伝えしようかと思っていましたら、今回はなんとなんと、マレーシアからのレポートです!
 ペナンご在住の56歳の「お父さん」。私とお歳がほとんど同じご同輩ですね〜。昨年末、一時帰国の際に拙著「お父さんのためのピアノ教室」をご購入。それからわずか2ヵ月後、早くも現地のとあるレストランで人前デビューをされたとか!
 お喜びのお便りをご紹介しましょう。


 初めまして an弾手さん。

 マレーシア ペナン在住17年、56歳の「お父さん」です。
 最初の7年間は家族と当地で生活致しましたが、娘の教育問題等々で、単身赴任がもう
10年目となりました。

 暇に任せての酒浸りではもう肝臓が持ちませんので、子供の頃からの夢だったピアノに挑戦する事を決めました。レンタルピアノを契約して、何か教本をと昨年末一時帰国したときに「お父さんのためのピアノ教室」を購入。読んで本当にびっくりしました。
 学生時代に軽音楽サークルでギターとコントラバスの経験がありましたので、コード進行の理論は充分理解できますが、ピアノをあたかもギターの様にコードで弾くという発想には本当にびっくりしました。
 早速、お気に入りの曲に挑戦、譜面が無くともコードは頭に入っていますので、課題は左手と右手の訓練です。特に左手はお茶碗を持つのが唯一の仕事でしたので、分散和音を練習すると、肘の下の部分がパンパン。毎日アンメルツのお世話になりました。

 何とか数曲をマスターした過日、思わぬチャンスに恵まれました。
 会社の同僚と週末の慰安で、恒例の韓国レストランで食事した時の事です。食事と韓国
焼酎に大満足してレストランを去ろうとした時、前から気に掛かっていたのですが、フロアーの真ん中に鎮座しているグランドピアノ(誰も弾いたのを見たことがありません。飾りでしょう)の前で立ち止まって、アメイジンググレースをワンフレーズだけ弾いてみました。
 アップライトと違って、音が自分にではなく外に向かって響いているのに驚きましたが、周りから苦情が出る前に立ち去ろうしたところ、一人の中年外国人(オーストラリアからの観光客と言っていました)がすっ飛んできて
 「最後まで真面目に弾け」
 「いや私はど素人で、プロではありません」
 「いいから早く弾け、さもなければこの店から帰さんぞ」
 といった調子で、覚悟を決めて(韓国焼酎の力も借りて)簡単な分散和音でゆっくりと、感情を込めて何とか弾き終えたところ、当の外国人グループはおろか、居合わせた客とウエートレス全員が拍手、大感激しました。
 この本に出会って二ヶ月目の事でした。

 コード進行と言ってもギターと違い分散和音の中に色々な不協和音スパイスを散りばめることで和音に深みが出ることも発見して、次から次へと興味が更なる興味を生んで限りがありません。
 素敵な本をどうもありがとうございました。単身赴任に力が湧いてきました。

an弾手さん、もし機会があってマレーシアを訪問する事がありましたらご一報下さい。
歓待致します。

藤森


 藤森様、海外から嬉しいお便りありがとうございました!
 学生時代にギターとコントラバスの経験がおありとは言え、わずか二ヶ月で人前デビューとはすごいですね!競う訳ではありませんが、私はピアノバーデビューが三ヶ月目、それも先生に無理やり勧められての事でしたから。

 見知らぬ人達の前での突然の演奏、勇気がいりますよね。でもたまたま出くわした偶然のチャンスを活かす積極性と、ある意味のずうずうしさ(笑)が、一歩、新しい世界を拓いてくれたりするんですよね。
 また、文面から推測するに、本に書いてあること以外の音づくりにもどんどん興味を広げられているご様子。教わった事だけでなく、常に工夫と発見を楽しんでいけるのがコード奏法の魅力でもありますよね。

 私の知らないマレーシアの空の下で、私の本つながりでピアノを楽しんでおられる同世代の方がいらっしゃるとは、想像するだけでも愉快です。
 いつか、マレーシアの地を訪ねる機会がありましたら、ぜひご連絡したいと思います。
 ありがとうございました!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
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ちょっと、ひと言。

 この前の土・日、仕事で天草の下田温泉まで行ってきました。下田温泉は天草の西海岸にあり、すぐ先は東シナ海、水平線の向こうは中国です。(って、大袈裟か?)
 普通、車で行くと熊本市内から数時間掛かってしまうのですが、今回は熊本港から高速船で本渡港まで65分。そこから迎えの車に乗って30分でした。
 夜は地元の方たちを交え8名で食事。今が旬という採れたての天然ブリをはじめ、食べ切れないほどの天草の味を堪能させていただきました。
 視察、体験、意見交換で沢山のテーマが見えてきた二日間。自分に何が出来るのか、宿題も抱えての帰途の船でした。
 
−an 弾手−


第159回 Q&Aコーナー「augとセブンスの音の弾き方・ダニーボーイを例に」 [2006.4.18]
 しばらくぶりのQ&Aコーナーです。
 今回のご質問は今年80歳になられる中川様とおっしゃる男性の方です。ピアノを始められて5年。今、先生についてレッスンしておられるそうですが、このところ行き詰まりぎみだったとか。そんな時、たまたま私のコラムとピアノ教本「お父さんのためのピアノ教室」に出会われて一念発起、先生にも許可をいただいて現在コード奏法に挑戦中だそうです。
 そんな元気なお便りを頂くと嬉しいです。私もまだまだ頑張らなくっちゃ、と勇気が湧いてきます。中川様、ありがとうございます!

 さて、ご質問は数回に渡っていくつか頂いたのですが、今回はその中から「ダニーボーイ」についてのご質問をとりあげてみます。


 …(前略)…
〜ところで、「40才からのピアノ入門」昨日入手しました。品不足なのか、かなり待たされました。目下、楽しませて(本音は、そうは問屋が卸して呉れないヨ、とブツクサ言いながら)頂いています。
 中程で「ダニ−ボ−イ」につかまってしまいました。アレKeyCじゃない!なんとかなるかもーーーと、忽ち浮気心を出して、(今練習中の)「故郷」から逃げ出しました。またまた分からない事だらけで、質問です。スミマセン。

1.1段目  コ−ドC-------Caugの間(3小節目のE,A,Gのメロディの時)左手は遊びですか。
2.5段目  コ−ドC-------Caugへの移行ですが、左手はコ−ドCのままで、右手でDとG#を押さえる形になるのでしょうか。
3.G7の左手の位置は、G(小指)D(人差し指)F(親指)となるのでしょうか。

 以上、本当に余裕の出来た時で結構ですから、教えて下さい


 はい、分かりました。
 文面から推測するとお尋ねのダニーボーイの譜面は「40歳からのピアノ入門」掲載分ではなく「お父さんのためのピアノ入門」の85ページに掲載しているリードシートをご覧になってのご質問のようですね。その譜面を見ながら考えてみましょう。

 まず
1.1段目  コ−ドC-------Caugの間(3小節目のE,A,Gのメロディの時)左手は遊びですか。
 の件です。
 小節が変わっても同じコードが続いている場合、コードネームは最初の小節のところに一回しか書きません。 次の新しいコードネームが出てくるまで、何小節あろうが同じコードが続いている(生きている)と思ってください。
 つまり、お尋ねの部分は、左手は遊びではなく、コードCのパターンを弾くわけです。

2.5段目  コ−ドC-------Caugへの移行ですが、左手はコ−ドCのままで、右手でDとG#を押さえる形になるのでしょうか。

 はい、実用上そう考えられて構いません。aug(オーギュメント)コードはメジャーコードの第5音が半音上がっているコードですよね。つまりCaugはド+ミ+ソ♯ですね。ですから厳密には左手でもソではなくてソ♯を弾かなければいけないのですが、この譜面の例では左手で無理にソ♯の音を鳴らすより右手のメロディーの下にソ♯(オーギュメントの音)を入れたほうがずっとスマートでカッコイイ響きになります。ですから左手はその小節の頭のコードCをそのまま響かせておけばOKです。このようにコードの特徴音(augの音や、3度の音、セブンスの音など)は無理にコードフォームの中に入れ込んで杓子定規に弾かなくても、メロディーの流れに沿って(そのコードが生きている間に)どこかで鳴らしてやればそれで充分雰囲気が出る場合が多いです。あるいはメロディーの音がその特徴音になっていて、ことさらメロディー以外で弾かなくてもいいこともよくあります。
 ダニーボーイのこの部分は右手の押さえ方の例を85ページの右上の鍵盤図に書いています。それを参考にしてください。


3、 G7の左手の位置は、G(小指)D(人差し指)F(親指)となるのでしょうか。
 よく理解されていますね。はい、それで結構です。ただ、左手はG-D-G(オクターブ)のパターンのままで、右手でメロディーの下にGのセブンスの音(F)を入れてもOKです。
 これも上の2.のご質問と同じ様に、その時のメロディーと前後の流れ次第で、どこにセブンスの音を入れたらカッコよく聴こえるか、ケースバイケースです。
 弾きやすく、耳で聴いて感じがいい押さえ方を工夫してみてください。
 この様に、コードの押さえ方(コードフォーム)は「常に絶対こう」というものではありません。
 コードの構成音さえ分かっていれば構成音のそれぞれの音を1オクターブ上や下に移動させてもコードの機能は変わりませんからその時の前後の流れで弾きやすい指の形や耳に心地よい構成音(鍵盤)の配置を工夫します。

 こう言うと大変そうですが、色々な曲を弾いてみると似たようなコード進行が何回も出てきますから、この流れの時はこうするとうまくいく、というパターンがだんだん分かってくるようになりますよ。
 
 ということでお分かりになりましたでしょうか。
 また何かありましたらいつでもお気軽にお便りください。

 ありがとうございました!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
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ちょっと、ひと言。
 もう、4月も後半に入りますね。はやっ!
 毎朝、玄関から庭先を通って車まで行くのですが、先日の朝、玄関を出ると雨上がりの庭にいつの間にか薄緑の若葉が一斉に芽吹いていてびっくり。前の日とすっかり風景が変わっていました。そう言えば芝生(もどき?)の中にも今まで気付かなかった小さな花が点々と咲いています。
 月並みですが、こんな小さな庭にも季節は着実に息づいてるんですねぇ…。
 フッと我に返ると、現世の雑事に追われてあたふたと毎日が過ぎていく自分がそこにいました。
 
−an 弾手−


第160回 「GW顛末記・お父さんのための(目からウロコの)ピアノ曲集」 [2006.5.15]
 5月も半ばを過ぎ、今さらGWの話題もないだろ、って言われそうですが…。
 まぁ、連休明けからずっと忙しかったもので、やっと今になって連休の話題を原稿にしています。

 掲示板にも書いたように、今年のGWはan弾手にとって勝負週間でした。だいぶ前から話をもらっていながら構想だけでなかなか原稿が進んでいなかったドレミ楽譜出版社の「お父さんのための(目からウロコの)ピアノ曲集」〜コードで弾く想い出のフォークソング〜。連休前に編集長から「連休明けには全ての原稿を入れてください」と念を押されて。4月29日、30日、それに5月の3日から7日まで全部で7日ある。フルに使えば何とかなるかな、と踏んで連休に突入しました!
 まずは前半3日で楽譜を仕上げる(リードシートからピアノアレンジ譜を起こす作業)。後半3日でテキスト原稿を仕上げる(本全体の解説と各曲の解説)。最後の1日はまとめ(予備日)と発送!
 そんな風におおよその予定をイメージします。

 さて初日4月29日(土)。いきなり予定が狂いました。昼から仕事の打ち合わせが!4月中に済ませておかないといけない取引先との打ち合わせの日程がずれ込んできて、結局29日になってしまった!昼から打ち合わせだと午前中はバタバタ過ぎて、結局29日はan弾手モードにはなれないなあ。という訳で30日から仕切り直しです。

 アレンジ譜はそれまでに数曲は済ませていましたがまだ22曲ほど残っています。2日で仕上げるとなると1日10曲以上のペース!そんなにできるかなあ。
 30日はとにかく簡単そうなやつからかかってみよう。まずリードシートで弾いてみます。何回か弾いて左手のパターンや右手のコード構成音の入れ方を確認。そこまではそう時間も掛からないんですが、それからが大変。自分が弾いている音を鍵盤を見ながら確認し、それを五線譜に書き込んでいくのがとにかく時間掛かります。要するに自分の演奏を自分で採譜するようなものかな。書いてみると楽譜にしにくい弾き方をしているところもあったりして、そこはなるべくシンプルな弾き方に変えていきます。同じところを何回も何回も弾きなおしていくので生ピアノでは多分ご近所迷惑。ですから電子ピアノでヘッドホンを付けての作業です。
 楽譜に書こうとすると、日頃自分がいかに楽譜をザーッと見ているかがよく分かりますね。例えばこうこういう音のつながりを表現するのに、音符ではどう書いたらいいのか、迷うことばかりです。
 1日目、結局8曲でダウン。疲れたぁ。

 さて、中2日挟んで5月3日。アレンジ譜書きの続き。だんだん難しい(長い)曲になってきたということもあって、なんと6曲でダウン。譜面立てに置いた五線紙に1小節ずつ書き込み、もう一度弾いてみて間違ってるところや気になるところをホワイト修正液で消して書き直したり、結構不自然な姿勢が続いて肩も凝るんだよねー。

 さてさて5月4日もアレンジ譜書きの続き。夜までかかってやっぱり6曲。

 そして5月5日。さあ、あと2曲!最後はやや難曲(?)が残っていて、それまでの曲の3倍くらい時間がかかってしまいました。さて楽譜が出来たら早く解説書きに入らなくちゃ。
 この本の特徴や使い方などを、出来るだけわかりやす書いていきます。コードの基本を簡単に整理した「コードの基礎知識」や、この本で使うコード奏法をシンプルにまとめた「3つのパターンの法則」も。ここで5日も終わり。

 さて5月6日。いよいよあと2日だ。この日は各曲の「演奏のヒント」書き。1曲分はそう大したことはないんですが、24曲にもなると結構時間が掛かる。1曲15分ペースでも6時間。30分掛けたら12時間にもなってしまうぞ。時計を目の前において時間を計りながら、1曲ずつ書くべきテーマを考えて書いていきます。時間の経つのが早いこと。あっという間に陽が傾き、夕刻に。疲れた。

 いよいよ5月7日、最終日。まだ解説用の鍵盤図や楽譜書きの作業が残ってる。プリントしたテキスト原稿を見ながら解説図の下書きをしていきます。それから全体のページ編成案を考えて書いてみます。そして、最後の仕上げ、出版社の人が作業しやすいように原稿に図が入るところに番号を振っていきます。
 送るべき原稿、資料が何とか揃ったのが午後6時半。さあ、袋に入れて梱包して、と。
それから編集長にメール。原稿発送の連絡と、テキスト原稿を全て添付にしてメール送信!
そして、クロネコの集配所へ走ります!時間見たら7時半。入口には受付は午後8時まで、って書いてある。よかった、間に合った!
 東京まで。えっ、超速便だと明日午前中に配達できる?早っ。それでお願いね!

 とりあえず第一段階終了っ!後はドレミさんの方で私の汚い手書き楽譜を浄書してもらって校正(ゲラ)を送り返してもらうのを待つだけだ。
 お腹すいたなあ。そう言えば今日は朝からインスタントラーメン1杯食べただけだった。この連休、食事も不規則だったし。今夜はゆっくり晩御飯食べようかなあ。

 …と言うわけで、an弾手のGWは終わったのでした。考えてみるとこの3年、毎年GWは出版のための原稿書きに追われてました。去年は講談社の「40歳からのピアノ入門」、一昨年はドレミ楽譜出版社の「お父さんのためのピアノ教室」。そして今年が「お父さんのための(目からウロコの)ピアノ曲集」〜コードで弾く想い出のフォークソング〜です。
 コード奏法初心者の方から中級者の方まで、それぞれの立場で活用していただける内容になったかな、と思っています。夏頃発売の予定ですので、その時は皆様、どうかよろしくお願いいたします!

(続く→随時更新)

an弾手(andante)

■Q&Aコーナーのご質問を募集しています。
 随時、このコラムの中で取り上げてみようと思います。このコラムはコード奏者超初心者から中級の入口位の方を想定していますので、その範囲ならどんな内容でも結構です。メールお待ちしています!
piano-roman@kumamoto-bunkanokaze.com

ちょっと、ひと言。

 GW顛末記、番外編です。

 原稿書きが大詰めを迎えていた5月6日夕方。自宅の電話が鳴りました。2階で電話を取ったらしい妻がトントンと階段を下りてきます。
「an弾手さんに電話よ」
「えっ、an弾手さんに?」
 誰だろうと思いながら受話器をとると
「an弾手さんですか?実は私、岩手県の○○と申しますが…。今日、楽器店であなたが書かれたお父さんのためのピアノ教室、という本を見まして、早速購入いたしました!嬉しくて電話しています!」
 71歳になられるという男性の方。60歳を過ぎてからピアノを始められ、先生についてレッスンされているそうですがなかなか進まず行き詰まりぎみだったとか。私の本を見て、一条の光を感じられたようで。
「これで少し頑張ってみますので、時々電話させてください。」
「私でお役に立つことでしたらいつでもどうぞ!」
 私の知らない所で、こんな風に私の本を見ながら夢を持ってピアノに取り組まれている方がおられるのかと思うと、嬉しいやら、責任を感じるやら。受話器を置いた後、原稿書きの続きにもつい力が入ってしまったGWの夕方でした。
 
−an 弾手−

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