Vol.27 <学校(1)>[2007.4.27]
平日の朝8時から10分まで、私はたいていテレビの前で、でれ〜としています。NHK教育の子供向け番組「にほんごであそぼ」を見ながらです。「日本語の豊かな表現に慣れ親しみ、楽しく遊びながら『日本語感覚』を身につけてもらうこと」をねらった番組で、あのベストセラー『声に出して読みたい日本語』の著者・齋藤孝さんが監修をしています。
http://www.nhk.or.jp/kids/program/nihongo.html

番組内容の素晴らしさはさておき、スタジオのセットや出演者の衣装がなんともハイセンスで、そして何よりも、登場する子供たちの可愛さに、ただでれ〜としてしまうのです。番組の音楽をプロデュースし、超シュールな「ぴっとんへべへべ」などの歌では出演もするミュージシャン・おおたか静流(しずる)さんは、「あの子供達の目をみていると、童神(わらびがみ)っているんだ…と思います」とご自身のサイトで語っています。

童神とは沖縄の言葉。幼子(おさなご)の心は何にも汚されていなくて、神様の心に近いということからそう言われるようです。私の「でれ〜」は、つまりは“童神効果”なのでしょう。そして番組を見ていると、そんな子供の出演メンバーも個性の萌芽というか、性格や得意なことの違いが見えてきます。童神だって、やっぱり一人ひとり違う。自分の個性と才能が生かされる将来を手にできる子供は、本当に幸せですね。その将来に大きな影響を与えるのが、成長過程の環境。そこで出会い、かかわる人々。家庭、地域、そして、小学校に始まる学びの場ですね。

ということで、昨年4月、このコラムは昔の学校「適塾」についてご紹介しましたが(Vol.18適塾(1)Vol.19適塾(2))、今年の4月は、現代の学校をとりあげてみます。実は私、昨年の夏から冬にかけて、複数のライター編成で全国各地の学校を回る仕事をしました。情報機器やネットワークを活用した情報化時代の教育の普及・振興を図っている、(財)松下教育研究財団の助成を得て研究実践中だった学校の取材でした。
http://www.mef.or.jp/activity/a02_jissen/a02_03list_h18.html

どんな職業でも、プロになろうと思えばその仕事に対する「意欲(ウイル)」が必要不可欠。それに「技術(スキル)」が加わることで、本当のプロになると言えるのではないでしょうか。学校の先生も例外ではないと思います。その意味では、今春、小学校教師に転身した『五体不満足』の著者・乙武洋匡(ひろただ)さん。「人は違いがあって当たり前。違いを認めることを伝えていきたい」という乙武先生の、子供たちにかかわっていこうとする意欲、情熱は、眩しいまでです。あとは、どんな技術を培っていくのか、なんだか本当に楽しみです。

さて、私が上記の仕事でお会いした学校の先生は、意欲と技術を兼ね備えたプロの方ばかりでした。その中に、熊本では熊本市立飽田東小学校の前田康裕先生、大阪では羽衣学園高等学校の米田謙三先生がいます。それぞれの先生がそれぞれの学校で行っている同財団助成校としての実践内容は、上記のリンクで見ることができます。

大阪の米田先生は、熊本の前田先生が副会長を務める「D-project2」の活動にも参加しているそうで、行動力のある人は、どんどんつながっていく。そして、つながりの中でもっと育てられ、より高められていくのですね。
http://www.d-project.jp/main.html

行動力のある先生と言えば、このサイトのan弾手さんのコラムに登場した「3年2組の先生」も、素晴らしかったですね。では、私も行動力を発揮して、熊本の前田先生と大阪の米田先生、頼もしい先生お二人と久しぶりに、今度はメールでお話して次回のコラムでご報告しましょう。