県劇人
Vol.20 
松岡 聡/まつおか さとし
熊本県民第九の会 合唱指揮
 スポットライトを浴びる主役の陰で、舞台袖や楽屋を走り回るスタッフたち。これらの人々にスポットを当て、舞台づくりの魅力や苦心談などを連載しています。

松岡 聡(熊本県民第九の会 合唱指揮)
かつてのようなブームではありませんが、年の瀬が近くなると全国で演奏されるベートーヴェンの「第九」。今年で26回目を迎える県民第九の会による演奏会も、熊本県立劇場の歩みとともに続いています。300人を超える合唱団員を指導する合唱指揮者として演奏会を支えていらっしゃる松岡聡さんにお話を伺いました。

熊本の「第九の会合唱団」の特徴と魅力を教えてください。
 毎年、合唱団は公募しており、今年は男性が89人、女性が220人です。そのうち約50人の方が初めて「第九」を歌われます。毎回、メンバーが入れ替わるというのが特徴でしょう。また、ソリストの方々は、熊本の合唱団は南国らしい伸びやかな声を持っている、持ち声がすごいとおっしゃいます。

合唱指揮者として苦労なさっているところは何かありますか?
 いろんな指揮者のもとで指導の様子を見ることができ、とても勉強になります。また、合唱団の皆さんもモチベーションが高いので音楽的な指導に専念でき、苦労というより楽しんでやっています。ただ、高校生から80代の方まで年齢の幅が広いので、曲が難しいだけに音色を揃えるための発声法に時間をかけて練習しています。

今年の「第九」の聴きどころをお聞かせください。
 指揮者の澤和樹先生は、留学なさっていたイギリスでお聴きになったケンブリッジ大学合唱団などの美しいハーモニーにたびたび感動なさったそうです。「第九の会」はアマチュア合唱団とは言え、「ハモりの素晴らしさ」にこだわりたいとおっしゃっていますので、そこを聴いていただきたいですね。

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.92より

県劇人vol.19へ 県劇人Vol.21へ