私と県劇
平成24年、開館30周年を迎える熊本県立劇場。
節目となる30周年に向けて県劇で上演された思い出の舞台を、
熊本を拠点に活躍されている様々な舞台芸術関係の方に
振り返っていただきます。
玉名女子高等学校吹奏楽部顧問 米田 真一
Vol. 21
玉名女子高等学校吹奏楽部顧問
米田 真一
 私が初めて県劇のステージに立ったのは高校生の時。全国高等学校総合文化祭の熊本県予選でした。当時、吹奏楽部でホルンを吹いていた私は、県劇の音響の良さのおかげで自分の演奏が上手になったような気がして、気持ち良く吹けたことを覚えています。以来20年以上、折に触れて県劇とお付き合いさせて頂いてきました。
 これまでのステージの中で印象深いものといえば、玉名女子高の教師として赴任して2年目、初めて指揮者の立場で演奏に臨んだ全日本吹奏楽コンクール九州支部予選大会でしょうか。その頃、経験が少なく未熟だった私は、タクトを振りながら音楽づくりの難しさをつくづくと感じさせられました。
 今、私は、観客の皆さんと、音楽を共有し、感動していただけるコンサートを理想と考えています。玉名女子高吹奏楽部が目指すのは「歌声のような音」。聴く人の心に響き、コーラスのように感じてもらえる、より有機的で人間らしい音楽です。県劇の音の響き方は、そのような音を奏でるのにとても向いています。九州でも屈指の音響を誇るこのホールで演奏できる生徒たちは、大変恵まれた環境にあります。生徒のみならず私にとっても、音楽を通して成長していく場として県劇があったこと、またこれからもあり続けることを、この上なく幸せに思っています。
 

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.141より

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