私と県劇
開館30周年を迎えた熊本県立劇場。
節目となる30周年を記念して県劇で上演された思い出の舞台を、
熊本を拠点に活躍されている様々な舞台芸術関係の方に
振り返っていただきます。
清和文楽館長 渡辺 久
Vol. 22
清和文楽館長
渡辺 久
 私と県劇との出逢いは、平成4年のこと。村興しの一環として計画された清和文楽館の完成を前に、舞台照明などの研修に行ったことから始まりました。
 以前は擦り切れたカセットテープだけで上演していた時代もありましたが、昭和63年に県劇の館長に就任された鈴木健二さんが郷土芸能の掘り起こしに尽力されており、清和文楽も県劇をはじめとして県内各地を回らせてもらい、PR活動もサポートしていただいておりました。
 やがて県劇がコーディネートする事業に参加させていただくようになり、熊本県内だけでなく、沖縄でも公演しました。沖縄では清和文楽オリジナル作品「雪おんな」を上演し雪の降らない土地に雪を降らせたんです。公演の時は清和の物産販売も行なっていて沖縄では乾燥しいたけが瞬く間に売り切れました。清和文楽は今では山都町の振興の役割も果たしています。
 平成20年、県劇の協力も得て山都町合併記念の新作 「阿蘇の鼎灯(ていとう)」を制作し、初演は県劇でお披露目しました。脚本から人形の衣装に至るまで山都町民で作り上げたオリジナル作品でしたので、予想していた以上に沢山のお客様にご来場いただき、とても感動しました。
 清和文楽は県劇が育ててくれたと言っても過言ではありません。これからも地元はもちろん県民からも誇りにしてもらえるような郷土芸能でありたいですね。
 

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.142より

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