インタビュー
 今、輝いている熊本ゆかりの舞台芸術家の素顔に迫ります。
 
写真(宗 真樹子) 演劇を通じて、観に来た人たちを元気にしたい
劇団制作・役者 宗 真樹子
 
 私が「劇団きらら」に入ったのは今から6年ほど前です。入団する前も、高校で演劇部に入っていたり、卒業後も3年ほどユニットを組んで活動するなどの演劇経験がありました。でもその後、日本舞踊に夢中になり、上京してOLをしながら日舞を習った時期もあり、10年近くお芝居から離れていたんです。
 熊本に戻ってもしばらくは、お芝居と関わりのないOL生活を送っていましたが、もともと劇団きららの池田美樹さんと知り合いだったので、軽い気持ちできららの稽古場に通いはじめ、お芝居を再開することになったんです。でも入団後も仕事が忙しくて、お芝居を休んでいた時期もありました。
 その頃は観劇もままならない毎日だったのですが、どうしてもこれだけは観たいと、何とか時間を作って観に行った毬谷友子さんの一人芝居が私にとっての転機になったんです。毬谷さんのお芝居を観終わったとき、とても爽快で晴れやかな気持ちになり、改めて「自分にできることは何だろう、親からもらったこの命で何ができるんだろう」と自分に問い掛けてみたんです。そして、やっぱり私にはお芝居しかないと、そう思いました。この転機になる舞台から感動や元気をもらったように、私も感動を与え、元気を与えるようなお芝居をつくりたいと。ちょうど同じ頃、「きらら」へのイベントやワークショップの依頼が増えて、劇団も忙しくなってきたので、役者だけではなく、制作も引き受けることになりました。今までのOL生活、日舞の経験から得たものは役を演じる上でも制作のお仕事でもとても役に立っています。
 「きらら」は、東京や福岡、中国の上海など、熊本県外でも公演を行ってきました。でも、拠点はあくまでも熊本です。これからも熊本の地にこだわって、ここで私たちが受けたものをお芝居で表現していきたいと思っています。私たちの活動を通してもっともっとお芝居の認知度が高まり、お芝居がたくさんの人に気軽に観にきていただけるものになればと願っています。

プロフィール(宗 真樹子)
1970年、牛深市生まれ。1999年、劇団きらら入団。以降ほとんどの作品に出演。少女から悪女、老婆まで自在に演じ分ける表現力は、福岡・東京でも高い評価を受けている。2003年、OLから劇団制作者となり、劇団経営・マネージメントを行う。現在は看板役者&制作者として奮闘中。自ら作・振付を行う日舞コント「恋島恋太郎」は、各種イベントにひっぱりだこ。また、熊本大学教育学部や小中学校で「自己表現ワークショップ」を展開。教育現場での演劇の可能性を追求している。
 
熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.57より

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