インタビュー
 今、輝いている熊本ゆかりの舞台芸術家の素顔に迫ります。
 
写真(木内里美) 地域での活動で演劇の力をつけていきたい
舞台俳優 木内里美
 
 中学生の頃、3年生を送る会で寸劇の台本を書いたのが演劇を始めたきっかけです。このときみんなに笑ってもらえたのがとてもうれしくて、やみつきになってしまいました。
 高校、大学も演劇部で活動していましたが、大学4年のとき、女優の白石加代子さんに憧れて早稲田小劇場(現 劇団SCOT)に入団し、そこで出会った多田慶子さんに誘われて、女性3人の劇団「かもねぎショット」の活動を始めました。
 夫の仕事の都合で宮崎へ引越したあともしばらくは、年に一度のペースで東京での公演に参加していましたが、子どもが生まれたことがきっかけで、生活拠点である地域での演劇活動に力を入れるようになりました。もともと、どこにいても芝居は続けていくつもりでいましたから、今では行く先々で一緒にお芝居を作る人を探しています。
 今回、共演する平野浩治さんとは、彼が私の舞台を見に来てくれてそこで知り合いました。次は私が彼の舞台を見に行き、彼の味わいがある演技に惹かれ、共演をお願いしました。とはいえ、私の場合、共演者のことをよく知ってからでないと作品が作れないので、作品ができるまでには時間がかかるんですよ。「やまとなでしこ〜MOTTAINAIおばけ編〜」もまだまだこれからです。
 私には、地域に密着してお芝居を作る今の活動のスタイルが一番合っていると思います。私がお芝居を作るときには親しみやすい作品にすることを心がけています。演劇を格式ばった芸術品のような手の届かない難しいものではなくて、誰でも共感できるサンダルばきでいけるよう気軽なものにしたいんです。そんなところに私は演劇の魅力を感じるし、その思いを地域での活動を通して伝えていきたいと思っています。ですから「熊本リージョナルシアター」には、演劇をやっている人だけでなく、これまで舞台を見たことがないような方にもお祭り気分で参加して欲しいですね。誰でも楽しめる作品にしたいと思いますので、気軽に楽しみにきてください。

プロフィール(木内里美)
山形県出身。劇団SCOT、かもねぎショットを経てフリーに。主な作品は「三人姉妹」「夢のあるうち今のうち」(朝日新聞’89年演劇ベスト5に選出)「マクベス」(段田安則と共演)など。夫の転勤で宮崎、栃木と移り住み、2003年に熊本へ。大津町で子育てをしながら芝居を続け、表現ワークショップの講師などでも活躍中。ライフワークのおばあちゃんシリーズの新作「やまとなでしこ」〜MOTTAINAIおばけ編〜を、『熊本リージョナルシアター』(公演日2月1日、2日)で上演予定。
 
熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.56より

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