Vol.60 公園あれこれ [2007.9.14]

 どの町にも、どの都市にも、公園というものがある。
東京で有名なのは、代々木公園、新宿御苑、他にも善福寺公園、立川昭和記念公園、
西郷山公園...と挙げるときりはない。
 代々木公園や善福寺公園のように、たいていの公園はもちろん入場無料だが、
新宿御苑や立川昭和記念公園などは200円ほどの入場料が要る。しかも、
4時半には閉園になる。そのかわり、きれいで安全だ。

 新宿御苑には大勢でお花見に行ったり、友だちと午後の時間を楽しんだり。
ここは、家の近くというより電車で15分くらいの距離なので、一人ではなく、
何か食べ物を持って友だちと行く。まず、家で敷物を用意すると心が躍り出す。
くだものや飲み物、お手拭きも忘れずに。やっぱり、公園の楽しみ方は
そういうのが一番だ。芝生や庭がきれいで家族連れが多い。

 夕食のあと、友だちと夜の代々木公園にも行ったことがある。さすがに奥へは
行かなかったものの、トイレ付近は特に明るく、50mほど先も見えるほど照明も
ついていたし、自転車で巡回中のお巡りさんと何度もすれ違った。グループで
公園を通って帰る若者たちもいたし、ジョギングするカップルもいた。
日本の公園は、夜の代々木公園においてもこのくらい安全のもようだが、
深い所へ行くのは絶対にやめた方がいい。夜の公園と言うのはまた別の顔が
あるものだから。

 家の近くの善福寺公園などは独りふらりと自転車で行くことが多かったが、
桜のころは絶景だし、独りでボートに乗っても、かいつぶりの親子の
かわいらしい動作や、ひょうきんな船つき場のおじさんがいたりして意外と楽しい。
しかし、ある日、川辺の土手に読書をしながらひとりきれいに作ったお弁当を
食べている女の子を見た。 そんなささやかな幸せを享受しているその人が
いじらしくて、キュンと何かが。ひとりで公園に行くとちょっとだけセンチに
なりがちだ。

 秋の立川昭和記念公園はとても素晴らしかった。コスモス園があって、
武蔵野らしい都心よりきっと1、2度低い涼しい風が吹いていた。公園は
広く庭園も充実。そして夢に出てきそうな大きな不思議な形の遊具があって、
子供達がたくさん遊んでいた。あの光景は今でもまるでマグリットの絵のような、
一体、それは夢ではなかったか...。

 NYのセントラルパークや、ロンドンのセントジェームズパーク、パリの
チュイルリ−公園やリュクサンブール公園へも旅行や出張の合間に出向いたことが
あるが、どこにおいても公園は変わらぬ人々の憩いの場。ローラースケートを
楽しむ人、ベンチで読書する人、...どこでもそんな光景が見られる。冬場のパリの
公園ではオニオングラタンスープやカマンベールとバターをたっぷりはさんだ
バゲット、焼き栗などが売られていた。バゲットとチーズの風味が何と言うか、
その、違う、というか...。それを鮮烈に覚えている。食と共に記憶がある公園は
おそらくここだけだ。

 いやいや、熊本の水前寺公園は最も情緒的な公園のひとつだ。茶室でお茶を
いただいた。ここは、『パーク』とは違う、『お庭』である。帰省した折、
家族で訪れ、大いに楽しませていただいた。
 熊本城の二の丸公園はこれまた素晴らしく爽快な公園だ。ただひたすら平地で
大きな木がある。ロンドンのクラッパムコモンの公園に似ている。両方の近くに
夏目漱石が住んでいた。

 週末は公園で。夏が終わって秋を迎える今、いい時間が過ごせるに違いない。
友だちと、またはひとりふらりと、はたまた恋人と。

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