表参道原宿。
ここは全くショッピングの街だが、けやきの並木もあるし、明治神宮の森もある。
そんな『休日に行く街』に働くようになって1年になった。
ここにも見つけた。『和菓子屋』
前のオフィスのあった東京タワーのふもとの『神谷町』にも老舗の名物和菓子屋さん
があった。
そして米屋さん、八百屋さん。八百屋さんは2件もある。昔ながらの造りで。
心地よくひっそりと。
そんなある日、私はとっても幸せな気分だった。帰りついた杉並の駅で、地下鉄を
降りてホっとして上がろうとした階段の最初の一歩。して、次の瞬間『左脇のもも』
をしたたか打っていた。
すべてが自分の中ではスローモーション。ゆっくりと、しかし結果、派手に転んだ。
...転ぶとは、要するに、すごくショックだ。
だが、スローモーションで、ひとしきりいろんな足が私の視界を通り過ぎたその次の
瞬間、見知らぬ『気持』が二つ、別々にどこからかさしのべられていた。
『すべてが夢の中』という感じの中、二人の女神のような女性が立ち止まって、
私にやさしく手を差し伸べようとしてくれていた。
一人が言った。
『あ..。立ち上がってから靴をはいたほうがいいですよ』
何と、靴が脱げていた。
その言葉をかけてもらった瞬間、最初にやさしいまなざしをくれた方の人は笑顔で
さりげなく、立ち去った。
寄ってきてくれたふたりの女性を私は子供のような眼で見たに違いない。
立ち上がろうとしたが、とにかく恥ずかしかった。
『どうしちゃったんだろう...』
そう私は言っていた。
『転んだんですよ』
あとは笑い。
『なんだかショックです』
『わかります。ここ、滑りますよ。私も転びました。明日あざになります』
笑。
『ありがとうございます。御親切に。...ほんとうに!』
そして、私達はまた見知らぬもの同士に。
今、ももにはまるで、タトゥーのようなアンドロメダ大星雲のようなすざましい
『あざ』ができている。
でも、それが私の身体を修復してくれている。そして、見ると痛さより助けてくれた
まなざしを思い出す。
7月。
赤ちゃん誕生のニュースがふたつ、私のまわりに。
たまらなくかわいらしい赤ちゃんが身近なところと地球の裏側で産まれた。
『生まれる』
これがきっと人生最大の出合い。
!なんとも素晴らしい!何ともピースフル!
赤ちゃんを見ると、毎日転んでもなんともないくらいの幸せを感じる。
そして、7月は夏への階段をどんどん駆け上がるような季節だ。
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