Vol.50 霜月 [2006.11.21]

 良く言ったもので、11月になると、急に寒くなった。
汗を拭いていた時期はほんの少し前だったような気もするし、今となっては想像しに
くくもあるし。
 私の今年のこの季節、既に師走がはじまったような感じで、とても時間が早く過ぎ
る。

 10月のある日、こんなメールが来た。
「11月26日の日曜、あけといてね!」
まだまだ1ヵ月以上先のことだと思っていたら、その日はもう、すぐにやってくる。

 11月のはじめの祝日、『従兄弟会』なるものを開催。
母方の従兄弟達。
 ここには東京生まれの従兄弟も2組、合わせて6人ほど従兄弟がいる。
皮肉なことに5年前の祖母の葬儀で、私達はそのつながりを新たにした。
 かわいい赤ちゃんだった従兄弟はおっとびっくりなハンサムに。東京の叔父と叔母
の家に居候させてもらって予備校に通っていたころ3歳だった従兄弟もすっかり青年
に。小さいころ良く遊んだ従兄弟はバリバリのキャリアウーマンに。

 従兄弟会には、私より9歳年上の東京生まれの従兄弟も来てくれて、結果5人が集
まった。
11月の赤坂見附。気持いいテラスのあるお店。
友だちとたまに週末にそこでランチをすると時々、赤ちゃんからおじいちゃんおばあ
ちゃんをまじえた家族がテラスでランチ会をしているのを『イイナア』と見ていた私。
今、『ザックバラン・テラスランチ従兄弟会』と名付けた会合。
従兄弟って集まるだけでもなんかホっとする。
調べるときっと同じDNAがたくさん見つかる私達。
皆酒豪。

 高校の美術の先生と卒業以来、はじめて東京で会った。先生はもう70歳に。
お食事を予定した駅から地上に降り立つと、おもわず、ひと月早いクリスマスのイル
ミネーションがあたりを彩っていた。よろこぶ先生の声がうれしい。
「もう一杯いこう」
先生のその言葉で六本木ヒルズにあるバーへタクシーを飛ばした。
あっという時間の後、宿の前までお送りすると先生の笑顔に見送られた。

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 時間は早い。気が付くと早い。感じても早い。
それでもテンポ良く流れる時間は、喜びにつながる。          

-END-
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