カラン、カララーン。
グラスに氷がぶつかる。あ〜、ひさしぶりだな〜、この音。ずいぶん長いこと氷を使わなかったが、この暑さにはかなわない。飲み物に氷を入れた。日曜の午後2時。氷に何をそそいだと思いますか?オレンジジュース?いいえ。アイスティー?いいえ。カルピス?いいえ。麦茶?いいえ。
...ワインの水割り。
「え〜っ何それ〜!」でも、ちょっと聞いてください。水は水でも炭酸水。会社の同僚から教えてもらった
んです。彼女がウィーンの田舎に行った時、そこで出会ったのが、このワインの水割り。とまどう彼女に店の女の子が、『ワインをペリエで割ったもの』だと教えてくれたそう。飲んでみるととってもおいしかったとのこと。
「なるほどね〜、ワインの水割りって言われると困っちゃうけど、炭酸水で割る、そうかペリエかあ、うん、いいね!」それでさっそく週末にためすことにした。
酒屋にはペリエがなかったので、クラブソーダを冷やして。午後の日ざしの中、窓の外では濃い緑の葉っぱがキラキラ光ってる。太陽が最高潮に元気らしい。けれど部屋の中で私はもろもろの日常の雑事を終え、シャワーもあびて、独り優雅な時間を過ごす準備が整っている。
そしてまず、ワイングラスに氷を入れ、そしてワインを注ぐ。会社の同僚が飲んだのはドイツワインの甘い白だったというけれど、今回は赤で。氷が軋むように鳴ってグラスの中で少し割れる。ン〜、いい感じ。涼しい音は鳴る。そして、炭酸水。
シュワ〜〜〜ッ。グラスの中の赤は、ほんのりチェリーになって、炭酸の泡がグラスに広がる。炭酸がグラスの中でコーラス。あ〜、涼しそう〜。私は、熊本にいたころに母が作ってくれた氷入りの梅酒を思い出す。またたくまにコップに水滴がついて、その水滴が手から腕を伝って落ちた。そんな夏。 |