せっかくの日、明日友達と一週間の疲れをいやす食事の予定なのに、雨かもしれないという。
しかも天気予報では、まだようやく梅雨の季節だというのになんと、台風がきている、と言っていた。でも、どうやら台風は日本の沖、はるかかなたを通過中のもよう。そして、当日、天気予報はウソで晴れた。でも、まてよ、確かに晴れている。でもなんだかおかしい。部屋を開け放っても、何か暗い。とっても晴れているのに。
ひさしぶりにちょっと激しいレニークラヴィッツを聴こうと窓をしめると、窓ガラスがまるでサングラスのように暗く感じる。だから空を見てみた。晴れた日のいつものように、たっぷり日ざしがはいってくるのに、実は空には真っ白い輪郭の黒い雲。そして晴天。台風ならではの空だ。きらいじゃない。ミステリアスだ。なのに雨が絶対降出さないのが特別にいい。
なんだか、この空が私の心のような気もした。丸反対が同居している。でも、晴天。なんだかいまだに何かを心配したり、急にガックリしたり。でも、晴れている。こんな自分だから、いまだ宙ぶらりんでも満足しているのかも。台風と晴天が同居している。でも、晴れている。とっても。こんな日は、しばらく聴かなかったレニークラヴィッツが心地よく響く。
あれ、こんなこと思ってたら、さっきまで、それでも絶対降り出さなそうな雨が、今すぐにでも降り出しそうな空になっちゃった! 本当に空模様と心は似ている。何が起こるかわからない。でも、その根拠は絶対どこかにある。それは遠くても、今日の空のように何かがそこにあるから何かが起きる。そして又、それは自分と呼応している。明日からこの事をちょっと思いだしてみようかな、なんて感じた今日の台風晴れ。
そんなこと考えていると、友達からメールが入った。「おはよー! 今日はビール日和になりそうじゃない?」
楽しみにしていた友達との食事は、傘も持たずに最高だった。そんなある日の空のお話でした。
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