私と県劇
平成24年、開館30周年を迎える熊本県立劇場。
節目となる30周年に向けて県劇で上演された思い出の舞台を、
熊本を拠点に活躍されている様々な舞台芸術関係の方に
振り返っていただきます。
熊本県筝演奏者協会代表 古川 郁代
Vol. 19
熊本県筝演奏者協会代表
古川 郁代
 毎年県劇で開催している「筝曲の祭典」も今年で26回目になりました。箏には生田流、山田流などいくつもの流派があり、曲目や演奏の仕方も違います。流派を超えて古典や現代音楽、クラシック音楽などさまざまな曲が聴ける演奏会は、当初はとても珍しく、私たちが全国の先駆けでした。他流派の曲や技術をお互い学びあい、全体の演奏技術も向上。5年目の頃から評判が県外にも広まり、聴きにいらしたある師匠の方からは、「熊本は箏の先進県ですね」とのうれしい言葉もいただきました。
 演劇ホールで個人の演奏会を開催することは使用料の面など主催者としての負担はけっして少なくありませんが、合同でやれば、キャパシティもちょうどよく、バラエティーに富んだ内容になり、何より聴きに来ていただいたお客様にとても喜んでいただけます。そこで、単独では難しいけれども、ぜひ県立劇場で開催したいと熊本の他流派の先生たちにも声をかけて始めたのがこの「筝曲の祭典」。邦楽の世界は流派の伝統を重んじるので、他流派と合同公演という企画は最初はなかなか理解されませんでしたが、回を重ねるごとに年々出演者・関係者が増えていき、ここまで続けてこられたことはこの活動が熊本に根付いてきたひとつの表れだと感じています。
 昔は花嫁修業の習いごとというイメージが強かったのですが、今の若い方たちは、純粋に音楽としての箏を楽しんでいます。これからもこの伝統文化を若い世代に継承していきたいですね。
 

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.139より

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