インタビュー
 今、輝いている熊本ゆかりの舞台芸術家の素顔に迫ります。
 
写真(有島 京) 心に響く、情感豊かなピアニストになりたい
ピアニスト 有島 京(ありしまみやこ)
 
 ピアノを習い始めたのは、父のおかげです。父は、私が生まれるずっと前から「女の子が生まれたらピアノを習わせる」と、家城由紀恵先生と約束していたそうです。幸い手が大きかったので、3歳になるのを待たずに習い始めました。最初のころは、遊びながらピアノの音に親しむ、といった感じでした。人吉の豊かな自然の中で育ってほしい、という家城先生の考えで、一緒にお宅の庭の草むしりをしたり、球磨川のほとりを散歩したりもしました。でも、レッスンはとても厳しい先生です。
 ピアニストになりたい、と思うようになったのは、小学4年生のころです。5年生の時、初めて「ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」に出ましたが、国内のコンクールにはなかった会場のやさしい雰囲気に驚きました。審査員の先生方もとても温かく、演奏が終わるたびに拍手をしてくださるんです。コンチェルト部門では弦楽四重奏と合わせましたが、ソロよりも緊張はしたものの弾いていて充実感がありました。
 去年はオーディションに受かり、仙台フィルハーモニー管弦楽団とも共演しました。指揮をしてくださった外山雄三先生からは「これから、たくさんの音楽を聴いて、たくさん本を読んで、お芝居や映画もたくさん観てください」というアドバイスを頂きました。家城先生も「技術だけではなく、心を磨きなさい」と、いろんなお話をしてくださいます。挫折や失敗こそが名曲を生み出しているんだから、失敗して落ち込むこともいい経験になる、とよく話して下さいます。今は、賞をとることよりも演奏でどれだけ自分の気持ちを出せるか、が大事なんだと分かります。
 まだレパートリーが少ないので、ショパンだけではなくバッハやベートーベンなど多くの曲にチャレンジして、いろんなことを経験して情感豊かなピアニストになりたいと思います。

プロフィール(有島 京)
人吉市出身。この4月で人吉第一中学校3年。2歳9カ月でピアノを始め、小学5年生の時「ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」のコンチェルトA部門(15歳以下)で銅賞。翌年、同部門で金賞。今年1月の第7回大会では、ソロ一般部門で大人に交じって銀賞を受賞。2004年には九州交響楽団と、昨年は外山雄三指揮の仙台フィルハーモニー管弦楽団と共演。今年3月には、人吉市の「おひなまつりコンサート」でポーランド・クラクフ室内管弦楽団と共演し、話題をさらう。
 
熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.60より

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