Vol.82 地下鉄のモンシロチョウ [2009.7.17]

 朝、いつものように電車を待つ。ひらひらとそこに見なれない動きで近付いてくるものが。あ、モンシロチョウ。はっとする目にも笑みが浮かぶ。電車を待っている私とそのまわりの人に挨拶でもするようにひらひらと舞う。となりの人はちょっと驚き身をかわしながらもやはりほほえむ。いつも笑顔のない構内にほほえみ。でも、早く出口をみつけてお戻りよ。
東京でも近くの空き地にはモンシロチョウが遊んでいる。それがここに迷いこんだわけか。電車がくるころにモンシロチョウは見えなくなった。

  会社について仕事をする。しばらく没頭していると、聞き慣れない、しかしなんとも懐かしい音が聞こえてきた。急いで仕事にキリをみつけ、窓に近付きブラインドを空け7階から探した。あ、鼓笛隊!
きちんと制服を着たこどもたちの鼓笛隊。後ろには明治時代の将軍のように正装した人大人が2人、馬に乗っている。きちんと整列し、楽器をしょって街を練り歩くこどもたち。気がつくと、向いのマンションの住人や歩道を歩く人たちも同じように立ち止まって見ている。写真を撮っている人もいる。
ホーンの音は、まだ幼い息を伝える。太鼓がいっしょうけんめいにばらついてしまったり。その演奏の『ヘタさ』もあまりにいとおしく、おもわずじ〜ん。先生が彼等を守るように道路側を歩き、こどもたちは一糸乱れず行進しながら演奏している。きっと毎日練習して、今日、千代田区を楽器をしょって練り歩いているのだろう。
「飲酒運転はさせません」そんな幟も見える。警視庁と連動した学校のイベントなのだろうか。社会活動だ。我々「おとな」も見習わなくちゃ。

  朝、7時前、いつものように起き、窓のカーテンをあけると、新築したお隣の家の庭の水瓶で、一匹の猫が水を飲んでいた。
おはよう!
いつのまにか梅雨があけ、実にすがすがしい夏の朝だ。

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