Vol.61  愚か者 [2007.10.19]

 秋の到来と共に、またまたネガティヴになってしまった。
きっと、愚者には、まだまだこれからも試練は続くだろう。
ネガティヴになるのは不安になるからだ。ほんのひとにぎりの大切なものが
脅かされる時。
そして、生身の人間だからくる『疲れ』。
仕事で、プライベートで、生き方で。でも、そんな時、大事なのは
『待つことが出来る事』
『振り回されないでいられること』
しかし、これがなかなか出来ないわけで...。 幸い、幕間が来た。そして気付いた。
シリアスなはずの自分の行いは、実にコメディーの世界以外の何物でもないことに。

渦中では、ひとりで『お先真っ暗』状態。
針小棒大に、妄想、負のオーラが押し寄せる。それがネガティヴになるということ。

いても立ってもいられずに、いつもはほとんど見ないTVを見た。
やっていたのはウディ・アレンの映画。

彼は執拗に小理屈をこね回し、ドツボ状態で悩み苦しむ。ネガティヴな妄想の世界だ。
しかし実に、私は恐ろしいくらい映画の中のその彼によく似ていた。

 ひとしきりの怒濤も去る時がくる。必ず。『あ』という間に。

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慌てふためく私に、賢い隣人が送ってくれた言葉。

艱難汝を玉にす。(かんなん なんじを たまにす)
=The adversity makes the person wise.
(逆境は人を賢くする)

本当かな?私の場合。
何度も同じことを繰り返してこの歳。
意気消沈の私に甥っこと姪っこが素晴らしい絵付きのお手紙をくれた。

 秋、読書でもすべきか。

昔から好きなギリシャ神話を無造作に開いてみた。
『ぶどうと演劇の神ディオニュソス』  
ギリシャ神話は神様がとんでもなく享楽的だ。いや、崇高というよりもしも
生真面目な人間がいるとしたら、それよりももっと全くめちゃくちゃな感じ。
この章にはまためくるめくドラマがあった。
『生きるって、こんな風なのかな』と疲れた頭で考えて少しだけ笑顔がもどった。

-END-

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