あんなに暑かった夏をすっかり体が忘れてしまった今日このごろ。
長い雨や地震など天候に恵まれない2004年の日本の秋。
世界では文明発祥のチグリス・ユーフラテスの地域は世界中を巻き込んで揺れているし、アラファト議長も亡くなり、アメリカではブッシュさんが再選。もちろんこの日本も揺れている。宇宙船地球号は今どんな軌跡を描いて航行しているのだろう。
年末にむけて一歩一歩また寒さを深めている東京。
毎日毎日は何も変わらず、一日一日の積み重ねなのに、肌寒さで妙に人恋しくなるころに、「クリスマスはカップルで」などというキャッチフレーズが街中に氾濫し、年末商戦を盛り上げようとする。何かに追い立てられるように、気持ちの上でも妙にけじめをつけなければならないような神妙な気分になる。
そして、もうすぐやってくる12月31日と1月1日。毎日は同じく来るだけなのに、この2日の間にだけ、違った何かがある。とはいえ、クリスマスのイルミネーションは素直にきれいだと思うし、除夜の鐘のおごそかな感じが嫌いなわけではない。なのに、なぜだか何かがとてつもなくせつなくなる。
いろんな色の気持ちがミルフィーユのように重なりあうような気持ち。とっても幸せなのかもしれないけど、とっても不安。そこにいることが好きだけど嫌いな気分。こころの色の重なりあった部分の、どの色が溶け出して混じりあうのか見当もつかない。
偶然きれいに混じるととても幸せなんだけれど、自分の中で何がどんな風に作用して次の瞬間には心がどんな色に、どんなマーブル状に、どんな溶け合い方をするんだか......。
恋をした時の気分みたいに。
大好きだと思って、よめない空気の中でうっかり素直に全部を出せば、人は案外嫌になるらしい。人と親密になるというのは何とせつないことだろうと私は思う。
せつない季節はこういったものすべてを含んだ自分を振り返らせる。 それが肌に感じる空気の温度のせいなのか、目に映る風景のせいなのか、聞こえてくる風の音のせいなのかはわからない。
自分というものはそうそう変わっていくものではない。リバイスしようにもそうそう簡単に変えることは出来ない自分の性格や性質。それは楽しい時には気がつかない。
苦しい時や困った時、そしてせつない時に気がついて、変化のないあいかわらずの自分がこれまたせつなくなる。 だから嫌なのだ。
今年もまた、こうやって私は自分をふりかえる。
でも、気がつけば一年を元気で過ごせた自分という船。
その船は、今年もまた、たくさんの人や出来事に出会えた 。
こんなせつない季節には、お気に入りのコートでも着込んで、あったかい飲み物を飲みながら、街路樹を眺めてみよう。そう思えたら急にあたたかな幸せがやってきた。
今ここにいる、という幸せが。
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