Vol.116 江戸の辻 [2013.3.5]

 昼食の時間に同僚が言った。
『吉原ってどこにあったんでしょうね』
旧吉原と新吉原があるが、旧吉原はズバリ日本橋のはずれ。どうも今の会社付辺なのだ。
会社には朝と夕方に通用口を守ってくれている江戸っ子のおじさんがいる。警備員さんではないのが私は好きだ。ふと、熊本の高校時代の用務員さんを思い出す。部活で遅くなると、早く帰りなさ〜いと言いに来てくれていた。
さて、その江戸っ子のおじさんに聞くと、教えてくれた。
『そうだよ、あそこの通り、あのNTTんとこ。大門通りっつって』
筋向かいの1本向こうに吉原の門があったなんて。
そうか。妙な話だが、だから毎日私は吉原へ通っているようなものか。笑
 そんな流れでひさしぶりに歌舞伎を見てみたくなった。今はYoutubeがあるのはうれしいものだ。『助六所縁江戸櫻(すけろく ゆかりの えどざくら)』はわかりやすくて、冒頭には花魁が勢揃いして圧巻。Youtubeでは、先日残念ながら亡くなった12代目市川團十郎の助六も、先代11代目市川團十郎の助六も見ることができる。(海老蔵さんよ、團十郎お父さんのようにまじめに精進してほしい)
舞台のように華やかではないとしても、この話のような時代もあったわけだ。日本は摩訶不思議で奥深いなあと今更ながら、不思議な気持ちになる。
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 歌舞伎座に初めて行ったのは大学生の頃。安い学生席でも、ただそこにいることがとてもうれしかった。昔、築地の料亭での東京の親戚の法事。
『このお部屋には團十郎さんがいらしたことがありますよ』と店の人が話に花を添えてくれた。勘三郎さんが勘九郎時代の結婚式には、当時同じクラスの中に列席した人がいて、彼女はその引き出物を持って来てくれた。皆でかけらをいただいた。落雁だったと記憶している。歌舞伎とは何の関係もない私がこんな思い出を持てるなんて、やはり東京ならではだろうか。

-END-

Wikipedia:吉原遊郭 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E5%8E%9F%E9%81%8A%E5%BB%93
Wikipedia:日本橋人形町
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%A9%8B%E4%BA%BA%E5%BD%A2%E7%94%BA

Wikipedia:助六
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A9%E5%85%AD


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