Vol.104 今年の桜 [2011.4.25]

 いろんなことがあった今年の春。
それは、今もまだ解決せず続き、今後長い間、私たちは知恵をそして、生き方を試されるだろう。
被災地で傷ついた梅の花も見事に花を咲かせ、そして、今、日本人が大好きな桜もちゃんといつものように花を咲かせた。タンポポも、モクレンも、みんないつものように花をつけ、春だということを気づかせてくれる。ふと、あたりまえのことをあたりまえにできるということに気づく今年の春。

 日本文学研究者で、朝日新聞客員編集委員だったこともあった、アメリカ、コロンビア大学名誉教授ドナルド・キーンさんがこんな中、日本に帰化した。今年88歳の彼は生涯独身だが、『私は日本という女性と結婚した』という。そして、震災に日本人と同じように心を痛め、その『日本が大好きだから』、『自分の日本への感謝の気持ちのしるしとして、日本国籍をいただきたい』、と。なんと感動的でありがたい言葉。

 私たちは、たいへんな確率でここ日本に生まれた。
地図で見ると、なんとも華奢で今にもこわれてしまいそうな国土。けれど、ここに稀有の文化がある。
その中には、今では、自分たちのものなのだろうか、と驚いてしまうような、シンプルで、かつこの上なく大胆であでやかな襖絵や、今もたくさんの人たちが愛する俳句や落語など、みんな私たちのものなのだ。
そういうものを生み出した、日本というメンタリティーもまた、こわれてしまわないように、私たちは今、あたりまえのことをあたりまえにやり続けて行くべきだ。これまで受け継いできた日本、次に続くバトンを渡すべく。

-END-

ドナルド・キーンさん
以下、短いながらも素晴らしいコメントが読める。
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20110423-OYT1T00429.htm

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011041500905

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