県劇人
Vol.23 
宇佐美 陽一/うさみ よういち
(崇城大学芸術学部デザイン学科 アートクリエイションコース 教授)
 スポットライトを浴びる主役の陰で、舞台袖や楽屋を走り回るスタッフたち。これらの人々にスポットを当て、舞台づくりの魅力や苦心談などを連載しています。

宇佐美 陽一(崇城大学芸術学部デザイン学科
アートクリエイションコース 教授)
「熊本リージョナルシアターVol.4」の今年の参加作品は、劇団0相の「消す癖」。今回は同じ台本を2人の演出家により上演しますが、演出家のひとり宇佐美陽一さんにお話を伺いました。

これまでダンサーや作曲家、また、俳優としても多くの舞台を経験なさっていますが、今回演劇の演出をなさることになったきっかけは?
 大学の研究室の学生が創作した作品の上演場所を探していて熊本県立劇場を訪ねたのですが、その時に劇団0相の団員が劇場職員としていらっしゃってお会いしたのがきっかけです。その後、僕の舞台を彼らが観て今回の作品の演出を依頼されました。

演劇の演出は以前からなさっていたのですか?
 1年半ほど前から、ダンスや歌で構成された作品の演出はやっていますが、純粋な演劇作品の演出は今回が初めてです。

ふだん大学では何を教えていらっしゃいますか?
 ドイツのルドルフ・シュタイナーが提唱したオイリュトミーという身体表現法、演劇やアートマネジメントの他に形態学なども教えています。

今回の演出でもオイリュトミーの手法は用いられますか?
 オイリュトミーとは、単に音楽や言葉に合わせて動くのではなく、身体表現を通して音楽や言葉が美しいリズムになることをめざす表現方法のことですが、今回の演出でもその手法を演劇的に読み替えた演出を試みています。 今回演じていただく役者さんは、セリフの覚えが早いですし、日常の会話のようにセリフがたたみかけて出てくるのですが、今回はあえて言葉の前後に「間」を創るというような非日常的な表現に挑戦しています。

熊本県立劇場広報誌「ほわいえ」Vol.95より

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