南風堂がオープンして今年4月で19年目になります。
最初の頃は、芸術文化のことは何も知らず、各芸術団体のことも、絵を描かれる先生方も知らずどうしたらよいものかと随分思案しました。今のギャラリーとしての南風堂が存在するのは、雨森先生との出会いで、月のローテーションを組んではと話があり私たちは、「画家の方を全然知りません。だから、多分無理かも知れません。」と今の私にしてみれば多少弱気なことを言ったようです。でも、雨森先生から「私が、信頼している人を5人紹介してあげる」と言われ、まあ、自信はないけど、とにかくやっていくしかないと決心しました。それからは、とにかく私もマスターも、1から熊本の文化、芸術、画家、作品について調べ、美術館も各ギャヤリーも観覧しながら、知らないことは親しくなった専門家の方々へ質問をしながら勉強いたしました。ようやく1周年を迎える時、雨森先生から紹介いただいた5人の先生「磯谷先生、菊川先生、宮本正先生、松山サダ子先生、城先生」と雨森先生との6人で第1回南風堂開店記念展をすることが出来ました。以来人数は増えましたが今でも4月には当初の先生方を含め南風堂開店記念展を続けています。
 南風堂では、絵を描かれる人、観られる人、習いたい人、文学、歴史が好きな人、様々なお客さまから、色々な意見を言われます。そんな中から展覧会の内容が早くわかれば良いのにと言う声があり、南風堂だけの1ヶ月の展示内容を郵送していました。いつの頃か、マスターが「いっそ熊本には沢山のギャラリーがあるから一覧表したものがあれば、色んな人が自分の好きなスケジュールで展覧会を楽しむこが出来る。」そんな事を言い出し、私は、経費が掛かりすぎるので猛反対でした。でも、会費制で何とかいける。自分の店のことばかり考えては、先がないなどと、言い含められ「熊本のギャラリー」と云う展覧会情報紙を発行することになりました。昨年で10年経ち、今ではお客さまにも喜ばれ、各新聞社等の取材にも役立つと重宝がられています。
 最近よく思うことは、若い人達が、熊本の文化である画廊喫茶に足を運ぶことが少ないことです。お茶を飲みながら、様々な作品を目にしながら、作家や画家の方々との交流を若い人達から進んで接してくれれば、憧れの方と気楽に会話をすることも、種々学ぶことも出来る所だと思います。「熊本のギャラリー」にも市内、市外、沢山の画廊喫茶が掲載されています。「熊本のギャラリー」をもっと、もっと、利用していただき、熊本の文化を受け継いでほしいものです。
 開店当初は、画廊喫茶の草分け的存在だった、セルパンと言う画廊喫茶があり、画廊喫茶古川があり、銀杏画廊があり、先輩のギャラリーが沢山ありました。セルパンの亡くなられたご主人には、見習うことが多く随分参考にさせていただきました。南風堂も今では古株になりセルパンのように沢山の方々から愛され、親しまれ、頼られる、少しでも熊本の文化の為にお役に立てるような、画廊喫茶南風堂でありたいと願っています。

画廊喫茶「南風堂」
熊本市中央区北千反畑町5-13 096-343-9664